ごっとさんのブログ

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2021年の死因順位「第6位誤嚥性肺炎」に要注意

2022-10-23 10:45:45 | 健康・医療
2021年の死因順位を見ると、約4分の1を占める1位のガン(悪性新生物)をはじめ、心疾患や老衰など誰もがよく知る病気が並んでいます。

このなかで割と知名度が低い病気が6位に位置する「誤嚥性肺炎」となっています。私の母は15年前に88歳で亡くなりましたが、その死因は「肺炎」となっていました。

母は不定期に発熱を繰り返し、自宅療養していましたがかかりつけの医師が身体も弱っており入院した方良いということで、市内の比較的大きな病院に入院しました。この時ベッドが空いていた呼吸器科に入りましたが、いわゆる老衰で腎臓や肝臓の値も悪くなっていきました。

その後食事もとれなくなり点滴栄養となりましたが、入院後8カ月で天寿を全うしました。この時担当していた医師から、呼吸器科なので死因を「肺炎にしたい」という申し入れがあり、肺炎など一度も聞いたことが無かったのですが了承しました。

病死(老衰も含みますが)であれば死因などもいい加減なものだと感じています。さて誤嚥性肺炎ですが、国立国語研究所の調査によれば、「誤嚥(ごえん)」という言葉の認知率は50.7%と低く、発音のよく似た「誤飲」と誤解している人は13.9%いるようです。

誤飲(ごいん)は食べ物ではないものを誤って飲み込んでしまうことをいいます。医療現場ではおもちゃや電池、タバコを小児が飲み込んだり、高齢者が義歯を飲み込んだりする事故に出会うことが多いようです。

一方誤嚥は全く別の現象で、食べ物や飲み物が空気の通り道(気道)に誤って入ってしまうことを指します。

ヒトの身体は飲食物と空気を同じ入り口から取り込み、そのすぐ後で二つにえり分けるという複雑な仕事を日常的に行っています。喉の奥には気道に向かう道と食道に向かう道が二股に分かれており、食べ物や飲み物を飲み込むときには、気道の蓋が閉じるため食道側にしか流れません。

会食の席で友人とおしゃべりをしながら無意識に呼吸をしつつ、食べたり飲んだりしています。この間喉の奥はせわしなく動き、飲食物と空気を常時えり分けているのです。

口から取り込んだ食事が誤って気道に入ると、激しくむせて気道に侵入してきた異物を反射的に追い出そうとします。これが高齢になるとうまく機能せず、誤って気道に入ったきた異物を排出できなくなるのです。

食べ物や飲み物がしばしば肺に入り込み、そこで肺炎を起こし悪化すれば命に関わることになるわけです。「誤嚥」というリスクは、空気と飲食物を「同じ穴」から取り込むというヒトが背負う宿命といえるようです。

実際の高齢者の誤嚥は、寝ているときに唾液が気道に入って起こることが多いようですが、この誤嚥性肺炎が死因の6位まで増えているということは驚きといえるのかもしれません。