Bankの秘密基地

個人日記兼つれづれなるままに

日本リテールファンド(8953)

2009年10月30日 | 国内上場REIT
 決算発表されたことでもあるし復習も兼ねて分析を試みる。先日ラサールジャパンとの合併
がアナウンスされたが、今回の分析にはそれは含めないで分析している。本投資法人は主体
的には三菱商事がメインスポンサーである商業特化REITだ。主体的と断ったのは運用会社は
三菱商事・UBSリアルティーという資本金5億円、三菱商事51%、UBS49%のジョイントベンチャー
が運用しており、マジョリティが三菱商事にあることからそう書いた。UBSは欧州系でも結構大
変な状況におかれており資金的にも体力的にも疲弊していると言わざるを得ないが万が一の
場合にはおそらく三菱商事がなんとかすると考えている。



 地域的な分散状況は上の図の通りであるが、東京圏で5割、関西・中京で32%、政令都市で
12.2%、その他4.8%となっている。東京圏とあるが、実際に東京にあるものでフラッグシップ的
な規模の物件はあまりなく、渋谷にあるジャイルがポートフォリオ構成比で4%で最大となって
いる。その次に大きいのがぐぐっと小さくなって板橋サティで2.2%の組入れだ。東京圏と呼ば
れているものの大半は神奈川、埼玉、千葉などがほとんどで首都近郊と呼んだほうが正確なよ
うな気もするが、東京圏と呼んだほうが聞こえが良いからそう呼んでいる感じもする。物件ポー
トフォリオを見ても大規模ショッピングモールが多いことから東京23区に立地するのが難
しいからだろうが、地方物件の組入れが多いようにも感じる。 というか郊外型ショッピング
モール、センター主体と考えるのが妥当だ。

 当ファンドは物件数50、総資産5885億円、物件鑑定評価額で5179億円と日本でも
有数の大規模リートだ。有利子負債総額2544億円、LTVでは43.2%(有利子負債ベース)。
ここで有利子負債ベースと断っているが、商業リートであるので敷金・保証金の額が通常のオ
フィスリートと比較して額が大きい。実際に信託預かり保証金・敷金が682億円あるので総
有利子負債でみると3318億円に増加し、総有利子負債ベースでのLTVでみると55.6%に増加
することになる。但し、当法人を見る場合には利息をつける義務のない負債を除いた有利子負
債ベースでのLTVを見るのが妥当だろう。ポートフォリオのNOIは期末で5.2%と前期と変化して
おらず、償却後利回りで3.5_%となっている。



 上位10位を見ても郊外型主力であることが分かる。ショッピングモールやショッピングセ
ンターは東京都内に存在できるほどコストが安いはずもなくそれは仕方のないことだ。組入れ
トップは東戸塚オーロラシティで簿価505億円。ならファミリー(奈良県)が313億円、イ
オン八千代緑ヶ丘SC(千葉)が307億円、イオンモール鶴見リーファ(大阪)299億円と続き
上位10位合計で見ると47.1%となっており、東京圏とされるものが4物件、関西中京圏
が3物件、地方政令指定都市が3物件と額は別にして意外に地方物件の組入れが多い。ただこ
れは悪いことではなく、ポートフォリオの分散という意味ではまあ妥当だろう。地方経済の疲
弊の影響がどの程度あるかというリスクはあるが、モール・SC主体ということであればこんな
もんだろう。



 テナント構成、賃料契約体系について言えば、いわゆるナショナルチェーン主体。イオン系
が多く、顧客の43.7%はイオングループでその次にイトーヨーカ堂グループ14%となる。
三菱商事がイオングループと比較的親密なのは過去の経緯からでイオンとのジョイントベンチ
ャーでダイヤモンドシティという会社が昔上場していたが(現在のイオンモール)、おそらくそ
の絡みでイオンの比率が大きいと考えられる。イオンは現在苦境に立っているが、もともと競
争力のある企業なのでいきなり左前になることはないとは思うが。...景気しだいか。

 賃料体系は意外と固定賃料が多い。通常、リテーラーに賃貸契約を締結する場合、歩合賃料
が一般的だが、9割が固定賃料となっており、キャッシュフローの安定性という面では評価す
ることができる。ただ、これももともとダイヤモンドシティ時代に締結した契約が多いのでは
ないかいう想像が働き、賃料更改交渉時の経済情勢によっては変化する可能性は大いにあるだ
ろう。その点のリスクに関しては留意する必要がある。


 バランスシートは少し注意が必要だ。といってもそれほどのリスクがあるとは思えない。当
法人はS&P、Moody's、R&Iの3社から格付けを取得しており、発行体格付けでそれぞれ、A2、A+
AA-と高い格付けを得ている。その高い格付けを利用して投資法人債による調達を結構やってい
て総負債に占める割合は30.4%と比較的高い調達を行っている。その為にそのリファイナンスが
今後の業績に影響する可能性が高いと考えられる。また、下の図では総負債での比率となってい
るが、敷金、保証金などを除いた有利子負債での比率は40%に達しており、金融コストが今後上
昇するリスクがあるとみておいてよいだろう。



(前期・今期業績)

 前期業績に関しては営業収益で0.3%増、営業利益で1.4%減となっているが、その中身は少し複
雑で好悪混在といったところだ。営業収益の増加の内、井筒屋が退店したことによる違約金・現
状回復費用が395百万円含まれており、これを除くと1.2%の減収というのが実態と考えられ
る。したがってこの違約金収益を控除すると営業利益の減少幅も拡大すると推測される。一方で
新規の寄与で35百万円、PM報酬の減38百万円などがあるが、トータルで見た場合、やはり商
業リートのおかれている現状の厳しさは変わらない。

 一方で今期予想では違約金収入の減少を織り込み、コスト削減などのプラス寄与を見込んでい
るが、既存物件のリーシングアップなどの要因を入れていないことから営業利益で289百万の
減益、経常利益では649百万円の減益を予想している。経常利益の減益幅が大きいのは今期か
ら来期にかけてデットコストが24bpの上昇を予想しているからである。前述の通り、当法人は投
資法人債による調達が総負債の3割に達しており、来年の2月から償還が始まる。翌年の2011
年には償還はないものの翌年の2012年には400億円の償還があり、リファイナンスコスト
は増加すると考えられる。来期の投資法人債の償還に関しては既に調達の目処は立っており、長
期資金の導入によって乗り切る構えである。既に今年の7月と9月に日本政策投資銀行、アメリ
カンファミリー、三菱東京、住友信託などから480億円の長期資金振り替えを実現しており、
またコミットメントライン400億円は未使用の状態である。目先の償還リスクはほとんどない
といっても良いだろう。

 長期負債比率が50.8%から66.9%まで上昇したが、それは一方でコストの増加につながり、来期
にはさらにデットコストが1.71%と14bp上昇する予測をしている。但し、この数字は敷金・保証
金を含んだ数字で実際のデットコストはさらに高いと考えるのが妥当だろう。それにしても敷金・
保証金には金利をつけないわけだから平均デットコストを計算する際にそれを含める理由がよく
わからない。IR上、コストを安く見せたいという理由ぐらいしかないのだが、あまり意味のある
数字とは思えない。金融機関対策?



(成長戦略)

 成長という観点からは外部成長が困難な中、内部成長努力を一生懸命アピールしているのはけ
なげだが、状況はそれほど楽観的にはなれないだろう。固定賃料が意外に多いことは述べたが、そ
れでもテナントは業績が悪くなれば違約金を払ってでも出て行く。前期に井筒屋が退店したのは
良い例だ。それによって違約金収入は得たが今期は反動減で結局テナントに逃げられては意味が
ない。鑑定評価の減少により評価損が413億円あり、入れ替えによる内部成長という選択肢は
難しいかもしれない。それに東京圏で5.08%、関西・中京で6.11%、地方で6.34%という鑑定キャップ
レートを考えれば買うにしてもそれよりも高くなければ意味がないし、売却するならキャップレート
が低下しないと意味がない。そういう意味からやはりエクイティファイナンスが必要だが、現状で
は難しい。


 既に5000億円を超える資産を保有している大規模リートにとって経済の回復、キャップレート
の低下など外部のマクロ要因が変化しない限り現状を維持するというのがせいいっぱいか。投資判断
としては正直、どっちでもいいやという感じ。保有している分は当面売るつもりはないが、それほど
エクサイティングとも思えないのが現状。

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オリックス不動産投資法人(8954)

2009年10月29日 | 国内上場REIT
 当法人はその名の通り、東証一部上場のオリックスがメインスポンサーとなっているREITで
ある。オリックスは良くも悪くもアグレッシブな会社で不動産金融や海外でのCMBS投資などの
経験も深くそういう意味からすればグループでREITを抱えるのは必然といっても良いだろう。



 オリックス投資法人はいわゆる総合型REITでオフィス、物流施設、ホテル等に投資している
が、レジデンスがほとんどない。総合型でオフィスに傾斜しているREITであると考えてよいだ
ろう。ポートフォリオ構成は上の円グラフであるが、地域別にみて東京23区が71.6%と大部分
を占めており、都心3区(千代田区、港区、中央区)だけで34%で組入れ比率が高い。首都圏での
くくりでは9割弱となっているのが分かる。また用途別では83%がオフィスとなっており、準オ
フィス特化といってもよいだろう。ポートフォリオの平均築年数は9.5年、 平均取得価格
ベースでは56億円と中小とまではいかないまでも比較的中規模な物件の多いリートだ。ポート
フォリオのNOIは5.4%、鑑定評価ベースでの資産2506億円、有利子負債比率48%、LTV(鑑定評
価ベースで計算)は50.6%となっている。



 鑑定評価ベースの資産は2500億円を超えているが、組入れ物件49の内、100億円を超
える物件は7件あり、総資産の40%を占めている。最大の組入れ物件はオリックス赤坂2丁目ビ
ルで鑑定評価額231億円。ポートフォリオの9%を占めている。2位以下がシーフォートスクウ
ェア、クロスゲーム、西新宿ビル、品川、新宿、池袋ビルとなっており、ランドマークとなる物件
があまりなく、結構分散しているという印象だ。

