Bankの秘密基地

個人日記兼つれづれなるままに

海外のRETI投資(5) - Macquarie Office Trust

2009年08月31日 | 海外REIT研究


 豪州のREIT市場はリーマンショック後の株式暴落で大きく調整し、
その後の市場混乱で株式市場よりも下落するというかなりのボラティ
リティのある市場だ。要するにかなりリスクのある市場であるという
こと。財務基盤の弱いREITが多く、スポンサーの信用力もそれほどな
いのが多い。実際に破綻したREITが多く出たのも豪州市場である。
2008年5月を100とすると2009年の3月には70%以上も
の暴落となった。その後、豪州REIT市場は14億豪ドルの資本増強に
成功し、なんとか回復しつつあるのが現状だ。

 Macquarie Office Trust(MOF)は豪州の投資銀行であるマコーリー
グループが運用するREITで、同社は3つのREITを運用している。MOF
はオフィス専業REITで豪州を中心に不動産を保有・運用している。

(資産内容)


 MOFは40箇所のオフィスビルを所有し、500以上のテナントを有して
いる。豪州36%、アジア54%、欧州8%、米国2%という地域分散となって
いてリース契約の平均年数が4.8年、資産の稼働率は91%である。
賃貸収益は185.8百万ドル、一株当たりの利益は5.64セント分配金は
3.75セントとなっている。総資産44.3億ドル(3531億円)一株当たりの
純資産は49セントとなっており、現在の株価24セントと比較すれば
純資産倍率は0.48倍となる。分配金利回りは15.6%。

 上位テナントを見るとJPモルガン(9.5%)、豪州政府(8.8%)、AT&T
(6%)、マコーリーグループ(3%)、ウェルズファーゴ(3%)、ベライゾン、
DeTe Immobilien(ドイツテレコム子会社)、シティオーストラリア、
Telstra(豪州大手通信会社)などとなっており、顧客の70%が大手企業、
政府となっている。

(リファイナンス問題)

 他の豪州REITと同じくリファイナンスの問題が当法人を直撃、2009
年到来の14億豪ドルの償還問題で株価は大きく下落。5億ドルの第三
者割当増資及び新株発行、4.6億ドルの資産売却、配当の抑制など
で10億ドルを捻出。ギアリング(LTVに相当)は41%に低下した。さらに
9億ドルのシンジケートローンの延長、5億ドルのCMBSのリファイナンス
などにより問題の解決に当たるとしている。しかしながら、大規模な
稀釈化により配当は下期に1.5セントに減少。鑑定評価減で556百万
ドルの損失を計上した。

 (成長戦略)


 正直言ってやばさ半分である。収入の1割弱を豪州政府から得ている
というのはなんだか安心できそうな話だが、基本的にアングロサクソン
の契約はかなりシビアで関係があるからといって潰れないという保証は
全くない。今期決算は(MOFは6月決算)は1株当たりの利益は4.14セント
に低下する見込み。配当はいくらになるかわからない。当法人にとって
成長戦略というよりティフェンス戦略といったほうが良いだろう。いか
に生き延びるかという点が重要で、生き延びれば株価は純資産まで上昇
してもおかしくない。なお、外国人投資家にとって豪州のREITは配当に
関してはうまりうまみがない。なぜなら、源泉税率が30%と高いことから
配当利回りは7掛けとしなくてはならない。また上図にあるとおり、負債
償還スケジュールを考えると2012年に大きなヤマ場があり、まだ予断を
許さない状況だ。但し、生き残るという確信を投資家が持てば株価は急
騰するだろう。実は持っている。しかし評価損大。

拍手する
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

不動産の都市伝説 高層マンションと異常分娩

2009年08月30日 | 不動産
 買ってきた雑誌をふと読むでいると「不動産のこわーい話」という題材で特集記事
があった。怖い話は結構好きなんで読んでみると「胎児が死ぬ確率が高まる 高層マ
ンション症候群」とあった。読んだ瞬間「マジかよ、嘘つけ」と内心思いながら読み
進むと意外にも学術的なデータに基づいているらしい。内容はというと4ヶ月検診を
受けた妊婦を対象に居住階層別に調査、6階以上に住んでいる妊婦の異常分娩、流産
の比率が高くなる傾向があるというものである。

 元ネタになったのは東海大学医学部地域保健学、逢坂文雄氏が発表した論文(高層
居住と流産の関連性について 神奈川県公衆衛生協会との共同)でまずは異常分娩の
比率が階数に比例する傾向が見られること。流産の割合で見てみると一戸建て8.2%、
集合住宅2-5階5.6-6.9%、6階-9階18.8%、10階以上38.9%と10階以上の流産が
驚くほど高い。調査は1993年9月から95年6月にかけて横浜市の3保健所管内の3000サ
ンプルで回収率は53.8%だった。但し、いくつかの条件を考慮(居住期間他)して有効
サンプルは1191名。

 いろいろ調べて元ネタになったオリジナルの論文を読んでみたが、この調査はまず
対象にしているのが第一子、つまり初産を対象にしている調査であること。サンプル
数と期間を考慮しての有効性がどの程度あるのかは判断できなかった。ただ、読ん
だ雑誌には論文発表をした当人のコメントを載せており、10年間毎年調査を継続
しているという。発表した当人は高層マンションで必ず流産が高くなるとは言っていない
が、毎年同じ傾向があることは認めている。少し笑ったのは、名前を名乗らず明らかに
不動産会社と思しき人物から電話で嫌がらせを受けたことがあるというが、不動産業
者ってやつは..........

