Bankの秘密基地

個人日記兼つれづれなるままに

セントラル警備保障株主優待

2010年05月31日 | 銘柄研究



 図書カード500円。1000株以上の株主なら1000円。10000株以上
だと5000円分もらえる。1万株だと900万弱の投資になるが、そこまで投資
したいかというと...それほどエキサイティングな会社じゃない。




この会社の株主構成を見ると筆頭株主がJR東日本。1997年に業務提携を結
んでから最大株主になっている。なんでなのかはよく分からない。業績は安定し
ている業態のはずなんだが、終わった期で2割の減益となった。トップラインの
減少が2%程度あり、販管費の増加でふたを開けると大幅な減益となってしまっ
たようだ。主力の常駐警備で5億円の減収。常駐警備の場合には人を常に抱え込
むので減収になったからといって固定費は簡単に減ってくれない。一方の機械警
備だが、需要は底堅いのか依然として伸びているがいかんせん単価が安いので
常駐警備の減少を補えていない。常駐警備の一件当たりの単価は25百万円だ
が、機械警備の場合は1件当たり19万円と桁が2つ違う。





 問題はこれからの話何たが、会社側計画では常駐警備がさらに落ち込むことを
予想しており、今期も7%の減益を予想している。契約先企業の業績が落ち込ん
で解約が増加しているらしいが、やはり経済の影響は大きいようだ。その中で会
社が期待しているのは羽田空港の拡張に伴う警備需要の増加だ。まあ、確かに空
港などでは当然必要だと思われるが、価格競争で敗れるという可能性もありこれ
ばかりに頼れないのも事実。また大型ビルが竣工すれば需要が高まるわけだが、
去年は、日本経済新聞社の新社屋、経団連新館、東京地家裁立川支部などを受注
したが、今年は羽田空港の国際築貨物ターミナルぐらいしか大型案件がない。と
いうわけで目先は株価的に良い話はあまりない。


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米軍施設はごみ処理場扱い

2010年05月30日 | Weblog

 普天間基地問題がこれほど大きな政治的な問題になるかと想定していた人がいるだろうか。
かく言う私も最初はそれほどのイシューになるとは想像していなかった。というよりも国の安全
保障というものに対して漠然たる気持ちくらいしかなく真剣に考える努力を怠っていたといわざ
るを得ない。普天間問題での政府の対応をニュースでみる限り、恐らく大部分の国民と同じ気持
ちだと思う。まず鳩山総理の言動の「軽さ」だ。麻生前総理はその言葉の軽さや「ブレ」を批判
されていたが、今の総理の言葉の「軽さ」は超がつく。

 いや、正確に言えば聞いていてこちらが赤面するような台詞を平気で吐くのはいただけない。
「沖縄県民の思い」という言葉を何度となく聞いたが、確かにそれも重要だろう。しかし、国民
に語るべきなのは国の安全保障をどうするのが最善かを語るの先決だ。県内、県外、国外だと移
転先を巡っていろいろと議論するのは結構だが、マスコミにその内容を披露しながら議論すべき
性質のものではないだろう。結局、問題の本質を見誤って選挙パフォーマンスの為に旧政権が10
年がかりでこぎつけた成果をひっくり返して、なんとかなると考えていた節がある。

 筆者自身は基地問題に関しては中立だ。というか情報が少なすぎて判断できずにいる。少なく
とも安全保障の観点からどのようにすべきなのかという複数の異なる立場の人間の意見が必要だ
ろう。それがない限り国民としても判断することが困難だ。

別段、旧政権の10年の努力を支持したり、正当化するつもりはないが、今のメディアの報道
ぶりやそのメディアでの政治家の発言を聞くとまるでごみ処理場か核廃棄物処理場などの
迷惑施設の移転場所で紛糾しているとしか見えない。国家の安全保障がごみ処理施設と同列
に語られるのであれば米軍も迷惑な話だろう。このような議論の矮小化によって一般国民の
反応も「迷惑施設問題」と認識してしまうのだ。

 安全保障上の議論は門外漢なのであまり詳しくできる資格も知識も持つあわせていないが
少なくとも客観的な事実を積み重ねて議論の土台だけでも構築しよう。まずは日本の現状だ
が、上図の通り日本には米軍基地が点在というよりも「集積」されていてアジア・太平洋地域
における一大拠点で、中曽根元首相がいみじくも言ったとおり「不沈空母」の体をなしてい
ると言っても過言ではない。いわずと知れた日米安全保障条約を礎石として現在の日本の
安全保障が成立している。安保条約上の米軍駐留の意義は防衛白書から引用すると「日米安保
条約では、第5条において、米国の対日防衛義務を規定する一方、第6条において、わが国
の安全と極東における国際の平和と安全のためにわが国の施設・区域の使用を米国に認める
こととされており、総合的に捉えると、日米双方の義務のバランスが取られている。」とさ
れており、片務的なものでないとしている。よく米国メディアから「日本を守ってやってい
るのに..」という言動がちらりと出てくるが、条約の性質上「米国は日本の防衛義務を負う
が日本は米国防衛の義務を負わない」ということからきている。



 「片務的」でない理由を推測すると、米軍が日本に一大軍事拠点を構えることによるメリッ
トが日本防衛義務を差し引いてもおつりがくるということだ。さきほどの文章によってもわ
かるが、米軍基地は「日本防衛以外に使用しても構わない」というのが最大のメリットで、
アフガニスタンやイラクへの兵站基地に利用されてていることからも理解できる。また、冷戦
時代には旧ソ連に対する防波堤としての役割があり、冷戦終結後も中国に対する防波堤であ
り続けている。日本の軍事拠点が消滅すれば防波堤は米国西海岸まで後退してしまう。
(ハワイ、グアム、サイパンは軍事基地として利用できても日本のように生産力がないこと
から「砦」程度の役割しか果たさない)このように日本はいわゆる「地政学的に見た極めて
重要なメリット」を保持している。このような考え方は中国が北朝鮮を支援する理由と重な
る。中国にとって共産政権である北朝鮮を挟む形で米軍と対峙しており、緩衝地帯としての
役割を果たしており、政権崩壊はなんとしても防ぎたいのが本音だ。



 議論があまりにも錯綜していることから、一体どこから手をつけてよいのか分からなくな
るが、少なくとも安全保障のコストと便益については有効だろう。安保条約の意義や政治的
な価値という点はどうしても主観的になりがちで客観的な議論が保証できない。一方、コスト
面からの議論は一つの道を示すことは可能だ。日本の防衛予算は5兆円程度でGDPの1%
程度になっている。一方、米軍駐留のコストはどの程度なんだろうか。実はこれが意外に
厄介な問題で網羅的な統計がない。よく言われているのは「思いやり予算」といわれるもの
でこれは直近の数字で2千億円弱の数字となっている。この数字でみる限り米軍駐留コスト
は意外に安いなという印象を受けるがこれは基地のランニングコストの直接負担分のみを
だしている数字でトータルのコストとは言えない。




 在日米軍駐留経費負担は実は防衛予算に含まれており、さきほどの5兆円弱(正確には
4兆7千億円)の中に入っており日本の実質的な防衛予算はこの分を差し引く必要がある。
上記のグラフと表は円グラフが思いやり予算そのものの数字で下の表は防衛省関連予算を
しめしており、基地対策費に入っている思いやり予算とSACO関係経費、米軍関係経費
を加えると防衛省予算における駐留経費が算出できる。コストが2千億円を下回るだけな
ら確かに「安い買い物」じゃないかと思えるが、本当にこれだけなんだろうか。しかし調
べていくといろいろなものが出てきた。米軍の基地というのは必ずしも国有地に立地して
いるわけではなくて、中には私有地に建っているケースがある。



 上記の表を見てもらうと分かるとおり米軍基地は日本で10億28百万平方メートルの
敷地を利用している。国土面積でいけば0.3%。これが多いか少ないかという議論はとり
あえずしない。内75%は国有地で25%が民有地、自治体所有地などになっている。これを
沖縄に限ると国有地は35%しかなく、残りが民有地・自治体所有と逆転する。沖縄問題の
難しさはこのような所有者構造が本土基地と異なっている面も否定できない。
因みに硫黄島は一般人立ち入り禁止になっているが、実は民有地に自衛隊の基地があり、
国は借地料を地権者に支払っている。では米軍基地の借地料はどのくらいなのか。



 この金額がどの程度かといえば直近ベースで1194億円。内訳を見るとやはり沖縄
が圧倒的で900億円になっている。地主は47千人に上っていて、既に金融商品と化
している。思いやり予算に加えると3100億円となるが、それでもまだ安い印象を得る。
因みにこの借地料は事業仕分けでも議論されたが、満額通った。まあ、条約で決められて
いて勝手にカットするわけにはいかないだろう。

所有構造が何故、コスト面での問題になるかといえば、米軍が民有地を使用しても米軍は
借地料はおろか固定資産税も支払ってくれない。地方税法の臨時特例にの適用によって
地方税を課すことができないようになっている。米軍の所有する固定資産には固定資産税
や都市計画税を課することができず、また住民税や市町村税も非課税となっている。一方、
基地外に居住する軍人・軍属やその家族については、一般住民と同様に道路・水道・ごみ
処理・し尿処理・消防等の公共的サービスを市町村から受けている。国は損失を補填する
為に基地交付金(国有提供施設等所在し町村交付金)、調整交付金(施設等所在市町村調整
交付金)を支払っている。