 バランスシートは平均的だ。鑑定評価ベースで計算したLTVが50%を超えており、やや高い印象
を受けるが、平均調達金利は1.7%、長期固定比率が81.5%、投資法人債の発行がないなど問題とな
る点が見当たらない。コミットメントライン270億円を設定し、内200億円は使用している。
全て1年以内の短期はコミットメントラインによる調達となっている。いくつかのリートでは、
コミットメントラインを万が一の為と未使用なリートもあるが、フィーを払っている分、短期の資
金繰に有効活用するというのはオリックスらしいというか。本来はそういう使い方の方が望ましい
のだが、現在の金融情勢がそれを許さないような状況になっているのは投資家として不満だ。問題
というほどではないが、コミットメントラインの期限は2010年6月に到来する。おそらく延長
するだろうが、その場合、2010年に返済期限がくる215億円と合わせると415億円のリフ
ァイナンスが必要。2011年には320億円となるからさらにコミットメントラインの延長を考
えると520億円、その次の2012年には585億円のリファイナンスと年毎にリファイナンス
の額が増加する。



 当法人も毎年増大するリファイナンスコストを考慮するとどこかでエクイティを実施したいと考
えているだろう。オリックスのパイプラインサポートがあるので物件はいくらでもあり、説明資料
によればオフィスで3300億円以上、物流施設で800億円の資産がオリックス本体にあり、そ
の全てがウェアハウジングされているわけではないと思うが、投資法人がエクイティをしたいと思
う以上にオリックス自身がそれを望んでいると考えるのが妥当だ。その為には投資口価格の上昇が
必要であり、投資口価格の上昇の為にはポートフォリオのNOIを高める必要がある。当たり前である
し、どのリートもそれが望まれていることだ。

 鑑定評価はポートフォリオ全体で200億円、率にして8.8%の減少となっている。他のリートで
も同じ現象が起きているが、やはりオフィスでの鑑定評価の減少が大きい。他のリートと違い今回
鑑定評価に関する分析資料として興味深い資料を載せている。下の図ではキャップレートとキャッ
シュフロー変化による鑑定評価の変動要因の分析だ。それによれば全体のキャッシュフローの
変化が-5.0%に対してキャップレートの上昇は0.1%であったわけだが、キャップレートの上昇は本当に
0.1%だったかどうかの検証はほとんど不可能だ。


 いつも疑問に思うのだが、鑑定評価価格は不動産の予想取引価格ではないことは十分承知してい
るが、実際の売却可能価格との乖離が極めて大きいと予測される場合、鑑定評価の持つ意味は一体
なんであろうかと常々考えてしまう。通常リート各社が利用している鑑定評価法はDC法と呼ばれ、
一般的には「直接還元法」とも呼ばれている。これは平準化したNCF(ネットキャッシュフロー)を
キャップレートで資本還元することで不動産価格を推定する方法だが、そのキャップレートはどの
ように導くのかといえば先の定義から明らかで

CR=NCF/V

となる。ここで問題となるのはキャップレートも分母にくる鑑定評価(V)も相互依存的になっていて
どちらかを精緻に求めなければ一方が定まらない。鑑定評価を求める訳だからキャップレートを定
めるために不動産価格を先に定めておく必要があるが、それでは正確にはならない。そこで、キャッ
プレートは① 取引利回り比較法 ②積上げ法などの方法でもってその妥当性を検証する訳である
が、それは結局市場価格などから演繹されるキャップレートに他ならず当然、最終的には市場での
売買価格と収斂してしかるべきだろう。無論、市場の状態によっては異常値を記録することもあり、
鑑定評価は市場が正常であれば当然つく値段と解釈すべきだが、リーマンショック後の不動産取引
事例を考えても鑑定評価の15-20%下回る価格で取引が実現している事例が多いことを考えると鑑定
評価で使用されるキャップレートはかなり「手前ミソ」のような気もする。

 個人的にはオフィスで使用されているキャップレートの5%という数字はかなり怪しい数字だと思
っている。しかしながら、現状ではほとんどのリート各社が似たような数字を使ってポートフォリ
オの含み損益を計算している。当法人に関しても44億円の含み益となっているが、実質的には赤
字に転落したと考えたほうが妥当だ。


(前期・今期業績)

 前期は営業利益で15.9%の増益、経常利益では18.5%の二桁の増益となったが、増益の主な理由は
物件売却による売却益949百万円の寄与が最も大きくこの売却益によるかさ上げ効果がなければ
微減益となっていたと考えられる。最も気になる点は既存物件の減収分241百万円でポートフォ
リオ全体で考えれば、賃貸収益の2.6%に当たり、年率換算すれば5%程度に達する。決算説明でも
リーマンショック以降、解約が急増したとのコメントがあり、シングルテナントが多いリートより
もマルチテナントが多いリートのほうが影響が短期的に現れたと考えることができる。但し、シン
グルテナントのほうがマルチテナントの方がリスクが低いというわけではないので注意する必要は
ある。

 空室の埋め戻しの状況は厳しいと言わざるを得ない。下の図は前期の賃料改定の状況を示した図
だが、更新契約で5%程度の賃料減額が見られたのに対してテナント入れ替えに伴う新規契約、即ち
空室の埋め戻しの為の賃料設定は18.2%と大幅な低下となっており、新規顧客を獲得する場合の賃料
の下落はかなり大きいと考えられる。幸いだったのは昨年度の賃料改訂で下方改訂された物件が33%
となっており、7割弱は賃料の減額がなかったことだ。但し、これからの賃料交渉は予断を許さない
状況だ。経済の回復がどの程度あるかにもよるがあまり楽観することはできないだろう。



 今期に関しては営業収益で16.9億円の減収、営業利益で25%減益、経常利益でも34%の大幅
な減益になる見込みだ。その理由の第一は前期計上した物件売却益が949百万円なくなることと、
売却した物件の賃貸収入がなくなることで合計11.57億円が減収になることが大きい。今期には
既存物件の賃料減収を484百万円予想しており、予想を上方修正できるかはこの賃料減収をどの程
度抑えることができるのかにかかっている。



 投資判断は微妙だ。NAVでみたディスカウントは30%近いので割高感はそれほどない。また、将来
の減配リスクに関してのディスクロもよくそれを基に評価すればとくに慌てて売却しなければならな
いというわけでもない。分配金利回りも高くもなく低くもないという感じ。まあ持っててもそれほど
害にはならんかという程度の状況だ。

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福岡リート投資法人(8968)

2009年10月28日 | 国内上場REIT


 3月にレビューして半年がたち、決算も発表されたことでもあるし改めてチェックしてみよう。
決算は好調だ。終わった第10期は物件NOIで59百万円の増加したが、3月に取得した東比恵ビ
ジネスセンターの貢献もあったと考えられる。一方で営業利益の減少の主な理由は減価償却費の
増加で86百万円の増加。NOIの増加と差し引きすると営業利益の減益をほぼ説明できることにな
る。営業外収益でも東比恵の取得に伴う借入れ増加により、金融費用が25百万円の増加でこれ
らをあわせると71百万円の経常利益の減益となるが、理由としては明快で特に気になる点はない
と言ってよい。

 当法人の強みは以前も書いたが、オール九州といって良いほどの九州財界からの全面的なバッ
クアップを受けており、金融面での不安はほとんどないことだ。福岡銀行、西日本シティ銀行を中心
とした100億円のコミットメントライン。長期借入金においても435億円の内、155億円は九州
地元金融機関が融資を行っている。さらに日本政策投資銀行から120億円の融資を受けているが
5年-7年の長期の融資に振り替えることに成功している。現在、REITTが借入れている「長期」
の融資は3年程度が多く、しかもスプレッドがかなり厚いという現状を考えれば5年以上の長期
借入れを好条件で借り換えできたことは大きい。長期的なキャッシュフローの予測が可能になる
という点から見ても好ましい。これによりデッドデュレーションが2.19年から3.21年とほぼ1年
伸びた。一方で平均の借入金は1.53%(実績)で、今後の平均コストは大きく上昇しない見込みであ
る。長期の固定比率は82.5%と前期と比較して2ポイント上昇。日本ロジスティクスファンドのよ
う固定比率を100%にする法人もあるが、このくらいがバランスして丁度よいのではないか。何も
コストを自ら上げる必要もないので一定の変動分を持つのは正しいと判断できる。



 当法人はその名の通り九州を投資対象としたREITで、商業施設へ6割、オフィスに4割弱投資し
一部レジデンスも少ないが投資している総合型だ。当法人が運用する商業施設はアクティブ商業
テナント、パッシブ商業テナントの2種類に分けられている。アクティブ商業とはポートフォリオ
の中での大型商業施設でかつ売上げ変動による賃料収入が変動するものと定義されている。対象と
なるのはコアのキャナルシティ博多、パークプレイス大分、サンリブシティ小倉の3施設を指して
おり、不動産賃貸事業収入で26億27百万円、全体に対する売上げ比率で47%をこの部門で占め
ている。一方、パッシブ商業とは長期の定期借家契約で原則として賃料減額、中途解約が不可とな
っている施設で原サティ、ケーズデンキ鹿児島本店、スクエアモールなど6施設を指しており、売
上げでみると前期実績が8億円、比率では14.6%がこの施設群が占めている。ポートフォリオの構
成、稼働率は下の図の通りであるが、景気の悪化に伴う稼働率の低下が懸念されるアクティブ商業
の稼働率は意外と高く、前期99.9%とほぼフル稼働であった。オフィスに関しても前期よりも低下
したものの、96.4%と高水準を維持している。



 高稼働率の秘密という程ではないが、やはりキャナルシティなどのフラッグシップ物件の稼働率
が高いこと。またアクティブ商業と呼んではいるが、売上げ歩合などのフロート部分が意外に少な
くアクティブ商業の85%は最低保証賃料が設定されている部分、共益費、駐車場代などで構成され
ており、景気変動の影響を最小限にしていると考えられる。やはり地方といっても政令指定都市の
中でも屈指の大都市である福岡にあって博多駅前エリアの一等地に立地する大規模商業施設の競争
力は高い。



