Bankの秘密基地

個人日記兼つれづれなるままに

ユナイテッドアーバン投資法人(8960)

2009年08月15日 | 国内上場REIT


 この銘柄もすでに決算発表されているが、昨日資産運用報告書が届いたこともあり、前期決算
についての分析をしてみよう。分配金は18297円と前期比1606円増加、予想と比較して
も897円増加している。物件売却なしでの結果であることから数字としては悪くない。今期予
想は16900円、来期16700円と減配予想となっているが、保守的な予想と考えられる。

REIT投資をしている投資家の何人かは気がついていることだが、最近の分配金・業績予想の発表
では1期予想の投資法人が増加している。これは金融環境が厳しさを増している事が一番の原因
だが、特にリファイナンスコストがどうなるか投資法人の方で予測ができなくなっているのが最
大の理由だ。業績を2期予想できるというのは業績に自信がある。金融機関との関係が極めてう
まくいっていて、金融コストの予想が立てやすいという状況にあるからにほかならない。そうい
う意味からすれば分配金2期予想をしているのは業績への自信、取引金融機関との良好な関係を
うかがわせ好感が持てる。ポートフォリオのNOIも6.31%と比較的高めだ。



 当法人は総合型REITとしてオフィス、レジデンシャル、ホテル、商業施設に分散しているのが
特徴であり、分散投資をしたい投資家にはメリットがあるだろう。地域的な分散では首都圏が60
%、他が地方という形での分散をしている。ポートフォリオ上位を見ると新大阪セントラルタワー
(11.1%)、新宿ワシントンホテル本館(9.8%)、川崎東芝ビル(8.9%)、ダイエー碑文谷(7.1%)、
maricom-ISOGO(5.5%)の5物件で42.4%を占めている。景気低迷に伴う稼働率低下が懸念されるが、
期中平均稼働率は98.55%と高い稼働率を維持している。総合型REITで高い稼働率なのは何
故かという点についてはいくつか細かいところをみる必要がある。まず第一に契約形態による所
が一つ。例えばポートフォリオの1割近くを占めるワシントンホテルでみれば、歩合賃料ではな
くて普通借家契約になっており、期中の稼働率は100%となっている。ホテル部門の期中稼働率
が99%を超えているのはこの為で歩合賃料を採用し、業績の下方修正したJHRとの違いはここか
らきている。商業施設なども同様の理由である。定期借家契約、普通借家契約が多い。即ち、固
定賃料契約が多いのが特徴で契約解除のリスクを除けばキャッシュフローのボラティリティは少
ない。

 契約形態の違いはさらに賃料保障のあるマスターリースの貸付面積が125248m2とポートフォリ
オの23%を占めており、エンドユーザーに対する一棟貸し(ヤマダ電機とか東芝とかのエンド
ユーザーに一棟丸ごと貸す契約)が151984m2、総貸付面積の28%になっている。マスターリース
及び一棟貸しを合わせると51%を占めている。無論、景気しだいではエンドユーザーが解約して
稼働率が大きく下がるリスクはこの契約形態の方が大きいが、大口ユーザーの状況があまり変わ
らないと稼働率は高水準を維持する仕組みとなっているのが他のREITと異なっている。

 財務内容は良好だ。前期のリファイナンスは成功し、94億円の2本のローンを2年、3年
5年の3本のローンに分散してリファイナンスすることに成功した。但し、スプレッドは15-30
bpの上昇なり、金融費用は今期から若干の増加することが見込まれている。さらに当法人の優位
性は未使用のコミットメントラインを持っていることである。従来100億円のコミットメント
ラインを135億円の極度額まで引き上げることに成功し、加えてまだ未使用である。当然、未
使用であってもコミットメントラインの設定に伴う金融費用の増加はあるが、投資法人債の償還
に万全の対応をしくことができたと解釈してもよいだろう。LTVは42.5%、借り入れはすべて無担
保・無保証で有担保での借り入れはない。格付けはR&IがA+(安定的)、ムーディーズでBaa1(安定
的)で財務的なリスクは極めて小さい。投資法人債は2本あり、第1回150億円が平成22年
7月12日、第2回100億円が平成27年7月10日。どちらもまだ先でかつ自力で返済する
ことができる。負債の金利固定比率は86%あり金利環境のボラティリティに強い負債構造となっ
ている。

 ポートフォリオの鑑定評価はキャップレートの上昇に伴い含み益が減少した。期末現在の評
価益は82億円とその前に期の194億円から大きく減少。しかし平均キャップレート6.0%
というのは他のREITと比較すると若干保守的な数字を使っている印象だ。それでも、売却した
場合、多くはないが売却損が発生する可能性は高い。このREITにとって幸いなのは売却しなけれ
ば運用に困るような自体が発生していないこと。上場以来売却していないREITはここぐらいかも
知れない。また目先も売却する必要性はないと思われる。

 スポンサーが丸紅、かつ総合型でホテルとか商業施設、さらに地方にも投資しているという事
でそれほどの人気がないが、特に問題らしい問題もなくむしろ適度に分散さとれていていいとい
うのが私の感想。当然保有しているが、まあ、これなら特に売却する必要もないだろう

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