 国が補填しているということはそれは最終的に国民の税でまかなっているわけだから、
これもコストに入れる必要がある。ではどの程度の金額なのかということだが、その数字
は上記の表の通り、米軍基地対策費として交付金総額で325億円、351市町村を対象
に支払われている。注意すべきなのはこの交付金だが、防衛関連予算ではなく総務省の
予算からでている。思いやり予算ばかり取り上げられるが米軍駐留経費は総務省からも
でていることになる。金額だけをみるとそれほどの金額に見えないのだが実はこれもカラ
クリがある。交付金の算定根拠が地方自治体に不利になっている。

基地交付金は
① 基地交付金の総額の10分の7に相当する額を市町村に所在する全対象資産の価格の合算
  額にあん分した額。
② 基地交付金の総額の10分の3に相当する額を対象資産の種類及び用途、 市町村の財政的
  状況等を考慮して、 特に必要があると認められる市町村に対して総務大臣が配分した額。
とされ

調整交付金は
① 調整交付金の総額の3分の2に相当する額を、各市町村に所在する米軍資産の価格を基礎
 として総務大臣が配分した額。
② 調整交付金の総額の3分の1に相当する額を米軍関係の非課税措置による影響、その他
 市町村の財政状況を考慮して総務大臣が配分した額。



と決められている。一体何をいっているのかよく分からないが、簡単に言えば予算が最初に
決まっていて、それに合わせて配分している。しかも客観性が担保されているとは必ずしも
言えない。何故こんなことになるかといえば、やはり国民負担になるわけだから国としても
最小限にして影響が出ないようにしたいという思惑がある。即ち、一部のつけを地方自治体
に回しており、基地周辺住民が経済的な負担を加重されているといってもいい。国の算定す
る補填額は自治体が想定する固定資産税、住民税などの代替に遠く及ばないことは基地所在
自治体が国に増額要望をだしていることから推し量られるが、問題は実際にどの程度なのか
という詳細な検証がほとんどなされていないことだ。実は神奈川県の相模原県議会議員の
金子豊貴男氏が自主論文なるものを発表しており、それによれば相模原市の交付金の実際の
額(2005年度)は10億9700万に対して、市が算定した固定資産税相当額は45億
円。差額の35億円が機会損失となっているとしている。住民税を入れたらどうなるかは
不明だが、仮に国が4分の1しか支払っていないとすれば本当のコストは1300億円程度に
なり、思いやり予算と加えると4500億円の経費を負担していることになる。

 それでも駐留経費が4500億円位ならまだ安いという気もするのだが、いわゆるコスト
というのは必ずしも目に見えるものが全てではない。「見えないコスト」もちゃんと計る
必要があるだろう。探してみるとやはりあった。これも考えてみれば当たり前の話なんだが
改めてみるとそのコストは意外に大きいことが分かる。米軍が駐留しているということは、
米軍が実施する訓練も現地で行うことになる。軍隊が駐留して何もしないなんてことはあり
えない。戦争が起きていないときはやはり訓練をすることになる。それが軍隊の「仕事」な
のだから。




 訓練域というのは陸上・海上・空域と幅広い。陸上での訓練は実は自衛隊と共用となって
いるケースが多い。一方、訓練海域と呼ばれるものが沖縄周辺にある。図がそれなんだが、
調べてみて驚いた。有名なのはニュースでも報道された「ホテル・ホテル訓練海域」で、な
んか変な名前なんで覚えている。何故有名かといえば、現在沖縄県や漁協が同海域の一部
返還を求めている。沖縄から約50kmの海上の領海・公海上に2万842平方kmの広大
な訓練海域が設定されている。訓練期間中には船舶の立ち入り禁止、船舶の停泊、係留、
投錨、潜水及び網漁業並びにその他すべての継続的行為の禁止等の制限・禁止が行われてい
る。これは漁業だけでなく、訓練海域における資源探査も実質的に禁止されることを指して
おり、資源小国日本の海底資源探査を断念することはある意味で見えないコストを支払って
いると考えるのが妥当だろう。

 しかしこれで驚いてはいけない。先ほどのホテル・ホテル訓練海域は図の右上の部分だが
それを上回る訓練海域がさらにある。インディア・インディア訓練海域は2万3399平方
km、マイク・マイク訓練海域が9512平方kmとこの2つだけで3万平方kmを超える。
沖縄周辺には訓練海域が29設定されており、合計すると5万4940平方kmとなる。
どの程度のものか想像が難しいが日本の国土が37万平方kmだから国土の14.5%にあ
たる面積の水域が米軍の訓練に供されていることになる。これによる経済的な機会損失がど
の程度あるのかという検証スタディはない。船舶の立入りが禁止されるわけだから、漁業に
は確実に影響があるだろう。海洋国家として重視したい海底資源開発も断念せざるを得ない。
いつも不思議に思っていたのだが、欧州では北海油田だとか、ベトナム、ミャンマーなんか
でも海底油田だとかいろいろと資源開発されている一方、四方を海に囲まれている日本では
とんと資源開発の話を聞かないのはなぜだと不思議に思っていた。その理由として米軍に供
される広大な訓練海域が影響しているのではないかと疑うのは考えすぎなのだろうか。

 在日米軍はアジア最大の空軍力を保有している当然のことながら訓練する空域も必要となっ
てくる。全国の数字はどこかにある筈だが沖縄の数字しか取れなかった。それによると沖縄
周辺だけという前提でいけば設定されている訓練空域は9万5415平方km。訓練海域と
合計するのは適切ではないような気もするがあわせると14万平方kmとなる。面積ベース
で日本の面積の4割くらいになるが、この比較は適切とはいえないだろうが、それでも広大
であるということはいえる。訓練のための空域が必要であるなら、それを管制する必要がで
てくるわけで、そこで出てくる問題は米軍管制空域の問題だ。



 横田空域は横田ラプコムとも呼ばれ1都8県にまたがる広大な空域で米軍が管制している。
民間機も通れることにはなっているが、基本的には民間航空機は横田空域を避けて飛行をし
ている。その経済損失がどの程度になるのかという検証スタディも存在しない。とはいって
もこんな巨大な空間が米軍管制下に置かれ、民間機がほとんど利用できないわけだから、
経済的な損失が発生していないわけがない。




見えないコスト負担に関する検証は全くといっていいほどされていないし、その経済的な
コストがどの程度か推測することも難しい。昨年9月にに横田ラプコムの一部返還が実現
し、それによって民間航空機の飛行短縮が実現した。それによる効果は国土交通省の推計
によれば以下の通りになった。

・羽田空港から西方面への出発機の飛行時間が短縮され、燃料、CO2及び経費を削減。
・経済効果は約98億円/年、環境改善効果は約81,000tCO2 /年。
・飛行短縮効果は平均で3分



 一部返還で98億円なら全部返還でどのくらいになるんだろうか。このように考えると
見えないコスト分は見えているコストをはるかに上回っている気がする。見えないコスト
が見えているコストの同程度とすれば全体コストは1兆円弱になるがもしかしたらそん
なところかもしれない。在日米軍は32千人と自衛隊よりも人数は少ないが、自衛隊と同
じ施設面積、その自衛隊をはるかに凌駕する訓練領域を使用している。自衛隊のコストが
4兆円程度とすると在日米軍の駐留負担経費が1兆円程度あってもおかしくはない。但し
もっと精密な検証が必要だろう。

 なんかこんな風に書いていくと迷惑施設にしか聞こえない在日米軍だが、本質的な問題は
一体米軍駐留のコストがどの程度なのかという正確な数字がないのが問題だと考える。
政府もそれを怠っているし、思いやり予算の2千億円で済んでますという程度の説明では誰
も納得しない。安保条約の便益について語るにしても正確なコスト分析があって初めて判断
されるものだ。米軍には撤退してもらって日本が核武装したって構わないが、ではその場合
コストがどの程度で便益はどうだという話になるだろう。現状を維持すればこのくらいと初
めて比較可能になり、安全保障に関する国民の議論ができる。現在の安全保障を巡る迷走は
必要とされる情報の開示がなく、またその情報の収集・検証すらしていないことから起こる
べくして起こったと考えてもいいだろう。


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ジャパン・ホテル・アンド・リゾート株主優待券

2010年05月29日 | 銘柄研究


JREIT初の株主優待。想像できる通り、宿泊優待券で正規料金の5割引券
だ。宿泊割引券5枚、レストラン20%割引券が5枚の計10枚。有効期限は
2012年5月31日までの1年間となっている。対象ホテルは当然ながら
保有資産である神戸メリケンパーク オリエンタルホテル、オリエンタルホテル
東京ベイ、なんばオリエンタルホテル、ホテル日航アリビラ(アリビラスイート、
ロイヤルスイートは対象外)、オリエンタルホテル広島の5ホテル。しかし
使う予定ないなぁ。

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サンヨーハウジング名古屋株主優待

2010年05月28日 | 銘柄研究



 なんでこの銘柄持ってるんだろう。優待はクオカード3000円分で5株の
保有が必要なので、単純な利回りでは0.74%。あまりたいしたことはない。そ
れよりも本体の配当利回りが4.4%ある。名古屋の住宅メーカーで、あまりエキサイト
しないけれど自己資本48.4%、RoE12.5%(今期予想ベース)、PBR0.7x
と数字的には悪くない。今期計画は営業利益39%増益、経常利益も38%増益
を予想。



 株主優待狙いでは投資してもしょうがないんだが、悪い会社じゃないし、
ディスクロもいいんでとりあえず持っているが、今後の市場の縮小を考えると
もう少し戦略的な動きをしてほしいところだ。といってもいきなり海外展開と
か考えられないし...