 一方でオフィス部門に関しては懸念される点がいくつかあると想像されるが、実際にどうである
のかを検証してみよう。当法人はオフィス物件として5物件を保有しており、キャナルシティ・
ビジネスセンタービル、呉服町ビジネスセンターサニックス博多、大博通りビジネスセンタ、東比
恵ビジネスセンタである。先日発表された都道府県地価調査でも地方の下落は東京圏よりもマイル
ドであったが、都市毎にみると最大の下落率は福岡だった。一方、空室率は大きく上昇しており、
仙台の15%まではいかないが、福岡の平均空室率は12.4%とこれも過去20年間で最大の空室率とな
っている。なお、グラフは加工してあり、2003年以降から表示している。



 問題は当法人が所有するビルの空室率だが、幸いにも5%を上回る物件は一つもなかった。理由の
一つとしては所有するビルが全てAクラスビルであったこと。ロケーションも博多駅を中心として
1駅もしくは2駅以内の至近の距離にあり、プライムエリアでの優位性を発揮できたことだと考え
られる。平均空室率はグラフの通り急激に上昇しているのだが、これをAクラスビルと中小オフィス
ビルの空室を見るとAクラスビル平均で7.8%に対して中小規模ビルの空室率はなんと37.7%までに達
している。この中小規模ビルの空室率の極端な上昇が福岡の平均的な空室率を押し上げている。
とはいうものの、Aクラスビル平均で7.8%というのも結構しんどい数字であることは確かだ。その中
にあってオフィス全体の平均稼働率が96%を超えているのは大健闘していると考えても良いだろう。



(今期業績)

 今期業績予想を見ると営業利益ベースで若干の減益予想となっているが、おそらく堅い数字だと
考えたい。あまり合理的な予想とは言えないが、過去連続して予想分配金を上方修正している実績
を考えると日本ロジスティクスのように保守的な前提に基づいていると想像する。第一に、主力の
商業部門ではアクティブ商業でのベース賃料の比率が85%と高く、予想が比較的容易であること。
リスク要因として考えられるのは残り15%のフロート賃料部分で確かに売上げの前年比でマイナスと
なる可能性は大きくその部分は影響するだろうが、フロート賃料部分全体で367百万と小さくかつ
予測前提としてアクティブ賃料が49百万円減少することを織り込んでいること。これはフロート
部分13%に相当する額であることから不況分は十分予想されていると考える。

 オフィスでは3月取得の東比恵ビジネスセンタのフル寄与分がプラスとなるのに加えてマイナス項
目として空室率の上昇分103百万円を前提としていて、東比恵を除くオフィス部門の売上げの5.9%
にあたる。従ってこの前提に関しも保守的というか現実的な数字だろう。また何よりも金融費用の予
測が容易で営業収益を読みやすくなっている。今期の期中平均利払いコストは横ばいが予想されるが
これも現実的な数字だ。

 福岡の地域経済の現実は極めて厳しいものがあるのは事実であるが、当法人の所有する不動産に関
しては幸運にもそのマイナス影響を抑える状況が続いている。ということでまあ保有継続かな。それと
ディスクロに関しても合格点。

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海外のREIT投資(10) -Ascendas REIT 第3四半期決算

2009年10月27日 | 海外REIT研究



 Ascendas REITが第3四半期決算を発表した。金融危機以降ほぼ一年が経ち、バランス
シートの中身も大きく変化した。営業収益は5%増収となり、NPIも11.7%と二桁の増収と
なっている。まとめた表は以下の通り。海外リートの中でも結構長く持っている銘柄で
その間ずっと配当を受け取っているのでそこそこのリターンにはなっている。金融危機の
時には流石に含み損に転じたがその後の株価の上昇は結構ドラスチックだった。トレーディング
の機会は何度もあったが、結局バイ・アンド・ホールドで良かったかもしれない。



 NPIの増加は賃料改訂や不動産関連営業費用の低減が4割程度プラス寄与したのに加え、
2008年に投資した物件のフル寄与が6割程度あったと分析されている。期中には
空港物流施設のPlot6、Plaza 8 Changi Business Park Phase 2の完成があり、既に稼動
している。2009年の1月から当法人は投資主割当増資、第3者割当増資、社債の発行
など積極的にエクイティを実施したことで発行済み株式数は4割増加。一方で、配当は
13.2%の減少に留まった。さすがにこれだけ増資するとギアリングは大きく低下しており、
総負債は18.6億ドルから14.06億ドルに減少、レバレッジは41.4%から、30.5%
に低下している。


 市場で懸念されていたCMBSは8月にローンに切り替えられ、担保の設定されていない
物件が20億ドル、31物件に拡大し、借入れ余力が拡大した。2010年の3月に3億
ドルのローン返済があるのみでキャッシュフローを圧迫するバランスシート上のリスクは
激減した。デットプロファイルもかなりなだらかになってきており、2014年まで、最
大の返済額は395百万ドル(2014年)であり、金融市場の動揺によるショックはほとんど
防げると考えてよいだろう。

 ポートフォリオの稼働率は9月末現在で96.8%、MTB(Multi-tenanted buildings)でみる
と93.3%となっている。MTBとは1顧客にまる貸ししているビルでなく、複数のテナントに
リーシングをしているビルをさすが、MTBはAscedasのポートフォリオの54%を占めており、
またマルチテナントであること言う事は中小ユーザーが多くなる為、景気の影響を受ける
と考えられている。現状を見る限りにおいては稼働率の低下が見られるものの、比較的高
水準を維持しており、シンガポール市場の平均稼働率を上回っている。

 とはいったものの、当法人がリスクから開放されているわけではない。センシティビティ
アナリシスでは稼働率もくしはレント水準が5%低下するごとにNPIが3.7%減少する。10%
低下するとNPIが7.5%。一方、分配金レベルでみると17%ずつ減少していくことになる。



 金融危機を大型増資で乗り切っただけあってバランスシートリスクはほぼなくなったが、
不安材料はやはり景気の状況だろう。全体の稼働率も前年と比較すると1.2%減少、MTB
ベースでは2.3%減少しており、景気低下の影響はあると考えるのが妥当だ。当法人の
契約では94%との顧客との間で賃料に関してコミットされているという強みがあるものの、
契約更改となれば別である。レント水準も2008年をピークに徐々に低下してきており、
下げ止まり感はまだない。平均リース契約期間も5.5年から4.9年に短縮しており、
特に来年、再来年の契約更改を合わせると3割に上るためそのときの経済環境の状態は重要
である。目先は特に問題がないもののアジア経済の回復がどの程度になるかは依然として
注目する必要がある。とりあえず保有継続でOK。

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海外のREIT投資(9) Champion REIT(香港)

2009年10月26日 | 海外REIT研究
 
 Champion REIT(冠君產業信託)は香港証券取引所に上場しているオフィス・商業の複合
型REITで総資産446億香港ドル(5352億円)、時価総額153億ドル(1839億円)
のアジアのREIT市場でも時価総額トップ10に入る大型REITである。当法人はビクトリア
湾を挟んだ両岸に資産を保有しており、香港島にはCitibank Plaza、九龍半島のMongkok
地区にはLangham Placeを保有している。



 総資産が大きいにもかかわらずポートフォリオは極めてシンプルなのは興味深い。2物
件の内、6割に当たる3168億円の資産はCitibank Plazaとなっている。残りの4割はLangham
だが、Langhamはオフィスと商業に分かれており、オフィスが12.8%、商業が20.5%となっており、
商業のほうが鑑定評価額は高くなっているが、賃貸可能面積ではそれほどの差はない。やはり
場所柄が鑑定評価に影響していると思われるが、Mongkokはオフィスとしての人気はいまいちの
ようだ。



(保有資産)

 Citibank Plaza - 香港のCentral駅のそばにあるCitibank PlazaはCitibank Tower、
ICBC Towerに加え558台収容可能な地下駐車場、商業施設を併設するオフィス・商業コン
プレックスで、当法人はICBC TOWER、商業エリア、地下駐車場の全てとCitibank Towerの4
フロア分を保有している。フロア面積が160万平方フィート。高さ205m、47階建てのビ
ルで、1992年竣工。賃貸可能オフィス面積117万平方フィート、同商業面積4万3千
平方フィート。テナント数78、稼働率97.39%となっている。やはり香港の中心部だけあって
テナントの7割が金融機関だ。その点でいうとリーマンショックの影響は受ける可能性はあ
ると考えるのが妥当だろう。これについては後で議論する。



 Langham Place - 九龍半島のMonkokにあり、59階建てのオフィス棟と15階建ての商業
モール、250台収容の駐車場、42階建ての5つ星ホテルからなる商業コンプレックス。フロア
面積155万平方フィートで2004年竣工の比較的新しい物件だ。Langhamの総面積の55%
がオフィス、残りの45%が商業モール向けとなっている。



(業績動向)



 業績は回復基調にある。営業収益は3.1%の増加となったが、NPI(Net Property Income)が
817百万ドルから877百万ドルへと7.2%の増加が大きく寄与したと考えられる。また
昨年の下期に鑑定評価の評価減が62億ドル減と大きくマイナスとなったが、今上期には鑑
定評価が23.8億ドル程回復した。回復した大きな理由は保有しているCitibank Plazaが
前下期と比較して8.4%の増加に転じた事と、Langham Placeも5.7%の増加となったことが要因
となった。鑑定評価額の増加は景気回復に伴い商業不動産の売買価格の上昇により、キャップ
レートが低下したことを挙げているが、本当にそれでいいのかという疑問も少しある。

 バランスシートは改善している。この理由は明快で昨年上期にファイナンスを実施したから
である。2008年5月27日に46.8億ドルの転換社債の発行、29.6億ドルの第三者
割当増資を実施したことで大幅な稀釈化が発生したが、その分ギアリングが36%から33.3%
に低下した。ギアリングがあまり低下していない理由はLangham Placeを買収したからであり、
もともとこのファイナンスは買収資金の調達が主たる目的であった。幸いにも金融危機前にに
増資に成功したことで財務的なリスクを低減させたという幸運な面もある。なお、発行した転
換社債はクーポン1%、2013年6月3日償還で転換価格は3.92HKドルである。当面の財
務リスクは低下しているものの2013年までに株価が回復しない場合(現在3.28ドル)、
社債償還のリスクが出てくることにも留意する必要がある。
 
