息子が見染めた彼女

　先日、やっと息子が彼女を家に連れてきた。
学生時代から付き合っているので、かれこれ10年近くなるだろうか。
当然、彼女がいるのは知っていたが、何故か今の今まで一度も会ったことはなかった。
　家でバーベキューをやるのに、友達を連れてきても、何故か彼女はその中にはいない。
友達同士で旅行に行っても、その中にはいない。
名前を聞くと教えてくれたが、写真を見せろと言うと、そんなものは無いと言う。
そんな謎めいた彼女だが、やっと我が家に連れてきた。
　もっとも、すでに一緒に住んでおり、結婚するという。
式場も9月に予約してあり、去年の年末には彼女の両親と会い、快く承諾も頂いたらしい。
そしてなんと、2月には入籍するという。
「エッ？　まさか、〇〇結婚か？」
と思ったが、2月は二人の交際記念日があり、その日に入籍したいとのことだった。
　そんなこんなで、我が家が一番最後になったようだが、じらされたかいがあったね。
やっぱり、息子が見染めた彼女だ。
結婚するのはこの娘しかいない。
まさしくそんな彼女だった。
　嬉しいね。
娘を嫁に出した時とは、また違う嬉しさだ。
嫁が来る。
この何とも言えない嬉しさが、今でも胸の中を駆け巡っている。
本当に嬉しい。