東京 DOWNTOWN STREET 1980's

東京ダウンタウンストリート1980's
1980年代初頭に撮影した東京の町並み、そして消え去った過去へと思いを馳せる。

東海道品川宿を歩く~その十九:南品川宿~その一

2014-11-12 18:38:32 | 品川区
目黒川を渡ると、そこから先は南品川宿となる。川が区切っているものの、街道は続いているし、町も広がっている。これも昔からの姿なのだろうが、微妙に雰囲気が北品川の歩行新宿、本宿とは変わってくるのが面白い。歩行新宿と本宿は、物理的に明確な区切りがないので、一体化しているようなところもあるのだが、川で区切られることで、南品川宿はその雰囲気を変えていることを意識させられる。若干商店の数が減り、マンションも少し減ったかなと言うくらいの違いではあるのだが、ここも都心にほど近い町であることにそう大きな違いがあるわけではない。橋を越えて最初に目に入ってきたのが、この仕舞た屋。シャッターが下りているが、切り妻屋根の木造店舗で、一階の軒上がベランダになっているタイプ。軒の端を銅板で飾っているケースが多いのだが、テントが取り付けられて、外側が改修されているので判然としない。

その先には、木造モルタルの二階家。その一階に以前は品川第一郵便局があった。出入り口が角に設けられていて、庇が付けられているのが可愛らしい。今は郵便局は少し先のビルへと移転している。


さらに行くと、品川診療所のある交差点に出る。交差する道は、南馬場通り。この道を山側へ向かうと、大井町駅の方へ向かうゼームス坂に通じる。その角に、銅板貼りの商店があった。いぜん、取り壊されると言うことで、急ぎ紹介した建物である。角店の銅板貼りの看板建築であり、端正な佇まいをした建物だった。


二階の窓は一部が板が貼り付けられているが、キレイな銅板の緑青の色、そして手入れをされてきたしっかりとした存在感のある家だった。


横手に住居部分が連続してあり、そちらは木造二階家の形が見えているというところも、なかなかユニーク。何を商われてきたのか、永く商売をされていたのだろうと思う。


品川には、数軒の銅板貼りの建築が残されているが、その一軒が姿を消したことは残念だ。それでも、その直前に訪れることが出来たことは幸いだった。


さらに進むと、オーソドックスな切り妻屋根の看板建築。井川自転車店。この日は休みだった。


その辺りにあった、東京市の時代の住所表記の残る門柱。


その先にも、切り妻屋根の二軒長屋の商店があった。リフォームもされているものの、良い感じで建物の雰囲気を残している。右手の仕舞た屋は、店舗時代の雰囲気を色濃く残しているようだ。ガラス窓の格子の模様が素敵だ。その隣は、木庭印房、ハンコのお店。


二階の窓の手摺りが、カーブを描いている。あまりこんな風に凝ったものは見た覚えがない。


街道から路地が横に伸び、家々が並んでいる。夕日がその路地を染め上げていく。


仕舞た屋でリフォームして大幅に雰囲気を変えているが、出桁造りの系統の木造二階屋の店舗建築。


その直ぐ先には、富田屋工業所。明治二十七年創業と書かれている。水道工事屋さんだそうだ。しながわ観光協会のサイトによれば、「大正7年に建てられた、町屋造り」とのこと。この二階には、美人画の伊藤深水がしばしば訪れて、アトリエにして品川のきれいどころを描いていたという。


重厚な造りで、手入れが行き届いている。あと四年で地区百年ということになる。


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