 売上げの増加は評価してよいだろう。Langham Placeの買収は昨年の上半期に起こったが、
単に金融危機の影響を売上げ面では受けていなかったことと、Citibank Plazaのレント水準
が上昇したことで売上げの増加が見られたことである。(下図参照) Citibank Plazaの増収
は若干テクニカルなところがあり、上半期の売上げの大半は新規契約賃料が占めており、契
約更改による減収効果が少なかったことが挙げられる。この点については注意が必要だ。



(成長戦略)

 Langham Placeの買収という重要なイベントをこなして資産規模の拡大に成功したが、今後
の成長戦略に関しては不透明の部分が多い。また上期のの業績は確かに堅調であったが、下期
の業績は懸念される事項が多い。もっとも懸念される事項はレント更改のタイミングが来年の
2010年に集中していることだ。売上げ寄与が最も高いCitibank Plazaで54%と半分が契約の
更改時期がくる。下の図では40%が契約が更改する部分と、14%がレント改定の時期にきている
為、来年は重要な年だ。加えて2011年には3割のテナントが更改の時期を迎えることから
経済の状況がパフォーマンスに決定的に影響を与える可能性が高い。 Langham Placeに関して
も状況は似ており、ショッピングモール部門で43.7%でその全てが契約の更改だ。レント
のレビューと契約の更改では契約更改の方がハードなネゴとなる。フリーレントをどの程度含
めるかとか賃料の設定など単なるレントのレビューとは異なると考えられる為、影響がプラス
となるには経済状況の改善が必要である。



 経済環境に関しては実際の数字は改善の兆しは見えていない。下の図は香港のリテール売上げ
の数字とLanghamの数字だ。Langhamの売上げは健闘しているが、やはりマクロ環境の影響は受け
ている。第2四半期の香港のリテール売上げは5.4%のマイナスとなっており、経済環境が改善し
ているとは言いがたい。香港の通貨はご承知の通り香港ドルであるが、米ドルとのペッグをして
いるのでドル安の影響を受けている。香港は当然資源も何もないので大陸からの物資で生活が成
り立っていると考えれば、人民元の対米ドルへの上昇で実質的な物価上昇が見られていることに
なる。一方で、所得は香港ドルのままであることから実質賃金が下落。当然小売売上高に影響す
ると考えるのが自然だろう。




 投資判断としては微妙な所だ。分散投資という観点からは香港のリートは押さえておきたいと
ころだ。また物件のロケーションやクオリティなどを考えても物件数は少ないものの悪くないも
のだと考えられる。配当利回りも8%弱となっており、それほど悪くない。バランスシートは転換
社債の償還リスクは存在するが、ギアリング水準も低目となっておりリスクはそれほどないだろ
う。また現状の株価でみるとNAVに対するディスカウントが42%となっており、とりあえず保有で
いいのだろう。購入したタイミングがそれほど良くなかったので含み益もそれほどないが、もと
もと長期の配当期待で投資しているのでこのままホールド。但し経済状況はよく注意する必要が
ある。

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MMDを触ってみる(6)

2009年10月25日 | Weblog
 アクセサリの扱い方にも慣れてくると今度は欲が出て、モデル自体の変更をやりたく
なった。PMD Editorでモデル自身への加工ができるが、実際にやってみると簡単な変更
なら素人でもすぐできることがわかった。とりあえず、自分用マニュアル第2弾としてPMD
Editorについて書いておく。PMD EditorとはMMDソフトで利用するモデルの編集用ソフトだ。
何故、PMD EditorというとMMDでのモデルデータはPMDというファイルに格納されていて、
そのファイルのEditingをするからPMD Editorという。ただそれだけ。

(PMD Editorによるモデル改造)

 MMDのすごいところは無料であるという点よりも有志が集まっていろいろなツールを自作
してそれをネット上に公開、それがさらに改良されてという具合に進化することだ。私が愛用
しているFirefoxも無料のブラウザだが、元はといえば今はないネットスケープ社が消滅した
後、有志が集まって進化させたブサウザだ。アンチマイクロソフトというかインターネットエクス
プローラーの機能に満足できない人たちが作り続けている。全てボランティアで寄付金などで
運営されている。私もMozilla Foundation(Firefoxを作っている財団)に寄付したことがある。
こういう人たちって必ずいるんだよね。マイノリティというか、反抗精神の塊というか。

 それはともかくPMD Editorを起動してみる。



 起動してからメニューを選び、モデルをファイルを開く。ファイルを開くとメニュー画面
が出てくる。



 メニュー画面の状態からでも変更できるが、変更しながら確認したい場合、というか普通
モデルの状態を確認しながら作業をした方がやりやすいのでモデルを表示させる。それは表
示タブを選択すると上図のようにモデルが表示される。



 モデルの変更は色々できるらしいが、今回は材質の色を変えるところからはじめる。とい
うか、形状や剛体、Jointの変更なんてまだ高度すぎて扱えない。材質タブを選択すると各
パーツの一覧が表示されるので変更したいパーツを選択。基本的にRGBの設定値を変えて色
を変更しいくのだが、Diffuse、Ambient、Specularの3つの項目それぞれを設定していく。
Diffuseが基本色なのでAmbient、Specularの設定は変えなくとも色は変わるようだ。設定の
変更で髪の色を黒に服を赤に変えてみた。





 状態の変更は即座に反映されるため確認は容易だが、メニュー画面からの表示でボーン表示
とかいろいろと邪魔なものも表示されて確認しづらいときがある。完成品を表示指せる為には
VMD Viewというプログラムを起動すれば見れる。表示画面からさらに情報タブを選択するとサブ
メニューに「VMD Viewで確認」というのがあるのでそれを選ぶと表示される。なお、このVMD View
では完成具合だけでなく、モーションデータを読込んで実際のダンスモーションでの破綻がないかど
うかチェックできる。但し、出力や楽曲の入力機能はない。
 材質の色設定はもっとも簡単な使い方で、素人でも簡単にできた。ボーン設定の変更とか
まだまだかなり多機能だが、モデルを歩かせることさえできない私にはまだかなり先の目標
だ。




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MMDを触ってみる(5)

2009年10月24日 | Weblog

 少しずつだがMMDにも慣れてきた。とはいったものの相変わらずモーションデータの作成
とまではいかない。アクセサリの設定とセンタバイアスの設定がようやく飲み込めてきた。
MMDの解説を丁寧に見れば問題はないのだが、どうも動画による説明というのはわかり易い
ようでわかりにくい。マニュアルならわからないところは繰返し読みとか、後でまた読み戻
すという作業ができるのだが、MMD動画説明ではそれができない。やはりちゃんとしたマニュ
アル集が欲しいところだが、いかんせん、MMDというソフトは無料であることから、作者の
好意で成り立っている。アプリケーションを作成した人たちはもともと自分の興味から作っ
ており、それを無償で開放していことからあまり要求することもできない。

 結局、分かっている人たちが片手間に初心者達にアドバイスをしているだけで、助ける義
務も義理もないのだ。MMDに興味がある人たちが自分たちでなんとかするしかない。いままで、
複数モデルのダンスモーションをどうするのか疑問だったが、ちゃんとHPに書いてあった。
というより、よく読まないと分からない。ということで自分用のマニュアルをブログにアッ
プしておけば読み返せるので書いておくことにする。


(複数モデルでのダンスモーション)

 まずは最初に1体目のモデルを呼び出し、モーションデータを次に読込んでおく。



 2体目を呼び出すと重なった状態で出てくる。これはデフォルトでモデルがセンタに設定さ
れているのでこうなる。よく間違えるのは、マニュアルで移動させてモデルを登録させて再生
させると、移動させたモデルがセンタに寄ってきて体が変な形に変形してしまうというものだ。
最初はならがなんだか分からずとまどったが、モデルのポジションはモーションデータ全体の
範囲設定を行い、対象となるモデルのセンタバイアスを設定することで位置決めする。



 センタバイアスはフレーム登録からセンタバイアスを呼び出すと設定画面が現れる。気をつけ
ることはセンタバイアスを設定してモデル登録を忘れることだ。再生すると重なっているという
ことになりかねない。あと、対象モーションの範囲設定も忘れやすい。とにかくモーション全体
を登録しておけばよい。そして範囲全体のバイアスを登録。



 2体目も同じように設定する。ここではx方向にプラス・マイナス10の範囲で設定した。そう
するとセンタを中心に対象の位置になる。それで再生すると並列してダンス開始。



(アクセサリ設定)

 アクセサリに関しても最初戸惑ったが、理解すると難しくない。アクセサリは対象モデルのパーツ
との関連付けをすれば良いだけだ。



 アクセサリを呼び出すとアクセサリは地面に落ちた状態ででてくる。これはデフォルトの設定が
地面だからで、それをパーツと紐つけるといいわけだ。



 アクセサリの調整、特に大きさの調整は縮小率の設定でおこなう。この場合、縮小率を0.4にした。




 同じく2体目も繰り返す。





 最後にステージだが、ステージにはいろいろな種類があり、スクリーンが連動しているものもあれば
静止したものもある。例ではスクリーンが連動するものだが、これの設定はステージのREAD.MEファイル
等で確認する。
ステージを呼び出したら後は音楽ファイルを読込むだけだ。但し、MMDはWAVEファイルしか読込めないの
でMP3音源、AAC等はWAVEにエンコードしてからでないとできない。フリーソフトではSUPER C(正確には
シェアウェア)やほかにも色々なエンコーダーがある。試すのは良いがあまりいろいろなソフトを試すと
音源関係のドライバが壊れて再生が早まわしになるような症状がでるときがある。そうなるとウィンド
ウズメディアプレーヤーや他の再生ソフトでの再生がおかしくなったりする。Youtubeやニコニコ動
画などのストリーミング再生にも影響するのでほどほどに。壊れた場合はシステムの復元。駄目ならOS
の再インストールも覚悟する。




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日本ロジスティクスファンド(8967)

2009年10月20日 | 国内上場REIT
 当法人は物流施設などに投資するいわゆるインダストリアル型のリートで三菱商事がスポ
ンサーである産業ファンドと同じカテゴリーに入る。スポンサーは三井物産で、ライバルの
三菱商事のリートがインダストリアル総合型に対して当法人はロジスティクス特化のファン
ドとなっている。とりあえず保有はしているが、中身についてあまり分析したことがないこと
からちゃんと分析してみることにした。



