Bankの秘密基地

個人日記兼つれづれなるままに

企業の内部留保は格差の助長?

2015年02月19日 | マクロ経済
 今はやっている格差論について細かく議論しても仕方ないが、国会論戦や一部のエコノミストの議論を聞いていて気になったことがある。それは「企業は内部留保を溜め込み、労働者に還元していない。これが経済格差を大きく助長している」というものだ。この文脈で言われる企業とは「大企業」のことであり、その論調を聞いている限りそうなのかと納得してしまう部分もある。だが、その意味するところは何かという問いに答えた議論は少ない。内部留保をなぜ溜めるのか、それは近年に限ったことなのか。あるいは日本に資本主義社会が導入されて何度かあった現象なのか。それは何故なのかという答えは驚くほどない。あまりハードルを上げすぎてもやっかいなので、直近の企業の内部留保の積み上がりについて少し調べてみる。



 財務省の法人企業統計を加工して作成ししてみた。もっと長い期間のデータで試したかったが、現データが2008年からの時系列データだったので過去6年分の比較的短いデータだが、確かにリーマンショックが発生してから、企業業績が回復するにつれて内部留保の額が大きくなっている。データは法人企業統計が把握する資本金1億円以上の大企業が対象になっている。直近の数値では100兆円の大台に乗せようとしているがわかる。これだけを見ると「大企業は従業員に還元することなく、キャッシュを積み上げている。けしからん」というロジックになりそうだが、では企業は内部留保をキャッシュとして金庫に詰め込んでいるのだろうか。同じく法人企業統計のバランスシートに関する時系列データがあるので見てみる。今度は西暦でなく、元号表記になっているが少し長くとれている。



 まあ、大体想像はしていたがやはりこういう結果に。確かに企業は絶対金額ベースで現預金を増やしているが、バランスシートに占める割合では大きくキャッシュを膨らませているわけではない。むしろ、内部留保はキャッシュとしてではなく、投資有価証券の増加ということで再投資されている。この投資有価証券は株式のことだが、金利水準が低いから企業は株を買っているというわけでは決してない。毎日、新聞を読んでいれば理解できるように、たとえばサントリーがビーム社を1兆6千億円で買収とか、第一生命が米国損保を6千億円で買収、最近では近鉄エクスプレスがシンガポールの会社を1400億円、日本郵政が6000億円で豪州の物流会社を買収といったように、日本企業は海外の会社を買収しまくっている。また、海外の上場企業の買収だけでなく、米国、欧州、中国に現地法人を設立した場合は株式会社形態になるので投資有価証券(子会社株式)が増大する。統計を見ると過去10年でなんと117兆円も増加している。



 日銀の「2013本邦対外資産負債残高」で業態別にみると先ほどの法人企業統計と時間軸が異なっているものの、製造業での増加が著しい。どの業態も増えているけれども、製造業に限ってみれば2005年対比でほぼ倍増している。まあ、これも結論は見えていたわけだが、すなわちグローバル化の進展で国内で儲けられなくなった企業は海外に出ざるを得なくなってMAもしくは現地進出という形がバランスシートの投資有価証券の増加になっている。

 それで問題だが、「企業は内部留保を溜め込んで従業員に還元していない。けしからん」という議論だが、これは正しいのだろうか。一瞬、「そうだ、そうだ」と頷きかけるのだが、それは正しい指摘なのだろうか。企業が海外企業をMAもしくは現地に子会社設立する理由は「国内が儲からないから」だろう。一つには長期間にわたる円高で国内の製造業が競争力を失ったことだ。そして海外進出もしくは買収して得た利益を国内の従業員に還元するのは正しい、いやここでは合理的と言っておこう。合理的な企業行動なのだろうか。

 例えば、海外で得た利益(ここでは国内で製造して輸出したという意味ではなく、海外工場で製造して海外で販売して得た利益と定義する。)を国内の従業員に還元する。すると国内で製造するコストが上昇して輸出競争力が低下する。すると国内の利益はさらに減少してしまう。仕方がないので国内の従業員をリストラせざるをえなくなる。次の年に海外の利益が増加するとして、それを国内の従業員に還元する。すると国内での製造コストはさらに上昇して国内事業の競争力が低下して、利益も低下する。で、最初にもどると。たとえばこれを永遠に継続したとすると国内で従業員を雇用することが不可能となり、企業は所在地が日本というだけで、国内で従業員がゼロということになる。もしこれがずっと続けば、企業の所在地を日本に置く理由も存在しないため、その企業は日本を出ていくことになるだろう。

