スマートフォン向け放送局である「NOTTV(ノッティーヴイー)」が1日に開局した。
月額420円で高画質の番組を楽しめ、ソーシャル(交流型)メディアとの連動機能も備える。運営を担うNTTドコモの子会社、mmbiは2012年度に100万契約を目指すなど強気の目標を設定した。
しかし、携帯端末で視聴できる動画配信サービスは数多い。NOTTVはどう消費者の支持を得るかが問われる。
●12年度に100万契約
NOTTVは、地上アナログテレビ放送終了に伴って空いた電波の周波数帯である「V-High」帯を使った放送。月額420円で3チャンネルを楽しめ、画質は以前からある携帯端末向け地上デジタル放送のワンセグと比べて約10倍を誇る。
通常のリアルタイム視聴のほか、事前に登録作業しておけば好きな時に番組を見られるシフトタイム視聴にも対応する。
「通信と放送を連携できれば利用者は増える」(山田隆持NTTドコモ社長)という考えから、データ通信を活用した他者との交流機能も設けている。
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「フェイスブック」や、ミニニブログ「ツイッター」と連動。NOTTV対応端末の画面でこれらのソーシャルメディアと番組を同時に表示でき、友人などへ番組の感想を即時に共有できる。
mmbiはこれらの機能を訴求して12年度に100万契約を確保し、15年度には600万契約を達成して単年度黒字化を目指す計画。
●普及にハードル
インターネットの動画視聴サービスは、「ユーチューブ」、「ニコニコ動画」など数多い。双方とも、消費者が作成した動画を原則無料で見られる。
2011年12月にグーグル日本法人が国内外の映画をユーチューブで有料配信し始めるなどコンテンツが充実している。NOTTVはこうしたライバルとの戦いを迫られるため、道のりは平たんではない。
利用端末が限られるのも懸念材料。現時点でNOTTVを視聴できるのは、ドコモのスマートフォンとタブレット端末1機種ずつのみ。ドコモは9月末までに5機種を追加する計画。
だが、競合サービスが多数ある中でNOTTV見たさに端末を買い替える人がどれだけいるのかは疑問符がつく。当面は対象端末の購入希望者を取りこぼさない戦術が求められる。
【記事引用】 「日刊工業新聞/2012年4月2日(月)/9面」