 両者の違いはただ単に投資対象範囲だけではなく、いろいろな意味で異なっている。上図
でみるとわかるがファンドの規模は当法人の方が若干大きい。一方で、LTVは20.9%とかなり
低く、また物件数で見ても産業ファンドが9件、当法人が26件と分散が効いている。運用
方針をみる限りにおいてはかなり保守的な運用を行っているのがわかる。産業ファンドはそ
の逆で物件のポートフォリオの組入れ度合いが高く、レバレッジも高い。また、航空機のメ
ンテナンスセンターやデータセンタなどのロジスティクス以外も手がけており、言ってみれ
ばアグレッシブな運用を行っている。それが良い悪いというのは特にないが、物流特化、保
守的な財務、分散投資という非常にわかり易い運用を当法人はしている。



 投資対象は繰返しになるがロジスティクス(物流施設)で1万平方メートル以上の大規模物
件が89%を占めており、さらに3万平方メートルの物流施設がポートフォリオの47%を占める
ことから比較的大規模なユーザーが多い。シングルテナントの比率は75%と多く、即ち特定顧
客向けの物流施設が多いことを指している。シングルテナントの比率が高いということはそ
れだけリスクが高まることを意味しているが、大規模物流施設を利用する顧客は当然事業の
中核施設として借り受けている訳であるからオフィスと違い簡単に解約してしまうというリ
スクはあまりないと考えられる。



地域別の構成は上図左側の図で首都圏が76%、近畿・中部・九州が15%、その他が9%。その他
地域とは何かというと関東圏にある埼玉、群馬の4つの物流センタの事を指している。直近で
取得した加須物流センタはその他地域に含まれる。何故その他地域なのかはよく分からないが
これらを含めるとポートフォリオの85%が関東地域に分布している。分散状況だけを見ると関東
に集中している印象を受けるが日本の経済が関東に集中している現状を考えれば問題は少ない
だろう。



 顧客構成は上の図の通りでやはり物流業者が顧客となっている。上位5社で6割を超えるシェ
アとなっており、最大の顧客はトライネット・ロジスティクス社。同社は三井物産の物流子会社
でそういった意味では同社が離脱するリスクはほとんどない。 2位、3位は佐川急便、佐川グ
ローバルロジスティクスでグループで捕らえると佐川グループが最大の顧客だ。その後にはヤマ
ト運輸、摂津倉庫などが続いていく。ここで書いてあるシングルテナントリスクは確かに存在す
るが、物流システムの変更はきわめて困難であることからそれほどの大きなリスクとは思えない
が、新規顧客の開拓は常に重要である。



 シングルテナントのリスクはあるものの、契約期間が長期化に成功しており、稼働率も安定し
て高めを維持している。バランスシートに関しては問題がない。LTVは20%と極めて低く、むしろ
レバレッジが低すぎるような気がするが、法人側は高い格付けを維持するためにLTVの大幅な引き
上げには極めて慎重になっている。目先のLTVの上限を30%としているという点も他のリートと異
なっている。



 業績は堅調だ。上の図は過去3期分の分配金の予想と実績の乖離だが、実は上場来8期連続で
予想分配金を上回っている。たまにいるんだよね。連続記録達成とかに意欲を燃やす会社。多分当
法人もそれを狙って分配金予想を立てているような気がする。それはともかく前期決算は経常利益
で減益決算ながら除却損283百万円が発生したもののこれは一時的なコストであることから、今期
来期には発生することはないことからこれだけで来期の増益要因になる。過去のポートフォリオの
NOI利回りの推移を見ても償却前利回りで7%以上をターゲットにしており、業績の安定性も比較的高
いだろう。但し、前期に追加取得した東雲、加須のNOI利回りが、東雲で5.8%、加須で6.2%となってい
ることから通期稼動してもポートフォリオ全体のNOIの低下は今期・来期に見られる可能性はある。
償却後NOIでみると5%台が期待できるだろう。



(成長戦略・今期決算)

 外部成長が困難な環境の中で当法人は他のリートとと異なり優位なポジションに位置していると
いえるだろう。第一にLTVが20%と極めて低く、借入れ余力が高いことだ。法人側の説明ではターゲ
ットとするLTVを30%としており、借入れ余力が59億円あるとしているが、LTV30%でも結構低いと
考えられるものの、どうやら格付けを維持するためにLTVをあげるインセンティブはほとんどない
ように思える。



 印象としてはとにかく堅い。財務的にもガチガチに固めてしまっており、不安要素の排除が徹底
しているという感じ。なにもそこまでしなくてもという気もしないでもないが、現在の金融状況で
はかなり有効な手段だ。今期に関しても金融コストが1.38%から1.7%に上昇することが見込まれるが
取得した東雲、加須の物流センタの通期稼動と前期計上した除却損がなくなることで2104百万
円の増益となる見込み。金融費用が増加する一番の理由がデッドデュレーションの長期化によるも
のだ。すなわち、ポートフォリオの平均デュレーションを2.19年から3.19年と1年伸ばしたことによ
る。つまり、金利コストを自ら上げたようなものだ。現在のデュレーションを維持すればすくなく
とも増益幅はもっと拡大しても良かったが、当法人は自ら進んでデュレーションを伸ばして金利コ
スト引き上げた訳だ。当然、その背景にあるのは金融機関による貸し渋りの激化を見越してとの予
想が働いたのに違いないが、スポンサーが三井物産でLTVが30%を超えないリートに貸し渋りなんか
あるんだろうかという素朴な疑問が湧き上がるのだが、それだけ財務内容に関しては石橋をたたく
という習性があるのだろう。

当法人は2期予想をしているが、来期も営業収益、経常利益、分配金予想の数字が今期と全く同
じというのはちと信頼性に欠ける。実質的には今期予想のみというのが実際のところだ。これだけ
堅い財務を誇るのなら、2期先の業績予想くらいもう少し精緻にやって欲しいものである。



 成長戦略に関しては米国の大手物流企業であるプロロジスとの提携を発表し、今後当法人という
よりも三井物産と協業を行う予定だ。契約の内容はパイプラインサポート契約。プロロジスがテナ
ント付けを完了した開発物件への投資情報を受ける。この提携が面白い所は資産取得は100%買収
でなく、当社がメジャーシェアを取りプロロジスがマイナーシェアを持ち続けるという形での協業
形態になる予定だ。何が面白いかといえば、プロロジスが完全に売却という形をとらないという事
は収益レベルもしくは物流施設のクオリティの劣るような物件はあまり出てこないと予想される。
そうでなければ、プロロジスはシェアを残したりしないだろう。また、当法人にとっては優良物件
のパイプラインサポートを受けられることで、ファイナンス戦略さえ間違えなければ外部成長の成
功の確率はかなり高いと考えられる。上の図はプロロジスジャパンの会社案内から抜粋したが、既
に同社は日本での物流拠点を複数抱えており、100万平方メートルに達している(11棟、開発分
含む)。さらに40万平方メートルの開発用地を所有しており、開発段階で当法人に声がかかる可能
性は高い。



 問題となるのはファイナンスの問題だけだが、LTVを30%を目先のターゲットとしていることから、
開発案件がでてきた場合、おそらくデッドファイナンスではなく、エクイティを実行する可能性が
高い。上の図は決算説明資料からの抜粋であるが、わざわざ300億円の物件を取得したときの分
配金シュミレーションを出しており、なんかやる気満々だ。まあ、それでも稀釈化を抑え、成長を
目指すその心意気はよしとするが、それにしてもそんなに良い物件がくるならLTVをもう少し上げて
もよいような気もするが。財務の安定性、成長戦略、プロロジスとのパイプラインサポート契約、
スポンサーのクレジットどれをとっても堅い。とても堅い。加えてディスクロージャーのレベルも
高く、必要な情報開示は勿論、投資判断の参考になる情報も積極的に開示している。バリュエーシ
ョンが高いのが難点だが、数少ないプレミアム状態での増資が可能なリートだ。投資判断は勿論、
保有継続。


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東京楽天地(8842) 優待制度の変更

2009年10月18日 | 銘柄研究
 東京楽天地の優待制度が変更され、オークション等での換金が実質的に禁止されることに
なった。映画興行会社の株主のほとんどは優待券狙いで投資していることから、これはある
意味、実質的な減配を決定したことにも等しい。



 内容は既に譲渡を実質的に禁止している東京テアトル、松竹などに少し似ているが、株主
カードを新たに発行して優待券との番号を確認するというすこしややこしい方式だ。それな
らば松竹、テアトルなどのカード方式でもいいんじゃないかという気もするが、何を考えて
いるのか良くわからない。東京楽天地は私も昔から投資している。ひとつに映画を良く見る
という単純な理由からでもともとオークションで換金しようという気はあまりなかったが、
ヤフーのオークションが一般的になって何度か売却したことがある。東京楽天地という会社
は映画館が錦糸町にしかないため、東宝、松竹、東急などと比較しても知名度がなく、あま
り人気のない会社だが、優待制度はうまく利用すると結構おいしかったりする。下の表はそ
の優待制度の中身だが、2千株以上投資すると親子関係にある東宝の優待券が貰える。




 投資している株主は別として意外と知られてないかもしれない事実としては東宝の優待券を
2千株以上だと隔月に1枚貰えることだ。2千株だと74万円必要。東宝1000株投資すると
141万なので少ない金額で東宝の優待券が貰える。但し、必要金額は半分だが、貰える優
待券も半分だ。それに加えて楽天地の優待券が毎月分貰える。つまり、楽天地のある錦糸町
近辺もしくは錦糸町に行くことが苦にならない人にはメリットがある。まあ、東京23区の
東側半分の地域に住んでいる人にはそれほど苦にはならないだろう。それに錦糸町にある映
画館は結構きれいだ(またスクリーンは8つあり映画も結構内容充実)。有楽町のマリオン
と比べても遜色はない。

それにしてもまた譲渡禁止にする会社が現れたとは。結局、配当が少ないからオークション
で売って足しにしようと思っている投資家が多いことの裏返しだ。優待券を譲渡して欲しく
ないというのであれば、配当をもっとしっかり出すのが筋だろう。



