Bankの秘密基地

個人日記兼つれづれなるままに

投資銘柄研究 長谷工(1808)

2005年01月25日 | 銘柄研究
長谷工の投資格付けを買いとし、目標株価を400円とおく。

(ビジネスファンダメンタルズ)

長谷工は従来のビジネスモデルを転換し、キャッシュフローの安定性と受注状況の好転、さらにはバランスシートの改善により、スペキュラティブな銘柄から普通の銘柄になったことでバリュエーションの向上、投資家の再認識を得ることにより株価の上昇があると判断する。完成工事粗利率は今期11.3%まで上昇したのは徹底的な選別受注と、従来のオンバランスの受注から土地の取得、ファイナンス、のアレンジから特命受注による建設工事利益により、リスクを徹底的に回避しながらかつマージンの確保を狙うというビジネスモデルの転換に成功している。また、2005年問題などと言われる市況の悪化リスクはむしろ、統計的に確認できる範囲でほとんどないことから実際の業績の発表と新たな資本政策の発表により株価は大きくその位置をかえることになるだろう。

長谷工の強みはマンションディベロッパーの中でも大型案件に強く、400戸以上の大型セグメントにおけるマーケットシェアが60%以上あり、またこの大型セグメントにおいての契約率は95%と他のセグメントにおける契約率よりも高いのが特徴である。現在言われている売れ残り案件も50戸以下の小型マンションでの売れ残りが多くなっているが、同社は中小型よりも大型に強いことからそのマイナスの影響をあまり受けていない。

長谷工はバブル期の投資が祟りバランスシートの悪化がみられ、1998年には1兆円近い有利子負債が残った。その後2度の債務免除により有利子負債は5000億円を切り、それと同時にビジネスモデルの大転換が行われた。マンションディベロッパーは通常、土地の仕入れ開発、販売という形を取るが、現在の長谷工はディーラー、ブローカーに対する土地の仕入れの斡旋、ファイナンスアレンジという形の開発アウトソーシングに特化することにより、バラスシートを膨らませずにフィービジネスにフォーカスすることが可能となった。また、長谷工の強みは土地の仕入れだが、土地の仕入れは土地情報を最も豊富に持つ銀行案件に強いという特色がある。何故、銀行案件に強いかというと、土地の仕入れの段階で3%程度のフィーを取ることができるが、長谷工はそのフィーを銀行にキックバックすることで銀行から優先的な情報アクセスが可能となっていることである。一方、ディーラー、ブローカーにとっては長谷工から優良な土地の仕入れ情報、アレンジメントが期待できることから優先的に長谷工に工事発注するインセンティブが存在する。

以上の優位性から長谷工は大型案件の市場シェアが65%に達している。また大型案件の契約率は中小案件よりも高いことから売れ残りリスクが低いことから安定的なマージンが期待できる。現在、株価は200円台と低迷しているがこれは昨年発行した転換社債によるダイリューションと債務免除の過程で発生した優先株による潜在株の存在がしてきされる。しかしながら、資本金が900億円、資本準備金が150億円あり、財務的な問題はかなり低下しており、今後は優先株の買い戻しによるバリュエーションの向上が期待される。年間のキャッシュフローは450億円程度あり、今後もこの調子で財務の好転が期待され、現在の株価水準は訂正される可能性が高い。
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固定資産税とは何か(2)

2005年01月09日 | 不動産
 ところで、先ほどのケースは極端かもしれないが、課税台帳価格と実際の価格の乖離は当然ある。文句をつけることはできないかといえば、答えはイエスであり、ノーである。何故、イエスかといえば、法律では不服申し立てを行うことができる書かれており、実際に不服を申し立てる人は多い。何故、ノーなのかといえばほとんど行政側から却下されており、裁判にいたったケースでは訴訟を起こした者ほとんど全員が敗訴している。以下は裁判所判例からの引用。(H 8. 4.22 福島地裁 平成03(行ウ)11 固定資産税審査決定取消請求事件)

地方税法(以下「法」という。)は、固定資産の課税標準となる固定資産の価格は、適正な時価によるものとして(三四一条五号)、これを市町村長が決定して(四一〇条)固定資産課税台帳に登録し(四一一条)、関係者の縦覧に供しなければならない(四一五条)と定めている。その結果、固定資産の納税者が当該登録価格に不服のあるときには、各市町村に設置された固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができるところ(四三二条)、固定資産評価審査委員会は、市町村の住民で市町村税の納税義務がある者のうちから、議会の同意を得て市町村長が選任した委員によって構成されており(四二三条)、審査の申出があったときには直ちにその必要と認める調査、口頭審理その他事実審理を行い、その申出を受けた日から三〇日以内に審査の決定をしなければならず(四三三条一項)、審査申出人の申請があったときは、特別な事情がある場合を除き、口頭審理の手続によることと定められている(同条二項)。

 では裁判所の判断はといえば、残念ながらほぼ100%行政側の意見を支持している。地方税法では「当該固定資産の価格により難いとき」は課税台帳の価格を修正することができると書かれているが、ほとんどの訴訟は門前払いになっている。以下に裁判所の見解を引用する。(H13. 7.17 千葉地裁 平成12(行ウ)45 不動産取得税課税処分取消請求事件)


法73条の21第1項ただし書にいう「当該固定資産の価格により難いとき」の意義等について
 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産について法が当該登録価格によって不動産取得税の課税標準となるべき価格とするのを原則と定めた趣旨は、固定資産税の課税対象となる土地及び家屋の範囲は、不動産取得税の課税対象となる不動産とほぼ同一であり(法73条1号ないし3号、341条2号、3号)、その価格も同じく適正な時価をいうものとされていること(法73条5号、341条5号)などから、両税における不動産の評価の統一と徴税事務の簡素化を図ったものと解することができる。
 すなわち、固定資産税の課税標準は、賦課期日における固定資産の価格で、固定資産課税台帳に登録されたものとされているが(法349条)、法は、固定資産課税台帳に登録される固定資産の価格が適正な時価であるようにするため、市町村長等が行う固定資産の評価及び価格の決定は総務大臣により定められた評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続(固定資産評価基準)に基づいて行うものとし(法388条以下参照)、決定された価格について固定資産税の納税者に不服申立ての機会を与える(法432条以下参照)などの規定を設けている。そして、法は、固定資産のうち不動産については、税負担の安定と行政事務の簡素化を図る見地から、原則として3年ごとにその評価を行い、価格を決定した上、固定資産課税台帳にその価格を登録し、第2年度及び第3年度については、原則として、基準年度の登録価格をもってその登録価格とみなすこととしつつ、ただ、第2年度、第3年度において、「地目の変換、家屋の改築又は損壊その他これらに類する特別の事情」等が生じたため、基準年度ないし第2年度の価格によることが不適当、不均衡となる場合には、これによらずに当該不動産に類似する不動産の基準年度の価格に比準ずる価格によることとしている(法349条2項、3項参照)。
 このようにして評価、決定され、固定資産課税台帳に登録された価格は、基準年度の固定資産税の賦課期日における不動産の時価を示すものというべきであるが、不動産取得税の課税上、不動産の評価の統一性を確保し、また、極めて多数にのぼる不動産の取引等ごとに当該不動産の価格を評価,決定することの煩雑さを回避し、簡易で効率的な徴税を図るという見地からすれば、この登録価格を当該不動産の取得時の時価として取り扱うことは課税技術的に合理性があり、それによって税負担の公平を損なうなどの支障が生ずることは通常は考えられないことから、法は、都道府県知事が不動産取得税の課税標準である不動産の価格を決定するについては、固定資産課税台帳に当該不動産の価格が登録されている場合には、原則として、同登録価格によりこれを決定することとしたものと解される。
 このような法の趣旨及び固定資産税における不動産の評価及び価格決定の仕組みに照らすと、法73条の21第1項ただし書にいう「当該固定資産の価格により難いとき」とは、当該不動産の評価が行われ、その価格が決定された年度の固定資産税の賦課期日後に、当該不動産につき、増築、改築、損壊、地目の変換その他特別な事情が生じ、その結果、同登録価格が当該不動産の適正な時価を示しているものとみて、同登録価格をもとに不動産取得税の課税標準額を決定することが公平な税負担という観点から見て看過できない程度に不合理と認められる事態に至った場合をいうと解するのが相当である。


