フィリピンの大手携帯電話会社スマートコミュニケーションズによると、今年はフィリピンでスマートフォン利用が急増する見通し。
同社チーフ・ワイヤレス・アドバイザーのオーランド・ヴイー氏によると、モバイルインターネットに対する需要の高まりや端末機能の改良により、11年8月末から12月末までの4カ月で同社のスマートフォン加入者数が倍増したという。
●iOS著しい増加
これは、同社が毎月実施している「特定日調査」によるもので、同4カ月のモバイルOS別利用状況はグーグルの「アンドロイド」が300%の増加、ブラックベリーが66%、アップル「iOS」は62%増加した。
同社のiPhone投入は12月末で、特にiOSの増加は目覚ましい。スマートコミュニケーションズは昨年半ばに、インターネット利用可能な「ネットフォン701」の発売を開始。
続いて、アンドロイドとシスコの「スマートネット」搭載の「ギャラクシーY」(サムスン電子製)を投入。
すでに、初めてスマートフォンを利用する人に好評な音声とデータの一括料金プランを開始していたことから、特にギャラクシーYの販売が好調だった。
また、12月には5インチのギャラクシーノート「ファブレット」(電話+タブレット)も投入。今年に入り、AndoroidOS 4.0搭載の、サムスン電子「ギャラクシーネクサス」の販売も開始した。
同社は、インターネット対応端末の増加は、自社の進める近代化計画にも好影響を与えているという。
ネット対応端末への需要の高まりや、フィリピン人が同社のサービスを利用して、自らの端末から最大限のものを引き出したいと望んでいることがよく分かるという。
●通信網改革計画
スマートコミュニケーションズと親会社のPLDT(フイリピン長距離電話会社)は、昨年初めから総額671億フィリピンペソ(約1280億円)の通信網改革計画を実施中。進ちょく状況は順調で、当初の3カ年計画は今年半ばに完了する見通し。
同計画で、基地局と基幹通信網間の通信スピードアップ、光ファイバーケーブルの追加設置、新しい国際ゲートウエイの開設、4G技術導入を容易にする「シングルRANアンテナ」の利用などを実施。
同社のワイヤレス通信綱は今後1-2カ月で、LTEに完全対応する見込み。今年後半に導入が予定されている通信事業者向け新Wi-Fiは、フィリピン人のスマートフォン利用をさらに高めると期待している。
【記事引用】 「日本経済新聞/2012年3月6日(火)/2面」