 個人的には映画会社は成長しないのだから株主への配当性向は100%であるべきだと思って
いる。それこそ、上場リートの方が配当を100%近く出してなおかつ成長しようという意気込
みがある分投資対象としては10倍は魅力的だ。東京楽天地の場合、自己資本比率70%、バラン
スシートに占める現預金・有価証券(固定資産計上含む)が120億円あり、全体の34%が現金等
価物だ。上の図の株主資本の異動明細を見ても前期の数字だが、配当の2.6倍の評価損を
計上して結局自己資本は減少した。

 最近、話題になっている国際会計基準IFRSが導入されると楽天地の利益はどうなるのであろう
か。議論を単純化するために、減価償却の取り扱いやのれん代の扱いについてはここでは無視し
て金融商品の時価変動がどのように影響するのかみてみる。なお、ここでの試算ではトレンドを
見るために細かい条件設定を敢えて行っていないので、正確な数字ではないことに留意してもら
いたい。国際会計基準では従来の会計基準である純利益とは別に「包括利益」が導入される。純
利益は当然ながら、利益処分などで株主配分が決定される重要な数値であり続けることは議論を
余地はないが、包括利益では「資産負債アプローチ」という考え方に基づき株主のトータルの利益
を測定するのが主たる目的だ。いってみれば期間のフローのみに注目したのが、純利益であるが、
一方で、いままで積み上げてきた資産の時価変動も最終的には株主の利益と考えることができる。

過去に積み上げた資産が金融商品の運用で目減りすれば売却などで実現しなくてもそれは株主の
損失になると考える。下の表は楽天地の事業報告書を下に私がエクセルで作成したものであるが
経常利益のトレンドをみると24億円を中心に極めてボラティリティが小さい。当然、当期純利益
もあまり変化がなく、「利益が安定している」という風にも見える。一方で金融商品の時価変動を
加味した包括利益では一昨年度に5割増加し、昨年度の包括利益は76%減少と急減しているのが
わかる。即ち、楽天地自身が保有する金融商品、ここでは主として株式であると思われるが、それ
の影響が甚大であったことがわかる。問題となるのは株式の保有が株主の利益に合致しているの
かどうかという点だ。IFRS導入によって包括利益の開示が始まれば、企業が株主に向いているのか、
それとも親会社などの意向で保有する必要のない持ち合い株式を保有して株主の利益を損ねてい
るのかといのうが今後明らかになるのである。




株主の小遣い稼ぎを禁止するよりももっとやることがあるだろう。因みに私の場合は何度か売却
したことがあるが、大抵の場合、売るのを忘れてたりして、優待券が紙くずになることしばしばだ。
経営陣にはもっと自覚を持って欲しい。

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S&Pケース・シラー住宅価格インデックス(9月発表分)

2009年10月16日 | 金融市場
 S&Pケース・シラー住宅価格インデックスは全米主要都市の住宅取引価格を金額加重した指数
で10都市版指数と20都市版指数の2つが発表されている。指数は2000年を100として計算され
ており、指数を見れば2000年からどの程度価格が上昇しているのかがわかるようになっている。
10大都市圏指数(10-City Composite)はボストン、シカゴ、デンバー、ラスベガス、ロサンゼルス、
マイアミ、ニューヨーク、サンディエゴ、サンフランシスコ、ワシントンの10大都市圏の指数から算出
される。この10都市指数はシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で先物と先物オプションが取引され
ている。このように金融市場でも上場されているデリバティブが存在することから投資家、アナリスト、
エコノミストなどの市場関係者に注目されている指標となっている。 一方、20大都市指数は上記の
10大都市圏に、アトランタ、シャーロット、クリーブランド、ダラス、デトロイト、ミネアポリス、フェニック
ス、ポートランド、シアトル、タンパを加えた指数でニュース等でケース・シラー指数と報道されている
場合、この20大都市指数の事を指すことが多い。



 既に報道でもいろいろなコメントがなされているが改めて全米の住宅市場がどのようなトレンドに
なっているのかを見てみよう。インデックスの最新値は7月時点であるが、既にその3ヶ月前から下落
トレンドに変化が見られている。この数字を見て米国の不動産市況は回復に入ったとの見方がされてい
るがそのような見方に傾いている理由は第一にインデックスレベルが2003年のバブル発生前の水準
に戻っていること。第2点目としては前年同月比で下落はしているものの、3ヶ月連続で前月比で上昇
していることをあげている。なお、ケース・シラーと似たような指数でHPI(OFHEO)指数というのが連邦
住宅金融庁から発表されている。HPIは全米50州をカバーする広範囲な住宅価格指数でケースシラー
と似た統計手法によって処理されている。ケース・シラーもHPI指数もリピート・セールス手法(同じ不動
産が異なる時点で複数回売買されたときの価格から不動産価格の経年変化を示す価格指数を作成す
る方法)で算出されている為、信頼性は日本よりも上であると考えられる。このような統計手法が採用で
きるのは日本と異なり米国では土地にそれほどの価値がなく、建物の価値が高いことから売買も頻繁に
起こることから可能な手法だ。そのHPI指数であるが、下図のようなグラフだ。

  
                
 同じ価格変化のグラフだがHPIとは収録期間が異なっている為、一見して似てないように見えるが、実
は同じトレンドになっている。HPIはケース・シラーよりも広範囲だが、データはファニーメイとフレディ・
マックの2社からのデータを下に作成されている。これはどういうことを指すかというとファニーメイ、フレ
ディ・マックの保証を受けた通常のモーゲージによる売買記録の統計ということ。即ち、サブプライム分の
データが含まれていない。一方、ケース・シラーはローンの種類に関係なく売買記録のみを利用している
ことからこちらの方が信頼性が高いと主張する者もいる。一方でケース・シラー指数では地域的なカバレ
ッジに難点があり、全米13州のデータがない。従って除外されている州での価格変化が大きいとケース
シラーでは補足しきれないという問題点がある。しかしながら、今回に関しては両指数とも同じトレンド
を示しており、特段の問題もないようだ。オバマ政権になってからの支援策が功を奏したのか、Fire sale
(投売り)が終了したのかは微妙な判断ではあるが一時のパニック的な動きは収束したと見てよいだろう。
因みにインデックスの中身を詳しく見る人はあまりいないと思うので載せておく。私も中身については
調べて初めて見た。



 全米20都市のインデックスは6月対比では1.6%の上昇となっており、低下した都市はラスベガスと
シアトルの2都市のみである。6月は1.4%の上昇なので価格トレンドだけを見ると反発しているようだ。
これが本当に不動産市況の回復になるかだが、価格指数のみだけでは物事の本質には迫れない。
経済環境が価格上昇を許すのかどうかを見てみよう。



 上の図は住宅差押件数、失業率、延滞率などを示した図であるが、これを見ると本当に終わったの
かは疑問だといわざるを得ない。左のグラフでは中古住宅販売と競売通知をグラフ化したものである
が、競売が増加するに従い、中古販売が伸びている。それはそうだろう。日本でもそうだったが、競
売は基本的に投売りだ。売却する本人の意志ではなく、債権者である銀行が回収する為に行うもので
あるから売り惜しみは存在しない。そんな中で住宅販売が活況なのは当然ともいえる。なにしろ安い
のだ。裁判所からの競売通知の増加は将来の中古住宅販売が堅調になることを予想させる。これは
先行指数だからだ。問題は右の図であるが、競売物件の種になるローンの延滞の増加が止まってい
ない。データは四半期なので6月までだが、どうやらこのトレンドは続きそうだ。好調な経済指標も
「だまし」である可能性はまだありそうだ。

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森ヒルズリート投資法人(3234)

2009年10月15日 | 国内上場REIT


 名前の通り、森ビルがスポンサーのリートである。森ビルグループは港区を中心とした不動
産業を行っており、特に六本木付近での大規模再開の実績を有しいている。森トラストという
企業があるが、これは森ビル社長の森稔の実弟が経営している会社ではあるが、森ビルとの資
本関係はなく昔の西武とセゾンの関係に似いている。 なお、森トラストは森トラスト総合リート
投資法人という全く別のリートを運営している。

 日本の上場リートではオフィス、レジデンシャル、複合型に加えて東京都心部型、地方型、
分散型など用途別もしくは地域別の分類の仕方があるが、このリートの特徴はなんといっても
港区に特化していることで、特に六本木を中心のポートフォリオとなっていることから東急や
阪急のリートと似ているが、当法人はきわめて狭い地域での特化であり、そのため投資家は
地域偏重リスクを意識する必要がある。いってみれば六本木ファンドといっても良いだろう。



 資産規模は1945億円(鑑定評価ベース)と比較的に大きめなサイズだが、ポートフォリオ
には10物件が組み入れていることからここでもポートフォリオの集中度合いは高い。最大の
組み入れは六本木ヒルズゲートタワーの375億円でポートフォリオの19.2%がこの物件で占め
ている。ファンドの運用方針としてプレミアム物件重視、オフィス重視など競争力が高いとさ
れる物件の集中投資を目的としている点を投資家は意識する必要があるだろう。プレミアム物
件とは都心5区に位置し、大規模かつクオリティの高い物件を指しそれがポートフォリオの
地域集中度、物件あたりの集中度を高めている。1株当りの純資産561451円、LTVは
53.56%と比較的高めのレバレッジがかかっている。稼働率は95%。当法人のポートフォリオの
集中度が高いわけだが、上位テナントの集中度はそれほどは高くなっていない。やはり港区と
いうロケーションの特性なのかやはり外資系企業の比率は比較的高めだが、意外にも上位テナ
ントをみると日本中央競馬会や独立行政法人都市再生機構など公的機関のテナントの比率も高
くなっているのがユニークだ。それでもメルセデス・ベンツ、エリクソン、マッキンゼー、ア
ストラ・ゼネカなどの外資系の比率もそこそこある。外資・国内の比率はオフィスで43:67、
住宅で50:50の割合となっていてほぼ半分が外資系となっている。




(前期決算)