 無論、これは極端な仮定を置いた議論なので実際にはそうはならないと思うが、論理立てて考えてみれば企業の内部留保の積み上げがどこに源泉を持っているのかという議論を捨象して「けしからん」という話になっているとしか思えない。むしろ、日本企業が国内製造拠点の競争力低下を懸念して積極的にM&Aしたり、現地で工場を建てて、円高に対抗し、利益を獲得してたというのは極めて合理的な判断ではないだろうか。企業で働いて給料を得ている人にとっては、「そんなことどうでもいい、儲かっているなら給料あげてくれ」というのが正直なところなんだろうが、結局のところ、日本の製造拠点の競争力が回復しない限り無理だろう。国会論戦でも「円安は一部の輸出大企業を利するばかりで大多数の庶民には関係ない」と知性のかけらもない発言をする議員がいるが、日銀統計を見てみなさい。過去8年間で日本の対外直接投資は72兆円も増加している。これがいかにものすごい数字かわかっていない。むしろ、過去の円高が企業をそう駆り立てているわけで、円安のせいにするのは間違っている。少し安直な言い回しだが、国内製造業の空洞化で日本の貿易構造に大きな変化が起きている事を直視して政策を決定してもらいたい。



 福島第一原発の事故から日本の貿易赤字が定着してしまっていることは新聞をみるまでもなく理解できるが、不安の種は原油・LNG輸入の増加だけではない。



 財務省の貿易統計から作成してみたが、確かに燃料輸入は大きく増加しているのが分かるが、一方で不気味に増えている項目がある。一つは医薬品だ。過去10年で3倍になっている。貿易額としてはまだ目立たないが、高齢化の影響とスルーしてはいけない。日本の知財開発力が弱いからこそ、医薬品の輸入が増加していると解釈するべきた。確かに国際的な製薬企業と比較すると日本の製薬メーカーは小粒だが、こういった知能集約型で外貨を稼ぐ国にするべきだ。もう一つきになるのが電気製品の輸入動向だ。



 これを見ると危機感高まるんだが、日本のお家芸ともいわれた電気製品の貿易収支はかなり縮小している。このままいくと将来赤字になるのではと思えてくる。電気製品のサブセクターに通信機という項目があるのだが、これが爆発的に上昇中だ。これはなにかというとアップルの「アイフォーン」とかサムスンの「ギャラクシー」とかが入る。この通信機セクターの輸入額の急増は大いなる皮肉と私の目に映る。先ほどの「企業は内部留保を溜め込んで、従業員に還元もしないでけしからん」式の議論だが、けしからんと言っている人たちが競って「アイフォーン」や「ギャラクシー」を購入しているわけだ。パナソニックやソニーではなく。別に国産至上主義を掲げるつもりはないが、外国製品大好きだからバンバン買うけど、国内製品はダサくて買わない。でも給料は上がるべき。と言っているようにも聞こえてしまう。日本企業の怠慢があるのかもしれない。でも、消費者のアップル信仰はなんか行き過ぎているような気もする。(それだけアップルのマーケティング力が優れている証拠かもしれない。)



 この問題に処方箋があるとすれば、円安と時間だ。円はピークと比較して5割以上減価している。今年とか、来年に状況は変化しないが、円安傾向が続く、少なくとも現在の為替レートが安定的に長期間維持できるもしくは維持される見通しが立つとき、企業は必ず行動を起こす。それは日本企業が過去10年以上にわたって行った膨大な対外直接投資の逆の現象。すなわち、国内への回帰が始まる。しかし、それは着実だが、テンポは非常にゆっくりしたものとなるだろう。10年以上にわたって続いてきたトレンドを逆転するわけだから、同じようなタイムフレームで考慮する必要があるだろう。

 こんなことを言うと怒られるかもしれないが、格差問題の一部は自分自身で作り出しているかもしれないと思う時がある。街中でこんな会話を聴くかもしれないと想像してしまう。

 「国内企業は内部留保を溜め込んでいる。」
 「そうだ、そうだ」
 「労働者に還元していない」
 「そうだ、そうだ」
 「アベノミクスは失敗している」
 「そうだ、そうだ」
 「企業も政府もけしからん」
 「そうだ、そうだ」
 「ところで、今度の新型アイフォーンってどうよ」
 「超クールだよ、発売日には徹夜でならぶよ」
 「だよねー」
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サンタンデールプライベートバンキング -カードのアクティベーション-

