先週の午後、突然ピンポンがなったので驚いた。
「〇〇です」「えっ??」その名前は知っているけど、今ここで聞くのは
現実的でないし、その声はもちろん覚えているけど、今ここで聞こえるわけがない。
でもドアを開けたらその人だった。
秋に出した転居ハガキを片手にもって、東京から突然訪ねてきてくれたのだ。
「大阪に出張のついでに寄ったよ」と笑ってた。
子どもを迎えにいく時間だし、何を話せば(何から話せば)いいのかもわからなかった。
近くの民宿に一泊することになり、夕方少しだけ海の近くを散歩した。ぞろぞろと子どもたちも
ひきつれて。
嬉しかった。
すごくすごく嬉しかった。
空も海も道路も看板も船も標識もゴミもポストも全部がきれいに見えた。
「時間よ止まれ」と思わなかったと言えば嘘になるくらい、切実に一緒にいたかった。
彼と初めて会ったのはベトナムの夜行バスだったと思う。
長旅の間、ちょっとだけ私を休憩させてくれた人だった。夜ごはんを一緒に食べて宿まで
帰る道でさっと内側を歩かせてくれたり、市場でみつけたおいしいサトウキビジュースを
「もう一回一緒に飲みに行こう」と連れて行ってくれたり、果物をナイフで上手に切り分けて
手のひらにのっけてくれたり、そんな小さなことだったけど、気が付いたら好きになっていて
(まあ、そこは若いし、旅の途中だし、)もう止まらなくなっていた。
日本でも何度か会っては、あちこちとめどなく散歩した。月日は流れて気持ちもすっかり消化
され、お互い家族を紹介もして、このまま年賀状だけの付き合いが続いていくんだろうな、と
思っていた矢先のことだった。
時々思い出して「あー、話したいな」と思うことはあっても、そんな曖昧な理由で連絡をとることは
はばかられたし、SNSでやり取りができるとは言っても、やりとりする「今」は共有していないし
このまま静かにふたをしていく気持ちなんだろうなと思っていた。
「会う」ってすごい。一瞬でそういうの全部吹き飛ばすだけの威力があった。
あの頃のような「この人をどうにかして手に入れたい」と胸をかきむしるような衝動は全くなかったけれど、
それでもやっぱり成就しなかった恋なだけに、「こんなつづきがあったのか!!」と驚きでいっぱいだった。
「今」のことでいっぱいいっぱいになって、心が固まってしまっていた私にこのタイミングでこの出来事。
「梢!長い目で物事をよく見ろ!」と言われているような気がした。
18年前、どうしてもこっちを向いて欲しくて、でもどう考えてもその可能性はゼロに近いと分かっていて、
それでも何かを期待していた私に言ってあげたい。「この恋は全く実らないけど、いつかまた会えるよ」って。
苦しい恋のつづきにこんなプレゼントがあるのなら、今苦しいことの先にもきっと希望があるはず。
そう思えたら、ふぅーとようやく今年最初の深呼吸ができた。
こんなプレゼントが時間を超えて届くなら、人生とはなんて素晴らしいものなんだろ。
私は私の道をこれからも歩いていく。後ろにも前にも花が咲いていたらいいな。
旅は続いている。この世界の美しさをまだまだ見届けたい。
「〇〇です」「えっ??」その名前は知っているけど、今ここで聞くのは
現実的でないし、その声はもちろん覚えているけど、今ここで聞こえるわけがない。
でもドアを開けたらその人だった。
秋に出した転居ハガキを片手にもって、東京から突然訪ねてきてくれたのだ。
「大阪に出張のついでに寄ったよ」と笑ってた。
子どもを迎えにいく時間だし、何を話せば(何から話せば)いいのかもわからなかった。
近くの民宿に一泊することになり、夕方少しだけ海の近くを散歩した。ぞろぞろと子どもたちも
ひきつれて。
嬉しかった。
すごくすごく嬉しかった。
空も海も道路も看板も船も標識もゴミもポストも全部がきれいに見えた。
「時間よ止まれ」と思わなかったと言えば嘘になるくらい、切実に一緒にいたかった。
彼と初めて会ったのはベトナムの夜行バスだったと思う。
長旅の間、ちょっとだけ私を休憩させてくれた人だった。夜ごはんを一緒に食べて宿まで
帰る道でさっと内側を歩かせてくれたり、市場でみつけたおいしいサトウキビジュースを
「もう一回一緒に飲みに行こう」と連れて行ってくれたり、果物をナイフで上手に切り分けて
手のひらにのっけてくれたり、そんな小さなことだったけど、気が付いたら好きになっていて
(まあ、そこは若いし、旅の途中だし、)もう止まらなくなっていた。
日本でも何度か会っては、あちこちとめどなく散歩した。月日は流れて気持ちもすっかり消化
され、お互い家族を紹介もして、このまま年賀状だけの付き合いが続いていくんだろうな、と
思っていた矢先のことだった。
時々思い出して「あー、話したいな」と思うことはあっても、そんな曖昧な理由で連絡をとることは
はばかられたし、SNSでやり取りができるとは言っても、やりとりする「今」は共有していないし
このまま静かにふたをしていく気持ちなんだろうなと思っていた。
「会う」ってすごい。一瞬でそういうの全部吹き飛ばすだけの威力があった。
あの頃のような「この人をどうにかして手に入れたい」と胸をかきむしるような衝動は全くなかったけれど、
それでもやっぱり成就しなかった恋なだけに、「こんなつづきがあったのか!!」と驚きでいっぱいだった。
「今」のことでいっぱいいっぱいになって、心が固まってしまっていた私にこのタイミングでこの出来事。
「梢!長い目で物事をよく見ろ!」と言われているような気がした。
18年前、どうしてもこっちを向いて欲しくて、でもどう考えてもその可能性はゼロに近いと分かっていて、
それでも何かを期待していた私に言ってあげたい。「この恋は全く実らないけど、いつかまた会えるよ」って。
苦しい恋のつづきにこんなプレゼントがあるのなら、今苦しいことの先にもきっと希望があるはず。
そう思えたら、ふぅーとようやく今年最初の深呼吸ができた。
こんなプレゼントが時間を超えて届くなら、人生とはなんて素晴らしいものなんだろ。
私は私の道をこれからも歩いていく。後ろにも前にも花が咲いていたらいいな。
旅は続いている。この世界の美しさをまだまだ見届けたい。
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