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悪性脳腫瘍のウイルス治療法承認

2022-01-02 10:25:23 | 健康・医療
脳腫瘍は私の知人も手術をしていますが、かみさんの友人は3年ほど前に脳腫瘍が見つかり、手術をしたところ幸い良性で、その後再発もなく元気に暮らしています。

この原因ははっきりとしていませんが、悪性の場合は生存率も低いようです。この悪性脳腫の特殊なウイルスを使った治療法が昨年8月承認され、公的医療保険の対象となりました。

ウイルスを使ったガン治療薬が国内で実用化されるのは初めてで、今後生存率を高められる可能性がありそうです。脳腫瘍は脳の細胞や神経などに出るガンの一種で、手術でガン細胞を切除したり放射線を当ててガンを小さくしたりして治療します。

抗ガン剤もありますが、悪性度が高い場合ガンが増殖するスピードが速く治療が難しいのが現状です。今回開発されたのはガン細胞の中だけで増殖し破壊する特殊なウイルスを使った薬の「テセルパツレフ」です。

感染力が強く細胞を殺す力が比較的強い「単純ヘルペスウイルス1型」の遺伝子を改変したウイルスです。これは東京大学医科学研究所が開発しましたが、周囲の正常な細胞は傷つけず、ガン細胞に対する免疫を高めることができるようです。

この薬(ウイルス)は直接腫瘍に注入します。頭を固定し頭蓋骨に小さな穴をあけ、そこから針を刺し腫瘍のある部分に投与します。1回目と2回目は5〜14日の間隔で、3回目以降は4週間ごとに最大6回注入します。

この治療法の対象は「膠芽腫」など悪性度が高い「神経膠腫」の患者で、放射線治療など標準的な治療を実施しても、十分な効果が得られなかったり、再発してしまった場合に使用します。

臨床試験では悪性神経膠腫のうち、膠芽腫の患者19人に新薬を投与し、1年後の生存率を調べました。このうち13人を解析したところ生存率は92.3%でした。膠芽腫の場合標準的な治療をしても、1年後の生存率は15%程度と考えられ、従来の治療法と比べて高い生存率が示されたことを受け、今回承認されました。

ただし治験の参加人数が少ないため、今後も新薬で治療した患者のデータを集め、7年を期限に有効性と安全性を確認していくことになっています。

新薬は今のところ治験を実施した東京大学医科学研究所病院でのみ使用されていますが、他の医療機関でも投与できるようにしたいとしています。

このようなウイルスを直接腫瘍に投与する治療法が開発されたことで、治療困難な悪性脳腫瘍の選択肢が増えたことは、難治性の疾患でも治る可能性が出てきたといえます。

今後の有効性や安全性について慎重に検証する必要はありますが、新しいガンに対する処方が増えたのは希望が持てる気がします。


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