さらに駄目押しで引用(H10. 1.27 東京地裁 平成08(行ウ)263 不動産取得税賦課処分取消請求事件



第三 当裁判所の判断
一 法七三条の二一第一項ただし書にいう「当該固定資産の価格により難いとき」の意義等について
1 前記第二の一1記載のとおり、法が、固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については、原則として、当該価格により当該不動産の取得に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとした趣旨は、固定資産税の課税対象となる土地及び家屋の範囲は、発電所及び変電所が家屋に含まれることを除けば、不動産取得税の課税対象となる不動産と同一であり(法七三条一号ないし三号、三四一条二号、三号)、その価格も同じく適正な時価をいうものとされていること(法七三条五号、三四一条五号)などから、両税における不動産の評価の統一と徴税事務の簡素化を図ったものと解される。
2 すなわち、固定資産税の課税標準は、賦課期日における固定資産の価格で、固定資産課税台帳に登録されたものとされているが(法三四九条)、法は、固定資産課税台帳に登録される固定資産の価格が適正な時価であるようにするため、市町村長等が行う固定資産の評価及び価格の決定は自治大臣により定められた評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続(固定資産評価基準)に基づいて行うものとし(法三八八条以下参照)、決定された価格については固定資産税の納税者に不服申立ての機会を与える(法四三二条以下参照)などの規定を設け、さらに、このようにして固定資産課税台帳に登録された基準年度の価格についても、第二年度、第三年度において、「地目の変換、家屋の改築又は損壊その他これらに類する特別の事情」等が生じたため、基準年度ないし第二年度の価格によることが不適当、不均衡となる場合には、これによらずに当該不動産に類似する不動産の基準年度の価格に比準する価格によることとする(法三四九条二項、三項参照)などの規定を設けている。
 そして、右のようにして評価、決定され、固定資産課税台帳に登録された価格は、基準年度の固定資産税の賦課期日における不動産の時価を示すものというべきであるが、不動産取得税の課税上、不動産の評価の統一性を確保し、また、極めて多数に上る不動産の取引等ごとに当該不動産の価格を評価、決定することの煩雑さを回避し、簡易で効率的な徴税を図るという見地からすれば、右登録価格を当該不動産の取得時の時価として取り扱うことは課税技術的に合理性があり、それによって税負担の公平を損なうなどの支障が生ずることは通常は考えられないことから、法は、都道府県知事が不動産取得税の課税標準である不動産の価格を決定するについては、固定資産課税台帳に当該不動産の価格が登録されている場合には、原則として、右登録価格によりこれを決定するものとしているものと解される。
3 右の法の趣旨に照らすと、法七三条の二一第一項ただし書にいう「当該固定資産の価格により難いとき」とは、当該不動産につき、固定資産税の賦課期日後に増築、改築、損壊、地目の変換その他特別な事情が生じ、その結果、右登録価格が当該不動産の適正な時価を示しているものとみて、右登録価格を不動産取得税の課税標準とすることが公平な税負担という観点からみて看過できない程度に不合理と認められる事態に至った場合をいうものと解するのが相当である(最高裁平成四年(行ツ)第一九六号平成六年四月二一日第一小法廷判決・判例時報一四九九号五九頁参照)。
4 法七三条の二一第一項ただし書の趣旨が前示のとおりであるとすると、右ただし書にいう「特別の事情」には、当該不動産自体に物理的変動があった場合はもちろん、都市的諸施設の整備など当該不動産の価格に直接影響を与えるような周辺環境の著しい変動があった場合が含まれるほか、賦課期日後に生じた地価の著しい下落といった事情も含まれ得るものと解されるが、地価の下落により当該不動産の取得時の時価が登録価格を下回ったというだけでは、右ただし書にいう「当該固定資産の価格により難いとき」に該当するということはできず(最高裁昭和四六年(行ツ)第九号昭和五一年三月二六日第二小法廷判決・判例時報八一二号四八頁参照)、賦課期日後の地価の下落により、当該不動産の取得時における時価とその登録価格に乖離が生じ、それが公平な税負担の観点からみて看過できない程度に達した場合に初めて、右ただし書にいう「当該固定資産の価格により難いとき」に該当することになるものというべきである。
5 また、前示のとおり、法七三条の二一第一項ただし書にいう「特別の事情」は、固定資産税の賦課期日後に生じた事由に限られるべきであるが、右にいう「固定資産税の賦課期日」とは、当該不動産の評価が行われ、その価格が決定された年度の固定資産税の賦課期日をいうものと解するのが相当である。けだし、法によれば、固定資産のうち不動産については、税負担の安定と行政事務の簡素化を図るため、原則として、三年ごとにその評価を行い(法四〇九条)、価格を決定した上(法四一〇条)、固定資産課税台帳にその価格を登録するものとされ(法四一一条一項)、第二年度及び第三年度については、原則として、基準年度の登録価格をもってその登録価格とみなしているのであって(同条二項)、このような固定資産の評価及び価格決定の仕組みに照らせば、法七三条の二一第一項ただし書に該当する事態が生じたか否かについては、当該登録価格が決定された年度の固定資産税の賦課期日後の事由を考慮すべきものとするのが、最も合理的であると考えられるからである。
6 なお、これまで説示してきたところは、当該不動産に係る固定資産課税台帳の登録価格の決定自体に重大かつ明白な瑕疵がない場合を前提とするものである。後述するとおり、当該登録価格の決定自体に当初から重大かつ明白な瑕疵があり、これを無効とすべき場合には、法七三条の二一第一項ただし書の規定をまつまでもなく、当該登録価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定することは許されないものというべきであるが、当該登録価格が基準年度の固定資産税の賦課期日における当該不動産の適正な時価を上回っているというだけでは、直ちに当該登録価格の決定が無効となるものではないというべきである。


要するに駄目って事ですね。お上には逆らえないと。...それにしても裁判所の文章というのはなんでこう分かりにくいのかね。
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固定資産税とは何か(1)

2005年01月09日 | 不動産
 不動産を取得するとかかる税金としてまず挙げられるのは不動産取得税、固定資産税、都市計画税である。そのうち、不動産取得税は都道府県税となっていて、固定資産税、都市計画税は市町村税である。すなわち、取得した土地は取得時に都道府県にそして毎年、市町村に固定資産、都市計画両税を支払う形になっている。不動産を所有して初めて人は税の重さを知るといっても良いのではないだろうか。それらの税金に関してどうなっているのかを見てみよう。

(固定資産税)
固定資産税とは何か。一般の人はなんとなく理解していると思うが、はっきりその定義はと聞かれると答えに窮するだろう。なぞなぞではないので答えを言うとこうなる。

固定資産税は、固定資産(土地、家屋及び償却資産)の保有と市町村の行政サービスとの間に存在する受益関係に着目し、資産価値に応じて、毎年経常的に課税される物税であるというのが正解。要するに財産税であるという位置づけである。固定資産税と似たものに不動産取得税というのがある。不動産取得税は不動産を取得した時点で課税される一度きりの税だが、これもじつは財産税の一つで固定資産税と同じ正確を持っている。実際のところ、固定資産税、不動産取得税に対する行政訴訟が多いことは知られているが、結構多くの訴訟人が固定資産税を財産税、不動産取得税を不動産の流通税であると理解しているケースがあるが、裁判所の判例でも両者とも財産税という位置付けか定着している。また固定資産税はその歴史的背景をみると、昭和25年のシャウプ税制により、それ以前の地租、地租附加税、家屋税、船舶税等をとり込んで成立したものであるという事情が存在する。固定資産税収入の構成割合を資産別にみると、概ね土地40%、家屋41%、償却資産19%となっている(平成14年度)

 固定資産税を支払う義務のあるものは固定資産を所有するものであることは明白であるが、台帳課税主義といって毎年1月1日の固定資産台帳に載っている所有者に課税される。したがって、AさんがBさんから土地を1月2日に購入したとしても固定資産税を支払うのはBさんになる。不公平に聞こえるが、実際の売買では固定資産税を日割りしてAさんとBさんは売買価格を調整するのが一般的になっている。固定資産課税台帳には、納税義務者である所有者のほか、その課税標準である価格等についても登録されており(地方税法381)、 この固定資産課税台帳に登録された価格が税の基準になる。

ここで固定資産税の計算に触れておこう。とくにこの計算が訴訟の種になっている。なぜなら過去10年を見ると不動産の価格が下落し続けているからである。一般の人は売買価格で決められていると思うが、実は結構複雑で問題の種となっている。固定資産台帳に載っている価格は原則として「適正な時価」が載っていることになっている。この「適正な時価」というのが曲者で行政訴訟の一番のキーポイントである。厳密な定義は以下のとおりとなる。

「適正な時価」とは、正常な条件の下において成立する取引価格(独立当事者間の自由な取引において成立すべき価格)をいうものとされている。なんだ、やっぱり売買価格じゃないかと思うとそれは違う。「適正な時価」、すなわち、固定資産税の評価額の具体的な求め方については、総務大臣が告示した固定資産評価基準(昭和38年12月25日自治省告示第 158号)に定められているとなっていて、簡単にいえば市町村である一定のルールに従えばそれで良いですよという話である。

問題はこれから。土地及び家屋については、その課税標準である価格を原則として3年間据え置くことになっている。即ち、土地及び家屋 に対して課する固定資産税の課税標準は、一定の年度を基準として、基準年度においてはその年度の賦課期日現在における価格で固定資産課税台帳に登録されたものとし、基準年度の翌年度(第2年度)及び基準年度の翌々年度(第3年度)においては、原則として新たな評価を行わず、その基準年度の固定資産税の課税標準となった価格で固定資産課税台帳に登録されたものとする(地方税法 341Ⅵ~Ⅷ、349①~③)。