それにしても10階以上での流産の比率が39%というのは無視できない数字だ。統計的な
調査なので何が原因かは論文では言及していないが、高層階に住んでいることで妊婦
が余計外出しなくなり、運動不足になることや、それから起因する精神的なマイナス
要因、高層階ゆえの微かな震動の妊婦への影響などさまざまな複合的な要因があるの
ではないかと推測している。

 まあ、確かにこんな話が広まればマンション販売に悪影響がでるかもしれないので
それはそれで嫌がらせの一つでもしたくなるだろう。因みにこの逢坂氏だが、雑誌の
コメントでは20年以上前も前にシックハウス症候群に関して警鐘を鳴らした人物と
して紹介されているが、果たしてこれが20年後の常識となるかは時間が解決するだ
ろう。それにしても子供を生む適齢期の女性には嫌な話だ。


拍手する
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ツルハホールディングス株主優待2

2009年08月29日 | Weblog
商品券が届く。500円券で3千円分。いままで利用したことがなかったが、早速、
使ってみよう。シャンプー、石鹸などの日用品の買い物に利用するのが一番だ
ろうか。商品券単独での配当利回りは1%以下。優待狙いとしてはあまりにも
効果が小さい。

拍手する
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ケネディクス投資法人(8972) 業績下方修正を発表

2009年08月28日 | 国内上場REIT
 ケネディクス投資法人は8月27日保有物件の売却をプレスリリースし、同時に業績
の下方修正を行った。下方修正の理由は保有物件の売却損の発生であり、新宿のア
パートメンツ若松河田(鉄筋コンクリート造屋根12階建て、建物面積1858.51m2)を
930百万円で売却、簿価との差額である221百万円の売却損が発生した。これによ
り、営業利益で9.1%、経常利益で14%の下方修正となった。

             表 修正の内容


 今回の売却によって実際のマーケットでの売却CAPレートを知ることができる。当
法人は6月11日の決算発表後10日してから業績の下方修正をしており、今回はこれで
2回目の下方修正である。いずれも物件売却による売却損の発生によるものであり、
今期は先だって売却したアパートメンツ元麻布(売却損154百万)と合わせ375百万円
の売却損が発生した事になる。(今回の業績修正では元麻布が214百万と表記されて
おり、合計で445百万円となっているが、最初のプレスリリースに従った)。
売却価格から逆算すると新宿の物件の売却キャップレートは6.5%、元麻布は5.7%と
なり、どちらも先日の決算発表で開示された鑑定キャップレートとの乖離が見られ
る。(下図参照) 鑑定評価では新宿、元麻布ともに5.4%で評価された。その前の期
と比較すると新宿で40bp、元麻布で50bp、キャップレートが引き上げられたが、
実際の売却額はさらに50-100bp上回った。不動産の流通環境が正常ならば、恐らく
鑑定評価はそれほど間違ってはいないのだろうが、やはり取引価格を見る限りいま
だ不動産市況は回復には程遠いと見るべきだろう。また、これは今後も物件売却
を継続すると不動産売却損が出ることを示唆しており、LTVに余裕のないREITはま
すます苦境に陥ることが予想される。


 要するに今回の売却によりケネディクスの資産の評価損益は57億円の評価損(2.6%
の評価損)となっているが、実際には50-100bpの差がある事を考慮すると評価損は
180-300億円程度ではないかと推測できる。現状のLTV水準であれば特に売却する必
要はないのだが、当法人に関しては、フォワードコミットメントに基づく物件取得
があり、その為のキャッシュ作りであると推測される。物件は名古屋にあるKDX名古
屋栄ビルで取得価格は75.5億円(内建物35.5億円)。売買はすでに7月1日で終了して
いる。気になるのは今後も物件売却が起きるのかということだが、現時点では不明
だ。LTVは若干上昇するが、直近の金融機関からの借り入れ金利水準は特に上昇
している訳でもなく、財務的な負担はかかっていないだろう。

 発行している投資法人債は2本あり、第1回が90億円、2012年3月15日償還でまだ結構
時間がある。第2回は30億円で2017年3月15日とかなりあり、資金的な問題を起こす
要因にはならないだろう。また伊藤忠の資本参加により、最悪の場合、買収対象と
なるので破綻リスクは意外と少ないと考えてよいだろう。しかしながら下方修正し
た分配金の年率利回りが5.25%となっており、割高感は拭えない。

拍手する
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

投資法人債償還予定表

2009年08月27日 | 国内上場REIT
            図 今後予定されている償還予定投資法人債

 いよいよ9月から投資法人の償還がはじまる。REIT投資家にとっても気が抜けない
時期にさしかかってきていると言ってよいだろう。官民ファンドは民間資本の参加
によりどうやら民主党政権になるならないの区別なく成立するようだ。そうなると
最初にくるのは日本レジデンシャルの9月11日償還の債券となるが、どうもこれは間
に合いそうもないだろう。恐らく、合併相手のアドバンスレジデンスのメインスポ
ンサーである伊藤忠が何らかの形で保証して金融機関からブリッジローンを組んで
もらうという形になるのではないだろうか。それに、官民ファンドのスプレッドは
最低でも110bpと高く、現在日本レジデンシャルが借りている金利水準よりも高くな
る。

 次にくるのは日本ビルファンドだが、これは官民ファンドから借りる必要はい。
第一、コミットメントラインあるのだから、それを利用すればよい。次のプロスペ
クトリートが問題といえば問題だ。格付けは取得しておりJCRでBBB(安定的)となっ
ている。格付けだけからすれば官民ファンドからの借り入れはできなくもないが、
JCR....だからね。少し微妙だ。それにまだ問題がある。発行している投資法人債は
ユーロ円LIBOR+100bpとなっているが、仮に借りられたとしても官民ファンドの基準
からすれば、200-400bpくらいの上乗せになるのではないか。

 官民ファンドはREIT救済の色彩が強いといってもその融資金利は基本的にペナル
ティ金利水準での融資となる。すなわち、民間での自力調達ができないREITに対し
て「貸してやる」のだから、当然、その水準はペナルティに近い意味合いを持つ。
50億円の償還で、仮に150bpスプレッドが拡大すれば年間7500万円の金利コストの上
昇。1期分では3750万円となる。なんだ大したことないじゃないかと思えるが、プロ
スペクトの今期予想経常利益は377百万円。中小REITにとっては金利コストの上昇だ
けで利益の1割が飛ぶ。クレッシェンドも200億円の償還が待っているが、このREIT
こそ官民ファンドの助けが必要だ。しかし問題なのは格付けがBBで官民ファンドの
対象になるのかかなり微妙だ。健全なREITの定義を拡大解釈すれば貸せるとは思う
が、普通に考えると対象とは思えない。クレッシェンドの動向には要注意だ。

拍手する
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本プライムリアルティ投資法人(8955)

