ごっとさんのブログ

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低放射線被ばくの動物実験

2016-12-20 10:40:24 | その他
放射線医学総合研究所の研究グループが、低放射線被ばくの動物実験の結果を発表しました。

これによると放射線被ばくの線量が同じでも、時間当たりの被ばく量が小さいほど発ガンリスクが低くなることが分かりました。低放射線の場合は、その影響がなかなかはっきりと出ないため、動物実験などが難しかったようです。

そのためこの程度までは安全という基準もできず、福島原発関係も少しでもあれば危険のような感じになり、風評被害につながっているような気もします。特に最近は本当に微量の放射線まで測定できるようになりましたので、よけい複雑になっているような気がします。

余談ですが、我々はこの分析法の進歩を分析公害と呼んでいます。例えば関連するのは排水規制などですが、どんどん厳しくなり、色々な成分が何ppm以下などと規制されています。その中で毒性の強いものなどは、検出されてはいけないということになっています。こういった法律はかなり前に制定されたもので、現在は当時の数100倍も検出感度が上がっていますので、最新の方法で測定すると微量出てしまうのです。

これは全く問題ない量ですが、検出されては困るわけです。そこで法律が当時の最も一般的な方法(名前がついています)で測定した場合、という文章が追加されました。そのためサンプルを機械にセットすれば自動で測定できるものを、わざわざ時間と手間をかけて、昔の方法で測定するということが行われているわけです。

本題ですがこの研究グループは、主に小脳に発生する脳腫瘍の一種「髄芽腫」の発生要因を、遺伝子解析で識別できる特殊なマウスを作ることに成功しました。このマウスを被ばく線量が500ミリシーベルトになるよう短時間照射したグループと、4日間で同じ線量になるよう照射したグループ、さらに100ミリシーベルトを4日間照射したグループに分けて、髄芽腫の発生割合に差が出るかを調べました。

その結果、500ミリシーベルトを分単位の短時間照射したマウスの約34%が髄芽腫を発生しまた。一方で同線量を4日間照射したマウスの発生率は約16%となりました。100ミリシーベルト4日間照射マウスは同約1%で、放射線を照射しなかったマウスの2%よりも低いほどの低率という結果が得られました。

研究グループは、時間をかけて照射した場合は、生体の遺伝子損傷修復能力が発ガンを抑制したためとみているようです。こういった結果を人体への影響に直接結びつけるのは早計だが、こういったマウスができたことにより低線量被ばくによる発ガンリスク解明研究が進むと考えられます。

今回の放射線量がどういった基準で選ばれたか分かりませんが、人体への影響解明につながるような気もします。