Bankの秘密基地

個人日記兼つれづれなるままに

NEC(6701)株主総会

2011年06月22日 | 銘柄研究
NECの株主総会に初参加。私を含めて99%位のNEC株主は多分こう思っているだろう。「何故、こうなった......... !?」 NECといえば一昔前はエレクトロニクス業界で飛ぶ鳥を落とす勢いであった。メモリ分野、通信機器、パソコンなど最先端を行っているというイメージがあり、株価もプレミアムがついていた。今はみる影もない状態で株価の下落によって100円台の株に。なんかシステム障害を懲りずに何回も起こしたどこかの金融機関に似ている。個人的には私はNECのことを「エレクトロニクス業界のみずほ」と呼んでいる。



 どうしてそんな株を保有しているか? 何故ならNECパソコンのユーザーだから。NECのパソコンはパソコン黎明期から付き合っているので思い入れがないわけではない。これまでパソコンは20台以上乗り換えてきたが、そのうち4割近くはNEC製パソコンだったと思う。とはいっても昔は常に最先端のとがった機種を出してきたのに、最近は微妙な機種しか出てこない。ノートPCを最近買い換えたが、NEC製を選んだ。実は最初はパフォーマンスの良い機種を探すとDELL、HP、富士通とかNECが引っかからない。インテルの第二世代であるSandyBridgeが発表されて、早速2630QM搭載製品が発表されているのにかかわらず、NECからでてきたのは2620M。ん..............微妙。富士通にするかと思い、いろいろ検討するとFHD(フルHD)じゃない、DELL、HPはSSD+HDの構成が選べない。リビングで使用するのでグラボが刺さっているとうるさいのでグラボなしを探すと対象とならない。しかし、NECはCPUは微妙だが、FHDで内蔵グラフィックでSSD+HDが選択できる。但し、SSDの容量は62GB。......................微妙。CドライブにはOSだけ入れとけということだろうが、それにしても容量がしょぼい。というわけで(?)NECの春モデルを購入した。まあ、それだけの理由で株式を購入したわけではないが、NECという会社、実に微妙な企業だ。(因みに夏モデルで2630QM搭載モデルを発売。要するにグローバルな台数シェアが小さいのでインテルから優先供給して貰えなかったと考えるのが妥当か?)



 株主総会は22日午前10時、ザ・プリンスパークタワー東京地下2階今コンベンションホールで開催。場所も微妙だなあ。まあ、本社の近くなんだから仕方ないけれど、微妙に遠いというか近いというか。都内に長く住んでいるけれど都営三田線なんかほとんど利用しないよね。乗り継ぎにとまどい開始5分前に会場につく。入場受付前でいきなりお土産を配っている。大抵総会終了後に渡すもんだと思っていたので少しだけ驚き。とにかく受付を済ませようと並ぶとなにやら、何人かお土産の袋を持った人が帰っていく。あれれ.....総会まだ始まってませんよ...。議決権行使書をお土産引換券と勘違いしている人もいるんだなあ。それとも総会前にお土産を配るのでNECで貰って別の株主総会に参加するとか。総会開始とともに議長あいさつ、社長の業績説明に入る。エレクトロニクスの大手だからプレゼンテーションも凝ったものにと思ったが、棒読みとまではいかないが事業報告書をなぞるような社長の説明にいささか失望。まだバンダイナムコのの方がわかりやすかった。しかも簡潔・明瞭・要領よくというには程遠く、言っていることがあまりよくわからない。しいて言えば「言語明瞭意味不明」といったところか。社長の説明は30分間続く。バンダイナムコはビデオプレゼンが10分程度であったが、長さは3分の1だが、理解しやすさは3倍だ。

 説明が終わると質疑応答に入る。事前に文書で質問してきた株主がいたらしく、最初にその回答をする。ところが、質問の概要を簡単に触れるだけで実際にどんな質問をしてきたのか説明しないものだから、答えもこれまた当たり障りのない回答で実際に何を質問されて、どう回答したのかわからない。要するに「のれんに腕押し、ぬかに釘」状態。長文の質問をすべて紹介する必要はないが、質問内容をはしょりすぎてないか。続いて直接の質問に入り、最初の株主が「NECはいろいろな製品を展開しているのはわかるがどの製品のシェアが高く、そのうちどの製品が売れれば大きくもうかるとかそういうイメージがない。その辺を説明してほしい」といきなり核心をつく質問。答えを期待したが、これもよくわからない答え。自分の会社のことを理解してないのではないか? 2番目の人は1人一問、簡潔にお願いしますと言われているにも関わらず、「質問が2つあります」 ああ、株主もやはり微妙だなあ。しかも質問が長い。要するに経営陣批判だけど。ようやく質問が終わったと思うと、「2番目の質問ですが...」 我慢も限界なんで退出。



 業績も少しだけレビューしてみるとこれがまたよくわからない。というよりわからなくしているんじゃないかと作為的なものまで感じてしまう。上図を見てもらうと理解できるようにNECの売上は大きく減少している。2008年3月期が載っていないが、その時の売上高は4兆6172億円。因みにさらに前年の2007年3月が4兆6千526億円と年を追うごとに売上が減少している。無論、理由はあるのだが、終わった期の業績では震災でも有名になったルネサスを非連結化したことで4千億円程度の売上の減少になっている。会社側の説明によればルネサスの入っていた「その他」部門での売り上げは6614億円から2447億円と4167億円減少している。