2009年08月26日 | 国内上場REIT


 当法人は東京建物をメインのスポンサーにするオフィス、商業施設に
投資するREITである。東京都心・周辺部のオフィスへ6割、商業施設に
3割、残り1割が地方のオフィスという方とになっている。資産残高は
3144億円(2009年8月末契約ベース)。

(前期決算)

 当法人の前期決算の一番のポイントは解約違約金支払いによる分配金
の下方修正であった。発表時には株価大きく下落、分配金の減額もあり、
利回りも大きく低下した。一口当たりの分配金は解約違約金32.3億
円の発生により3731円と半減。それを除いた特別損益は不動産売却
益33億円、売却損21.5億円とネットでは売却益益が発生している。
但し、損益計算書上では不動産売却益は営業収益に、不動産売却損は営
業費用に含まれていることから注意を要する。前期は営業収益で28%
増加しているが、不動産売却益を見た賃貸収益ベースではほぼ横ばい、
営業利益は19%増加しているが、売却損益を控除すると微減益という
形になった。投資法人債利息を含む営業外費用は当初予想よりも若干低
下したようだ。LTVは48.9%とその前の期と比較すると3ポイント上昇し、
若干高め。負債の平均コストは1.48%と低金利の影響により17bpの低下と
なった。

 分配金下方修正の影響はあったが、ポートフォリオの中身はそれほど
悪くない。資産のRoAは3.85%と下位のREITと比較すれば良い方だ。資産
の鑑定評価価格は帳簿価格2926億円に対して、期末評価が3005
億円79億円の評価益だが、前期に381.9億円の含み益から見ると
大きく低下した。51物件のうち3割に当たる16物件の鑑定評価が
10%以上減価した影響が大きい。これによりポートフォリオの全体の
NOIは5.7%となっており、評価するCAPレートとしては妥当だろう。
但し、細かく見ると神宮前432ビル、有楽町前ビル、新宿センタービ
ル、新宿スクウェアビル、渋谷タワーレコード、新宿イーストビルなど
4.5%以下のキャップレートは少し評価が甘いのではないかという気も
しないではない。

 テナントの解約状況に関してはやはりやや厳しい。入居面積から退去
面積を差し引いたネットの面積は2806m2のマイナス。但し、全体に対す
る影響はそれほどでもないが。ポートフォリオ全体の築年数は14.7
年とこれはまあ可もなく不可もないといったところか。期中稼働率は
96.8%と比較的高水準を維持している。

(今期予想)

 今期予想の最大のポイントはやはり解約違約金の消滅に伴い、分配金
が回復することだ。会社予想は6500円と7割増加すると予想してい
る。今期予想稼働率95.3%(1.5%ダウン)、不動産の売却は前提と
せず、支払い利息が490百万の増加(前期と比較して50%増加)と予想
前提としてはまずまず保守的なように見える。来期の予想も開示してい
るが、稼働率96.4%と1.1%の上昇、1物件の取得を前提にしてい
る。このよそうに関してはなんというか...保守的というよりも来期につ
いてはまだわかりませんという感じがする。

(成長戦略)

 成長戦略に関しては地方分散を改め、東京圏の比重を高める。商業施
設からオフィスへの傾斜の2つだが、これはまあ今の経済の現状を考慮す
ると仕方がない気もするが、個人的には当初定めた戦略目標をいじるの
はどうかという気もする。収益という点では確かに正しいと思う。しか
し、別に大地震が起こるとかではなく、やはり分散投資を目標にしてき
たわけだからそれを大きく修正するのはどうかという気もする。東京圏
集中というREITはごまんとあるわけだし、自身の特徴を生かした運用を
行うべきではないか。



 当法人は投資法人債を出しており、第4回投資法人債100億円の償
還が今年の11月4日にある。また来年の2月12日には70億円の償
還が予定されており、このリファイナンスがどうなるかが注目である。
今後3年間毎年投資法人債の償還があり、そのリファイナンスがうまく
いけるかどうかが財務的なポイントとして重要だ。コミットメントライ
ン160億円があるので短期的には特に問題はないが、新規のニューマ
ネーを導入するのは必要だ。REIT市場の回復でエクイティに踏み切るの
か今後とも動向には注意する必要がある。東京建物は旧芙蓉系でもある
ことからどうせならジャパンエクセレントと合併という裏技を使うとい
うのもありではないか。今回スポンサー構成の変更が行われた。明治安
田の比率が低下し、東京建物の比率が上昇。より東京建物のコミットが
強くなったわけだが、これがスポンサーの強化となっているのか、明治
安田の腰が引けていると解釈すべきなのかは微妙だろう。やはり、みず
ほグループのコミットメントがみえるような形が望ましい。とりあえず
投資判断としては持っててもいいという感じ。


拍手する
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本賃貸住宅投資法人(8986)の第三者割当増資発表

2009年08月25日 | 国内上場REIT


 8月21日に当法人はメインスポンサーであるアップルリンゴと日本トラスティ
サービス(信託口)に第三者割当増資を行うと発表した。発行する新株は65863株
となり、株数が39%増加することとなる。第三者割当増資の最大の理由は今年11
月に償還期限がくる投資法人債の償還に利用される。プレスリリースによれば、
調達額は60億円。発行済み投資法人債は80億円なので一部が活用されることに
なる。投資法人債は2本あり、今年11月19日に償還される第2回債が40億円、来年
2月26日償還の第1回債が40億円である。


 同時に資金の一部期限前弁済のプレスリリースをおこない、負債構造の変更
があった旨が発表された。(図参照) これにより、従来負債の8割が1年以内返
済の短期調達から3割未満に抑えられることになりデットマチュリティの分散
化が達成されたのは評価される。さらにプラスとしてはR&Iが格上げ方向で検討
すると発表したことで、現在BBの格付けは上昇することが確実になった。それ
にしても格付け会社の対応というのはやはり後出しじゃんけんというか、中身
の分析を本当にしているのだろうかという気にもなる。

(プラス及びマイナス面)

 注目してよいのは金融機関が資金の長期化に協力してくれたことであり、格
付けの上昇により金利交渉の面でも有利になるれかもしれない。また、今回の
借換えと増資でLTVが低下する効果がある。少なくともキャッシュフローの面で
破綻するといったリスクはかなり抑えられたことになる。

 一方でマイナス面としてはやはり稀釈化による分配金の減少だろう。今期業
績予想の分配金は37.8%減少の2816円である。これに稀釈化分を考慮すると
来期にはさらに4割減の1689円程度になることが予想される。現在の株価
からすると4%を下回る利回りとなるわけだから、いくらなんでもバリュエーシ
ョンが割高となってしまう。それだけならまだ良いが、ポートフォリオの全体
稼働率の低下がどうも下げ止まらない(図参照)。過去12ヶ月間の稼働率は低
下し続けており、直近の7月も過去最低水準を更新中である。金利面でのメリ
ットがあったとしてはこれではトップライン成長が望めない。



(スポンサーの狙いは?)