2015年02月16日 | グローバル投資


 Santander Private Banking(旧アビーインターナショナル)のカードの更新がまた例によって来た。口座作ったときはこれでオフショア口座ができて日本が崩壊しても何とかなるかもなんていう妄想で満足していたが、セキュリティのせいなのか、結構めんどい。カードの有効期限が2年なんですぐに新しいカードが送られてくる。しかも、日本の銀行と違ってカードは受け取っただけではだめで「アクティベーション」というプロセスが必要になってくる。これは以前にブログにも書いたのでそれを参照してください。

 アクティベーション自体はそれほど難しいことはないのだが、いちいち国際電話をかけなくてはならない。英国人だから、わかりにくい英語ではないのだが、たまにアクセントが強い人だったりするとこれがさらに面倒になる。普通のクイーンズイングリッシュだったらいいのだが、スコットランドアクセントだったりするとこれがよくわからない。(実際、強いスコットランドなまりは英国人でもわからないという話だ。) オフショア口座ではないが、香港にHSBCの口座もあるし、それで十分なのだが、今となってはなんでアカウントオープンしたんだろうと自分で思ってしまう。まだ死ぬ年でもないので、それほど考える必要はないのだが、相続で海外口座があるとかなり面倒らしい。でも、自分は関係ないし。(その時は自分は死んでるし) HSBCの口座と違ってほとんど利用していないし、解約しておくか。少し迷う。

 因みにアクティベーションの時にはこんなやり取りがあった。(英語です)

オペレータ 「サンタンデールプライベートバンキングです。何か御用でしょうか」
私     「新しいカードを受け取ったのでアクティベーションをお願いします。」
オペレータ 「わかりました。しばらくお待ちください。カード番号をどうぞ」
私     「カード番号は ****-****-****です。名前は *** ****です。綴りは******です。」
オペレータ 「生年月日をお願いします。」

(アクティベーションの際にはセキュリティ対策として事前に登録しておいた個人情報を確認する。必ずしも生年月日をきくわけでなく、生まれた場所とか他の質問をする場合があり、それはオペレータ次第)

私     「** ** **です。」
オペレータ 「ありがとうございます。テレホンバンキングパスのコードの3番目と7番目を教えてください」

(事前に登録してあるテレホンバンキングパスはインターネットバンキング用のパスワードと異なっているので間違えやすい。前回はテレホンバンキングパスを忘れて、少しトラぶった。)

私     「3番目は*、7番目は*です。」
オペレータ 「ありがとうございます。受け取ったカードはreplacement cardですか」
私     「いえ、renewal cardです。」

(Replacement Cardとはつまり紛失などで新しく受け取ったという意味、私の場合は紛失でなく、期限が切れて新しいカードが来たことからRenewal Cardと答えた。Replacementだと、新しいパワードやPINを設定しなくてはならないのでオペレータが聞いてきたと考えられる)

オペレータ 「わかりました。受け取ったカードのstart dateを教えてください」
私     「....... あっ、March 15です」
オペレータ 「新しいカードは3月からご使用ください。それまでは古いカードが使用できます。継続カードですのでパスワード、PINともに従来のものをご使用ください。」

(オペレータがStart Dateを聞いてきた時は一瞬理由が分からなかったが、そういうことだった。海外とのやり取りではこういう、判断に困る質問で一瞬フリーズしてしまうことがよくある。)

私     「わかりました。ありがとう」
オペレータ 「ありがとうございました。」

 何年かに一度は海外投資ブームがやってきて、中には現地まで行って口座をオープンする人がいる。私は香港もサンタンデールの口座もすべてメールでやり取りして開設した。よくわからないのはわざわざ現地に行って、少額のお金を入れたり、ほとんど意味のないことをする人たちがいる。飛行機代のほうが高いのに。それとこれは私も反省するのだが、使うつもりがないのに開設する場合。ほんと勿体ない。一番もったいないと思うのは、代理人を雇って口座開設する人。お金払うだけ無駄。わからないのならやらないほうがいい。やっても多分利用しないのは確実。