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日本リテールファンド(8953)

2010年05月27日 | 国内上場REIT


 ラサールジャパンとの合併を3月1日付けで行ったので今回の決算は合併前の数字に
なっている。従って合併に伴う影響などの分析は困難だ。従って今回は合併ポート
フォリオについて検討してみたい。今回の合併によって当法人は72億円の負ののれん
代が発生し、コアとして受け入れた商業用不動産意外は全て売却する予定である。コア
アセットとして受け入れたのが上記の図にある3資産でイオンモールむさし村山ミュー、
イオンモール神戸北、ラ・ポルト青山の3つで鑑定評価ベースで556億円の資産取得
を行ったわけだ。一方で受け入れた資産878億円から差し引いた残りの資産に関して
は売却することになる。



 まず鑑定評価に関してはいくつかのことが指摘されるが、最初に指摘すると
すれば、ラサールの鑑定評価が10月末に対して、合併に伴う資産の再鑑定評価
は12月1日現在を基準としている。これが何を意味しているかというと11月
のわずか1ヶ月間で鑑定評価が17%、金額にして184億円下落したことだ。
なんでこんなことがおきたかといえば実はからくりがあって、鑑定評価人が変わっ
たことがその理由だ。

 もう一度表をみてみるとラサールで利用されていた不動産投資研究所、中央不
動産鑑定所、大和不動産鑑定、CBリチャードエリスの4社が利用されていたが、
CBリチャードエリスを除く3社が外れ、谷澤総合鑑定所の2社で鑑定評価が
行われている。資産の大部分をCBリチャードエリスが鑑定し、谷澤が鑑定した
のはラ・ポルト青山、西野ビル、リーフコンフォート新小岩の3件のみだ。CB
リチャードエリスが従来から鑑定していたのはイオンモールむさし村山ミュー
とイオンモール神戸北の2つでこれらの鑑定評価は変化がない。流石に1ヶ月で
鑑定評価を大幅には下げられなかったんだろうが、それにしても一物多価にも
ほどがあるんじゃないかというほど変化している。



鑑定価格が大きく下がった理由としてはリテールファンド側が商業施設を除いて
基本的に全部売却するからだろう。CBリチャードエリスの方がより保守的に
評価したとは到底思えない。むしろ、顧客の希望に合わせて鑑定評価を売却可能
時価に近づけたんじゃないかという疑念が強く残る。でなければJRFで鑑定
評価している大和不動産鑑定を排除する理由がわからないし、JRFが最もよく
利用している日本不動産研究所を使わなかった理由もよくわからない。大和を
使わなかったのは、数字が変わらないからで、日本不動産研究所を使わなかった
のも数字がほとんど変わらないものになると困るから?

 ここからは推測の域をでないが、JRFは合併対価として152億円の新株
を発行し、簿価ベースで1199億円、鑑定評価前純資産ベースで540億円
を得る。買い叩いたと批判を免れるためにのれん代を小さくしておくとか、ま
たは10月鑑定価格を受け入れて仮に負ののれん代が増えても売却するさいに
損失が大きくでて、経常利益ベースでマイナスになったりするのは見栄えが悪
いと思ったのか。受け入れた帳簿価格が高ければ負ののれん代が大きく出てネット
ベースでは変化はないがやはり営業・経常段階のマイナスはかっこ悪い。
一番有力なのは時価ベースで受け入れて損失が出ないようにして負ののれん代に
関しては既存の含み損対策に利用する。説明会動画でもそんなことを言っている
ので恐らくそれなんだろう。

 ふと考えるのだが、鑑定評価を市場価格に近づけるのは個人的に意味ある
ものと思うが、いままでそれをしてこなかったばかりか、既に保有している資産
のマークダウンはせずに受入れ資産だけを近づけるのは何故だ。簿価が高くても
負ののれん代が増加するだけで売却と同時にオフセットされるだけじゃないのか
とも思えるのだが。どちらにせよ「鑑定評価」なるものの経済合理性が問われる
んじゃないかと思える事象だが、特に誰も疑問に思わないのは何故だろうか。

 以前にも鑑定評価に関する疑問を投げかけたが(オリックス投資法人のコメント
参照)、このように鑑定評価自体が安定しない。指標性としての信頼性を欠くと
いろいろと都合の悪いことが起こる。第一にREITが発表している鑑定価格と
帳簿価格との差である「含み益」の信頼性だ。



合併によって顕在化した鑑定価格の摩訶不思議さだが、海外の鑑定価格のほうが
より現実に近いんじゃないかとも思える。鑑定評価機関の問題なのかそれとも鑑定
を依頼する顧客サイドであるJREIT側の問題なのかは分からないが、公正な
時価(といって市場価格ではない)は長期的にはその価値に収斂するとの主張は
一定の理があるとしても投資活動や経済活動に役に立たない価値測定は本当に必要
なんだろうか。どちらにせよ合併後の決算でどんな数字や戦略がでてくるのか注目。

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HSBCインターネットバンキング

2010年05月26日 | グローバル投資
 海外口座を持っていて安心しきってしまうと、トラブルに見舞われるときがある。
HSBCに口座を開設して最初はいろいろと利用はしていたが、しばらくするとほとんど
アクセスすることがなくなった。BOOM証券は利用していたので特に気にしてい
なかったが、ふと口座にアクセスしてみようかと思ったら、何故かできなくなって
いた。あれっ...なんでだ。セキュリティデバイスもあるので安心していたので一体
何が起こっているのかはじめは理解できなかった。



因みにセキュリティデバイス(セキュリティトークン)は日本でもジャパンネット銀行
とか野村證券、メガバンクなどで利用され始めているものだ。メガバンクは有料だが、
ジャパンネットバンク、野村證券は無料で私も持っている。何度もアクセスしてログオンが
失敗すると今度は口座自体ロックされてしまうので2回以上続けてログオンできない。アクセス
できなくてもStatementが送られてくるので残高確認はできるので、しばらく放置していた
が、この前HSBCからレターが来て、Statement送付をやめて全てインターネットで
照会すると決めました云々が書かれてあった。このままでは残高も照会できなくなって
しまうので香港に電話することにした。単に面倒なだけだったが、理由は判明した。
要するにインターネットバンキングのアクセスが1年以上ないとアクセス自体がロック
されるようだ。セキュリティの為、なんだろうが過剰じゃないか。因みに設定していた
BOOMへの自動入金設定もリセットされてしまった。利用がないからが理由だが、ユーザー
に断りもなくリセットするなと言いたい。



まあ、確かに長期間利用していない場合、自動的にロックしてしまえば、その間に誰か
が悪用しようとしても本人が解除しない限りアクセスできないんだから安全といえば
安全なんだけど。不便だ。本人の便宜というより会社を顧客からの訴訟リスクから遮断
するのが目的なんじゃないかとも思える。愚痴をいっても仕方がないので電話をかける。

オペレータ「はい、オペレータのxxです。本日はどんな御用ですか」
私 「インターネットバンキングにアクセスできません。セキュリティデバイスもある
   のに。どうやら口座がロックされているようです。」
オペレータ「では口座番号をどうぞ」
私 「***********」です。
オペレータ「........ あの、口座の種類はなんでしょうか」
私 「SmartVandageですが...」
オペレータ「あっ、それでしたら****-***-****におかけ直しください。この電話は
      premier customer専用となっています」
私 「ああ。そうなんですか。分かりました」

 レターに書いてある番号に書けたつもりだが、違う番号にかけたようだ。よく見ると
電話番号がいくつか書いてある。PremierとAdvanceの番号と「other」が書いてある。
要するにSmartVandageは「その他の顧客」らしい。因みにPremier Customerの場合には
残高100万香港ドル(12百万円)が必要。銀行預金に10百万なんか置けるか。アホらし
い。その番号にかけなおすと、今度はなかなかでない。さっきのpremierの場合には直ぐに
オペレータがでたが、しばらく待つと「現在、ラインが全て埋まっています。しばらく
お待ちください」とでる。流石「その他の顧客」対応だ。5分くらい待っているとよう
やくオペレータがでた。長い。でもパソコンの修理依頼と比べれば100倍ましだけれ
ども。同じことをオペレータに告げる。英語なんだけど、なんだか聞きづらい。香港の
人の英語は慣れているつもりなんだけど、よく聞き取れない。やはり「other customer」
だからだろうか。中国訛りというわけでもなく、なんというかとにかく聞きづらい。

オペレータ「それでは本人確認の為にいくつかお聞きします。生年月日をどうぞ」
私 「*******です」
オペレータ「パスポート番号をどうぞ」
私 「登録したパスポート番号ですよね。新しいのと古いのどちらでしょうか。」
オペレータ「両方お願いします」
私 「*********が古いほうです。********が新しいほうです」
オペレータ「................をどうぞ」
私 「えっ。分かりません」
オペレータ「............です。...の裏です」
 このオペレータの英語が本当によく分からない。英語力落ちたかな。しばらく使っていない
からか? でも話していくとセキュリティトークンの裏の番号を言えといっているのが分かった。
私 「**************です。」
オペレータ「それではこれからリセットしますので5分たってからアクセスしてください。」
私 「ありがとう」

しばらくしてアクセスしてみると。入れた。それにしてもセキュリティの為といっても
あまりにもユーザーフレンドリーではない。その意味では日本のインターネットバンキング
は進んでいる。