 メインスポンサーであるアップルリンゴの意図はなんであろうか。資本参加
したのは良いが、金融危機で株価は半値。財務面でのリスクから破綻懸念まで
でてきており、てこ入れの為の増資であることはあきらかである。ただ、それ
だけではジリ貧になるしかないのはスポンサーも理解しているだろう。やはり
MAなどによる資産成長を実現するための体質強化を狙っているとも考えられな
くはない。当法人の3月決算時の鑑定評価額は904億円。その前の期と比較
すると81億円減価した。帳簿価格1019億との差では115億円の評価損
となっている。ここでNAV1倍割れのREITを買収して負ののれん代を得るという
のは最も現実的な選択肢だろう。

一方、増資に関しては保有比率が49%となっているのでさらなる増資は不可能
であると思っていたが、特定目的会社、信託口を使うという裏技を駆使しての
増資だ。結構本気のような気がする。それでも、この増資にはすこし引っかか
る。今回、第三者割当増資はアップルリンゴ・ホールディングス、日本トラス
ティサービス(信託口)だが、上位3社(リンゴ・レジデンシャル)を含めると70%
の持ち株比率となる。個人的にはアップルリンゴ及びリンゴ・レジデンシャル
は同一のエンティティであり、信託口も同じスポンサーからの出資ではないの
か。そうすると導管性要件を満たしているとはとても思えない。その辺の法的
な要件を本当に満たしているのか少し疑問だ。さらにMAの受け皿としてすると
しても被買収REITもキャッシュリッチとはいかないので再度の増資が必要とな
る。その場合の導管性要件を満たすのはかなり困難ではないかと思うのだが、
それを超える何か秘策でもあるのだろうか。 どちらにせよ、今の段階での当
法人への評価を高くする必要はなさそうだ。

拍手する
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニューシティレジデンスの再生計画の変更

2009年08月24日 | 国内上場REIT
 8月20日にニューシティレジデンスが再生計画の変更をプレスリリース
した。内容は2点。再生手続き開始日以後の利息損害金の権利変更後の利率
を0.65%から1.25%(平成24年11月30日まで)、1.5%(平成26年12
月11月30日まで)に変更。元本弁済を年一回としていたものを年2回(平
成25年からは年3回)に変更して元本の弁済を早めるというものである。
一方で、投資主に関しては価格の変更を行わずに公開買い付けの期間変更の
みとした。

 ここから読み取れるのは、大口債券者の不満を緩和しようとする思惑であ
るが、大和ハウス側の再生計画の開示がなく結局投資主に関してはどうでも
よいという印象を受ける。裁判所が関与することから投資主がどう騒ごうが
意に介さないという気すらする。自分は投資口を保有していないので、外野
席で観戦するしかないが、債務超過でもない法人が民事再生を申請し、その
利害関係者である債権者・投資主に対して片方のみを重視するというのは投
資法人としての姿勢に疑問を感じざるを得ない。

 マネーゲームで最後に宝くじ感覚で買った人はとにかく1口当たり35千
円のお金が欲しいだけかもしれないが、REIT市場にとって裁判所がどのよう
な判断を下すのかという点は重要である。ニューシティレジデンスが民事再
生法を申請したときにはびっくり仰天だった。テレビを見て思わず「えー!」
と本当に声を出してしまったものである。覚えている方もいるかもしれない
が、現在も執行役員の新井潤氏(写真)の会見を見て変だと感じたかもしれない。
私には心なしか新井氏がにやけていた気がした。友人もそれを感じていて、
「あいつニヤニヤしていた」と怒っていたのを覚えている。

 大和ハウスが再生計画の変更を求めビ・ライフとの合併の方針が報道され
るとなぜか、ニューシティは大和の提案に拒否反応を示す。本来であれば、
債権者、投資主の利益の最大化を図り、どちらの提案がよりメリットあるの
か、もしくはさらに良い条件を引き出すために努力しなくてはならないのが
本筋であるのにもかかわらず、ローンスターの再生計画以外は駄目だという
反応をする。これでは誰のための執行役員かわからない。ローンスターの為
に働いて、債権者・投資主はどうでもよいが如き反応をするのは本当に善管
注意義務を果たすべき役員として適切なのか疑問を感じる。

 ニューシティが再生法申請をしたときにふと「計画倒産では」と思ったこ
とがある。資金繰りに窮していることはどこのREITも同じだったはずだが、
この一件からREIT市場が暴落したことを考え合わせると新井氏の罪は大きな
ものだと言える。さらに債権者・投資主のためでなく、ローンスターの為に
働いているということであれば彼は二重に罪を犯しているとも言えよう。

 民事再生法の元で決定されたスポンサーを条件が良いからというので変更
するというケースはいままでなく、法技術的にも問題があるという。ありえ
ないとは思うが、仮にニューシティが提出した再生計画が債権者会議で再度
否決されるとそのまま破産処理に移行する可能性もあるという。法律の素人
であるわれわれからすれば、別のスポンサーが手を上げているからいいじゃ
ないかとも考えるが、裁判所には裁判所のロジックがあるという話だ。だか
らといってそうなるということではないが、それでも裁判所がどのような判
断をするかという点はREIT市場に極めて重要である。 すくなくとも入札で
最初渋い札を入れた大和ハウスグループにも問題がないとはいえないが、裁
判所は民事再生法の本質的な意味合いを考慮して決定を下してもらいたい。