 つまり、基準年度から3年間は台帳の価格は変わらない。仮に3年前に3000万円で売買されていたとして、地価が下落して2年後に2000万で購入したとしよう。しかし、固定資産課税台帳には3000万円とかいてあるのでこれが基準となり、税額もそれを基礎数字として使用することになる。直近では平成15年に基準が変更になったので、平成18年まで価格は変わらない。

 固定資産税の税率は標準税率で1.4%となっている。この標準というのも曲者で、実は各市町村の裁量権があり、1.6%なんてのもある。でも、大したことないじゃないかとお思いの方。税金をなめてもらっては困ります。先ほど3000万円なら1.4%なら42万円。実際に2000万円で購入して、それを賃貸に回しているとしよう。6%で回ると言われて賃料が年間120万円。当然、全額キャッシュで買う人は少ないからレバレッジを効かせるとして元利返済後のネットキャッシュフローがいいとこ2.5%でしょう。そうすると手取り50万で42万取られたら、あなたはどうします。

あまり脅してもしょうがないので結論を言うと、新築住宅であれば税の軽減処置があります。一定の要件を満たす住宅に関しては、課税台帳の金額の6分の1まで軽減されます。従って、3000万円なら、500万円に低下して税金も7万円に下がることになる。問題の本質は固定資産の税額の大小と言うようりも、固定資産税の計算根拠とする課税台帳にのる価格に恣意性があるという点に尽きる。とりわけ、裁判で争われた大半のケースでは争点になっている。

 紙面も尽きたので次回に続きます。
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本国投資法(HIA)はドルを反転させるか

2005年01月08日 | グローバル投資
 為替マーケットは円高リスクの懸念が高く、どの経済雑誌でも急激な円高が予想されている状況であるが、一方でドルの反発が予想されるシナリオも存在している。既に、為替マーケットのプレーヤーの間では常識になっているが、本国投資法(Homeland Investment Act)がドル需給を反転させるのではないかとの見方がでている。本国投資法はその正式名称を「雇用創出法」に含まれる内国投資促進条項といい、略称で頭文字をとってHIAと呼ばれている。所謂、米国における税制改正の一環で成立した法律で2004年10月に大統領が署名して正式に発効した。

その内容は簡単にいえば、本来、米国企業が海外子会社の利益、配当金、余剰資金等を米国内に送還する場合、国内の法人所得税率と同じ最大35%の税率で課税されるが、2005年の一年間限りの措置として税率が5.25%に引き下げられるという内容である。従って、海外に蓄積されている企業の資金を米国本土に送金させる優遇税制である。当然、資金を米国本土に送金するということは外国通貨建てであれば、ドルに交換するわけでドル需要が発生する。但し、これはもともと米ドルの為替レートを上げようという意図でなく、海外に蓄積した資金を米国に呼び込むことで国内の投資を促進させるのが目的である。また送金された資金は国内での再投資が義務付けられている為、無条件に税を免除しようという法案でもない。

問題はそのドル需要がどの程度あるかという点だが、ある経済しには海外にある資金約6000億ドル(60兆円)の大部分がドルに交換されるようなことを書いていたが、実際にはそうならない可能性が高い。理由は2つあって、まず現地の子会社がためている資金は必ずしも余剰資金ではなく、現地でのオペレーションの為にファンディングされている可能性のある、いわゆる運転資金である場合が高い。第二に余剰資金があるにしてもそれらはドル建てもしくは米国債への投資という形で既にドル建てになっており、巨大なドルへの交換需要は発生しないと見られている。但し、現地通貨でアキュムレートされている資金は当然あるだろう。例えば、シティバンクのような日本で100年以上オペレーションをしている会社は現地化が進んで、余剰資金が円である可能性はある。シティに限らず、J&J、IBM、P&G、デルなど日本で現地化している米国企業は多くあり、当然、日本以外の世界各国で活動している米国企業は多い。

金額は全くの推測にならざるを得ないが米上下両院合同税制委員会の予測では1350億ドル(13.5兆円)が送金されるだろうと結論している。勿論、6000億ドルというシナリオもないではないが、そのうちどの程度がドル需要となるかである。ある予測では270億ドルから1200億ドルの間とかなり開いているが、最小予想では日本政府が行った介入額の3日分くらいにしかならない。仮に1200億ドルとしてもたいした金額とはいえない。2004年に日本が介入したのは30兆円近い数字であるから、それほど巨額というわけではない。但し、ここで注意すべきなのはヘッジファンドなどが材料視したばあい、トレンドが一気に変わる可能性があり、今年のドル相場は必ずしもドル安一辺倒というわけではなそうだ。どちらにせよ為替相場から目が離せない。


ちょっと詳しいHIAの内容。但し、英語。

Homeland Investment Act (HIA)/Invest in the United States Act (IUSA)

STATUS
On October 22, 2004, President Bush signed the American Jobs Creation Act of 2004. The Homeland Investment Act/Invest in the USA Act provisions were included in this broader international tax reform bill.

BACKGROUND
The HIA would allow companies to repatriate offshore cash balances at a reduced tax rate. The proposal would temporarily reduce the current 35 percent rate and replace it with a 5.25 percent rate on dividends in excess of normal distributions from foreign subsidiaries. That is, if an American company’s foreign subsidiary turns a profit and wants to return the profit to the American company as a dividend, the dividend is taxed at 35 percent minus any taxes paid abroad. Those electing to take advantage of the lower rate would forfeit their ability to use the foreign tax credit on the funds subject to the 5.25 percent rate. Companies would have the option to take advantage of the HIA or continue operating under the existing system.
Current law requires U.S. companies to pay a tax of up to 35 percent on their foreign subsidiaries’ earnings when they bring those earnings back to the United States. Proponents of the HIA argue that because of the high tax rate, U.S. companies have been accumulating cash balances in their foreign subsidiaries. Those funds remain offshore, and are not invested in the United States. Enactment of this proposal would create an incentive to repatriate cash balances, and provide a stimulus to the U.S. economy.

For years, American companies have kept much of their offshore earningsoffshore. That’s because the US tax code (which taxes US MNCs on worldwide income) creates a disincentive for the repatriation of offshore income; it subjects those earnings to up to 35 percent in taxes when they are either paid back in dividends to the US parent, or else invested in US property. As a result, many American companies have accumulated large pools of cash in their overseas’ operations, and have been reluctant to bring that cash back home.

That's going to change.

A bill introduced inmid-February in the Housethe product of the efforts of a coalition of 20 or so US MNCs, among them Apple, Eli Lilly, Intel and HP would give US MNCs a limited period of time during which they can bring those “trapped” offshore profits back to the US, without the usual tax obstacles. On a macro level, the bill is estimated to encourage the inflow of upward of $135 billion in cash into the US, providing a much-needed “shot-in-the-arm” to the anemic US economy. On a micro level, it would resolve a tax/treasury issue that’s been haunting US companies for years: How to bring back to the US cash that’s accumulated in other countries. That issue has only gotten more poignant lately, against the backdrop of weak US earnings and growing investor/analyst focus on cash and liquidity.

How the bill would work.

The Homeland Investment Act of 2003 (H.R. 767) was introduced in the House on February 13 by Congressman Phil English. According to accounting firm PricewaterhouseCoopers, which is coordinating the lobbying efforts, similar legislation will be soon introduced in the Senate as well, by Senators John Ensign and Gordon Smith. “This legislation removes the disincentive for foreign subsidiaries to repatriate their income back into the American economy,” PwC explains. In essence, the bill reduces the tax rate on foreign subsidiary income (for only one year) from up to 35 percent to only 5.25 percent. “The proposed bill would impose a 5.25 percent tax, for a period of one year, on dividends received from controlled foreign corporations (CFCs) in excess of the ‘normal’ level of dividends received from such CFCs,” according to Pwc.

What’s normal? The typical amount of dividends would be calculated as the average of foreign dividends received over three out of the past five-year period. Importantly, the proposal would apply to foreign income that is not otherwise subject to tax, unless distributed to a US shareholder (or invested in US property, i.e., a “deemed dividend”).

US shareholders would also permanently surrender the right to claim foreign tax credits (FTCs) for 85 percent of direct and indirect foreign income taxes associated with dividends subject to the 5.25-percent tax. In addition, the US corporate parent would be required to exclude 85 percent of income subject to the 5.25-percent tax from its calculation of the foreign tax credit limitation.

The impact is forecast to be dramatic. According to the Joint Committee on Taxation (JCT), the effective tax rate will likely trigger the inflow of upward of $135 billion into the American economy, as well as a first-year net gain of over $4 billion to the US Treasury, and at a cost of less than $4 billion over 10 years. (These estimates are over a year old and are being revisited; they may end up even higher.)

