東芝は20日、携帯電話の国内生産から撤退すると発表した。
国内市場の急速な縮小で各社とも収益が悪化し、我慢比べの状況にあるなか、他社より一足先に事業の抜本的な見直しに踏み切った格好。
国内で生産していた普及品は、10月から海外のEMS(電子機器の受託製造サービス)に委託。中国で自社生産を継続するスマートフォン(多機能携帯)に力を入れる。
●EMSに移管
国内唯一の生産拠点で、東芝の携帯電話の大半を製造してきた日野工場(東京都日野市)での量産を停止し、海外のEMSに移管する。
国内向け機種は、中国で自社生産しているスマートフォンを除き、海外での委託生産となる見通し。
日野では、設備の処分などに約9億円の費用を見込む。製造部門の約200人を配置転換し、中国杭州の工場ではNTTドコモが今夏発売するスマートフォンの生産を続ける。
ウィンドウズ・モバイルを搭載した製品で、欧州でも同時発売して基幹シリーズヘの育成を目指す。
●売り上げ高半減
東芝の08年度の携帯事業の売上高は、1400億円。
出荷台数は300万台といずれも前の年度に比べてほぼ半減。販売制度変更による店頭価格上昇や、景気低迷で需要が落ち込んでいる上、主力のKDDI(au)向けが振るわなかった。
【記事引用】「日経産業新聞/2009年5月21日(木)/3面」