拍手する
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

REIT投資家が最も恐れるシナリオ

2009年08月23日 | 金融市場


 現在フジテレビ系列で「東京マグネチュード8.0」という番組を放送
している。東京直下型地震が発生したというシナリオの想定を元に
死者18万人、負傷者20万人、被災者15万人と関東大震災を上回
る規模の災害が発生するとされている。1981年の建築基準法の改
正による新耐震基準導入、平成に入り耐震改修促進法の制定など、首
都圏での耐震化構造物は増加しているとはいっても大正時代との人口
密度の違いなどから正直、シュミレーションの数字は甘いのではない
かという気もする。

 当然、そうなった場合には首都圏にポートフォリオが集中している
REITは全滅だろう。少なくとも数年間は無配となる可能性は大いにあ
る。このアニメを見て思うのだが、耐震化というのも結構幅が広くて
倒壊しないということは、地震後に使用できるという意味を必ずしも
意味しないということだ。耐震等級というものがあるが以下のような
ものである。


(耐震等級1)

 「百年に一度の確率で発生する地震(東京では震度6強から震度7程
度)の地震力に対して倒壊、崩壊せず、数十年に一度発生する地震(東
京では震度5強程度)の地震力に対して損壊しない程度」

(耐震等級2)
 「上記の地震力に対して1.25倍の地震に対抗できる」

(耐震等級3)
 「上記の地震力に対して1.5倍の地震に対抗できる」

というような定義だが、最近耐震性をアピールしている多くの建物は耐
震等級1がほとんど。制震、免震をアピールしていいても耐震等級が1
以上はそれほどない。等級2以上だとコストが上がるためだ。等級1でも
ウソをついているわけでもない。等級1というのは倒壊、崩壊はしないが、
損傷を受ける可能性はあると解釈したほうが良いだろう。その場合のコ
ストを考えるとちょっと頭がくらくらしてくる。平成7年の阪神・淡路
大震災では木造家屋を中心に39万戸の住宅が損傷を受け、10万の全
壊家屋を出した。また鉄筋コンクリート造、鉄骨造りの建物も建築基準
法上OKでも倒壊した建物や手抜きなどによる被害を受けだ建物が見られ
た。崩壊、倒壊を免れたからといって、追加コストなしにそのまま使え
るということはありえない。少なくも、倒壊を免れたビルは再度補強工
事が必要となりコストが発生する。

 このアニメを見て思うのはやはり分散投資が一番ということ。地方物
件を組み入れるREITや海外のREITもヘッジ手段としては常に検討すべき
ということだ。  というより...やはり地震が起こらないことを祈っておくの
が正解かな。

拍手する
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

PS3の活用(10)

2009年08月22日 | Weblog


 動画のエンコードがいまいち理解できない。せっかくMMDで作成した動画もAVI出力したときに
WMP(Windowsメディアプレーヤー)で読めてPS3で認識しないというケースが多い。PSでカバーで
きる動画コーデックの種類が少ないのがその理由だと思うが、Super Cなどで変換しようとする
と何故かエラーがでる。というかSuper Cでの設定がいまいちわからない。Yutubeなどでは従来
の4:3の画面から16:9のHD画像対応になって出力もHDにしたいと思うのだが、これがまたうまく
いかない。

 Divxで動画の圧縮をしようとすると640x480の時はうまくいったのに、1280x720ではうまく圧縮
されず、ひどい時には無音声になってしまう。動画エンコードに関する初心者向けの本でもでて
いればよいのだが、何故かない。では無圧縮で出力するとファイルが2分の動画で4GBになってし
まい圧縮しようとしたらSuper Cでエラー。WMPで再生すると今度は画面が壊れている。やっぱり
壊れているので今度は圧縮方式をDivxからMicrosoft Video Iに変更して試すと今度はうまくいっ
た。そのかわり4GBのファイルは1GBにまで圧縮されたが、これでは大きすぎる。出力ファイルを
ではAviutlで読み込んでDvixで再圧縮してみようと試みたが、今度はAviutlが読み込めない。
何故?

 AviutlでHDファイルの入力ができない。いろいろ調べたら設定がおかしいということでそれを
やってみる。「ファイル」「環境設定」「システムの設定」で見ると。おおっあるある。ここだ。
1280x720に設定する。早速HDファイルを読み込もうとすると....あれっ。できない。インターネ
ットで格闘すると見つけました。そうかプラグインがない。なんだかよくわからないが、
PV3-AviUtlというプラグインをダウンロードする(http://earthsoft.jp/PV/download.html)。
設定の際にはダウンロードしたファイルを実行しただけではだめで、実行後にプログラムファイルに
展開されるEarthsoftというディレクトリの中にできるEARTH SOFT DV.auiというファイルをAviUtlの
ディレクトリにコピーしなくてはならない。特にREADMEファイルがないので最初はわからなかったが、
それだけでできるようになる。そして実際に設定すると。あっ。できた。実際先ほどのMicrosoft Video I
による動画コーデックをAviUtlで再圧縮したら128MBになった。



 それでHD入力ができるようになったので早速PS3で見てみると「非対応データです」とそっけな
いエラーメッセージ。おいおい。Divxでの動画圧縮がうまくいかない理由がわからない。しかた
ないのでXvid MPEG4を試す。Divxと互換性のあるコーデックだから細かく設定しなくてもデフォ
ルトで圧縮したらうまくいくんじゃないかと思った。Xvidはここからダウンロードできる
ようだ。(http://www.xvid.org/Downloads.15.0.html) MMDで出力すると4Gが241MBになった。
さっそくサーバー用のPCのHDDに移してPS3で見てみる。おおっ。映った。しかしPSの対応コーデ
ックが少ないのもそもそもの原因だ。なんとかして欲しい。とりあえず16:9のHD画像のエンコード
に成功したが、何が良くて何が悪いのかいまだに不明。

拍手する
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジャパンエクセレント投資法人(8987)

2009年08月21日 | 国内上場REIT
 (前期決算)