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財産債務調書制度の新設

2015年02月07日 | 金融市場
 確定申告の季節がやってきて、税理士を雇っていないし、雇う気もない私にとっては申告作業に時間を取られる季節だ。株式などのの金融資産所得が中心だが、一応実物不動産もやっているし、とりもなおさず海外にある証券口座からの所得は自分で計算しなくてはならない。税理士はドメな人が多いのでこの辺はわからないだろうし、雇うだけお金が無駄になるので税理士は雇っていない。外国証券口座からの所得は配当所得がメインであまり売買していないので所得の把握という点ではそれほどの苦労はないのだが、外国税額控除の計算のために配当の支払い調書の収集(法第95項に規定する財務省例で定める書類に該当)と外国源泉税の計算が面倒だ。一番面倒なのは売買が発生した時の損益の把握で、どういうわけか外国の証券会社のステートメントには簿価が載っていない。時価主義というのはわかるけど、税務申告するときには簿価は必要だろうにと思うのだが、この辺が不思議なところだ。だから海外口座ではなるべく売買しないでバイアンドホールドできる銘柄に絞っている。

 税制改正で国外財産調書が創設され、海外に資産を持つ投資家は提出する義務を負った。厳密にいえば昨年1月1日以降の確定申告だが、周知期間として1年が設定されている。つまり今年の確定申告はマストであるということだ。昨年の確定申告では様子見で出さなかったという人が多かったという話が雑誌に載っていた。何を様子見しているのかはよくわからないが、おそらく申告書を提出したら税務署がやってくるのではと恐れている人が大半だろう。私の場合は昨年の確定申告時に提出済みだ。別に悪いことしているわけではないので来るなら来いという感じだったが、来なかった。(別件の大したことない用事で税務署が来たが)



 上記に書いてある通り、調書を提出せずに国外財産からの所得漏れが発覚すれば加算税が課されることになる。加えて不提出なら刑事罰もあるというかなり厳しい処置だ。こんな制度はなくしてもらいたいが、要するに海外での所得を申告してない人が多いという事実がこの制度を生んだということに他ならない。税務調査が恐ろしいという人は結構いるかもしれないが、私は何回も税務調査を受けてきたが(税務署に来てくれというケースも自宅に税務署員が来たこともある)、有用なアドバイスを一つ。ちゃんと申告していれば全然怖くありません。私の場合は計算間違いとか、税法解釈の違いを理解してなかったケースがほとんどで、税金をごっそり持っていかれたことはない。むしろ、この金額で税務署員がわざわざ自宅までやってくるなんてという感想すら持った。

 ただし、今回、自民党、公明党の税制調査会が発表した平成27年度税制改正大綱は問題ありと考えている。タイトルにも書いたが従来の財産債務明細書を「財産債務調書」に格上げするという内容だ。これは所得2000万円以上または資産3億円以上の個人に調書の提出を義務付けるという内容だ。税をより補足しやすくするという趣旨だとは思うが、国外財産調書とは別に国内外すべての財産の申告を義務付けるものだ。要するに相続税対策が主眼だと思うが、めんどくさいことはやめてほしいというのが個人的な感想だ。因みに大綱の中身は以下の通りだ。



 私個人の不満は国内は特定口座があるじゃないか、預貯金にしても国税のシステムであるKSKで把握できるだろうに。どう考えても国税の怠慢にしか思えない。まあ、逆にいえば相続税などで巧妙かつ悪質な脱税もしはく租税回避行動が目立つということかもしれない。税金は少ないほうがいいというのは心情的にも理解できるけど、脱税事件のニュースを聞くたびに、「そんなに税金はらいたくなかったの?」という気持ちも一方ではある。富裕層増税の国会議論なんかはいつも不愉快だけど、ルールに則って税金おさめてればこんな話にはならないんじゃないかといつも思う。ピケティの「21世紀の資本」が巷で人気になっており、「そうだ、そうだ富裕層にはもっと課税しろ」なんていうのがメディアでの正論になりつつある。でも、日本の課税システムはかなり公平だし、消費税の逆進性云々よりも所得税・地方税の累進性によって富の分配機能は他の国よりもかなり正常に機能していると思うんだけど。



