Bankの秘密基地

個人日記兼つれづれなるままに

オフショア口座の開設(3)

2006年11月30日 | グローバル投資
まずはアプリケーションフォームの提出であるが、日本の銀口座の開設と同様、本人確認書類の提出の為の必要書類の調達作業がいる。本人確認書類とは

(1) パスポートコピー(認証されたもの)
(2) バンクステートメントなどの公的機関による住所の確認のできるもの

がひつようである。まずパスポート認証であるが、パスポートを保有していない人はかなり稀になってきているが、単にパスポートをコピーして提出しても本人確認書類とは認められない。そのパスポートを第三者が証明しなくてはならない。パスポート認証などと日本人には何のことか分からないケースが多い。認証に関してはアビーの説明書には以下のように書いてある。

'The Certifier should sign the copy document, print name clearly below the signature and also state their position and business address. Suitable Certifiers are a qualified lawyer, qualified accountant, consular official at a British Embassy or Consulate, serving police officer, government official, bank manager or a practising medical doctor.'

 要するに認証者の資格としては身分のはっきりしている人。例として弁護士、税理士、大使館員、警察官、政府職員、銀行マネジャー、医者などである。日本ではそういった習慣がないため面食らう人が多いが、外国では富裕層は個人的に弁護士、税理士、銀行職員、お抱えドクターなどがいるとの前提になっているのが少し面白い。こう書くと敷居が高いと感じるかもしれないが、実はパスポート認証は簡単にできる。インターネットでパスポート認証と検索すればすぐに見つかります。私の場合もサーチエンジンで検索して実際に事務所まで行かなくても郵送だけでやってくれる業者を見つけました。認証業務自体は弁護士でも大丈夫ですが、行政書士がやっています。しかも行政書士の場合、料金は安い。私の場合、メールで以来して送金し、パスポートのコピーを送って数日で認証書類を得ることができました。行政書士と聞くと隠したのように聞こえますが、英語ではGyosei Shosi lawyerという表記になり、問題にはなりません。料金は3,500円でした。(業者によって値段は違うようだ) 日本では弁護士、行政書士を除けば銀行マネジャー、医者、政府職員などの認証などはほとんど不可能に近い。但し、外務省の公的な証明書は金を払えば貰えるが、値段は5倍以上になります。

 オフショア口座を開設する際に問題となりやすいのは二番目の住所確認のできる公的書類です。特にバンクステートメントの発行は通常英語でもらえないケースが多いので注意が必要です。説明書には例示として以下のものを要求しています。

- Bank statement(not one issued by Abbey International)
- Building Society statement
- Credit Card statement
- Utility bill for fixed services
- Local Rates Assessment or Local Taxes Bill
- Personal Tax Assessment
- Insurance company document(quoting Policy Number)

 日本人にはほとんど手に入るものばかりですが、全て日本語表記で英語表記のものの調達はかなり困難です。但し、不可能ではありません。銀行によっては英語のバンクステートメントを有料で提供するところがあります。ここで一つ重要な事。アビーでの開設が他のオフショアより垣根が低いと思われるのはバンクリファレンス(銀行の紹介状)を要求していない点であろう。パスポート認証と住所証明で開設できるのはメリットだろう。特にバンクリファレンスは日本の銀行は発行していないとも言われており、日本人のオフショア口座開設の高いハードルになっている。私の場合であるが、実は香港の証券会社の口座があるのがとても役にたった。取引ステートメントは全て英語表記であることから追加負担なしで証明書が手に入った。

 とりあえず必要書類に関してはあっけなく終了した。いよいよアプリケーションフォームの記入作業に入ることになる。

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オフショア口座の開設(2)

2006年11月27日 | グローバル投資
 オフショア口座の開設に当たってまず第一に考えなければならないのはどこのオフショア銀行の口座を利用するかという点である。オフショア=海外と考える人がいるようだが、オフショアと海外のオンショアバンクは異なる。いわゆる、オフショアバンクと呼ばれるものはマン島、ジャージー島、ガンジー、ケイマンなどが有名である。米国、カナダ、オーストラリア、欧州地域の銀行はオンショアと呼ばれる。オフショアバンクの特徴としては金融取引が基本的に非課税であることが多い。香港などはオフショアとは厳密にはいえないものの、香港の銀行は配当、キャピタルゲイン課税がないことからオフショアに含めることもある。

 香港に証券会社の口座を保有しているので、香港も検討したが、やはり本格的なオフショア口座を持ちたいので、ジャージー島にあるアビーインターナルショナルオフショアに口座を開設することにした。ジャージー島は英国領であるが、独自の議会を持ち、金融所得に関しては非課税である。アビーインターナショナルは英国のアビーナショナル銀行のオフショア銀行部門である。アビーナショナルは英国第6位の商業銀行で、英国本土に741支店を有し、2500のATMネットワークをもつ。モーゲージ分野では英国第二位の銀行である。ローン残高は996億ポンド(20兆円)及ぶ。同行は1849年にNational Fereehold Land and Building Societyとして設立され、1944年にAbbey Rodad Building Socityと合併してアビーナショナルとなった。Building Societyというのは英国独特の金融機関形態でモーゲージなどを主体にビジネスを行っている金融機関である。1989年にはBuilding Societyとして最初にロンドン証券取引所に上場した。2004年にスペインのBanco Santanderに買収され今に至っている。Banco Santanderはご承知の通りスペイン最大の金融グループであり、40カ国以上で銀行業務を行っている。