 表面上は減収減益決算だが、前々期には物件売却益854百万(秀和飯田橋
ビル45.8億円、仙台興和ビル48億円)がある為、これを除外してみて見
る形で分析を進めた方がよい。法人もそれを強調していた。分配金は前期実質
対比で614円多い15802円で着地。予想対比で1302円上回った。
実質ベースでみた業績は増収増益となっている。最も大きな理由はポートフォ
リオの稼働率の上昇によるものである。JEI西本町ビル(44.5%->96.1%)、赤坂
ガーデンシティ(82.3%->100%)、NHK名古屋(89.4%->97.3%)と3つのビルでの稼
働率上使用により全体の稼働率が95.2%から98.5%に上昇したことが大きい。
期中の解約率も1.7%と高稼働率を維持することに寄与した。現在の当法人が所
有ポートフォリオの賃料水準の6割近くが市場の相場賃料よりも低いことから
今後の賃料下落のインパクトは限定的と考えられる。保有している物件の大半
は第一生命や興和不動産などのスポンサーからの取得物件で入居しているテナ
ントがスポンサーとの長期の関係を築いており解約されにくい案件が多いのも
特徴だ。過去3期の賃料総額のボラティリティは非常に小さく、賃料水準が安
定しているのが強みだ。
 
 財務内容は平均的だ。当法人は旧興銀系の興和不動産がメインのスポンサー
で第一生命も参加しているが、はっきりいってみずほグループのREITといって
も差し支えない。従ってファイナンス面での不安はほとんどないと考えてよい。
LTVは48.9%と保守的とはいえないが、スポンサーがみずほグループということ
で格付けに影響があるとは思えない。リファイナンスも前期に2回のリファイ
ナンスも無難に乗り切っており、長期固定負債の比率を無理に引き上げなくて
もよいので短期金利の低下のメリットを最大限活用している。格付けはムーデ
ィーズがA3に引き下げられたが、R&IでAA-を維持しており、ファイナンス面で
の問題はでていない。鑑定評価は他のREITと同じで、減少している。前期末に
1834億円と帳簿価格との差は34億円とほとんど含み益がなくなった。
ポートフォリオ平均のキャップレートも5%と0.1%上昇したが、個人的には
このキャップレートは保守的な数字とは思えない。但し、売却する必要がない
ので問題はないだろう。

 (今期予想)

 今期の業績は稼働率を現状の水準と見込み、解約率を3%程度と予想している
が、この数字はボトムアップで積み上げた数字だと思う。従って大きなブレが
あるとも思えない。減益予想だが、営業利益で2.9%、経常利益で5%減なら
ばほぼ現状維持が可能だという数字だろう。分配金で15000円を予想。来
期予想も開示されている。金融面で不安がないためか、稼働率と解約率の状況を
いかに精密に予想できるかだが、無理のない数字だろう。来期予想前提も現状
の解約率、稼働率を想定している。分配金は々15000円。

 (成長戦略)

 成長戦略に関しては悪く言えばやはり銀行系列の物言いで、なんだかよくわ
からない。アセットサイズを3000億円をターゲットにというが、その為に
なにをするのか全く述べられていない。買収するのか、エクイティをするのか
という点について全くふれていない。財務内容や業績に不安はないものの、資
産ポートフォリオの平均築年数が15.2年と若干高い点は、今後の新規取得
やポートフォリオの入れ替えが必要であることを示唆している。レジデンシャ
ルではないので15年というのはそれほど古いというわけではないが、それで
も後、5年もすればポート平均で20年越えてくるわけだし、ポートフォリオ
戦略の一環としての外部成長にもう少し真剣に取り組んで欲しいところだ。
みずほ系ということでおっとりしすぎていないだろうか。

 REIT市場が回復していることもあり、現状の分配金利回り水準で判断すると
まあフェアバリューかという感じだ。無論、REIT市場が急変すればバリュエー
ションの水準なんかいくらでも変わるので安心はできないが、特に問題ないん
じゃないだろうか。私のポートフォリオにも入っているが、売買する必要もな
いだろう。因みに官民ファンドからの借り入れ対象にはなりうるが、借りる必
要性も必然性もない。みずほがたっちぷり貸してくれる。


拍手する
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

MIDリート投資法人(3227)

2009年08月20日 | 国内上場REIT
 (前期決算)

 当法人は旧松下興産の資産を引き継いだREITでスポンサーは独立系だが、松下との
関係が深いのが特徴だ。大阪を中心に不動産を賃貸しており、他のREITと違うのはこ
の投資地域が関西特化である点だろう。またポートフォリオもツイン21ビル、松下
IMPビル、イオン津田沼ショッピングセンターの3つの物件でNOIの大半をかせいでい
る。OBP(大阪ビジネスパークの依存度が70%とかなり高い) 主要テナントがパナソニ
ック、パナソニック電工、イオン、コナミスポーツなどの大口が多いのが特徴だが、
これは良し悪しだ。1口当たりの分配金は11309円と前々期との比較では439
円の増加となったが予想数字との比較では営業収益は若干の未達となった。稼働率が
0.2%ダウンしたこと、大口テナントであるパナソニックとの賃料交渉が減額で決
着したことが売上げの減少につながった。但し、利益面ではコスト削減などのプラス
効果もあり予想よりは良かったというのが前期である。LTVは40.5%と悪くない数字。


 (今期予想)

 一方で、前期決算発表と同時に今期・来期の業績予想の下方修正を発表した。大き
くわけて2つの要因がある。一番大きいのは金融費用の増加だ。8月に200億円の
借り換えを予定しており、来年の4月には110億円、さらに来年の8月には235
億円のリファイナンスが予定されている。それによって融資関連費用が、前期128
百万だったのが今期には286百万円、来期には346百万円と増加し続けるのが、
その理由だ。2番目はNOIの低下に繋がる賃料水準の低下。パナソニックとの賃料交渉
によって年間89百万円の賃料下落が見込まれている。前期は賃料改定後、3か月分
が反映されたが、今期はフルにマイナスの寄与が予想されている。松下とのつながり
が深いといっても資本関係もないのでこの辺はシビアだ。気になるのは稼働率の状況
もしかりで期末の稼働率は96.2%と比較的高い数字になってはいるものの、イオン
やパナソニック電工ビルなどの稼働率100%の一棟貸し物件の底上げがあるが、マルチ
テナントビルを抜き出して稼働率を計算すると92.9%に低下する。またこの数字
は過去3期継続して低下しており懸念される点だ。