The cash, which most experts believe would otherwise never make its way into the US, would provide an immediate stimulus to the US economy, allowing companies to:
Invest in equipment, facilities and R&D;
Invest in pension plans depleted by the decline in the stock market;
Reduce domestic debt thereby strengthening corporate balance sheets and shareholder value;
Increase shareholder dividends, which could productively be redeployed; and
Raise equity market valuations by increasing funds available for stock buybacks.

“It’s the answer to my prayers,” commented the treasurer of one US MNC, upon hearing of the proposal, and echoing the sentiments of many US-based treasurers.

Timing and effective date

The proposal would be effective on the first taxable year of the electing taxpayer ending 120 days after the date of the enactment of this Act. (This could happen as soon as April). The Homeland Investment Act would offer an all-or-nothing election to taxpayers, i.e., US consolidated groups electing the proposal would be required to elect for all dividends received from all CFCs in which any member of the consolidated group is a 10 percent shareholder.
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不動産所得と確定申告、その経済的な効果(2)

2005年01月06日 | 不動産
 さて前回からの議論の続きであるが、新築マンションを購入し、予定通り確定申告により、56万円の税金を安くすることに成功したわけであるが、問題は次年度に所得と税金がどうなるかという点である。計算の前提として、給与所得は前年と同じ、賃料も同水準としよう。まず不動産所得の計算をする。2年目の不動産所得の大きな違いは取得にかかる経費の違いである。既に取得している状態であるので、仲介業者に支払う手数料などは2年目には発生しない。不動産取得税などの租税公課も初年度限りである。そして変化するのは減価償却費である。
減価償却に関してはあまり詳しく述べなかったが、現在の税法では建物の減価償却は47年の定額法が原則である。しかし、税務署申告すれば建物の付属設備(電源設備、キッチン、浴室等)は定率法を適用できる。ほとんど税務かんする知識がない人は業者に言われるまま購入し、その後はほったらかしにされるケースが多い。また税務に関しても相談にのるといっている業者でも、定率法の適用に関して親切に教えてくれるものは少ないようだ。

 前回のケースを使って2年目の減価償却費を計算する。まず、償却の基礎となる対象資産額を計算する。

減価償却対象資産  3600万円x50%=1800万円(建物合計)
建物本体      1800万円x70%x0.9=1134万円
付属設備      1800万円x30%=540-(540x0.142)=463.3万円(初年度は540万円)

償却額は 定額法(47年)では0.022、定率法(15年)では0.142をかけます。

償却額 = 1134x0.022+463.3x0.142=90.7

不動産所得 = 234(賃料)-10(租税)-90.7(償却)-33(金利)-30(その他経費)= 70.3万

租税、償却が減少。経費も減少して2年目は70.3万円の黒字。とすると2年目の所得税を計算すると、所得税で446万、住民税で244万円となり、合計の租税負担は690万円となり、なんと初年度と比較して125万円の増加、購入前と比べても66万円の増加になってしまう。しかも、不動産からのキャッシュフローは年間31.5万円しかなく購入前と比較したネットのキャッシュフローは35万円の赤字である。1200万円投資して実質のリターンがマイナスになるのでは何のために資金を投じたのか分からなくなる。計算は示さないが、3年目の不動産所得は経費が変わらなければ70万円からさらに増える。これは付属設備の償却が定率法であるから、毎年費用が逓減する。

2年目を赤字にする方法はあることにはあるが、問題が多い。第一にはその他経費を多く計上することである。但し、税務署に否認されてしまっては元も子もない。もう一つは不動産を追加購入する。これによって経費が大幅に増加し、2年目の黒字も飛ぶ。かりに同じような物件を購入すれば、購入物件で120万円の赤字となるので最初の物件の黒字と合わせても50万円程度の赤字になる。但し、その後の3年目にまた黒字となる。3年目は2件とも黒字となるので利益が150万円を超える。税率50%(所得税、住民税)で考慮しても税の負担は70万円以上となる。不動産の実際のネットキャッシュフローは60万円なので10万の赤字。では、3件目といった感じで毎年赤字にするには毎年の不動産の購入が必要である。

中古不動産の記事でも指摘したが、結局、不動産投資を行いかつ借入をおこしながら、税金とキャッシュフローを改善するためには物件のリターンが一番重要である。中途半端なリターンではキャッシュフローがマイナスとなる。しかし、当初考えていた税負担減は1年程度で消えてしまう。このように考えるとやはりうまい話はそんなに転がっていないというのが結論であろう。投資家は不動産であろうと、株式であろうとリターンをベースに投資判断をするべきであるというなんでもない結論に落ち着く。


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不動産所得と確定申告、その経済的な効果(1)

2005年01月06日 | 不動産
 不動産を投資目的で取得する場合、もしくは投資目的で業者に勧誘される場合の常套句は「不動産所得を赤字にすることによって税金をするなくすることができる」というものがほとんどである。では、どの程度の効果があるのか、そしてその効果はどの程度続くのかという点を不動産投資の意思決定をする前にシュミレーションできる人は少ない。ここでは新築物件を購入したという前提に立って、その効果をシュミレーションするのが目的である。

(前提)

 まず以下の前提でシュミレーションを行う。典型例とは言えないかも知れないが、計算の単純化の為、以下の投資家を想定する。年齢35歳、外資系金融機関に勤め年収2260万円。妻子なく独身の設定。年収が高すぎるかもしれないが、投資目的の不動産取得はこのような例が比較的多いと考えられる。なぜなら、支払う税金に嫌気がさしている人が多いからである。また年収が2000万円を超えている為、彼は確定申告を行っており、痛税感が高い。総所得が中途半端なのは課税最高税率である37%の最低限に到達する水準である。

(不動産取得前)

ここで、税金について少しおさらいしておこう。給与所得者の税の計算は簡単である。まず、総所得2260万円に95%を掛け合わせ、170万円を差し引いた金額が「課税所得」となる。蛇足だが、このケースでは受取キャッシュフローから270万円を差引いた金額1977万円が課税所得である。270万円は企業で言えば必要経費とみなすことができる。

課税所得 = 総所得x95% - 170万円   ->  2260x0.95 - 170 =1977万円

所得税の計算は各種控除を差引いた後、税額表から計算される。ここでは基礎控除38万円、社会保険料120万円、生命保険料控除10万円の合計168万円を控除すると最終的な課税所得額は1809万円となる。所得税の税率は37%を掛け合わせ、249万円を差引くから、420万円。住民税は13%に31万円の控除で204万円。合計の税額は624万円となる。

(不動産の取得)

ここで、彼は都内の新築物件を購入するとしよう。投資目的で購入し、賃貸に回すことを前提にする。彼の最大の目的は節税をすることである。都内のマンション、どこでも良いが例えば山の手線内の駅から7-8分、という好立地で部屋も45㎡と比較的広いものとしよう。ワンルーム投資にしないのは理由があるがそれは後で述べるとする。価格は3600万円、彼がこれを決めた理由は立地条件があり、さらに賃貸利回りが6.5%で回ると予想されたからである。実際には消費税が90万円別途かかり、さらに業者、司法書士、銀行ローン等の手数料がかかるため、実際の支出はこれよりも多い。彼は自己資金を1200万円投じ、残りの2500万円を銀行ローンとした。
 彼は物件価格の33%の自己資金を投じることによって、その3倍の価格の資産を購入した。これによって彼のレバレッジ効果は3倍となり、投下資金利回り(CCR=Cash On Cash Return)は以下の通りとなる。

 CCR= 賃貸収入/自己資金 -> 234万(3600x6.5%)/1200万 = 19.5%

無論、これは借り入れコストをゼロとおいた場合で世の中それほど甘くない。銀行ローンは2500万円、期間2年固定金利、返済期間18年、元利金等返済、ボーナス返済なし、金利2.0%とした。ボーナス返済がないのは計算の簡便化の為であり、期間が中途半端なのは彼が早期にローンを返済し、かつネットのキャッシュフローをプラスにしようとしたからである。毎月13万7920円、年間で165万5千円の返済となる。また、マンションの管理費、修繕積立金が月に2万5千円、年間30万円かかる。固定資産税は7万円と暫定的に試算すると、ネットのキャッシュフローは以下の通り。

ネットキャッシュフロー = 234万円(賃貸料) - 165.5万(元利返済) - 37万(諸経費)=31.5万円

ざっと毎月2.6万円の黒字になる。ここで再度CCRを計算すると2.6%になる。これだけなら、投資してもあまり意味がないように見える。真の目的は不動産所得を確定申告して実質のキャッシュフローを改善するのが目的である。


(不動産取得後の確定申告、初年度)

計算を簡便にするために不動産の取得・引渡し、賃貸が1月1日に終了したと仮定しよう。不動産所得の計算は総収入から経費を引くだけでよい。但し、不動産は建物が建っていることから減価償却という非現金費用が発生する。ここでは土地と建物の比率を50:50とする。また、取得にかかった費用は消費税等の租税公課で120万円、金融機関、業者への手数料が100万円とする。土地は減価しないので建物の減価償却は47年(係数0.022)、さらに建物本体と付属設備に分け(建物:付属設備、7:3で計算)、付属設備は定率法を適用(税務署への事前申請が必要)である場合のトータルの減価償却コストは初年度で109万円。かかった金利コストは年間33万円(建物にかかる金利)であると。所得金額は