 上図は「その他」部門の過去3年の業績推移を表しており、前年度はルネサスと統合する前のNECエレクトロニクスの業績を含む。旧NECエレクトロニクスは2010年3月期ベースで売上高4519億円、営業損失492億円とまさにNECのお荷物だった。民生用LSIで1614億円、震災で脚光を浴びた自動車用マイコンで1491億円。切り離しが本当に良かったのかは時間が証明するだろう。むしろ、ユーザーの細かい注文を採算度外視で作っていたことにメスを入れられなかったNEC経営陣に問題があるような気もする。世界シェア4割と謳ってもコスト度外視で作っているから新規参入がなかったということのような気もするが。因みに2011年3月期は当期損失こそ1千億円を超える赤字だが、営業利益145億円の黒字に転換。2010年3月期に2社合算ベースで1133億円の赤字が1200億円以上改善した。仮にNECに捨てられた旧NECエレクトロニクスの人達の怒りが原動力になってえらく儲かる会社に変身したら、これはまさに歴史の皮肉というしかないだろう。



 とはいったものの、旧NECエレクトロニクスがお荷物であったことは厳然たる事実。非連結化前の2010年3月期で営業損失492億円。さらにその前の年は664億円の損失。このまま抱え続けたら親までこけると考えるのもごく自然の成り行きであることも確かだった。しかしながらNECの問題点を挙げるとすれば、半導体事業の赤字もさることながら、儲かる事業があまりないということが問題だ。



 NECのセグメントは上図の通りだが、「その他」のセグメントを除く5つのセグメントの内、利益の出ているのは4セグメント。最も利益の高いのがキャリアネットワーク事業の6.7%、最も低いのはプラットフォーム事業の2.4%。4つのセグメントの合計の売上高は2兆1042億円、全売り上げの67.5%を占めている。営業利益率は4.06%。これを高いとみるか低いとみるとか意見の分かれるところだが、突出してマージンの高いセグメントがないというのも事実だろう。当社はその前の期の2010年3月期に3209億円の合理化を実施し、2011年3月期には営業利益1000億円を目指すと宣言した。ふたを開けてみると、営業利益は578億円だったわけだから、これはやはりいただけない。突っ込みついでに指摘すれば、合理化前の営業利益(2009年3月期)が62億円の赤字で、3209億円の合理化をして509億円にしかならないのは何故................というのは聞かないでおこう。ソニーのケースを見てもわかるが数千億円の合理化をしても帳尻が合わないのはどこも同じだ。単純な足し算をしてはいけないことは分かっているけど、あえて堂々とそのままプレゼンテーション資料に載せるのもどうかと。



あまり突っ込むのもかわいそうなんでこの辺でやめておくが、NECがよく理解できないもう一つの理由は情報開示の姿勢にもあるのかもしれない。前期、すなわち2011年3月期にNECは事業セグメントを変更して今日のセグメント開示の体制になった。NECエレクトロニクスの切り出しという点も考慮すればやむを得ない処置とも考えられるわけだが、実はその前の年(2010年3月期)にもセグメントの変更を行っている。



 難点を指摘すれば多くあるのだが、もともとのセグメント(いつだったか忘れた)もよく分からなかった。「IT/NW(IT・ネットワーク)ソリューション」事業と数多くの事業を一括でセグメントしていたのもいただけない。それをITサービス、ITプロダクト、ネットワークシステム、社会インフラの5分野に分割したまでは良かったが、ITプロダクトとネットワークシステムの一部を合わせて「プラットフォーム」と呼び、残りのネットワークシステムをキャリアネットワークと名称変更。もともとのソリューションという言葉やプラットフォームとか、キャリアネットワークとかなんかその時に流行ったIT専門用語を貼り付けているような気がしてならない。事業ポートフォリオの再編・見直しが起こるのが当然だが、看板の架け替えでビジネス環境がよくなるわけではない。むしろ、懸念されるのはNECの方たちには悪いが、非常に古い言葉で言えば「CI(コーポレート・アイデンティティ)」がない。CIというのはブランド戦略のことではなく、文字通り企業としてのアイデンティティのことを指す。自分たちが何をやっている会社なのか、何に向かっているのか、コア事業とは何か。顧客は誰か。コア事業のシナジーが持てる周辺事業だからこの事業を手掛けているといった、自分自身への理解がないからソリューションだ、プラットフォームだ、クラウドだとその年のIT流行語がビジネスのセグメント名になってしまう。今、ピーター・ドラッガーの本をネタにした「もしドラ」が流行っているが、経営陣は読んで理解する必要があるんじゃないか。

 開示姿勢に関してはの難点はあるが、IRのインフラ自体は悪くない。ちゃんと時系列にIR資料がダウンロードできるようになっており、それに関しては及第点だ。ここまでぼろくそに書いておいてなんだが、じゃあ株式を売却するかと言えば、多分売らない。何故ならNECのユーザーだから。とはいったものの、NECのパソコンもレノボに売ったんで、五星紅旗のシールが付いたりするかもしれないなぁ。その時は富士通にスイッチ。来年の株主総会はといえば..................多分行かない。


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