 分配金は今期8665円と2644円減少する予想。来期予想もしているが、
8524円と141円の減少予想。ここも2期予想をしているが、来期の予想数字は
堅いという感じがしない。来期の稼働率が上昇することを前提に組んでいるので業績
修正のリスクは低いとは言えないだろう。


 (成長戦略)

 成長戦略ははっきりいって守りだ。外部成長が困難である今、内部成長だけで分配
金の成長は難しい。幸いなのはR&Iの格付けがAであること。物件は大阪に集中してい
ても優良テナントを囲い込んでいることなどは評価できる。但し、スポンサーのクレ
ジットが良くないのは確かで金融費用の増加で業績が悪化するリスクが比較的高い。
この資産規模だとMAによる資産成長を狙うべきだが、やはりスポンサーが独立系とい
うのがネックだ。身売りするのが最も良い戦略だと思うが、果たして動くかどうかは
全く不明。ポートフォリオの内容からすると買い手はあると考えられる。現状の株価
は可もなく不可もなく。若干利回りが同規模のREITと比較して低いような気もするが、
ボラティリティの範囲内だろう。まあとりあえず潰れないということで持っている人
は持ってても良いような気がする。因みに保有している。長期保有という観点からは
このREITは......微妙..

拍手する
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京グロースリート(8963)

2009年08月19日 | 国内上場REIT
 (前期決算)

 売上げ、利益ともに大幅な減収減益となった。営業収益は17.9%減少し、前々期にあった
不動産売却益(323百万)が前期には23百万円の売却損となったことが大きい。賃貸収益も
1.7%減少したのも影響している。業績予想値よりは上回って着地したものの、水準がかなり
低いので評価できるか不明。NOIが11億程度に対して支払利息が2.4億円と4分の1を占め
ているのは他の下位リートと同じ問題を抱えている。ポートフォリオが450億円と小さい上
にLTVが56%と高いのは問題。前期に物件を9.13億円で売却したが、今後もポートフォリオ
の一部を売却する見込み。決算短信によれば10%程度を早期に売却、3.5%も売却対象とするな
ど今後売却が継続する見込みだ。問題となるのは6月末の鑑定価格が417億円と前期末の
444億円から27億円低下し、帳簿価格424億と比較して1.6%の評価損となった。鑑定評
価は市場取引価格よりも高いと予想され、過去の事例で見るとポートフォリオの実質的な評価
損は5-15%程度となるだろう。

 (今期予想)

 今期は分配金が4200円と36%減少する見込み。理由としては不動産売却にともなう、
賃貸収益の減少、金融費用が51百万円増加することが大きい。当法人の過去の実績を見ると
保守的な予想を行っており、前期も期末近くで上方修正しているので比較的保守的な予想と考
えられる。但し、金融環境がかりに激変すると数字は大きく変わってくると考えられる。
また、早期売却対象の不動産の売却が発生するかどうかは予想前提に入っていないことから、
金融機関から借入金返済要求が強まれば業績の下方修正リスクは依然として残っていると見て
よいだろう。今後の分配金水準は4000円台に定着する可能性が高い。第一に不動産売却益
が今後見込めない。稼働率の上昇があったとしても期末稼働率が94%となっているため、収
益向上に限界がある。金融関連費用が売上げの20%あり、大幅な財務改善がない限り費用低下
が見込めないなどの要因があると考えられる。


 (成長戦略)

 LTVが56%が高く、レジデンシャル、オフィスともに東京に集中している点はある程度評価
は可能だが、ポートフォリオサイズが小さい。財務内容に関してもあまり感心できない。
期有利子負債が249億円あるが、1年以内返済の借入金が249億円、即ち100%短期
負債であることはリスクが少ないとはいえない。借入金返済期日の分散化を進める必要があ
る。ポートフォリオの内容にも若干の不安がある。レジデンシャル11.9年、オフィス
16.7年と平均築年数が高いこと。本来であればポートフォリオの入れ替えが必要だが、
LTVが高いことでそれもうまくいかない。法人側は内部成長と財務の安定性に注力としてい
るが、このままではジリ貧となるだろう。チャンスがあるとすればMAだが、ポートフォリオ
の内容から魅力的な物件があるとも思えないのが難点だ。

 業績、財務内容、運用戦略から見て魅力的とは言いがたい。MA対象になれば株価の上昇も
考えられるが、物件を見る限り魅力的な物件はない。実は大昔に投資したのが残っているが
評価損となっている。まあ、目先つぶれないと思うので保有しているが、上がればやはり
売却対象だ。

拍手する
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

産業ファンド(3249)

2009年08月18日 | 国内上場REIT
 (前期決算状況)

 決算説明資料を基に分析してみる。前期決算は売り上げで1.9%の減少、営業利益で3.9%減、経常利益
8.7%減の減収減益決算となったが、その理由はIIF武蔵村山ロジスティクスセンター売却による賃貸収益
の減少及び劣後投資法人債の発行に伴う金融費用の減少の2点で説明できる。売却による影響は65百
万、金融費用で108百万で金融費用の増加要因が大きい。鑑定評価価格についても他のREITと同様に
キャップレートの上昇に伴い、66億円減価し、算定価格合計で963億円、帳簿価格の差は36.5億円の評価
損に転落した。羽田空港メンテナンスセンターで22億円、東雲ロジスティクスセンターで13億円の評価
減が主要なものとなった。劣後債を発行したことによりLTVが60%から50%以下に低下したが、金融費用は
1.3%から1.8%と50bpの上昇となった。発行した劣後債は80億円で全額三菱商事が引き受け、クーポンは
6ヶ月Libor+250bpと結構高いが、これによりLTVの減少がみこまれるメリットがあり、格付け上も
プラス。

 (今期予想)