不動産所得 = 234(賃料)-120(租税)-100(手数料)-101(償却)-33(金利)= -120万

となる。これを給与所得と損益通産すると新しい税負担額は以下の通りとなる。

所得税 =(2260x0.95 - 170)-120(不動産所得)=1857 - 168(各種控除)=1689x37%-249=376万円
住民税 =1689x13%-31万=189万円

合計の租税負担額は565万円となり、税額が59万円減少する。これにネットキャッシュフローを加えた金額が合計の経済効果で年間では890.5万円円。実質のCCRは7.54%になる。今時の低金利で7%を実現できるのは少ないと喜ぶところだが、実はこれには大きな落とし穴がある。それは不動産所得が来年も続くということであり、減価償却は定率法を選べば次年度は減少し、大きなマイナス効果を持っていた諸経費は次年度に大幅な低下をみる。これについては次回で見てみよう。

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高配当利回り株の実質利回りを測定する

2005年01月06日 | 銘柄研究
 日本株式市場において高配当利回り株の代表は電力株であるが、実質的に高配当な株式と呼ばれるものが日本株市場に存在している。本稿では、映画会社の株式配当利回りと優待券のキャッシュフローを合わせた実質的な配当利回りを計測し、その経済効果を測定するのが主眼である。

 高い配当利回り株は日本では電力株などが筆頭であるが、その利回りは3%台がやっとである。最近人気化したREITなどは4%近い水準で推移しているが、それでも海外の高配当株式と比較すると見劣りするのが現状である。無論、各国の金利水準の違いはあるが、日本のケースでは金利水準が高い状態でも配当利回りが大きく上昇したケースはかなりまれである。過去のケースを見ると日経平均が大きく下落し、7000円台まで低下した一昨年後半から昨年前半の時期に配当利回りが5%まで上昇したことがあるが、そのごすぐに水準訂正して5%台は姿を消した。

 キャッシュフローの利回りでなく、株主優待などの効果を含めた実質的な利回りで見る方法がある。典型的な例では映画館、遊園地、鉄道のチケットなどがあるが、ここでは私が実際投資している映画配給会社の実質配当利回りを計測してみることにする。なお、保有銘柄から得られる優待券は一部、自分自身で使用しているが、残りはオークションなどで換金している。実質利回りの計測はヤフーオークションの換金実績を基に優待券のキャッシュフローを計算する。なお、計算根拠となる株価は2005年1月5日の東証終値で計算している。


東宝(9602) 東証一部

名目利回り(現金配当+優待券消費) 2.07% 
実質利回り(現金配当+優待券売却) 1.55%

東宝東和系列の配給劇場の無料券が1000株につき毎月1枚。年間12枚もらえる。オークションの換金レートは一枚1100-1200円と最も換金率が高い。購入すると一枚1800円であるため、ディスカウント率は40%である。全て自家消費して一枚1800円で計算した場合と、換金したケースの両方を示した。


松竹(9601) 東証一部

名目利回り(現金配当+優待券消費) 4.27% 
実質利回り(現金配当+優待券売却) 2.85%

松竹系列で使用できる優待券を年間28枚もらえる。松竹はやや複雑で一枚で入場できる地方館と2枚で入場できる大都市圏の映画館がある。従って、地方に住んでいる人と大都市に住んでいる人とでは優待消費における利回りが変化する。計算は2枚で一回と計算する。オークション落札平均価格は4枚(2回分)で2271円(昨年オークション9回の平均)であった。単価を比較すると東宝とほぼ同じ水準で換金できる。


東映(9605) 東証一部

名目利回り(現金配当+優待券消費) 4.99% 
実質利回り(現金配当+優待券売却) 1.91%

東映系列で使用できる優待券を年間12枚もらえる。但し、優待券は6枚綴りになっていて、切り離し無効になっている。従って、オークションでは綴り毎に売却しなければならず、換金価値は東宝、松竹と比較して急激に低下する。もともと、この仕組みはオークションの換金対策の為、東京テアトルが実施していた方法で、オークションの換金性をわざと悪くする方法である。キャッシュリターンが低いのをカバーするのに換金しているのにわざとそれを阻止する方法と取る会社の姿勢には疑問が残る。なお、東京テアトルはさらにICカードを導入したため、オークションでの換金が不可能に近くなった。オークション落札平均は一枚459円と東宝、松竹と比べると半分以下になる。ディスカウント率も75%にもなってしまう。自家消費利回りは松竹よりも高くなるが、実質キャッシュフロー利回りは松竹より悪くなってしまう。


東京楽天地(8842) 東証一部

名目利回り(現金配当+優待券消費) 6.41% 
実質利回り(現金配当+優待券売却) 3.98%

東京楽天地の優待は少し複雑で、最低単位だと錦糸町楽天地の優待券がもらえるが、3000株以上の投資では年間12枚の東宝系列で使用できる優待券がもらえる。3000株投資すると錦糸町楽天地の券24枚と東宝の券12枚がもらえる。配当計算では3000株を所有するという前提で1000株当たりに還元して算出。オークション換金率は東宝は前出の一枚1100円、楽天地は一枚870円(オークション10回の平均)。落札価格は東映よりも高いが東宝、松竹よりも低い。楽天地は錦糸町、浅草の2つしかないが、錦糸町は映画館9館ある大規模な施設である。 配当利回りは最も高い結果となった。但し、この利回りを実現するためには3000株投資して東宝の券を入手する必要がある。最低投資単位である1000株では利回りは急激に下がる。


東京テアトル(9633) 東証一部

名目利回り(現金配当+優待券消費) 8.57% 
実質利回り(現金配当+優待券売却) 1.22%

株価水準が最も安い株だが、優待券の売却が実質的に不可能になっている。従来はばら売り可能であったが、綴り券方式に変更され、さらにICカード化した。最もオークションによる換金対策を講じている会社であるが、株主への還元を制限することに最も積極的ともいえる。従って、オークション換金実績はない。ICカード化されたときに他人に貸すというやり方も試みられたが、現在ではほとんど出品されていない。恐らく、企業側がオークションにクレームを出した可能性がある。ICカードには年間12ポイントが付与される。1ポイントで一回の計算である。なお、利回り計算では優待売却をゼロとして計算すした。実質利回りは配当のみなので低いが自家消費利回りは8%を超える。


(終わりに)

このように東証に上場している主要な映画配給会社の実質利回りをレビューしたが、結論として安定的なキャッシュフロー利回りを得るという目的からすると映画会社への投資はとても魅力的とは結論付けられないものの、映画ファンにとっては検討の価値があるといえよう。純粋にキャッシュフローだけの評価からすれば高配当の代表格であるREITと比較するとリスク・リターンプロファイルはあまり良いとはいえないのが結論である。
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REITとインカムトラストのリターン比較とのその特性(3)

2005年01月05日 | グローバル投資
 引き続き、インカム・トラストに関する議論を進めよう。前回も紹介した銘柄群を見て、ぴんと来た読者はかなり鋭い。油田にしろ、イエローページ、小切手にしろ、全てが将来を不安にさせるビジネスばかりである。例えば、イエローページの競争力を考慮すると10年前ならいざ知らず、いまではインターネットの発展によって簡単に新規参入が可能な業種である。人口カバー率が70%あろうが、将来のキャッシュフローは長期になればなるほど不安定である。

 また、インカム・トラストがカナダ市場というグローバルに見てかなりローカルな金融市場でしか発達していないのは何故であろうか。これの答えはリーガル上の問題に尽きるのである。それを知るにはインカム・トラストの構造を理解する必要がある。インカム・トラストの証券としての構造は意外に複雑である。

インカム・トラストが通常の株式と構造が異なっているのは次の通りである。まず株式形態の企業は所有権である株式を株主が保有している。一方で、インカム・トラストは発行証券をユニットトラストと呼び、キャッシュフローを生み出す企業をインカム・トラストが保有し、インカム・トラストが発行する証券をユニットホルダーが保有するという真の所有者であるトラスト・ホルダーとオペレーティング企業との間にリーガル上別の機関が中に入っている構造になる。単に入れ子構造になっているだけのようだが、実はこれがインカム・トラストのリーガル上の問題点になっている。

単純にインカム・トラストが100でユニット・トラストを発行し、100でその企業の株式を支配するという構造であれば簡単であるが、もしここにユニット・トラストが100で証券を発行し、100の銀行借入を行って、200の価値のある企業を購入したとする。ユニット・ホルダーは200の企業価値から得られるキャッシュフローを100で購入する分けであるから、レバレッジ効果が生まれ、配当利回りが高まることになる。また、支配している企業が株式100、銀行借入100の資本構造からさらに社債100を発行して、総資産300の会社となつた場合、ユニット・ホルダーのレバレッジは3倍になりさらに利回りが高まる。