 巷にはいくつもオフショア口座に関する解説本がいくつも売られており、私もそれを参考にとりあえずアプリケーションフォームの請求をインターネットのホームページ経由で行った。この項ではアビーの宣伝するのが目的でないのでURLは特に載せない。ヤフーやグーグルで検索すれば簡単にみつかるのでそれを参考にしてほしい。最初にホームページにアクセスするとどこから申し込むのか分かりにくくなっているが、まずは「Find account」と書いてある下にいくつかのサービスが書かれており、そのうち「Gold」と書いてある部分をクリックする。アビーのサービスは「アビーゴールド」が基本のサービスで、それから様々なサービスをチョイスできるようになっている。クリックすると「ゴールドアカウント」のサービスの説明が書いてあり、一番下の「Apply」をクリックするとオプションが2つ書いてある。最初のオプションは郵送による資料請求、二番目はインターネットからアプリケーションフォームをダウンロードしてそれを自宅で印刷して申込書を郵送する。とりあえず郵送で請求した。請求するとほぼ一週間くらいでフォームが届く。受け取ったときは結構早いと感じたが、実はその後の口座開設まで結構時間がかかることになる。実際にはもう口座は開設されているのだが、申し込んでからアクセプトされるまで1ヶ月以上かかった。また、これは蛇足だが、資料を受け取ってさらに一週間すると資料請求に対するお礼の手紙が来る。それは結構好印象なのだが...

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オフショア口座の開設(1)

2006年11月26日 | グローバル投資
 ご承知の通り日本の国債発行残高は700兆円をゆうに超えており、地方政府の分を含めるとなんと1000兆円を超えている。金利水準にもよるが、今後の金利上昇局面を考慮すると確実に増税が起こる。消費税の増税は既に暗黙の了解事項であるが、政治家、国民ともにあまり将来のことは考えていない。というより、考えたくないのだ。金利が今後、3%程度上昇するとしよう。1000兆円の残高に対して、単純計算でも30兆円。消費税が現在10兆円程度の収入があるとして、仮に5%が15%に上昇しても金利上昇でチャラとなる。しかも消費税の増税は年金などの福祉関係にきえるわけであるから、当然、現在積みあがった債務の返済に回るわけではない。

 1-2年前には日本の破綻本がよく売れたが、今ではそれを気にしている人は少なくなった。しかしながら、日本の歴史を良く見ると債務によって破綻を何回も経験しているのだ。まずは第二次世界大戦直後、敗戦によってというよりも敗戦のドサクサに紛れて企業の戦時債務が棒引きされた。形の上では戦時の債務を国が支払った上で、その収入に対して100%の税をかけた。はっきりいって詐欺ですな。企業への債務はこうした詐欺的行為で帳消しにしたが、国民から集めた国債はそういうわけにもいかず、今度は預金封鎖という強制手段により購買力を大幅に縮小させた上に、折からのハイパーインフレにより、実質的な債務の棒引きを行った。資産家に対しては財産税を最高90%課したことで国民のほとんどが窮乏化することになった。戦時債務の名目額は変化しなかったものの、インフレにより実質的な価値は戦後10年でなんと300分の1に低下した。やっぱり詐欺ですな。

 関東大震災後の昭和恐慌においても銀行モラトリアムという形の強攻策がとられており、3週間の支払猶予令が発せられた。さらに遡れば、明治維新後の混乱も同じようなことが起こっている。武士に対して俸給を国債で支払ったことで国債価格が暴落。多くの旧武士が換金を焦ったことで価値が急落。結果的にインフレを招き、実質的な価値を棒引きする形になる。江戸時代にも同じことが起こっている。寛政の改革(1789年)時に松平定信が棄捐令を発布。当時の金融機関である札差(大名などに多額な債権を保有していた)に対し、6年以前の札差債権を無効として棒引きした。札差は一日にして118万両を失ったと言われており、これによりマネーサプライの激減、デフレが進行した。江戸時代前は徳政令が有名で結局、政府は時に極めて強攻策を取りうることを示している。

 結局の所、自分の資産は自分で守るしかないという結論ではあるが、人がまず考えるのは円資産を外貨資産に換えて保有するという手段である。ソ連崩壊前後ではロシアの人はドル資産をより多く保有しようとした。ブラジル、アルゼンチンなどの南米諸国でも同様である。外国債券や外貨預金であるが、国内で外貨資産を保有したとしても100%の資産防衛にはならない。アルゼンチンでは数度にわたり経済危機が発生し、1990年にいわゆる預金封鎖を実行し、強制的に国債に転換させられた。アルゼンチン国民はペソ預金からドル預金にシフトして資産防衛を図った。2001年に再度の経済危機が発生。政府はドル預金の引き出しを制限し、月額1000ドル以下の引き出しとした。それでも預金流出が止まらない状況に政府はついにドル預金をペソ定期預金に転換させ、しかも1年間の払い出し禁止。いわゆる預金封鎖を実行した。ようするに国内法に準拠する金融機関であれば通貨がなんであれいつでも財産は没収できるということである。

 すなわち、国内法に準拠しない、海外での銀行口座を保有することが資産ヘッジになるわけである。というわけで、実際に海外にオフショアの銀行口座を開設してみることにした。それによってその開設方法や解説にかかわる実際を体験しようと思う。


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