男澤惠一・家系と先祖のBLOG

「先祖を知れば未来が見える」著者、日本家系調査会の男澤惠一が読者様の幸福を願って書いております。

大切な先祖供養

2006年04月18日 | 家系鑑定とアドバイスなど
 民族学者の柳田国男氏は「日本は戦争に敗けていろいろなものを失ったが先祖崇拝の気持まで失ったら、もう日本人は日本人でなくなってしまう」と述べています。まさに先祖供養こそ日本人の魂であり、宗旨・宗派を超えた「民族宗教」といっても、過言ではありません。

先祖を棄ててきた戦後六十年
 いつの間にか戦後六十年といわれる時代になりました。その歴史は繁栄一途の歴史でした。「ジャパンアズナンバーワン」(社会学者エズラ・F・ヴォーゲル著)という本が一九七九年、日本でも七十万部を超えるベストセラーとなりました。戦後、日本が急速に成長してきた原動力は何だったのか?アメリカ人による一冊の著書が世界中で話題になりました。
 著者の日本での二度目の長期滞在の一九七五年、日本を詳細に観察した結果、その発展のペースに圧倒され、「ジャパンアズナンバーワン」の執筆を思い付いたといいます。その頃の日本が、一番勢いがあったのでしょう。
 しかし、その後一九九〇年代に日本が不況に突入しました。日本はナンバーワンどころか長期化する不況に苦しんでいます。しかも、ヴォーゲル氏が日本の強みと見ていた治安の良さや日本人の高い道徳意識も怪しくなっています。
 五十年代から「サラリーマン家庭」が出現し、故郷を棄て、親と先祖を棄てて大都会集中型になりました。その結果、生産に集中できてアメリカに次ぐ経済大国になりました。その勢いも結局、四十年しかもたなかったのです。国としてのアイデンティティーの無さの現われでしょうか。その四十年の間に何を失ってしまったのでしょうか?
 様々な外的要因はあるでしょうが、家系という精神的観点から見ると、故郷と親と先祖を棄てた結果だと思われてなりません。一九五〇年代以前の時代を考えると、日本人はもっと家族や氏族、地域の人々との間に連帯感がありました。家には家長がしっかりと立ち、よい意味での「家族主義」が存在していました。
 企業においてもこの「家族主義」が力を発揮して、「労使関係」というよりも社長が父親、専務が母親、そしてその「家族」の為に粉骨砕身、努力を惜しまなかった・・・。NHKのテレビ番組「プロジェクトX」に出てくるような企業は皆そうでした。この時代の企業人の精神が今日の日本経済をつくってきたのです。
 しかし、四十年も経たないうちに世代が変わり、企業を動かしている人たちの価値観も変わりました。企業はもはや家族ではなくなったので一生奉公する対象ではなく、欧米に対抗できる道徳意識、企業意識も特に目立った特長では無くなりました。
 いまや、「家族主義」が完全に崩壊しています。親殺し、子殺し、親族殺人などのニュースが連日、報じられていることがその証拠ではないでしょうか。親や先祖を敬うどころではありません。そして現代の子供達は祖父母や先祖を想起させる環境が無いところで育てられています。お年寄りの気持ちや他人の気持ちなどわかるはずもありません。
 今後の日本を考えるとき、急激に変化してしまった日本人の意識構造を変えなければ未来がありません。企業も家庭も再建が必要です。何よりも大事なのは家族主義です。先ず、それには全ての根っこに該当する「先祖を敬う心」を啓発させることが大切です。
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