いい事ずくめに聞こえるが、事は単純ではなく当該企業が倒産した場合、どうなるのかというのが問題となってくる。ここで、思い出してもらいたいのは通常の株式発行企業の場合、出資額までの有限責任であるというのはあまりにも基礎的な話だが、ではユニット・ホルダーは有限責任であろうか。

まず、実際のキャッシュフローを生み出す企業を見ると倒産すると出資額はパーになる。前述のケースでは総資産300の企業が倒産したとする。倒産によって実質の資産が200にまで減少した場合、どうなるか。まず出資金の100はゼロとなる。そして200に関しては企業が銀行借入、社債で調達したわけであるから、債権者に分配され、インカム・トラストの取り分はゼロとなる。

ここまでは簡単だが、問題の本質はインカム・トラストの清算にある。トラストが100の証券を発行し、100の借り入れを行っている。当然、ユニット・ホルダーの出資額100はゼロとなるが、残りの100はどうなるのだろうか。銀行家は諦めるだろうか。現在の教科書的な法解釈では、インカム・トラストが行った債務はユニット・ホルダーに帰属するというのがコンセンサスである。従って、ユニット・ホルダーは通常の株主権と違い、無限責任を負っていると考えられている。

これが、カナダのインカム・トラストの利回りが通常のREITなどよりも高い理由になっている。前号のケースでも、利回りが10%を越えているインカム・トラストは多い。むしろ、利回りが低いのはあまりないのが現状で、最大の理由はリーガル上の問題に尽きている。例えば、米国の年金基金はカナダのインカム・トラスト、REITへの投資を禁止しているケースが多く、機関投資家の資金が入りにくいマーケットでもある。

しかしながら、あまり事態を深刻に捉える必要もないだろう。カナダのいくつかの州ではこの問題を解決しようとしている動きがある。最も多くのインカム・トラストが本拠にしているアルバータ州ではliability issueに関して何らかの法的制度の成立に動いている。また、オンタリオ州政府も同様にTrust Beneficiaries’ Liability Actの成立を目指している。(これは2003年時点で現在は成立しているかもしれないが、未確認)

このようにカナダのインカム・トラストはそのスキームの特性から高いインカムゲインが見込まれ、さらにキャッシュフローの安定性という面から魅力的なものである。しかしながら、株式のような有限責任でないという点を十分に考慮し投資を検討することが強く勧められる。
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REITとインカムトラストのリターン比較とのその特性(2)

2005年01月05日 | グローバル投資
インカム・トラストとの違いはなにか、後ほど議論するがREITもインカム・トラストのひとつの形態である。但し、REITは特別の法律に基づいて組成された証券で世界的に認知されたものであるが、インカム・トラストはカナダ市場以外では一般的でなく、というよりもカナダ市場以外での発行を筆者は知らない。REITはキャッシュフローのアセットバックとして不動産を使うが、インカム・トラストは不動産以外と考えれば理解しやすい。厳密な定義は以下の通りである。原文は英語だが、面倒な読者は上記の定義で理解しても構わない。

“An income trust is an investment vehicle that pays out substantially all of the cash flows generated from relatively mature, revenue-producing assets in a tax-efficient manner. This structure allows the owner of a business to sell off assets at a higher valuation than when the assets are held in a corporate structure. This higher valuation is driven by the high demand for income trust units and the tax savings generated by structure, which reduces or eliminates corporate tax for the operating company. Investors in an income trust therefore receive a higher level of cash distribution than is possible when the same assets are held by a corporation.

 面倒なので訳さないが、簡単に言えば、あるビジネスのキャッシュフローを割引現在価値に引きなおして一括して売却するということである。では、何故通常の株式上場と異なるというと、インカム・トラストを組成するビジネスのキャッシュフローが通常上場に耐えるビジネスと異なり成熟したもしくは限定的なキャッシュフローが予想される場合である。極端の例えで説明すれば、ここにあるオーナーが自分が保有する油田のキャッシュフローを一挙に実現したいと考える。但し、その油田は年間1000万バーレルを産出するが10年後にはその油田が枯れてしまうことが予想される。このような場合、株式上場すれば投資家は必ずディスカウントする。10年後になくなるビジネスにプレミアムをつける投資家は皆無である。では10年限定でキャッシュフローを保障する証券を投資家に売却するというスキームではどうか。この場合、投資家は10年間に得られるキャッシュフローの割引現在価値で評価してくれる。ビジネスのオーナーは保有するビジネスのキャッシュフローを一気に実現することができ、投資家は期間限定的ながら、キャッシュフローが保障される。企業の株式上場はon goingが前提となるのに対して、インカム・トラストは対象のビジネスのキャッシュフローのデュレーションが限定されているケースが多いと考えると分かりやすい。インカム・トラストの中にはRoyalty Trustと呼ばれるものがある。文字通りロイヤリティ(権益)をアセットバックとして証券を発行するスキームで油田・ガスなどのエネルギー関係が多い。

インカム・トラストの市場規模は2002年には108銘柄、450億ドルに達する巨大なマーケットに成長した。当初は油田関係が多かったが、発電所、パイプライン、ごみ処理、水産物、紙パルプ、電話帳会社、小切手などのステーショナリー関連、REITなど当初予想されていた業種から大きな広がりを見せるようになった。ここではいくつかの銘柄を紹介してみよう。但し、事前に断っておくがここで紹介する銘柄の買い推奨、投資リターンの保障をするものでは決してなくあくまでも読者に参考事例を提供するのが目的である。なお、原文は全て英語である。訳はほとんどしないのであしからず、どの道、国内投資家は基本的に無理だし。それに海外に口座を持つくらいのガッツと英語力がなければ駄目ですから。

Pengrowth Energy Trust(PGH) (http://www.pengrowth.com/)

カナダのアルバータ州カルガリーに本拠を持つ。カナダ最大のオイルトラストでトロント市場で売買されているクラスA株式の時価は24ドル。配当利回りは10.87%。株式はNYにも上場されておりドル建て株式は米ドルでの配当もなされている。

Headquartered in Calgary, Alberta, Canada, Pengrowth Energy Trust is one of the largest energy royalty trusts in North America. Trust units trade on the Toronto Stock Exchange ( PGF.B / PGF.A ) and the New York Stock Exchange ( PGH ). Pengrowth has provided investors with superior returns and growth in value for 15 years. Through the purchase of trust units, unitholders participate in the ownership of a large portfolio of crude oil and natural gas properties, receiving the net cash flow ( after expenses ), paid monthly, as the oil and gas reserves are produced. Continuing acquisitions and development of existing properties replenish and add to the reserve base. Pengrowth does not engage in high-risk exploration and seeks to acquire long-life assets with low decline rates and high development potential to achieve more stable production.

• Equity Market Capitalization: C$ 2.6 billion
• Total Enterprise Value: C$ 3.2 billion
• Stock Symbol TSX / NYSE : PGF.B - PGF.A / PGH
• Eligibility in Canada: RRSPs, RRIFs, DPSPs, RESPs
• Employees: 289


Yellow Pages Income Fund(YLO.UN) (http://www.ypg.com/page.php/en)

カナダで職業別電話帳、通称「イエローベージ」を発行する会社の権益を所有している。カナダイエローベージは1908年創刊でカナダ国民の70%をカバーしている。ユニットの配当利回りは6.76%。毎月配当である。

Yellow Pages Group (YPG) is Canada’s largest telephone directories publisher and has been an industry leader since it published its first directory in 1908. The Company is the official publisher of Bell Canada’s directories. Yellow Pages Group is the exclusive owner of the Yellow Pages™, Pages JaunesMC and Walking Fingers & Design™ trademarks in Canada. YPG publishes more than 200 directories annually for Bell Canada in Ontario and Québec as well as for a number of independent telephone companies that cover Northwest Territories, Nunavut and Yukon, in addition to 35 directories published by Aliant ActiMedia in the Atlantic Provinces. These combined directories have a total circulation of approximately 18 million copies, reaching some 70% of the Canadian population. Yellow Pages Group is the leader in the online directory business through YellowPages.ca™, PagesJaunes.caMC, Canada411.ca (English and French), CanadaTollFree.ca and CanadaSansFrais.ca, and the CanadaPlus.ca network, a leader in the local city sites market, including MontrealPlus.ca™, QuebecPlus.ca™, CalgaryPlus.ca™, EdmontonPlus.ca™, OttawaPlus.ca and VancouverPlus.ca. These sites generate an average of 3.2 million unique visitors per month. Nearly all of Yellow Pages Group's revenues are derived from the sale of Yellow Pages ads to advertisers, mostly small and medium-sized enterprises (SME). Directory advertising is the advertising medium used most by Canadian SMEs, mainly due to its comparatively high return on investment.