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東急レクリエーション株主優待

2010年05月25日 | 銘柄研究


東急レクリエーションの優待が従来の優待券からカード方式に変更された。
オークションの換金売り防止策だと思うが、なんだかなぁ。そこまでする必要
が本当にあるのか疑問だ。混んでいる日はなるべくいかないようにしているし、
むしろ優待券で人を呼び込んでパンフレットや飲料の販売を増やすほうがメリット
あると思うんだが。来ない人はやっぱり来ないし、優待券ほしい人は別の優待券
をオークションで落札してくるわけだから、努力してもむしろマイナスだと思う
んだが、それも分かっていないようだ。ポイント制になって実際に利用してみたが
カードのバーコードを読み込んでポイントの管理をする。そのバーコードリーダー
の設置費用自体馬鹿らしいと思うのだが。

優待を除く企業としての評価ははっきり言って悪い。利益率低い。成長力が
ない。配当低い。かといって配当性向が低いわけでなく、要するに資本効率が
悪い。昨年度は「アバター」「レッドクリフ」「エヴァンゲリオン」などがそ
こそこ良かったがそれでも利益は2億を超えない。

 一番の理由は償却が重いのでヒット作がなくなって売上げが落ちると赤字に
なりやすいからだが、それでなるべく優待客を抑えようとする方針に転換しがち
だが、本質的に間違った方法ではないか。まず人が集まらなければ何も始まらない
パンフレットを買ってくれるかもしれないし、飲料を買ってもらえるかもしれない。
人が集まればいろいろなことが考えられるのに。特に平日はガラガラで、そうで
あるからどんどんさびれていく。



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福岡リート(8968)

2010年05月24日 | 国内上場REIT


 決算が発表されたので再度、レビューを試みる。決算は全般的に見て健闘しているという部類
に入るだろう。売上げ、利益は横ばいであるが、稼働率は前期比と比較して0.3%上昇している。
また、商業部門が当法人の中核的なポートフォリオであるが、商業部門の稼働率は極めて高水準
を維持した。オフィス部門は空室率が高いもののそれでも95%台を維持している。福岡市の平均
空室率は13.9%となっているのと比較すると極めて高い稼働率と評価することが出来る。
保有物件数は16件と前期と変わらず、運用日数が181日と前期と比較して3日少ないが、売
上げが19百万円増加、経常利益は2百万円増えていることから、実質的には増収・増益決算で
あったと評価しても良いだろう。


 稼働率は今述べたとおりだが、ブレークダウンした稼働率表を見ると興味深い。昨年から経済
が回復し始めたといっても商業部門は前期から100%稼動を達成している。当法人の商業部門は
アクティブ、パッシブの2つに分かれていることは以前述べたが、繰り返し説明すると、アクティブ
商業とはキャナルシティなどの大型商業施設が中心でかつ賃料収入に関して売上げ歩合収入を含む
物件を指し、キャナルシティ博多、パークプレイス大分、サンリブシティ小倉の3物件がそれに
当たる。一方のパッシブとよばれるものは固定賃料契約が主体で解約・賃料減額が不可になって
いる長期の定期借家契約を締結しているもので、仮に解約の場合には違約金が発生する契約になって
いるものと推測される。スクエアモール鹿児島宇宿、熊本インターコミュニティSC、久留米東櫛原
SC、原サティ、ケーズデンキ鹿児島本店、花畑SCの6物件がそれに該当する。




 営業損益面では商業施設部門はマイナス寄与になっており、実はオフィス部門のプラスが全体
のプラスに寄与している。稼働率はフル稼働を維持しているが、キャナルシティの歩合賃料の増加
とパークプレイス大分のマイナスを単純に加えると30百万円のマイナスとなっている。一方、
東比恵ビジネスセンターのフリーレントが終了したことで99百万のプラスでオフィス部門の賃料
減額分を合わせて54百万のプラスとなっている。但し、元々の予算では東比恵のフリーレントは
予想前提に入っており、商業施設のマイナス分を多く見積もっていた分、「上方修正」になって
いる。

営業キャッシュフローでは3150百万円と前期の2338百万円から811百万円の増加になっ
ているが、利払低下分32百万円を除けば季節要因と消費税還付・前払い費用の増減が主体で、
特段の変動はないと考えられる。投資キャッシュフローで前期で東比恵取得が完了したことで
今期はマイナスが大きく減少。全体として現金等価物の残高は10億弱の増加になっている。

(鑑定評価)


 鑑定評価は5億円の低下。ポートフォリオに対しては0.4%の低下とあまり下がっていない印象
だが、鑑定評価は「売却可能時価」でないことに注意する必要がある。またキャナルシティ、大分
呉服町、赤坂門でキャッシュフロー要因による鑑定評価の低下がみられるが小倉、鹿児島で上昇、
その他の物件では鑑定評価の低下がみられなかったというのは意外感がある。というか本当にそれ
でいいのかというのが印象だ。その違和感がどこから来るかといえばやはり最近の地価動向調査で
見ても下げ止まっているという印象がないからだ。下の図に3月に国土交通省から発表された地価
公示の地域別総括表を載せているがやはり九州圏でみても下落傾向は変わっていない。

含み損益でみると89億円の含み益となっているが、平均キャップレートは6%台。地方のキャッ
プレートで6%が適正なのかは意見が分かれるところだが、九州のプライムロケーションにある
物件であることからまあよしとするか。それと含み損益があるかないかというのは実はそれほど重要
でなく、ポートフォリオの入替えをほとんど必要としていない当法人にとっては融資が安定してさ
えすれば単なる参考情報の位置づけにしかならない。



 金融機関からの借入れが安定していれば、無理してポートの入替えをせずにすみキャッシュフロー
は安定する。内部成長に注力することができることから配当も安定する。実際に当法人の金融機関
との関係は極めて良好である。運用会社である福岡リアルティにはメインの福岡地所が5割出資し
ている他、福岡銀行、西日本銀行、日本政策投資銀行が各5%出資しており、そのスポンサー行の
3行からの融資が5割を超えている。スポンサー行がメインバンクになっているわけだから安定性は
抜群だ。


 それほど問題点がなさそうに見えるが、少し気になった点がある。それはキャナルシティ博多の
SPCである有限会社シーシーエイチブリッジへの優先匿名組合出資分の追加出資だ。金額は30億
円、配当上限は6.5%と表面上は問題がないように見えるが、従来の優先出資分34億円に30億円を
追加取得する。下の図を見ると持分が増えたわけだが、総資産が増えておらず、負債が減少してい
る。要するにレバレッジを下げるための増資だというのがわかる。従来の持分34億円に対して年間
ベースの出資配当が268百万円で7.8%。今回の出資配当上限が6.5%になったということは明らかに
デレバレッジによるリターンの低下があることだ。法人側の説明は「キャナルシティ博多(全体)
の魅力の維持向上につながる一体運営を維持」となんだかよくわからない説明をつけているが、な
んのことはないSPC側のレバレッジ水準に警戒的になった金融機関をなだめるために増資して
レバレッジを下げたんじゃないかという憶測も成り立つ。それならそうと説明すれば良いのだが、
まあ無理か。「レバレッジ下げました。配当のリターンは下がります」という説明をしにくいのは
確か。



 それでもファンタメンタルズが良好なのは変わらない。今期予想に関しても保守的な予想で恐ら
く、上の水準で着地すると考えられる。株価はだいぶ戻ったんでディスカウント状態はほとんど
解消してしまったが、長期保有という観点では満足できる銘柄の一つ。

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子供手当てを再度考える

2010年05月23日 | Weblog


 子供手当て創出に関する法律が議会で通過して子供手当ての支給がいよいよ6月に
迫ってきた。これから手当てに関してメディアでいろいろと取り上げられることに
なりそうだが、依然として同手当てに関して疑問を持つ筆者は改めてその意義をレビュー
してみよう。別段、筆者に子供がいないからひがんでいるということでなく、なにか
釈然としないものが胸につかえているという気がしてしようがないのでこの正体を
自ら確かめるという試みでもある。まずは概要を見てみよう。今年度は半額であるが、
子供手当て総額で1兆2230億円でその財源は全て国費だ。従来の児童手当との違いは
なんといっても所得制限がないこと。これによって児童手当の欠点を改めるのが目的
とされているが、厚生労働省の趣旨説明を見てみると

* 子ども手当は、次代を担う子どもの育ちを社会全体で応援するという観点から
   実施するものです。
* 子ども手当の創設の背景としては、少子化が進展する中で、安心して子育てを
   できる環境を整備することが喫緊の課題となっていることがあります。特に、
   子育て世帯からは、子育てや教育にお金がかかるので、経済面での支援を求め
   る声が強いという状況にあります。
* 他方、子育てにかける予算でみると、先進国の中で日本はGDP比で最も少ない国
   の一つとなっています。また、合計特殊出生率もG7諸国中最低となっています。
さらに、少子高齢化が進展し、現在は、3人の現役世代で1人のお年寄りを支え
   る形になっていますが、2055年には1人の現役世代で1人のお年寄りを支え
   る状況となることが見込まれており、思い切った対策を講ずることが求められて
   います。
* こうした状況も踏まえ、子ども手当については、子育てを未来への投資として、
   次代を担う子どもの健やかな育ちを個人の問題とするのではなく、社会全体で
   応援するという観点から実施するものであり、子どもを安心して生み育てること
   ができる社会の構築に向けた大きな第一歩であると考えています。

 なるほど高尚な理念に裏打ちされているなぁ..などとは全く思わない。どちらかと言
えばとってつけたような理由じゃないかとも思える。厚労省の資料でいかに日本の子供
関連手当てが少ないかという資料が下の図だ。