 前期の決算は営業利益ベースで1.89%の減益となった。不動産売却益がなかったことと、稼働率
の低下賃貸事業費用の増加などが影響したが、よく吸収したほうだろう。金融費用はクレジット
が良いことで低めに抑えられているが、それでも営業利益30億円に対して金融費用が10億弱
なので影響は出てくる。営業利益の3分の1が金融費用で、前期に関していえば94百万円の
費用増加により経常利益の減益の幅は7%に拡大している。似たようなサイズである東急リアル・
エステート投資法人と比較しても金融費用が若干高い。その理由の第一は賃貸NOIの差だ。東急の
NOIは5%台に乗っているに対して森ヒルズは4%台に留まっている。またLTVも東急が10ポイント
近く低いのにNOIが高いので物件に対する金融費用が抑えられている。当法人はその運用目標から
して都心5区、特に港区に集中した物件でさらに大規模物件に特化していることでレバレッジを
かけないとリターンが高まらないようになっている。



 戦略の違いであるからこれについてのよしあしは特段ないと考えられるが、ある意味当法人は
超一等地物件を保有することによって価値が上昇し、最終的にはキャピタルゲインを含めたトー
タルリターンが高まると主張しているのに等しい。個人的な見解を言えば、先に見た都道府県地
価調査の動向などを考えると超一等地であっても地価の下落をまともに受けざるを得ないと考え
るのが妥当だ。この先地価が底入れするかは不明だが、そのようなリスクを斟酌した上での戦略
の再構築が必要な時期に来ているのではないだろうか。NOIが低いということは高めのレバレッジ
をかけ続けなくてはならず、そのためには外部成長の為のエクイティのニーズは他のリートより
も高いと考えられる。金融情勢が厳しい中では成長余力が低下せざるを得ないと考えるのが妥当
だ。下図は決算説明資料からの抜粋ではあるが、プレミアム物件とされる組み入れ比率が91.7%と
なっているが、このプレミアム物件とは森ビルグループの得意物件という意味らしいが、プレミア
ムだから収益力が高いという意味ではなく、比率が高いことがキャッシュフローが安定するとか
リターンが高いという意味に捉える必要はない。



(財務内容)

 財務内容に関していえば可もなく不可もなくといったところか。若干LTVが高いのが気になるが、
デッドプロファイルをみてもなだらかで債務返済圧力を金融機関から受けているという印象はな
い。格付けは2社から取得しているが、JCRでAA-、ムーディーズでBaa1となっている。やはりムー
ディーズの評価は厳しいが期末加重平均金利1.5%は悪くない数字だ。金融機関からの借り入れはす
べて無担保・無保証で借り入れが行われている。前期のリファイナンスも短期借入金で100bpのス
プレッド、長期借入金でも120bpのスプレッドとリファイナンスと苦労している中小リートと異な
り、金融機関との関係は良好であると推測される。投資法人債は2本発行しており、第一回が
70億円、第二回が30億円であり、償還は最短の第一回が2012年とかなり時間的余裕があ
る。また発行金額もそれほど大きくないことからリファイナンスの問題点はほとんどないだろう。




(今期決算)

 今期決算予想は営業収益で5%減収、営業利益で10%弱の減益を予想。分配金は16%
減少を想定している。いくつかの重要な前提として稼働率が前期末95%から91.8%と大きく下落する
ことが上げられる。法人側のコメントとしては稼働率が低下するのにあわして賃料水準を下げてで
も稼働率の低下を食い止めたいとコメントしており、その分の影響も出てこよう。営業利益の減少
幅に比べて分配金の減少が大きいが、前期のリファイナンスが100億円、今期は8月に70億円、
11月に279億円のリファイナンスが予定されていることから融資関連費用などの金融費用の
増加が原因である。今期は金利支払い費用が前期の846百万円から890百万円へと44百万
円の増加。融資関連費用を含めたその他営業外費用が前期146百万円から190百万円の増加
となっている。金融費用に関しては特に保守的な予想は必要ないことから現実的な予想ではない
だろうか。下図のグラフでもわかるが、半年間のパフォーマンスとしては稼働率が結構下がる前提
であるとの印象を受ける。当然、解約予告を受けて織り込んでいるからその数字なんだろうが、
やはりオフィスでの低下が印象的だ。賃料単価が今期が34482円と前期と比べて若干上昇す
ると対照に稼働率が低下しており、やはり単価を下げてでも稼働率を維持しようという方針は正
しいだろう。予測前提の数字は新規の顧客分を入れていないとの話だが、10月時点では引合い
はあるものの、成約にいたったケースはないとの事なのでこれも保守的というよりも現実的な数
値とみるのが妥当だろう。



(成長戦略)

 もともとの方針からいって当法人の成長には外部成長が大きく役割を果たす。まあ、他のリート
も同じことではあるが、当法人の場合、港区に特化していることや大規模物件にフォーカスして
いることからある程度の高めのLTVを維持しながら運用しないとNOIが低下していくことになる。気
になるのは現在の賃料設定の52%がマーケット賃料よりも割高になっていることだ。(下図参照) 
割安設定の分に関しても32%が市場賃料から10%の乖離に留まっており改訂余地が少ない。 すな
わち内部成長による収益増はほとんど期待できないことが想像できる。稼働率の低下にともない
賃料改訂は交渉しづらくなっている。むしろ市場賃料より割高な半分のテナントからの減額交渉
圧力が強まることが予想される。幸い、賃料更新時期は今期から3期に亘って影響度が少ない。
4期後の第10期にポートフォリオの35%が更改を迎えることからそのときの経済環境がどのよう
な状況になっているのかで収益環境は大きく変わるリスクがある。




 港区特化ファンドというユニークな性格を持つリートだが、リスクもやはりそれなりにあること
を投資家は留意すべきだろう。投資判断としては保有継続でいいと思う。バランスシート的にはそ
れほどのリスクはなさそうだが、ポートフォリオ全体の組入れ比率はある程度控えめにしたほうが
良いかもしれない。なお、ディスクロに関してはいまひとつの改善が望まれるがしいて言えば可も
なく不可もなくといったところだ。

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HPPC e9190が戻ってきた。

2009年10月14日 | Weblog


 修理に出してほぼ一ヶ月位が経ちようやく我が家に戻ってきた。修理報告を読むとマザー
ボードの交換、HDDの交換、VGAカードの交換となっている。メモリを除けばほぼ全取替えに
近い。但し、レポートには状況は再現されなかったと書いてあるが、少なくともHDDのRAIDに
不具合が出ていることには何も触れていない。結局何が原因であるのかという点が一番知り
たかったのだが、それすらもわからずということに落ち着いた。何か納得いかん。

 早速、セットアップするとおお、ちゃんと動いている。バックアップをリカバリしようとしたらう
まくいかない。あれやこれやといじって結局サポートセンタに電話しリカバリディスクでもう一度
セットアップする羽目に。これが長い。3時間以上もかかってしまう。
結局、COMPLETE PC BACK UPのリカバリはできず、一部のリカバリしかできなかった。ソフト
の再インストールなどこれがまた時間がかかる。第一日目は何やかんやで時間が過ぎてしまい、
翌日にようやく環境が整ってきた................と思いきやメールソフトとインターネットブラウザを立ち
上げてしばらくすると何とプルースクリーン。およよ。 

ハードは交換したばかりなのでインストールしたソフトが原因ではないかと疑っているが、思い
当たらない。ブラウザはFirefoxで、メールはThunderbirdだ。
 いままでのPCでFirefoxやThunderbirdで不具合を経験したことは一度もない。いくらなんでも
これが原因であるとは考えにくい。もう一つ考えられるのは常駐しているソフトだが、可能性と
して考えられるのはboinc managerしかない。boincは知っている人がいるかもしれないが、アイ
ドルタイムに計算させるソフトでいろいなプロジェクトがあり、気候変動シュミレーション、
新薬開発、宇宙観測などに使用されている。因みに私はSETIというプロジェクトに参加している。
グリッドコンピューティングのプロジェクトでは世界最大でもともとSETIがはじめたようなもの
だ。目的は簡単にいえば「宇宙人を見つけよう」というものだが、このソフトが問題になったこ
ともいままだかつてない。全世界で200万人が参加しているプロジェクトなんだから、不具合が
あったら直ぐにソフトの修正があるはずだ。

 結局理由が不明なので安全策をとってPCを利用するときはboinc managerを切ってみる。それ
で不具合が起こればいよいよブラウザとメールソフトだが、それはさすがにないだろう。どちらに
せよ、HPへの信頼性が大幅にダウンした。といっても今の段階で返金を求めるつもりはない。
サポートの対応もそれなりだったし、このハードスペックでこの値段はマウスコンピュータ位しか
ない。マウスではサポートに不安が残るので結局、スペックではHPが現在最もコストパフォーマ
ンスが良いことになる。実際、不具合のことを別にすればパフォーマンスがすばらしい。ネットも
動画もさくさくでストレスを感じない。まだ試していないが、たとえば、12GBのメモリを活用して、
2GB位をRAMディスクに割り当てて、ブラウザの一のキャッシュを割り当てるとかいろいろな利用法
が考えられる。CPUパワーも申し分ないしやはり可能性があるマシンであるとの期待は未だに
持っている。



それにしてもこれほど不安定だとブログ更新にも影響がでてしまうではないか。せっかくの
高性能がいかせないとは..................まっ、でもいいかブログは趣味でやっているだけだし。
でも、やっばり、国内メーカーがいいな。早くNECから新しい水冷がでないものか。


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中古マンション価格(8月調査)

2009年10月13日 | 不動産
 東京カンテイという民間の情報サービス会社が発表している調査に全国の主要都市
の中古マンションの価格調査というのがある。8月に発表された数字は新聞にも載って
おり、「中古マンションの価格底入れで不動産市況も改善か?」などとヘッドラインが
踊った。実際にその調査内容を見てみよう。



 上のグラフは首都圏、近畿圏、中部圏の3大都市圏の中古マンション価格の調査で、
首都圏の数字がピクリときているのが分かる。調査は70m2以上のいわゆるファミリータ
イプのマンションを調べていて首都圏だけを取り出すと下の表のようになる。特に東京
都が前月比で2.2%の上昇となっており、これだけを見ると底入れしたような気もするが、
実のところ、チャートを見て分かる通り首都圏は7ヶ月連続で下げ続けており、これが
下げ止まったのか、それとも急落が終わったのかはまだ判断できない。表には前年同月
比も載っているが前月比で上昇でも前年同月比では10.1%の急落となっており、いかに
ここ半年の下落が凄まじかったかを物語っている。(表は一部省略してある)