Custom Direct Income Fund(CDI) (http://www.cdifund.com/)

インカム・トラストの説明の格好の例だと思う。英語の説明もかなり長文だが、辛抱してほしい。カスタム・ディレクト・インカム・ファンドは米国の小切手及び関連商品を販売しているビジネスを証券化したもので、アメリカのビジネスをカナダで上場されているユニークな例。米国ではインカム・トラストという概念がないのか不明だが、カナダドル建てで発行されている。上場もトロントである。配当利回り11.76%。 勿論、毎月配当である。簡単に英語部分を解説すると、小切手の市場は米国では非現金取引の59%を占めていて、各家庭で毎月平均19枚の小切手が振り出されている。但し、小切手市場の成長率は毎年2-3%のマイナス成長を続けている。考えてみると当たり前だが、電子マネーとかインターネットの発展を考えると死んでいく市場である。当然ながら、上場してもかなりのディスカウントとなってしまう。その為に、キャッシュフローの割引現在価値を一気に顕在化させるこの手法が用いられている。同社の売上高は年間1億ドル程度である。

Custom Direct Income Fund indirectly holds 100% of the shares of common stock of Custom Direct, Inc., which holds a 100% interest in the operating company, Custom Direct LLC. Based in Maryland and Arkansas, Custom Direct (or its predecessors) has been selling cheques and cheque-related accessories across the United States since 1992, and offers the industry’s widest selection of product designs. Custom Direct is the second largest participant in the direct-to-consumer segment of the United States cheque industry. for consumers in the United States, accounting for 59% of all non-cash transactions and representing 84% of the monetary value of non-cash transactions in 2000 according to a Federal Reserve Bank Payment Study released in 2002. Despite the increased popularity of alternative payment methods, the number of consumer cheque transactions in the United States has been stable since 1990, which is driven by a growing population, increases in the number of transactions, and continued popularity of cheques as a means of exchange. The most recent statistics available to us demonstrate that in 2000 the number of cheque transactions in the United States far exceeded the total number of noncash payment transactions. The Federal Reserve Bank Payment Study also reported that each American household writes an average of 19 cheques per month. That cheque usage rate is estimated to decline annually at a rate of 2% to 3%.

Custom Direct operates solely in the direct-toconsumer segment of the United States cheque market, where we are the second largest participant. We offer the industry’s widest selection of product designs for cheques and cheque-related accessories through a product line that consists of ten different brands. We market our products through a variety of advertising channels. Formerly known as The Check Gallery, Inc., Custom Direct was founded in 1992 by members of the current executive team with a majority investment from Canada’s largest cheque printer, Davis + Henderson Ltd., to market personal and business cheques directly to consumers. We were built on our reputation of quality and the environmental friendliness of materials we use to manufacture our products. Our customer base and product offerings have grown through internal growth and acquisitions, such as the acquisitions of Image Checks, Inc., Artistic Greetings, Inc., Custom Direct, Inc. and The Styles Checks Company. As a result of these and other acquisitions, we have ten distinct brands, which allow us to provide customers with a selection of over 500 unique cheque designs and to target specific niches and customer affinities.


 
 このようにインカム・トラストには多種多様なビジネスのキャッシュフローが証券化され、かつ魅力的な配当利回りを提供している。蛇足ながら、筆者は上記3銘柄に投資しており、毎月の配当を享受している。前にも断ったが、決して投資の推奨やリターンの保障ではないことを改めて明言しておく。また、ここで紹介しなかったがREITもじつはインカム・トラストの一つの形態であることは理解できると思う。紙面が尽きたので今回はここまでとする。次回はインカム・トラストが何故、カナダ市場といったローカルな金融商品となっているのか、そのリーガル的な側面、限界について述べる。

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REITとインカムトラストのリターン比較とのその特性(1)

2005年01月05日 | グローバル投資
 近年、REIT(Real Estate Investment Trust)は日本においても法改正がなされて証券取引所に上場されることで一般化した。このように一般大衆レベルにおいてポピュラーになったREITであるが、それに類似した商品特性を持つインカム・トラストという商品があるがこれに関してはまだ一般化されておらず知識を有している投資家も皆無に近い状況である。本記事においてはカナダのインカム・トラストを中心にその商品特性とREITとの違いを詳細に述べる予定である。

 REITとは既知のように証券のアセットバックとなるものとして不動産のキャッシュフローを基に証券が発行され、投資家に売却される。また証券は取引所に上場されるのが一般的で不動産という商品特性を持ちながら、流動性に優れるという特徴を有している。また、REITの組成には特別な法規制に基づいたいくつかの要件を満たすことで投資法人の課税を免除する特典を得ることができる。REITは米国、日本、カナダ、豪州、ニュージーランド、シンガポール、オランダなど多くの国で組成され、上場流通している。日本の投資家にとって、国内のREITは凍傷に上場している為、投資が可能であるが、海外のREITを直接購入することはできない。というより、国内の証券会社がREITの取次ぎができないことになっており、日本の投資家は海外REITをファンド形式でしか投資ができない状況になっている。但し、これには抜け道があり、海外の証券会社の口座を直接開設することができれば投資は可能である。かくいう筆者も海外の証券会社に口座を開設し、米国、豪州、カナダ、シンガポールのREITへ投資している。

 日本のREITは平均利回りが4%を切っているが、海外REITの利回りはさらに高い。例えば米国で最大のREITであるEquity Office Properties Trust(EOP)の直近の利回りは6.87%である。2番目に大きなEquity Residential(EQR)の利回りは4.78%である。各銘柄によって利回りの格差は大きいが、平均すると7%程度であると考えられる。日本のREITとの最大の違いは配当の回数で、米国では一般的に四半期配当になっている。豪州も同じである。シンガポールは年2回、オランダのREITは年1回となっている。特徴的なのはカナダのREITでこれは後述するインカム・トラストと同じだが、毎月配当が一般的である。

 REITはサブセクターとして住宅、オフィス、ショッピングモール、工業施設、公共施設、医療施設などに分かれているが、一般的なのはオフィス、住宅である。またそれぞれのサブセクターを含めた複合型のREITも存在している。ユニークなものとしてはレジャー施設などがあるがあまり一般的とは言えず、筆者が知っているレジャー施設のREITは豪州に存在しているが数は少ない。

 紙面も尽きたので次回に譲るが、次回ではインカム・トラストについて解説する。
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月間株式市場動向(2004年12月)

2005年01月04日 | 金融市場
12 月はTOPIX で+4.6%、日経平均で+5.4%の上昇となった。10 月の機械受注、日銀短観の悪化などのマイナス材料が見られたが、事前の市場予想範囲内であったため嫌気する動きは限定的であった。年内最後のFOMC で利上げ決定が発表されると、米国市場金利上昇の悪材料を消化することでNY ダウ、NASDAQ、S&P500 が相次いで年初来高値を更新するなど高値圏で推移した。その結果、相対的に出遅れ感の強い日本株への買いが見られ、大手銀行株を中心に急上昇することとなった。原油価格が11 月末の49 ドル台から43 ドル台まで大幅に下落したことも買い安心感を誘う結果となった。
 インテルの予想外の売上高予想を上方修正により、ハイテク株への買い安心感がでたのと、ドル懸念が一時的に緩和して105円台までもどると日本のハイテク株にも買いが復活した。個別の株式では虚偽記載が問題化した西武鉄道株が上場廃止となった。また、店舗への連続放火によりドンキホーテの株価が急落した。時価総額でみた場合、TOPIXラージよりもスモールのパフォーマンスが好転し中小型株式の反発が見られた。セクターパフォーマンスではゴム製品、銀行、精密機器、輸送用機器のパフォーマンスが好転し、とりわけ銀行セクターのアウトパフォーマンスが顕著となった。三井トラストホールディングス、みずほ信託銀行、みずほフィナンシャル、UFJなどの主要銀行株の上昇率が2桁となった。輸送用機器関連ではアイシン精機、ブリジストンが好調。ハイテクではアドバンテスト、東京エレクトロン、京セラ等が上昇した。一方、不振だったセクターは石油、海運、鉄鋼などの市況関連で銘柄では商船三井、新日本石油、JFE、新日鉄などである。アコム、アイフルなどのノンバンク銘柄も下落した。

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2004年の国内株式市場の回顧

2005年01月03日 | 金融市場
2004年の暦年ベースの株式リターンは2年連続の上昇となった。年末の日経平均終値11,488.76円から計算すると7.6%の上昇になる。インカムゲインを含めると10%には届かないものの極めて穏やかな上昇となった。また日経平均の上昇は2年連続であり、企業業績の改善効果が株価に与えた影響は大きいと判断される。

今年度の全企業の増益率は昨年度と引き続き2桁の増益になり、期中の円高にも関わらず、製造業、非製造業共に大幅な増益となっている。一方で、上下で比較すると上期の大幅増益に比べると下期はだいぶ鈍化しており、これが年度下期の日経平均の上昇を阻害した大きな要因であると判断される。