 こんな図を出して日本には格差がない。格差問題なるものは存在しないと主張するつもりは全くない。しかし、日本は「旧ソ連や中国共産党すらなしえなかった偉大な社会主義国家」の例えもあるように分配制度は機能している。しかもかなりうまくいっている。個々の事例を取り上げてこんなにひどいというのは簡単だし、メディア受けもする。でもそれはマクロ的に正しいわけではない。上の表は平成11年からのジニ係数の変化だが、グロスの数字。つまり名目数値は確かに上昇しているが、富の再分配により格差はちゃんと埋められている。第一、国税が把握している給与所得者数4645万人の内、4割に当たる1901万人は所得税率は10%以下だし、納税者の53%に当たる2711万人は給与所得者が収める所得税の11.4%を負担し、所得上位8.3%に当たる385万人が税収の61%を負担している。(国税庁 平成25年民間給与実態調査)
 国会なんかでの議論(特に共産党とか)で、「格差是正どころが富裕層を優遇している。とんでもない政策だ」とか聞くと、ちゃんと数字見てから言えと突っ込みたくなる。格差問題はある。でも、メディア受けしそうな論調の本質は格差問題ではなく、「お前の財布には俺より10万円多く入っている。だからずるい」と言われているような気がしてならない。

 話がかなり脱線してしまった。財産債務調書の話だが、ひどいとは思うが、義務化されたときにどう対応するかが問題だ。実は従来からある「財産債務明細書」は提出義務があるが罰則規定がないのが問題とされていた。今回の大綱では義務化の実施と申告漏れに対する加算税の導入があるが、国外財産調書とは違い、不提出による罰則規定は盛り込まれなかった。個人的には国内資産の補足は海外に比較すればかなりできるはずなので納税者の負担を増やすこの制度の導入は反対だ。どうも国税の怠慢としか思えない。国内預金は仮名口座は禁止されているわけだし、不動産は固定資産台帳がある。有価証券は特定口座があり、国税にはKSKがある。いったいなんで導入するのか理解に苦しむ。どう考えても国税が楽しようと考えた制度にしか思えない。ちゃんと申告していれば加算税は課されないわけだから、提出なんかしないほうがいいかとも考えるが...もう少し考えてみる。

 
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東証REIT指数先物を利用してみる。

2015年02月06日 | 国内上場REIT
 REIT市場は昨年25%上昇し、過去3年連続で二桁の上昇となっており、過去3年でみると127%のパフォーマンスとなっている。同じ期間でみるとTOPIXは93%なのでかなりの高パフォーマンスだ。ECBの量的緩和や米国の景気回復期待でさらに上昇という声もあるが、正直、ここから上がるのはバブルが発生する必要があるのではないかと個人的に思っている。無論、現在の長期金利の水準とREITの配当金利回りのスプレッドを考慮すれば十分アドバンテージがあるのだが、現在の平均分配金利回り3%が、2.5%、2.0%とどんどん低下するという感じが正直しない。過去3年は特に何も考えずにREIT中心のポートフォリオを組んでいたが、昨年末にパフォーマンスを計測してみるとだんだん怖くなってきた。まあ、時価が倍になったんだからこれをほんとに維持できるのか心配になってくるのは当然だろう。株もほぼ倍になったわけだが、REITと株の違いはEPS成長力のポテンシャルが全然違う。なぜか日本のREITは株よりもボラティリティが高い。普通、安定的に配当を出しているわけだからもっとボラティリティが小さくてもいいんじゃないかと思うのだが、日本のREITは株よりもボラタイルな不思議な資産だ。と言っても保有するREITを全部売却する勇気もなくどうしようかと思っていたが、REITの先物があるというのでヘッジしようと思った。

 ここでヘッジしてREIT市場が爆騰すれば先物で損失がでることになるのだが、現在のポートフォリオの時価を維持するのを最優先にすることにした。で、取引をしようと思って板を見るとスカスカではないか。実際の画面はこれ。



REITが投資手段として認知されてそこそこの市場として育っているわけだが、それでもREIT市場の時価総額は10兆5,610億円(2014年1月30日現在)でTOPIXと比較してもかなり小さい。仕方がない部分はあるにしてもそれにしても先物市場の流動性はかなり小さくヘッジ機能を十分に提供しているとはいいがたい。たとえば今日のREIT先物期近(3月限)の出来高は21枚しかない。仮に10枚売ったら、マーケットインパクトで自分の首を絞めかねない。
しかも10枚といっても日経平均先物1枚分相当だ。

 文句を言っても何も変わらないのでここ1週間少しずつ先物でヘッジした。それでもポートフォリオの1割もヘッジできてない。まあ、フルヘッジするつもりはないんだけど。REITが上昇すれば先物は損するが現物で儲かるので、トータルではやはりREIT市場が上がるほうが得だ。問題なのは流動性があまりないために先物市場が現物と比較してディスカウントされている。もう少し流動性があればこんなことはないのだろうが、現時点では仕方がない。更なるREIT市場の成長を望むしかないだろう。
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