 前回の都道府県地価調査でも述べたことだが、神奈川、埼玉、千葉などに比べると
東京の下落がかなり大きかった。8月の神奈川の前年同期比が-6.4%、埼玉で-5.4%、千
葉では-2.0%である。それに比べると東京が10%を超えるというのは換金売りが多かった
ということを示しており、投売りによる地価の下落。とりわけ換金性の高い場所ほどよ
く下がったということを改めて確認できると考えられる。またこの調査に関しては別に
客観性がないとは思わないが、データの質も検討する必要があるだろう。下の表は更に
サブセグメントの数字を示したもので東京23区、横浜市及び千葉市の状況が載っている。
なお、8月のみの数字に修正している。



 これを見て気がついたのだが、8月の4028というのが平均価格で70m2当たり4028万円
という数字だ。一方で18.0というのは平均築年数で18年であることが分かる。平均で18
年ということは結構古いマンションを含んでいると考えたほうが良いだろう。私もよく
中古マンションの市況のチェックをよくやるが、投資対象としてはやはり築浅を見てい
て20年以上は対象から除外している。調査データは平均で18年というからには築浅もあ
るが相当古いマンションのデータも入っていると見るのが妥当だ。そうするとどの築年
数が動いているのかということはこのデータからはうかがい知れない。さらに注意を要
するのはこの調査は東京カンテイのデータベースに登録された「売り希望価格」のデータ
ということだ。つまり、取引価格ということではない。見方によっては投売りでオファー
価格が急落したが、実際に成約して高いオファーが残った為に価格が上昇していると見
ることもでき、手放しで喜ぶのはまだ早い。買い手のデータというのがデータベースと
して存在しないことから仕方のないことだが、やはり中古マンションの取引価格の推移
で見るのが良いのかもしれない。といってもないのだが。


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新型モバイルノートの導入

2009年10月11日 | Weblog

       Core2 Duo 超低電圧版1.6GHz FMV-BIBLO LOOX R/D70

 実物資産の運用などをしている関係で年に何回か旅行にでかけなくてはならない
のだが、その際にはノートPCは必須だ。宿泊先でのインターネットなど情報収集は
出先でもしたいし、毎日株式市場のチェックはしなくてはならないのでそういった
情報機器はどうしても必要である。但し、外に出歩くときには特に携帯する必要性
は感じていなくて、宿泊先のホテルでインターネットができれば満足。だから無線
インターネットなどはいらない。というのもよくはなったといっても無線の場合に
は速くないのが問題。インターネットが遅いのはどうもいただけない。

 ネットブックが出て、私もAsusのEeePCを使っていたが、インターネットがとに
かく遅い。確かにドキュメントの作成やエクセル程度の作業ならネットブックで十
分なのかもしれないが、いわゆるプチフリ(プチフリーズ)が頻発して起動するのも
遅いし、インターネットなどはホテルのFTTHでさえ、一昔前のスピードになってし
まう。最初は便利だと思って使っていたが、CPUパワーがあまりにも小さく、使って
いてストレスがとても溜まる。安いのは良いのだが、情報収集に時間がかかりすぎ
るようだととても損した気になった。ネットブックはATOMという廉価版のCPUを利
用しているのだが、これがとにかく非力だ。そこでやはり金を惜しんではいけない
と思い、Core2 Duo超低電圧版 SU9600を使っている富士通のノートPCを購入した。


         とても非力だったAsusのEeePC

 今回購入したのはFMV R/D70、CPUはCore2 Duo超低電圧版1.6GHz、4GBメモリ、
12.1インチワイドLCD。値段はネットブックの3倍弱もしたが、パフォーマンスには
代えられないと考え、思い切って購入した。EeePCは長時間のバッテリーが売りだが、
FMVもバッテリー駆動時間は12時間と負けていない。サイズはEeePC(10.2インチ)よ
りも若干大きい。想像していたよりも厚みがあったが、まあ許容範囲内。駆動時間
の長さは実はそれほど重要ではない。大抵、宿泊先のホテルに置きっぱなしにして
おり、帰ってきたときにインターネットを見るという使い方が多いので実際には長
時間駆動はいらないのだが、長いことに越したことはない。128GBのSSD HDDを買う
つもりだったが、納期未定で買えなかった。320GBのHDDバージョンを購入。OSは悪
名高いVISTAだが、チューンすれば起動とかパフォーマンスははそれなりに速くなる
ので気にしないことにした。



 本当は旅行先で実験するのがよいのだが、既に先月に用事を済ましてしまったので、
家で実験してみることにした。起動して、インターネットに接続してみると。おおっ
やはりかなり速い。流石にCPUパワーが違うだけあって、プチフリもなく非常に快適だ。
一応、VISTAのパフォーマンスのスコアを見てみるとグラフィックス関係のぱパフォー
マンスが一番低いが、デスクトップのパフォーマンスまで望めないのでこれでよいだろう。
なお、HDDの空きが60GBとなっているが320GBをパーティションで切っているので、実際には
容量はかなりの余裕がある。ところが一つだけ気になる点があった。確かにパフォー
マンスははるかに良いのだが、スピーカーがとても非力だ。一応、ステレオスピーカーな
のだが、パワーが全くない。せっかくだから出先で音楽でも聴こうかとも考えていたが、
これでは駄目みたいだ。私はラジオも聴く人間でwebラジオなどもよく聴くのだが、このパワーで
は駄目だ。なにはともあれ、少なくともパフォーマンスだけは改善したので次回の
旅行は楽しみだ。

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プロスペクト・リートも下方修正

2009年10月10日 | 国内上場REIT


 ラサールジャパンの下方修正で銀行の貸し渋りは酷いと感じていたが、プロスペクトのリファイナンス
はさらに酷い。10月6日に下方修正が発表されたが、10月8日に発表されたリリースではなんと50
億円の借入れの適用金利が5.1636%となった。



 正直、あおぞら銀行は当法人のあしもとを見たなという感じの金利水準で決定された。金融機関にはそ
れなりの言い分があるのだろうけれど、人の弱みに付け込んだという感じだ。今回のリファイナンスは10
月9日に償還期限が来る第1回投資法人債の償還資金だ。6ヶ月LIBOR+100bpで発行していたが、新しく
あおぞらから借り入れる資金はTIBOR+500bp。ここまでくると金融機関というよりも「ベニスの商人」と
呼んだほうがしっくりくるだろう。返済期日は来年の2月15日の4ヶ月間のファイナンス。4ヶ月の短期
借入れにTIBOR+500bpというのがいかに異常か考えるまでもない。少なくとも官民ファンドでも、ここまで
酷くないのではないかという気もしてくるが、官民ファンドに頼らなかったという点は評価してよいかもし
れない。実は問題はこれで終わったわけではない。



 今回のあおぞらからの借入れを借りたままにしておくわけにいかない。第一に高金利で借りてもリターン
が出るどころか損失が膨らむ。第2にあおぞらがこのまま貸し続けるかは不透明だからだ。当法人のBSの
アセットサイドのみを載せているが、現金・預金は前期末で12.9億円。運転資金もいるからこれはゼロに
できない。当然固定資産の売却が選択肢となる。というか、それしか選択肢はない。信託現金及び預金とい
う項目で17.68億円あるがこれは敷金・保証金などで法人が勝手に流用してよいお金ではないのでこれ
は対象外だ。

        

 頭が痛いのは物件売却の方だ。上図は法人の資料を基にエクセルに落として加工したものだが、
保有する物件で金額上位をリストアップするとこのようになった。結構小粒な物件が多いため20
億円を超えるものは2つのみ。最大で50億円だ。取得価格と鑑定評価の差の評価損益も計算してみ
た。最大の物件であるTKフラッツ渋谷で52億円だが、この金額で売れる保証は全くない。むしろ、
最近の売買事例を見ると鑑定評価の10-20%下で売買されていることから損失の拡大の可能性も
ある。それでもって、今期の予想の経常利益が216百万円。  売却すると一気に赤字に転落す
るリスクもありえる。

 ウルトラCとして考えられるのはやはりMAだろう。どこかとくっついてしかも双方ともに負ののれ
ん代がでるような状況での合併だ。ADRと日レジのように両方が消滅法人となり新法人設立でもいい
だろう。次に考えられるオプションはスポンサーによる増資だ。しかしプロスペクトは運用会社で
あって事業会社でないことから資金的な体力があるとは疑問だ。あまり時間がないのは事実だが、上
にも下にもいきそうな予感。まあ、普通は様子見だろう。

 しかし、まことに憂う事態になったものだ。投資は当然自己責任であるべきだが、金融システム
を担う金融機関がベニスの商人がごとく高利貸しを行っているというのはなさけない。前にも書いた
が、金融機関はリートのスポンサーを見るのではなく、物件のキャッシュフローを審査しそれを担保
として貸し出しを行うべきなのに、背後にいる多くの小口の投資家の影響力がないのをいいことに
法人からむしれるだけむしろうという態度には怒りすら覚える。もともとREITが成立した背景には
売買事例方式といった不透明で前時代的な取引を改め、また、最後の不動産の受け手、不動産流動
性を高めるべく物件キャッシュフローによる不動産評価、小口投資家の参加による資本市場を活用
した近代的かつ合理的な不動産市場の育成を担うものとして期待されたわけだ。当然、レバレッジ
をかける為には金融機関も同じヤードスティック(Yardstick=投資判断基準)を持ち、合理的な審
査と適正なスプレッドの設定を行いつつ市場の育成、加えて融資の拡大を狙い利益を享受するとい
うのが本来の趣旨であったはずだ。だからこそ、金融庁はREITの破綻による市場の動揺を抑えよう
としたはずだ。私個人はREITは破綻してはならないとは思っていない。破綻すべきREITは破綻して
もやむを得ない。問題なのはREIT自身の失敗による破綻ではなく、どう考えても第三者がREITの破
綻の引き金を引こうとしているようにしか見えないという現在の状況だ。
 まあ、個人でもできることがないわけではない。それは金融庁に電話することだ。数が多けれ
ば多いほど金融庁は問題として認識してくれるだろう。

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