また株価上昇余地が限定的であると考える根拠は大きく分けて2 つある。第一に、景気低迷が意外に長引くということである。もし、市場のコンセンサス予想通り、日本経済の景気調整は短期に終わり、すぐに景気が良くなるのであれば大型増税が前倒しで実施されよう。実際には、景気悪化により大型増税は直ちには実施されないと予想されている。 第二に、景気のピークアウトと大型増税を目の前に、世界的に割安とはいえない日本株(PER は世界と同水準の17 倍)の上値を誰が買い上げるのか、というてんである。グローバルにバリュエーションの収斂が観測され、トヨタ、ホンダ、日産などの国際優良株のPERが1桁であっても株価が上昇しない。JFE、新日鉄などの素材株の大幅増益にはある程度反応したもののバリュエーションで7-8倍と極めて低い水準に放置されているのは投資家の気迷いがあったからであると考えることができる。リスクとしてあげられたものとして①米国景気失速、②中国バブル崩壊、③円高等が挙げられ、これらに対しての明確な認識が定まらなかったのが2004年の株式市場であったといえよう。

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中古不動産投資とリスク・リターンの実態

2005年01月03日 | 不動産
 理論だけでなく、投資理論の実践は重要である。また実際のリスク・リターンプロファイルを実感することが投資活動にとって極めて重要であるのも確かである。外貨預金、国内株式、外国株式、外国債券、商品先物、国内外REIT等への投資を通じてポートフォリオ理論の実践に努めていたが、不動産投資を行ったのは3年前のことである。

 当時の私は不動産に関しての知識がほとんどなかったものの、さまざまなアセットクラスの投資を行っていることから、普通の人よりもましな投資ができたと考えているが、それでも新築物件への投資は失敗であったといえよう。最初の物件は利回りがグロスで6.9%あり、賃料収入からコスト、税金、元利返済のを差し引いてもプラスが残る形となったので当時の私はうまくいったと判断していた。しかしながら、その後行中古不動産投資と比べるとなんとリスク・リターンプロファイルが貧弱であったかを思い知ることになる。 

 不動産投資でよく見かけるのは利回り5%程度で高利回りを歌ったものがものが多いが、実際には管理費・修繕積立金、固定資産税、都市計画税などのコストを考慮すると実質の利回りは2%を下回ることになる。また、大抵ローンを組むことにより、元利返済が伴うことから実際のキャッシュフローはゼロ近くになることが多い。不動産投資で成功するには利回りは最低でも10%必要で、仮にレバレッジをかけるとすれば15%のグロスリターンがないと経済的な効果は極めて低くなる。

 私が今回投資を実行したのは岡山県にある中古マンションである。場所的には岡山駅からバスで25分、東岡山駅からは徒歩で18分である。これだけを聞くとなんと僻地にと思う方がおられるかもしれないが、実は地方は首都圏と違って車社会であることに注意すべきである。したがって、バスで25分というのは車なら10-15分程度であり不便さはほとんどない。これは実地のフィールドテストを行って実感したものである。

 岡山県のマンションのケースでは賃料57,000円(年間賃料684,000円)、投資額370万円でグロスのリターンは18.48%であった。これだけ見るとかなりの高利回りであるが、管理費・修繕積立金で169,920円、固定資産税、賃貸管理費を差し引くとNOIで405,634になる。これでみると実質利回りは10.96%に低下する。

 債券と異なりキャッシュフローの安定性から言えば当然劣るため、債券とのイールドスプレッドが5%もないような物件、すなわち新築物件は絶対に避けるべきである。岡山のケースでみると上記の実質利回りは空室率が100%の場合である。もし1ヶ月の空室が発生すると利回りは9.5%に低下する。2ヶ月の空室ではさらに8%まで低下する。そして1ヶ月ごとに空室が続くと利回りは150bpずつ低下し空室が半年続くと利回りは2.18%。さらに2ヶ月続くと利回りはマイナスとなるのである。これは固定的経費である管理費・修繕積立金・税などが物件価格の8%程度年間かかるためである。

グロス利回りが18%の物件でさえこうなるのであるから、グロス利回りが5%程度の新築物件の投資リスクは極めて大きいことになる。但し、中古物件との違いは管理費・修繕積立金が中古と比較して安いことが決定的な違いである。これは竣工して日が浅い物件ではかかる管理費が安いこと。また修繕積立金に関しても大規模修繕が近い将来ないことなどから割安に設定されているためである。しかしながら、新築物件では空室率の少しの低下が利回りの劇的な低下を招くことは必至で、3ヶ月程度の空室で実質利回りがマイナスになる可能性は高いといえる。
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アセットアロケーションと通貨セレクション(2)

2005年01月02日 | 投資理論
 グローバルな資本市場においてはアセットアロケーションと通貨配分の意思決定は別々になされるというのがここでの主張である。これは過去のヒストリカルなリターン、ボラティリティ系列の分析から支持される。1990年までの5年間でヘッジストラテジーはヘッジなしポートフォリオに対して著しい劣後となった。ドルが主要通貨に対して急激に下落し、フォワードレート以上の下落になったのが原因である。一方で円ベースの投資家の場合にはその逆の状況になる。

 ヘッジベースの株式市場のボラティリティはヘッジなしと比較すると低いことが知られており、資産間の相関係数は5年、10年といった期間においても十分低い水準となっている。ヘッジすることによる資産クラスのボラティリティは現地通貨ベースのそれと等しくなり、マーケットリスクは為替リスクから解放されることになる。ヘッジポートフォリオはヘッジなしと比較するとボラティリティが10%以上低下していることが歴史的に確かめられている。

 ヘッジポートフォリオはリスク・リワードを改善させる効果があると試算されている。たとえば、世界株式の平均リターンが12%であったとしよう。かつリスクが15%で、ここでヘッジすることによりリスクが12%まで低下すると幾何平均リターンは40bp程度改善することが試算されている。ここでの結論は必ずしも自動的なヘッジストラテジーを推奨するものではないことを断っておく。ヘッジコストが過大かどうかは結局のところキャッシュリターンとフォワードマーケットのコストの差分に依存し、外国通貨の期待リターンのコンフィデンスの度合いによって決定されるべきものである。しかしながら、為替ヘッジによるリスクの低減効果の大きさとリスク・リターンプロファイルの改善効果は検討に値するといえよう。
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アセットアロケーションと通貨セレクション(1)

2005年01月01日 | 投資理論
The kind of framework we have described makes no naive assumptions about the normal relations between price/earnings ratios across international boundaries, and it makes no assumptions inconsistent with equilibrium theory. Importantly, such a framework separates the currency forecast from the forecast for asset class returns, and thus presents the investor with an array of fully hedged investment alternatives. Forecasts of hedged asset class returns can be developed directly from measurements of risk premia. These can thenbe supplemented with independent forecasts of currency returns.

為替ヘッジ戦略は複数の海外資産にわたる株価収益率との裁定関係といった単純な前提ではなく、通常の均衡理論と一致するものではない。このようなことから原資産リターンと為替リターン予測は分離することが重要となり、投資家はフルヘッジベースでの資産選択を行うのが重要とされている。ヘッジベースの資産クラスのリターン予測はリスクプレミアムの計測から直接的に計測される。またこれは為替リターン予測とは独立して行われるが通常である。

Distinguishing asset class expectations from currency expectations is important because it achieves two often contradictory objectives: it broadens the set of investment alternatives and simultaneously simplifies the evaluation of those alternatives. If asset class decisions are based on fully hedged(local currency) return expectations, the reulting structure will give approximate equivalence among cash equivalents around the globe, since the forward markets are largely driven by this arbitrage.

 為替予想からくる原資産のリターンとの分離は重要である。なぜならそれはしばしば2つの相反する目的を達成させることができるからである。投資選択可能な集合を拡張させることと同時に、それぞれの選択肢の評価を単純化させることが可能である。仮に資産選択決定プロセスがフルヘッジベース(現地通貨ベースの期待リターン)の収益率であるなら、最適化されるのはすべて現地通貨ベースのキャッシュリターンになるはずである。なぜならば、ヘッジコストはキャッシュリターンとフォワードマーケットとの裁定関係にあるからである。

This structure leads to direct comparability of the asset classes and to variance and covariance measures that are independent of the home currency. The crrency decision can then be made separately, based on whether the incremental return associated with an attractive currency would justify the incremental risk associtated with lifting the hedge. In fact, the appropriate "no-forecast" allocation for investors will be fully hedged since the two-sided nature of the currency market makes it unlikely that the normal expected return from unhedged positions is sufficient to justify bearing the additional risk.

 このような関係は異なるアセットクラスの直接的な比較を可能にさせまた同時に自国通貨とは独立な分散と共分散の計算が行えるようになる。通貨配分の意思決定は別に行われ、それらは為替ヘッジにより、リスク・リターンの増分に見合ったより魅力的なリターンが達成できるかどうかの判断によるものである。「予測なし」の資産配分はフルヘッジベースの配分のことを指し、これは通常為替市場がリスク増分に見合う期待リターンを生むことがまれなことを前提にしている。
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