 ほう、やはり日本は低いのか。などと感心しても仕方がない。この図のレトリックは
英語でよく言う「りんごとみかんを比較する」(compare apple and orange)と同じで
比較するのがあまり適切でないものを比較している。比較に出されている欧州諸国は
全てVAT(付加価値税)が2桁。それも20%近い国ばかり。カナダの付加価値税は日本
と同じく低いが、それに呼応してやはり関連予算は低くなっている。要するに「みんな
で育てよう」という気があるなら「みんなで負担」しなくては意味がないということ。
消費税論議を封印して少子化だ、格差是正だと言っても肝心の負担について先送りする
事自体むなしい議論というべきだろう。

 一方で廃止される児童手当の問題点は一体なんだろか。少子化対策として機能してい
ない? それとも制度的な不備があるのだろうか。申請が容易に通らないとか、本当に
必要としている人たちに手当てが行き渡らないのだろうか。それでは過去の児童手当の
支給実態を見てみよう。それが下の表だ。



 当初、児童手当の実態を相当厳しいものと考えていたが、データを見てびっくりした。
平成10年度の受給者は198万人。それが19年度には929万人と4.6倍。支給対象児童は10
年前には220万人だが、直近では1297万人と5.8倍。支給額は6.5倍。大盤振る舞いじゃ
ないか。いくら経済環境が悪くなったといってもこの数字からは申請すれば即支給と
いう状況を物語っているのではないか。所得制限があるので別段それが悪いという意味
では言っているわけではないが、児童手当は経済環境の悪化に伴って十分な再配分機能
を維持しているのではないか。それを所得制限を取っ払って全員に「薄めて」ばらまく
以外の意味が子供手当てにあるのだろうか。それにしても900万人という数字は一体ど
の程度の水準なのか見当がつかない。とりあえず人口統計からその水準を推測してみる。

 その前に児童手当の支給要件を見てみよう。児童手当は0歳から12歳到達後の最初の3月
31日までの間にある児童(小学校終了前の児童)を養育しているものに支給される。
国籍条項はなく、外国人でも受給できるが所得制限がある。



 児童手当は扶養親族の数などでも変動するが、仮に子供2人とするとサラリーマンで
所得で600万以下になる。これをベンチマークにして国税庁の民間給与実態統計調査から
切り出すと上の表にあるとおりだ。直近分では所得階層600万以下では全世帯の79%
に該当する。仮に700万とすれば85%の層が対象になることになる。一方で人口統計
で対象となる児童がどのくらいいるかを見たのが下の表だ。



 これでみると児童手当対象となる人口は直近で1476万人に上る。一方で実際に受給
対象になった児童数が1297万人。88%にあたる児童が実際に受給している計算と
なる。なんだ、ほとんど全員にばらまいてるじゃないか。結局、子供手当という看板に
架け替えただけなのか? というより、あまりにも支給対象が多いのが腑に落ちない。
さきほどの表からすると給与階層別に所得が600万以下の世帯は79%だ。それに対
して対象全児童の9割近くが受給している。600万以下の世帯全てが子供持ちでもない
限りこんな数字にはならないんじゃないかという気もする。言いたいことは、この10年
で爆発的に伸びた児童手当の支給に関してどの程度の「不正受給」があるのだろうかと
いう疑問だ。ないと思いたいが独身世帯は対象となる所得階層に必ずいるはずだし、
子育てを終えて年金生活に入っている所得600万以下の年金生活者は統計的に考えて
も10-20%は入っているはずなんだが、数字的には600万以下は全て子育て世帯みたい
な感じにも見えるのは何故だろうか。


65歳以上で世帯を形成しているということはいわゆるリタイア層で、年金生活をしてい
ると推定される。年金は標準的に金額でみると上の図の通りになるが、どんなに高くもら
ったとしても500万以上支給されることはない。要するに先ほどの所得階層別世帯の中
にはほとんどの高齢者世帯(家族との同居を除く)が含まれている。ではどの程度いるかと
いえばこれも統計から分かる。単身世帯と合わせると1440万世帯。600万以下の
階層は3661万世帯。当然、リタイア層は児童手当とは無縁のはずなのでこれを差し引く
と2221万世帯が対象となる。独身世帯や子育ての終わった世帯がどの程度いるか不明
なので正確なことはいえないが、単純に割ると1世帯あたり0.58人。むむむ。それほ
ど不自然ではないか....

 それでも、子供人口の9割が受給しているという事実は統計的にも不自然さを感じる。
例えば、先の階級別所得階層表を眺めてほしい。600万以下でとりあえず切ってみ
たが、600万超の所得階層を合計すると29.9%の世帯がある。数にすれば926万
世帯(正確には1世帯で複数の人が申告しているケースがあるが便宜的に1世帯とカウント
する)いるわけだ。12歳以下の子供の9割は600万以下の世帯に集中していて、残りの
3割の世帯には子供は1割しかいない計算になる。あまりにもアンバランスに見えるのは
私だけだろうか。所得のごまかしとかやり方はいろいろあるんじゃないかとは思うが、手当て
の適正な支給をめざす方がさきなんじゃないかとも思えなくもない。

(第2の疑問)

 次の疑問としては「外国人の受給」に関する疑問だ。これも調べてみると何がなんだか
分からない。
 しかし、厚生労働省のHPには「次代を担う子供たちを社会全体で応援」と書いてあ
るし、また「少子化の進む日本で安心して子育てできる」とうたっている。でも、外国の
人も入るの? 疑問の本質はいたって簡単で「一体誰の為の支援なのか」という一点に
つきる。社会全体とは日本社会を示すのか、世界全体の社会を示すのか。次代を担う子供
とは日本人の子供なのか、日本に限らず世界の子供のことか。答えが後者であるのなら、
「あぁ、なんと高尚な制度なんだろう」と感嘆を禁じえないが、どうもなんとなくそうなっ
た気がするのは私だけだろうか。それにこんな記事も気になった。

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子ども手当:韓国人男性が554人分申請 孤児と養子縁組

 兵庫県尼崎市に住む50歳代とみられる韓国人男性が、養子縁組したという554人分
の子ども手当約8600万円(年間)の申請をするため、同市の窓口を訪れていたことが
分かった。市から照会を受けた厚生労働省は「支給対象にならない」と判断し、市は受け
付けなかった。インターネット上では大量の子ども手当を申請した例が書き込まれている
が、いずれも架空とみられ、同省が数百人単位の一斉申請を確認したのは初めて。【鈴木直】

 尼崎市こども家庭支援課の担当者によると、男性は22日昼前に窓口を訪れた。妻の母国
・タイにある修道院と孤児院の子どもと養子縁組をしていると説明し、タイ政府が発行した
という証明書を持参した。証明書は十数ページに及び、子どもの名前や出生地、生年月日な
どが1人につき1行ずつ書かれていた。担当者が「養子はどの子ですか」と聞くと「全員です」
と答え、男女で計554人と説明したという。

 男性には実子が1人いる。子ども手当は月額1人につき1万3000円(10年度)で、
計555人分が認められれば、年間8658万円の手当が支給されるが、厚労省子ども手当
管理室は「支給はあり得ない」と言う。

           中略

 尼崎市の男性は、子どもへの送金証明や面会を裏付けるパスポートのコピーなど外国人に
求められる書類をそろえており、事前に調べてきた様子がうかがえた。市の担当者は「可能
ならもらおうという意欲を感じた」と話している。
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 子供手当てを外国人も受給できる理由は実はそれほど難しくなくて、いわゆる「国籍条項」
というのが法律に入っていないからだ。国籍条項とは読んで字のごとく、法律施行にあたり
対象を国籍によって制限することだ。国籍条項は例えば公務員など公権力に就業する際に国籍
を本国人に限るなどというのがわかりやすいだろう。いくら優秀でも日本の首相は外国人で
はやはり困るし、検事、裁判官、警察などの司法、自衛隊員などもやはり日本人がつくべき
だというのは法理を説明しなくてもなんとなく理解できるものだとは思う。

 要するに国籍条項とは「誰のために」という目的を達成するための条項であり、社会構成員
が仮に外国人が多く含まれていようとも、その国のアイデンティティーを明確にするために
存在しているといっていい。

 廃止される児童手当には国籍条項は実は入っていない。法律成立時には国籍条項は入ってい
たのだが、その後撤廃された。撤廃した経緯はまず日本が国連の国際人権規約(A規約)を
1979年に批准したこと。さらに1981年には「難民の地位に関する条約」締結により、
国籍による差別を禁じ、社会保障政策において外国人にも内国民待遇を与えることがその理由
になっている。国際人権規約に書かれているのは締結国は「社会保険その他の社会保障につい
てのすべての者の権利を認める」とあり、「すべてのもの」とは国籍・人種・宗教・思想・
信条などの差別を廃したあまねく全てのものであるから、当然のことながら「国籍条項」は
排除される。という理屈だ。

 難民条約がでてくるのはなぜかと言えば、もともと国民年金などの社会保障での在日韓国人
朝鮮人への差別的待遇をなくすという趣旨ででてきたもので、児童手当も難民条約締結ののち
インドネシア難民への政治的配慮ということでそのついでに国籍条項が廃止されたという経緯
がある。(インドネシア難民を理由にして廃止したとも言える)

 しかし話はよく分かったが何故かすっきりしないのは何故なんだろうか。別に外国人に支給
してはいけないとは思わないけれども、少子化云々言わないで日本にいる子供たちのためにと
言われたほうがまだましだろう。せめて「国籍は日本じゃないけど、親子共々日本に暮らして
いる」のを条件にしてはいけないのか? 内国民待遇もいいけれどすっきりする線引きをする
のが筋じゃないのか。

 要するに子供手当て政策は
「筋は通っているが、人情に訴えない」
 のがすっきりしない理由なんだと考える。


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MMDを触ってみる(15)

2010年05月22日 | Weblog


・背景を切り替える。

MMDでPVらしきものを作れるようになるとやはりいろいろなエフェクトを
つけ加えたくなる。映像エフェクト専用ソフトを用いて効果的な作品を作るプ
ロ並みの人も増えてきているが、簡単なエフェクトならMMD単体で実現でき
る。背景は前に紹介したとおり、xファイルというアクセサリ専用のファイル
を登録するが、ファイルは1つでなく複数の登録が可能だ。



アクセサリ登録でもっとも簡単な効果は背景のオン・オフで切り替える方法。
アクセサリは登録すると表示欄にチェックが入っているが、これをフレーム毎
にオン・オフ設定をするとある背景が別の背景に瞬時に切り替る。



これが一番簡単な背景の切り替え方法だが、もう少し効果的な方法で背景を切り替え
ることも可能だ。いわゆるフェード・イン、フェード・アウトという手法もMMD
で行うことが可能。アクセサリパネルを見るといくつかのパラメータを操作できる
ようになっているが、そのうち上記の写真を見ると登録ボタンの横に「Tr」と
書いてあるパラメータがある。これが「透過率」だ。透過率は呼んで字の如しで
透過率1.0の時、アクセサリは見える状態になる。逆に0.0の場合には透明になる。
要するに光を透過するかしないかということだが、これを使うと表示機能と同じく
アクセサリ表示のオン・オフができる。表示機能となにが違うかといえば、表示
のチェックを外すと要するに透過率は0、つけると1になるのと同じことだ。一方
で透過率は0.0-1.0の任意の値を取れるので「半透明」という状態にすることもで
きる。
この透過率を使うとフェード・イン、フェード・アウトができるようになる。
例では冒頭のビデオのうち、透過率を使ったシーンを抜き出しているが、これを
使えば、カメラが上にパーンすると同時に古いアクセサリから新しいアクセサリに
フェード・イン、アウトをしていく。



透過率の設定をいろいろといじれば、結構面白いことができるようになる。下手な
映像編集よりも効果的でなによりも専用のソフトが必要ない。無論、MMD単体で
実現できない色々な映像エフェクトもあり、それはそれで有効だが、初心者レベル
ではまずMMDの機能を使いこなすことが重要だ。




MMDの初心者向けの本が出たので早速買ってみた。初心者向けなんで、これからMMDを
始める人には良い教材だと思う。MMDを始めて1年近くたつが知らなかったことも解説され
ていてまだとっつきにくいと思っている人にもお勧めだ。因みにバナーをつけておいたので
興味のある人は買ってみるのもいいかも。このブログよりは役立つと思う。

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MikuMikuDance でPさんと呼ばれる本
かんなP,ラジP,極北P,ポンポコP
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海外のREIT投資(13) - Cambridge Industrial(シンガポール)

2010年05月21日 | 海外REIT研究



 ケンブリッジ・インダストリアル・トラスト(CIT)はシンガポール上場の産業分野特化ファンドで、
物流・倉庫、製造業施設等に投資している。2006年7月にシンガポール市場に上場し、43
拠点、面積で65万6千平方m、時価で9億66百万ドルの資産を有している。施設は全てシンガ
ポールの産業ゾーンに位置している。シンガポール市場に上場しているREITは海外の資産特化
や国際分散投資をしているREITが結構あるが、このREITはシンガポール100%のREITだ。





 上記の地図を見ても分かるが、シンガポールは小さい国なのでほぼ全国に施設が点在している。
産業用がメインということで日本の産業ファンドのようなイメージを持つかもしれないが、実際の当
法人の顧客ベースは物流・軽工業などが主体で、例えば物流・倉庫部門では3PL、サプライチェーン
マネジメント。軽工業ではエレクトロニクス・コンピュータ周辺機器、医療用機器、情報機器などの
IT関連組立てがメインである。産業・倉庫ではケーブル、アルミ製品、配線基盤、金属のほか、その
他産業用途では印刷、精密エンジニアリング、金属加工、プラスチック成型などに関連する倉庫施設
など様々な顧客が対象になっている。アジアのハブとしてのシンガポールの特徴がよく出ている。
大分類で見てみると製造業36%、建設・エンジニアリング36%、物流・倉庫が34%という比率になって
いる。




とりあえず、下に当法人のポートフォリオの写真を掲載しておく。43拠点あるので全ては載せ
られないが、一部を掲載。まあ、写真を見たからといって何かが分かるわけでもないのだけれど
もイメージないよりはましなので載せておく。でもやはり物流施設とかビルの写真では何もわか
らないのは確か。




 とりあえず中身を見てみよう。その前に株価等について書いておくと現在株価は51セント、時価総額
は4億43百万Sドル(287億円)、1株当りの純資産は59セントだから株価純資産倍率は0.86倍。
配当利回りは10.4%(実績ベース)となっている。時価総額はそれほど大きくないものの流動性に関して
は個人投資家には十分。出来高100万株を切る日もあるが、だいたい100万株以上の出来高はあり、1000万
株近くできる日もある。

 当法人の主張する強みは以下の点に集約されよう。(1)ポートフォリオの44%のテナントはシンガポール
ニューヨーク、香港上場企業。(2)顧客上位10位のテナントからの収入がポートフォリオ収入の6割を超える
(3)7年-15年の長期契約では固定のエスカレーション条項を入れており、レント収入の安定性と成長性
を担保。上位10社はしたのグラフの通りだが、最も売上げの多いCWTはシンガポール上場大手の企業、
2番目のYCHもシンガポールの物流企業だ。



 業績の方はというと実は停滞している。下のグラフに不動産収益とNPIの両方を載せているが、よく言えば
安定している。悪く言えば停滞。特に2008年1Qから停滞しているのがわかるだろう。これはやはり、
リーマンショックによる金融機関の貸し渋りの影響を受けているのがひとつ。景気の悪化によるところもある
と考えられるが、現時点では財務のリストラを優先しているのが影響していると考えたほうが良いだろう。


 バランスシートの方だが、LTVが44.4%。ギアリングが42.6%。高いとは言い切れないが、低い
ともいえずバランスシートに関しては可もなく不可もなくといったところだ。有利子負債のコストは5.97%と
まあ.....これも普通。デッド・マチュリティプロファイルで留意する必要があるのは2012年2月償還の
390百万Sドルのシンジケートローンの存在であるが、金融危機でない限りそれほど心配する必要はないと
思われるが市場環境がどうなるかは予測できないので抑えておく必要はあるだろう。



もうひとつ投資家にとって注目すべきなのは現在のLTVの水準ではなく、当法人が今後の適切なギアリング
レシオを30-35%と目標としていることで、そのためには資産売却、エクイティなどのイベントリスクが
存在することに留意する必要がある。法人側はノン・コアアセットの売却など考えているらしい。さらに今年
度に入り当法人は初めてDRPを実行した。DRPとはDividend Reinvestment Planの略で配当を
受け取った投資家に投資口再投資のオプションを付与することである。配当の権利を獲得した投資主
は現金で配当を受け取るか株式で受けるかを選べる。再投資を選択した投資家は2%ディスカウント
で株式を受け取れる。投資家に取って配当を複利で増やすことができ、さらには市場価格よりも割安
に手にできる。

 キャッシュの方がいいんじゃないかと思われるかもしれないが、投資先に魅力があって保有する株式
価値を増加させたい場合(株価変動はこの場合考えない)、DRPは魅力的である。例えば、2人の投資家
がおり、1人がキャッシュをもう一人がDRPを選択したとしよう。キャッシュを選択した投資家は受け
取ってそれで終わり。一方、DRPを選択した投資家はディスカウント分だけ価値を増やせる(株価が変動
しないという条件はあるが)。さらに次の配当では再投資した分の配当の増加があるだけでなく、
DRPによって株式の希釈化の影響を受けない。キャッシュを受け取った人は株式が増加した分、持分
が減少していることになる。即ちDRPは複利で配当を増やすことができる。

 当法人はDRPでキャッシュの社外流出を抑えギアリングを下げる手段として位置づけているが、実際に
DRPを選択したのは投資主の10%程度。配当利回り10%でtek up ratioが10%なら1%程度になる。
つまりそれほど効果はなかったというわけだ。やはり、ギアリング低下の主力は資産売却で1Qに
Toh Guan Eastを売却したことで21百万Sドルを手に入れた。



 直近の業績も実はそれほど芳しくない。前四半期比で減少しているが、前年比ではプラスを記録しており、
正直、ぱっとしない。取りあえずの目標が財務リストラなので拡張計画もなくむしろDRPと資産売却に期待
といわれてもそれほど興奮する話でもない。良い話がないわけでもない。当法人の稼働率は99.9%を維持し
ており、きわめて高稼働率を維持している。これはシンガポールの市場平均と比較して8%以上高い。また
2010年1Qに契約期限がきたテナントは全て契約を更新した。



 Lease Expiry profileを見ると2010年は1%、来年で3.4%、再来年で2.5%とほとんど契約更新がない。
したがって再交渉時の値下げ圧力というものを今後3年間は受けないことを意味しており、キャッシュフロー
の安定性に寄与することだろう。



投資先としての判断だが、正直言ってどっちでもいいやという感じ。悪くはないんだろうけど。なんというか、
投資妙味という点であまり訴求力がないのが残念。因みに持ってはいるんだけれど....

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第一生命(8750) 決算

2010年05月20日 | 銘柄研究



 第一生命の決算が発表され、それと同時に速報ベースのEEVも発表された。3月末のEEVは2兆
8363億円。前年同期比で1兆778億円の増加となっている。増加の内訳は表の通りである
が、修正純資産で5668億円、保有契約下地で5109億円となっており、資産、契約でほぼ
半々であった。上場後に試算した段階では1株当たりのEEVを28万円弱と予想したが、実際に
でてきた数字は28万3630円と当たったように見えるが、中身を見てみると少しおかしい。
私の場合は9月中間からの有価証券の時価増分から計算して28万円弱とあたりをつけたのだが、
修正純資産の9月末と3月末での比較では583億円しか増加しておらず、増加分のほとんどが
保険契約価値の増分からきている。形としては当たったが、偶然当たったのに等しかったようだ。




 一方、業績自体見てみると数字的には割とよかった印象があるが、これだけ大きい会社だと
中身の分析が困難な部分がある。経常利益を取り出せば3倍近くの増益であるが、実はさらに細
かく見てみると経常費用項目である資産運用費用(有価証券売却損、有価証券評価損)が1兆円
以上減少している。一方で、責任準備金繰入額が1兆円以上増加している。昨年度は準備金繰入
額はたったの277億円だ。こうしてみると要するに表面上の数字は結構いじれる感じがある。
そう考えると生保の決算は当てにならないという話しにもなりかねないが、その為に投資家は
EEVなどの投資家持分の計算をするわけである。




 ではフローベースでの分析ができないのかというとそうでもない。まずは新規契約額、契約残高
の増減をみるのが重要だ。前回の分析でも書いたが、保険契約というのは基本的には売れば儲かる
商品なので、その残高が増加するというのは将来儲かってくるという指標でもある。もう一つの指標
は基礎利益である。基礎利益とはいわゆる3利源ともよばれるもので、逆ザヤ、危険差益、費差益を
合計したものだ。危険差益というのはいわゆる「死差益」とよばれるもので保険数理上で推測された
死亡・事故・損害と実際との差で得られる利益を言う。死差益がであるということは要するに保険
数理での推定が保険者に甘く、被保険者に辛いということを指しており、従来はこの3利源に関する
情報については保険会社は開示を極度に嫌がっていたものだ。

 実際の基礎利益はどうだったかといえば、第一フロンティア生命との合算ベースでは18%の増加と
なっている。表面上の数字は悪くはないのだが、基礎利益の多くを占める第一生命単体で見ると状況は
異なってくる。逆ザヤが増加し危険差益が減少したことで減益傾向にあり、今期の予想でも減益になる
としている。本体の第一生命が苦戦しており、子会社の第一フロンティア生命がある程度まで成長しない
とこの状況は変わらないだろう。そのフロンティア生命だが、まだ小粒だが、今期の純利益は160億円
と5割程度の増益を予想している。



 結論はどうなんだという話になるが、まず予想の範囲内。株価についてはがギリシャ問題によって
株式市場がグローバルに不安定になっているので急上昇とはいかなかったようだがまだ割安の
部類に入るだろう。リスクとしては株式市場の大幅な下落だが、こればかりは予測はできない。
とりあえず保有継続をしているが、株式市場が上向かないことには上昇は難しいかも。



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インヴィンシブル投資法人(3)

2010年05月19日 | 国内上場REIT


 2回にわたってバランスシートの内容を吟味してみると今回の合併によって取りあえず危機を
脱し、9月にくると考えられる財務的な山場についても恐らく乗り越えることは可能だろう。そ
ういう意味で現在の株価の現状はまだ投資家が危機モードを維持しているという点では割安感は
残るかもしれない。但し、それは表面的にみた場合で、今後の成長力を考慮すると予断を許さな
い状況が続いていることには変わりがないということに留意する必要がある。


 合併による売却でポートフォリオは33%減少し、4月1日現在では777億円まで資産が縮
小。借入金は確かに減少し、有利子負債残高は35%も減少した。9月末までにさらに資産売却を
すればポートフォリオはまた縮むことになり、成長戦略が描きにくくなることは間違いない。な
んのことはない、LCPと東京グロースが合併してできた会社はLCPとさしてサイズの変わらない
REITができただけ。というかREITがひとつ分消滅してしまったということだ。



 3月までの売却後のポートフォリオで見ても、20億円以上の大型物件は10件あり、返済に困る
という状況でもないことは確か。但し、中身を見ると都心物件が多く、ポートフォリオを崩すよ
りも維持した方が今後のために良い気もする。また、鑑定評価も低下しており、実際の売却時に
どの程度の損失がでるかも不明。都心物件であればそれなりの値段はつくとは思うが、今までの
売却実績で利益がでていないわけだから、あまり期待するもの困難だ。さらに今回の資産売却で
借入金を減らしても売却損の発生、負ののれん代で相殺する形なのでLTVは全く下がらない。
従ってファンダメンタルズは改善というより状況が悪化したと評価されても反論できないだろ
う。ここは金融機関との交渉で何とかするしかないだろう。



 どのような形で生き残るにせよ、資産成長なくして投資家を惹きつける事はできない。まして
や縮小するだけのビジネスにお金を投じる人は少ない。あまり無責任な事は言いたくもないが、
ウルトラCを使うというのも手かもしれない。現在のように単に金融機関の食い物になっている
よりは幾分かましかもしれない。さらに別のREITを吸収する方法もあるが、資産のデューデリジ
ェンスをしっかりしないとババをつかむことにもなりかねない。どちらにせよ、現状の継続とい
うのもあまり良いシナリオでないことも事実だ。

 金融機関との関係という点でみると良くなっているのかそうでないのか良くわからないとい
うのが正直なところだ。プレスリリースを追っていくと、融資のロールオーバーには応じて
もらっているようだが、延長幅が1ヶ月とか3ヶ月とかとにかく短い。新生信託分に関しては
4ヶ月延長だから長くはなったが、200bpコストが上昇したことを考えると素直に喜べる
処置とはいえない。むしろ、新生信託分を最大限返済させて既存融資残高を維持して貰った
方がよほどありがたかったはずだが、どうにもそうなっていないことが当法人の現在のポジ
ションを物語っているのかもしれない。下の図を見てみるとわかるがアレンジャーが
あおぞらとか新生銀行だと金利がえぐい。まあ、当法人の格付けに応じたものかもしれない
が、タームローンDの場合、アレンジャーが中央三井だと条件がこんなに違うのは一体
なぜなんだろう。ひとつだけいえることはあおぞら銀行がアレンジャーであった借入金は
旧LCPから引き継いだものでそれだけLCPが困っていたと言えなくもない。



 以前、東京グロースの投資主総会に行ったとき、執行役員は金融機関から借入れなんかしない
でいっそのこと無借金でやりたいみたいなぼやきをしていたが、確かに今の金融機関の融資態度
を見るとそういうぼやきをしたくなるのも良くわかる。誰かが冗談でいったことをいまでも覚え
ているが、今の金融機関で融資現場の主役を担っているのは20年位前に入行してきた人たちだ
が、彼らの大半はバブル崩壊後世代で住専処理から始まる地獄のような融資回収現場を渡り歩い
てきた人たちで、そんな人間が融資判断をしているわけだから、少しでも風向きが変わるとすぐ
回収となるのは当たり前なのだと.....
笑えない冗談だが、実際の銀行の融資態度や行動を見ると確かにそうなんじゃないかと思わせる
ことがある。REITという商品のストラクチャではなく、スポンサーのクレジットや担保で評価し
ている現状をみれば、それはうなずける話だ。そんな彼らが20年後に銀行の経営陣やトップに
上り詰めたとき、日本にどのような影響を与えるのかと考えるととても憂鬱になる。

どうも結論らしいことを導くことは今回できなかった。期待した人ごめんなさい。

(終わり)

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インヴィンシブル投資法人(2)

2010年05月18日 | 国内上場REIT
 売却によって目先の危機を回避したわけだが、問題となるのはやはり9月末に到来する
新生信託の分の返済だ。追加売却により資金を確保する必要があるわけだが、売却ができ
るかどうかも検討する必要がある。今回3月末までの一連の売却による損失の処理は負の
のれん代を利用する予定であるが、今度の9月末返済に必要な168億円を確保できる資産
売却を推測してみよう。仮に評価損益が今回売却と同じ条件でなおかつ売却価格が同じで
あるとの前提を置くと、必要な資産売却は帳簿価格ベースで243億円となる。その場合
の推定損失額は75億円になる。

 理論的には損失を負ののれん代を超えて損失を出して処理しても構わない訳だが、REIT
投資家の信頼を裏切ることになり、今後の資金調達に支障をきたすことにもなるからなるべく
ならこの選択肢は選びたくないのが実情だろう。まずは影響がない範囲でそれができるかどう
かを検証してみよう。そのためにはまず負ののれん代がいくらになるのかを計算しなくては
ならない。負ののれん代の計算は下の図のようになる。

 この図に従ってのれん代を計算できるはずだが、何故か負ののれん代は公表されていない。
理由は不明だが、投資判断には必要なので計算してみることにする。その前に今回の合併ストラ
クチャーであるが、存続法人としは旧東京グロース投資法人がなり、LCPは消滅法人となった。
一方で存続法人となったインヴィンシブル投資法人はTGR投資主に5口、LCP投資主に4口を割り
当てる。端株処理のためにTGRの投資口分割を行ってそれを回避することになる。従って現在の
株価は旧投資口価格で見る場合には株価を5倍にする必要がある。