 当法人は保有する物件が9物件と数が少ないことから、特に資産取得・売却をしないという前提であれば、
決算の予想はやりやすい。今期予想の前提は物件についてはいじらずに稼働率を99.9%、投資法人債利息
の増加、借り換えに伴う金融費用の増加を織り込み、経常利益で13.1%減少を見込んでいる。分配金は
1306円減少して、9626円と予想。産業インフラ関連のREITということで景気減速の影響による稼働率
の低下が最も気になるところだが、予想前提の稼働率99.9%に関しては実は仕掛けがあって、当法人の
賃料決定方式は①ダイヤモンド賃料(期間中解約不能、解約する場合は全期間分の支払い)、②サファイ
ヤ賃料(解約する場合は違約金として12か月分支払う)、③一般賃料(解約予告6ヶ月前で解約可能)の
3通りあり、今期はダイヤモンド賃料が100%、来期、さ来期まで一般賃料方式はゼロとなっており、
キャッシュフローの予測がやりやすい。(図参照) 従って、物件売却がなければ金融費用のボラティリティを
除けば比較的現実的な予想でもある。


(成長戦略)

 今後の成長戦略として資産の新規取得が欠かせない、将来の資産取得には劣後債の追加発行がある
かという質問には、劣後債発行は金融危機対応として例外的なもので、新規取得の場合には他のファ
イナンス方法を探るとの回答があった。一方で増資の実現性に関しては現在のNAV42万円に対しては必
ずしも障害になるとは考えておらず、NAVを拡大させる案件がでればプレミアム増資にこだわる必要は
ないと明言した。配当水準に関しても9000円をボトムとしてとらえ、3期前の水準に戻すことが重要だとした。

 財務内容などからの数値的な分析をすると評価が悪くなるREITではあるが、スポンサーが三菱商事という
こともあり、内容はそれほど悪くない。キャッシュフローの安定性という点から見ても契約内容も硬く、
景気変動を受けて目先に大きく変化するということはなさそうだ。但し、成長性という観点からは増資など
の財務的なてこ入れは必要である。当法人はインフラに特化していることからMA戦略をとることができない。
そのような観点からはすればどこかの段階で公募増資は行われる可能性が高いとみるべきだ。それでも、
現状のファンダメンタルズを見る限り保有でいい気がする。因みに保有している。


拍手する
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ラサールジャパン投資法人(8974)

2009年08月17日 | 国内上場REIT
 決算説明資料、資産運用報告書より分析してみる。まずは4月期全決算についてみる。決算説明資料
には前期末決算の分配金着地が「当初予想を達成」と書いているが、確かに前期に関してはそうだが、
今年の5月に10月期の分配金予想を下方修正しており、あまりすなおに喜べないのが実情だ。営業収
益は予想対比22百万円のマイナス、営業利益では4百万円のプラス、経常利益では16百万円のプラ
スで前期に限って言えば善戦した部類に入るだろう。そうはいっても前期は全資産の4分の一に当たる
24.7%が賃料更改となり、ネット賃料で50万円/月、年間で6百万円の減収となる。但し、全体の賃料
に対するマイナスインパクト1%以下にとどまる為、影響度合いは限界的だろう。期末の鑑定評価額は
1088億円となり、前期比55億円の減少となった。評価損は100億円に増加。但し、ラサールは
投資法人債の発行がなく、売却による資金調達が現在のところ必要ないことからすぐにはリスクの顕在
化とはならないだろう。バランスシートの内容、特に負債構造は微妙。当法人の負債はリファイナンス
の成功もあり、固定金利比率が78%となった。これだけを見ると歓迎すべきことではあるが、最大の
調達先である三井住友銀行とのリファイナンスの内容は微妙である。従来三井住友から362億円を1
年、3ヶ月Tibor+75bpで調達していたが、今回、357億円を3年の固定金利2.664625%で調達するこ
とになった。年間の支払い金利は9.4億円。1期分では4.7億円となる。


 前期の営業利益19.5億円に対して経常利益は9.93億円。ほぼ10億円近くの大半が金融費用
であり、格下げや稼働率の低下により利益が大きく左右される体質は他の下位REITと同じ状況だ。珍し
く業績の2期予想を行っているREITだが、自信があるからとう感じではない。今年5月にも下方修正し
ているように状況が変われば、業績の数字はいくらでも変わるだろう。資産規模も中途半端であるから
MAによる成長戦略ぐらいしか考えられない。しかも当法人は買収する側ではなく買収される側であろう。
といっても買収したい資産内容かはまた別問題だ。今期・来期の予想は分配金で25%減少の6060
円、6700円とそれぞれ予想しているが稼働率が現状水準で推移したという前提にたっており、実現
可能性はまだなんともいえないだろう。商業施設、オフィスの一部で稼働率100%を達成している物件
もあるが、ラ・ポルト青山(80.0%)、西野ビル(85.4%)、ミレーム代官山(85.3%)、ミレーム白金台(89.9%)、
ミレーム乃木坂86.8%)、千葉ウェストビル(88.5%)、新三ビル(85.1%)など80%台の稼働率の物件が
賃貸可能資産の28%にのぼっている。都心立地で80%台というのは少し意外だ。これらの物件の稼働
率がどうなるか要注意だ。

 プラスの評価ができる点といえば、総NOIの42%を占めているイオンモール村山ミュー及びイオンモール
神戸北は長期契約により安定したNOIを稼げるという点だ。イオンモールむさし村山の賃貸契約は
2016年までの固定でその間の賃料改定がないというのは業績を下支えするだろう。業績の下方修正、
分配金の減額などの要因が過去2年間あったわけだが、収入減少などによる影響は少なくほとんどすべ
て金融費用の増加がその原因である。したがってファイナンス環境が変化すれば当法人にもチャンスは
あると思うが、スポンサーの評価があまり高くないのがネックだろう。それとNOIのほぼ1割を占める
ラ・ポルト青山の稼働率が5月末現在で85%と5ポイント上昇している点はプラスといえる。

 現状では成長の可能性はほとんどない。格付けは意外にもR&IでA-(但し、ネガティブウォッチ)、
この格付けならもっと金融費用を抑えられそうなものだが、やはりスポンサーに対する金融機関の評価
が辛いせいだろう。投資法人債残高がないのは幸いだが、やはりMAによる成長を期待したいところだ。
倒産リスクは現状(今後6ヶ月-9ヶ月)はあまりないだろう。といっても成長性の限界などを考慮すれば
現状の株価はいいところか。因みに官民ファンドから借りられるという点に絞ってみると恐らく対象に
なるだろう。但し、借りれば業績はたぶん下方修正される。

拍手する
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする