確定申告の季節がやってきて、税理士を雇っていないし、雇う気もない私にとっては申告作業に時間を取られる季節だ。株式などのの金融資産所得が中心だが、一応実物不動産もやっているし、とりもなおさず海外にある証券口座からの所得は自分で計算しなくてはならない。税理士はドメな人が多いのでこの辺はわからないだろうし、雇うだけお金が無駄になるので税理士は雇っていない。外国証券口座からの所得は配当所得がメインであまり売買していないので所得の把握という点ではそれほどの苦労はないのだが、外国税額控除の計算のために配当の支払い調書の収集(法第95項に規定する財務省例で定める書類に該当)と外国源泉税の計算が面倒だ。一番面倒なのは売買が発生した時の損益の把握で、どういうわけか外国の証券会社のステートメントには簿価が載っていない。時価主義というのはわかるけど、税務申告するときには簿価は必要だろうにと思うのだが、この辺が不思議なところだ。だから海外口座ではなるべく売買しないでバイアンドホールドできる銘柄に絞っている。
税制改正で国外財産調書が創設され、海外に資産を持つ投資家は提出する義務を負った。厳密にいえば昨年1月1日以降の確定申告だが、周知期間として1年が設定されている。つまり今年の確定申告はマストであるということだ。昨年の確定申告では様子見で出さなかったという人が多かったという話が雑誌に載っていた。何を様子見しているのかはよくわからないが、おそらく申告書を提出したら税務署がやってくるのではと恐れている人が大半だろう。私の場合は昨年の確定申告時に提出済みだ。別に悪いことしているわけではないので来るなら来いという感じだったが、来なかった。(別件の大したことない用事で税務署が来たが)
上記に書いてある通り、調書を提出せずに国外財産からの所得漏れが発覚すれば加算税が課されることになる。加えて不提出なら刑事罰もあるというかなり厳しい処置だ。こんな制度はなくしてもらいたいが、要するに海外での所得を申告してない人が多いという事実がこの制度を生んだということに他ならない。税務調査が恐ろしいという人は結構いるかもしれないが、私は何回も税務調査を受けてきたが(税務署に来てくれというケースも自宅に税務署員が来たこともある)、有用なアドバイスを一つ。ちゃんと申告していれば全然怖くありません。私の場合は計算間違いとか、税法解釈の違いを理解してなかったケースがほとんどで、税金をごっそり持っていかれたことはない。むしろ、この金額で税務署員がわざわざ自宅までやってくるなんてという感想すら持った。
ただし、今回、自民党、公明党の税制調査会が発表した平成27年度税制改正大綱は問題ありと考えている。タイトルにも書いたが従来の財産債務明細書を「財産債務調書」に格上げするという内容だ。これは所得2000万円以上または資産3億円以上の個人に調書の提出を義務付けるという内容だ。税をより補足しやすくするという趣旨だとは思うが、国外財産調書とは別に国内外すべての財産の申告を義務付けるものだ。要するに相続税対策が主眼だと思うが、めんどくさいことはやめてほしいというのが個人的な感想だ。因みに大綱の中身は以下の通りだ。
私個人の不満は国内は特定口座があるじゃないか、預貯金にしても国税のシステムであるKSKで把握できるだろうに。どう考えても国税の怠慢にしか思えない。まあ、逆にいえば相続税などで巧妙かつ悪質な脱税もしはく租税回避行動が目立つということかもしれない。税金は少ないほうがいいというのは心情的にも理解できるけど、脱税事件のニュースを聞くたびに、「そんなに税金はらいたくなかったの?」という気持ちも一方ではある。富裕層増税の国会議論なんかはいつも不愉快だけど、ルールに則って税金おさめてればこんな話にはならないんじゃないかといつも思う。ピケティの「21世紀の資本」が巷で人気になっており、「そうだ、そうだ富裕層にはもっと課税しろ」なんていうのがメディアでの正論になりつつある。でも、日本の課税システムはかなり公平だし、消費税の逆進性云々よりも所得税・地方税の累進性によって富の分配機能は他の国よりもかなり正常に機能していると思うんだけど。
こんな図を出して日本には格差がない。格差問題なるものは存在しないと主張するつもりは全くない。しかし、日本は「旧ソ連や中国共産党すらなしえなかった偉大な社会主義国家」の例えもあるように分配制度は機能している。しかもかなりうまくいっている。個々の事例を取り上げてこんなにひどいというのは簡単だし、メディア受けもする。でもそれはマクロ的に正しいわけではない。上の表は平成11年からのジニ係数の変化だが、グロスの数字。つまり名目数値は確かに上昇しているが、富の再分配により格差はちゃんと埋められている。第一、国税が把握している給与所得者数4645万人の内、4割に当たる1901万人は所得税率は10%以下だし、納税者の53%に当たる2711万人は給与所得者が収める所得税の11.4%を負担し、所得上位8.3%に当たる385万人が税収の61%を負担している。(国税庁 平成25年民間給与実態調査)
国会なんかでの議論(特に共産党とか)で、「格差是正どころが富裕層を優遇している。とんでもない政策だ」とか聞くと、ちゃんと数字見てから言えと突っ込みたくなる。格差問題はある。でも、メディア受けしそうな論調の本質は格差問題ではなく、「お前の財布には俺より10万円多く入っている。だからずるい」と言われているような気がしてならない。
話がかなり脱線してしまった。財産債務調書の話だが、ひどいとは思うが、義務化されたときにどう対応するかが問題だ。実は従来からある「財産債務明細書」は提出義務があるが罰則規定がないのが問題とされていた。今回の大綱では義務化の実施と申告漏れに対する加算税の導入があるが、国外財産調書とは違い、不提出による罰則規定は盛り込まれなかった。個人的には国内資産の補足は海外に比較すればかなりできるはずなので納税者の負担を増やすこの制度の導入は反対だ。どうも国税の怠慢としか思えない。国内預金は仮名口座は禁止されているわけだし、不動産は固定資産台帳がある。有価証券は特定口座があり、国税にはKSKがある。いったいなんで導入するのか理解に苦しむ。どう考えても国税が楽しようと考えた制度にしか思えない。ちゃんと申告していれば加算税は課されないわけだから、提出なんかしないほうがいいかとも考えるが...もう少し考えてみる。
税制改正で国外財産調書が創設され、海外に資産を持つ投資家は提出する義務を負った。厳密にいえば昨年1月1日以降の確定申告だが、周知期間として1年が設定されている。つまり今年の確定申告はマストであるということだ。昨年の確定申告では様子見で出さなかったという人が多かったという話が雑誌に載っていた。何を様子見しているのかはよくわからないが、おそらく申告書を提出したら税務署がやってくるのではと恐れている人が大半だろう。私の場合は昨年の確定申告時に提出済みだ。別に悪いことしているわけではないので来るなら来いという感じだったが、来なかった。(別件の大したことない用事で税務署が来たが)
上記に書いてある通り、調書を提出せずに国外財産からの所得漏れが発覚すれば加算税が課されることになる。加えて不提出なら刑事罰もあるというかなり厳しい処置だ。こんな制度はなくしてもらいたいが、要するに海外での所得を申告してない人が多いという事実がこの制度を生んだということに他ならない。税務調査が恐ろしいという人は結構いるかもしれないが、私は何回も税務調査を受けてきたが(税務署に来てくれというケースも自宅に税務署員が来たこともある)、有用なアドバイスを一つ。ちゃんと申告していれば全然怖くありません。私の場合は計算間違いとか、税法解釈の違いを理解してなかったケースがほとんどで、税金をごっそり持っていかれたことはない。むしろ、この金額で税務署員がわざわざ自宅までやってくるなんてという感想すら持った。
ただし、今回、自民党、公明党の税制調査会が発表した平成27年度税制改正大綱は問題ありと考えている。タイトルにも書いたが従来の財産債務明細書を「財産債務調書」に格上げするという内容だ。これは所得2000万円以上または資産3億円以上の個人に調書の提出を義務付けるという内容だ。税をより補足しやすくするという趣旨だとは思うが、国外財産調書とは別に国内外すべての財産の申告を義務付けるものだ。要するに相続税対策が主眼だと思うが、めんどくさいことはやめてほしいというのが個人的な感想だ。因みに大綱の中身は以下の通りだ。
私個人の不満は国内は特定口座があるじゃないか、預貯金にしても国税のシステムであるKSKで把握できるだろうに。どう考えても国税の怠慢にしか思えない。まあ、逆にいえば相続税などで巧妙かつ悪質な脱税もしはく租税回避行動が目立つということかもしれない。税金は少ないほうがいいというのは心情的にも理解できるけど、脱税事件のニュースを聞くたびに、「そんなに税金はらいたくなかったの?」という気持ちも一方ではある。富裕層増税の国会議論なんかはいつも不愉快だけど、ルールに則って税金おさめてればこんな話にはならないんじゃないかといつも思う。ピケティの「21世紀の資本」が巷で人気になっており、「そうだ、そうだ富裕層にはもっと課税しろ」なんていうのがメディアでの正論になりつつある。でも、日本の課税システムはかなり公平だし、消費税の逆進性云々よりも所得税・地方税の累進性によって富の分配機能は他の国よりもかなり正常に機能していると思うんだけど。
こんな図を出して日本には格差がない。格差問題なるものは存在しないと主張するつもりは全くない。しかし、日本は「旧ソ連や中国共産党すらなしえなかった偉大な社会主義国家」の例えもあるように分配制度は機能している。しかもかなりうまくいっている。個々の事例を取り上げてこんなにひどいというのは簡単だし、メディア受けもする。でもそれはマクロ的に正しいわけではない。上の表は平成11年からのジニ係数の変化だが、グロスの数字。つまり名目数値は確かに上昇しているが、富の再分配により格差はちゃんと埋められている。第一、国税が把握している給与所得者数4645万人の内、4割に当たる1901万人は所得税率は10%以下だし、納税者の53%に当たる2711万人は給与所得者が収める所得税の11.4%を負担し、所得上位8.3%に当たる385万人が税収の61%を負担している。(国税庁 平成25年民間給与実態調査)
国会なんかでの議論(特に共産党とか)で、「格差是正どころが富裕層を優遇している。とんでもない政策だ」とか聞くと、ちゃんと数字見てから言えと突っ込みたくなる。格差問題はある。でも、メディア受けしそうな論調の本質は格差問題ではなく、「お前の財布には俺より10万円多く入っている。だからずるい」と言われているような気がしてならない。
話がかなり脱線してしまった。財産債務調書の話だが、ひどいとは思うが、義務化されたときにどう対応するかが問題だ。実は従来からある「財産債務明細書」は提出義務があるが罰則規定がないのが問題とされていた。今回の大綱では義務化の実施と申告漏れに対する加算税の導入があるが、国外財産調書とは違い、不提出による罰則規定は盛り込まれなかった。個人的には国内資産の補足は海外に比較すればかなりできるはずなので納税者の負担を増やすこの制度の導入は反対だ。どうも国税の怠慢としか思えない。国内預金は仮名口座は禁止されているわけだし、不動産は固定資産台帳がある。有価証券は特定口座があり、国税にはKSKがある。いったいなんで導入するのか理解に苦しむ。どう考えても国税が楽しようと考えた制度にしか思えない。ちゃんと申告していれば加算税は課されないわけだから、提出なんかしないほうがいいかとも考えるが...もう少し考えてみる。