 のれん代の計算はLCPの直近決算である2009年8月末現在の数字と、その後プレスリリース
された分については修正して用いた。但し、実際の合併は2010年2月1日であることら数字が
変化している可能性が高い。今年の1月に入り、借入金の元本一部返済を実施していていることも
あり、のれん代計算に関しては参考程度という認識をする必要があるだろう。計算式は下図のとおり
であるが、受入れ資産に関しては4月にプレスリリースがでており、旧LCPの鑑定評価が行われて
おり、それを時価として採用した。資産は時価評価が原則であるから鑑定評価ベースの金額に現預金・
信託預金を加える。合併費用は推測ができないのでとりあえず10億円とおいた。それほどかかる
とは思えないが、少なすぎるよりは保守的に計算できるだろう。引受け負債も短信ベースからの引用
で金融機関からの借入れ、敷金、預かり保証金、信託敷金・保証金、未払い税金、前受け金を含む、
負債も原則時価評価だが、土地・建物と異なり減価することはないので貸借対照表計上額を採用。
合併対価に関しては継承法人であるインヴィンシブルが旧LCP投資主に交付した新株発行株数に
合併効力日のインヴィンシブルの終値の株価を掛け合わせて算出した。


 計算してみると意外に多いことがわかる。例えば日本リテールファンドとラサールジャパン
の合併ではディスクロされた負ののれん代は86億円だった。ただ、JPRと当法人ののれん代
の計算の違いはJPRが合併直前の12月1日に鑑定評価の再評価を行ったことで時価評価が低下
したのが原因だと考えられる。当法人に関しても2月1日ベースでの鑑定評価の再評価がなされ
ているが、鑑定評価機関が異なることから時価を「どの程度の時価」であるかと評価するのは難
しい。別段、当法人の鑑定評価が甘いなどというつもりは全くないが、「時価」に関しては必
ずしも同じ評価基準で測定されていないことに留意する必要があるだろう。またくどいようだが、
なるべく正確に計算するように努めたが、正確性を保障できないのであくまでも参考程度にして
ほしい。
これから読み取れるのは今回実施した売却損は負ののれん代計上により十分吸収できることが
わかる。一方で、残りの負ののれん代は22億円程度。合併費用がほとんどないと考えても
25億円弱と予想されるから50-60億円の特別利益の不足が考えられる。因みに負ののれん代
の会計基準に関しては変更がなされており、今年度に全額計上されるのはほぼ間違いがないだろう。
(......と思う) 会計基準の変更に関しては以下の通り。

 当法人が取りうるオプションはいくつかある。

 (a) 資産売却を行い、168億円を調達する。特別利益を計上するも赤字決算。無配転落

 (b) 残りの負ののれん代に収まるような評価損の物件を選び売却。予想通り着地

 (c) 残りの負ののれん代に収まる部分だけ売却、168億円の一部を返済。その場合、
   売却実績と同じ
    条件とすれば50億円程度の売却額(帳簿価格ベースで70億円、売却損20億円)。
    残りの118億円程度を金融機関と交渉してロールオーバーもしくは新規融資を受ける。

 個人的な見解では(c)のシナリオが望ましいし、実現可能性はあるんじゃないかとも思う。
(a)はしてもいいが市場の受けはあまりよくないだろう。(b)はポートフォリオを悪化させる
だけで誰にも得はないし、なるべくならやらないほうがいい。というか、現状のポートフォリオ
では不可能だ。実はもうひとつ「ウルトラC」技が存在する。やり方によっても天国にも地獄にも
なる方法だ。それはこんな方法

 (d) 株主割当増資を行う。例えば今の時価の0.8を払込価格とし、1株につき1株を割り
    当てる。仮に現在の株価を基準にすれば市場から75億円を調達できる。そうする
    と93億円分だけ残るのでポートフォリオへの影響を最小化できる。また、この
    方法が取れるのは現在当法人の1株当たり純資産が株価を大きく上回っている
    からできる方法だ。

 海外では結構行われている方法でそれで危機を脱した海外REITも多かった。しかしながら、
この方法が問題なのは発表後、株価が急落して行使価格を下回り大量の失権株が発生すると
地獄を見ることになる。市場がホットな状況で株価が急落しない環境が必要だ。
だいぶ長くなったが最後に借入金返済後の当法人を評価してみる。

(続く)

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インヴィンシブル投資法人(1)

2010年05月17日 | 国内上場REIT
 REITの合併が相次いで株価の動向だけで判断するとやはり存続会社となるREITの
スポンサーの信用力で株価が動いている状況はあまり変化がないようだ。当法人の株価
動向を見てみると11月に合併がアナウンスされてからの株価は期待を織り込むとすぐ
に反落するという形になっており、現在の株価は低迷している。



 株価が低迷している理由はいくつかあると考えられるが、①強力なスポンサー体制
に変更された訳ではないので信用力に不安が残る。②決算期が12ヶ月決算に変更(一時的
であるが)上、配当予想が300円と大幅に減額され市場平均利回りはおろか国債利回り
も下回ったこと、③不動産売却により収益低下圧力が予想されること。などが主たるもの
であると考えられる。合併法人の分析はきわめてややこしくアナリストレポートもほとん
どでていない。
まして業績予想は皆無だ。世の中の野アナリストのレベルがこれでわかると思うが、ここは
アクティブ投資家としてチャレンジしてみよう。最終的に株価判断までつなげていきたいが、
まずは今回、グロース投資法人とLCP投資法人との合併によって何がどう変わったのかを
分析を試みる。なお、分析に当たっては正確性を心がけたが保証はできないので参考程度に
読んでいただくことを望む。


 今期予想を見ると売上、営業利益、経常利益は増加するが、当期利益が減益になる予想
となっており、決算期変更により、365日決算になった。分配金は1口当たり300円と
分割による影響もあるが大きく減少する。その大きな理由は今期中に負ののれん代を活用し
てポートフォリオを整理、財務状況の改善を行うためである。合併と1年決算により売上げ
は54億円と大きく上昇する見込みだが、経常利益は合併前の半期決算よりも少なくなる。

当法人は2010年に入り、2月12日(13件)、3月1日(3件)、3月23日(3件)、3月26日(25件)、
3月30日(2件)の合計で46件の売却を発表。合計の売却簿価・譲渡価格に関しては以下の
総括表を参照。

 まずはこの売却行為の評価だが、当然のことながら借入金の返済が主たる目的である
ことは明らかで、その意味においては高く評価することは難しい。REITの成長は物件取得
によりなされるものであるから、売却行為は入れ替えでなく、純減ということならば成長
というよりも縮小であり、投資家の目が厳しくなることは当然であろう。では売却の中身
についてもう少し見てみると売却総額は273億円、一方で簿価が397億円であること
から、売却損が123億円でる計算となる。対象物件の賃料が合計で24億41百万円
(一部推定)、売却利回りは8.9%となる。ここには細かい内容を載せてはいないが物件
ごとの売却利回りを計算してみた。興味深いのはまず時期的に先に契約した物件価格は渋く、
後に契約した物件は比較的条件が良くなっている。これは経済の回復過程をなぞる形で後
になればなるほど条件が好転していたことを指す。また地方と都心物件ではやはり都心物件
の条件は良く、加えて後になるほど市場価格と考えられる水準で売却が成立している。
一番条件が悪かった物件はPEIT福島陣場町第一で売却利回りが18.1%、一番良かったのが、
レキシントン・スクウェア白金高輪で5.2%で売却が成立している。計算したリストは長いの
で売却水準別で見た分布表が以下の通りである。

簿価ベースだが、10%以上で売却したものが34%、平均より低い8%以下が46%、8-10%が
19%となっている。売却時期別に見ても後半に売却が集中しており、市況の回復に伴い
一気に売却したことがわかる。これによる手取り資金は273億円となるわけだが、どこから
の借入金を返済するのかというのは、実はディスクロ資料から推測することが可能である。

 

上記の表は単純合計ベースでの1年以内返済予定の借入金であるが、日本GEからの借入れとは別に
新生信託銀行、農中信託銀行からの借入れ金利率が低いことが読み取れる。これは実は証券化によって
投資家に売却された分で実質、社債と同じ性格のものだ。銀行からの極度ローンと異なり、証券化商品
は相対による借入れ条件の変更や、借換えは簡単にするとこはできない。特に金融情勢が厳しいときに
は償還できないと企業が倒産の憂き目にあう可能性もあり、この部分の借入れはなんとしてでも返済(償還)
しなくてはならない性格のものである。農中信託分は旧リーマンブラザーズが証券化して投資家に売却
したもので、新生信託の分に関してはUBSセキュリティーズとの間に結ばれた金銭貸借契約に基づく貸付
債権が新生信託に信託譲渡された形になっている。

 このうち、農中信託分に関しては4月1日に期限前弁済により128億円59百万を完済している。新生
信託分256億円に関しては88億円を一部返済した上で、返済期限を延長して168億円の残高となって
いる。期限は9月末に変更されたが、借入れ利率は3.23385%と200bp上昇した。当法人にとって今後
の課題はこの168億円の早期の返済となろう。ところで売却による手取り資金273億円だが、実は
既に銀行への返済に回されている。

資金の流れを追ってみて気がついたことは、農中信託、新生信託への返済を最も優先しなくては
いけなったはずだが、結果的に新生信託の残高が残り、通常の銀行融資の一部返済に回された
ことが銀行団がREITに対するビジネスモデルの不理解がよくわかる。本来であれば証券化部分
の返済を優先させてREITのキャッシュフローを安定させれば残高を維持することで銀行は利益
を得るはずだが、既存部分の期限前返済を優先するあたり、いかに銀行がREITのキャッシュ
フローでなくスポンサーのクレジットしかみていないという証拠だと考えられる。借り渋りと
いわれる状況でこのような合理的ではない行動にでる日本の金融機関はレベルがやはり低い。

(続く)

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