森かずとしのワイワイ談話室

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災害廃棄物受け入れ可決 退席

2012-11-30 23:11:27 | 議会活動
 臨時議会で、宮古地区からの災害廃棄物漁具漁網の受け入れが可決した。私は、発言に立って、異例の15分間にわたる質疑を行い、経済環境常任委員会の傍聴に入った。

 会派は私のこの間の問題意識と行動を了解して、会派拘束を解いた。8人中6人は議案に賛成した。必ずしも積極的賛成ばかりではない。討論後の本会議採決では、議長を除いて34人が賛成。共産党3人が反対。私と山本市議が退席した。

 私の退席理由を述べておきたい。行動を共にしてきた子どもたちを放射能から守る会・石川の方々の切実な思いは依然として強く深い。しかし、採決がやってくる。議会の大勢が賛成に傾く状況の中で、訴えてきた問題、要求を具体的な歯止めや足がかりとして残していく責任を意識した。会のリーダー格の方々とも深夜まで語り合った。

 この間の市長部局との折衝の中で、私は、放射能の危険性認識に直接関わるクリアランスレベルを問題にしてきた。3.11以後の安全神話崩壊の元で、危険性を指摘する研究、より厳しい基準を求める医者の提言を具体的に挙げて、安全基準の今後の同行にアンテナを高くせよ。それに基づく具体的な対応を心がけよと迫った。定期的な濃度測定に留まらず、搬入決定物の濃度測定の拡充を求めた。埋立場の安全対策の強化をも求めた。議案への理解を求める市長部局とそれでは市民の理解は得られないと具体的な放射能の危険認識と安全対策の強化を求める私との間の緊張したやりとりが続いた。

 発言通告から事務レベルでの事前折衝を経て、市長の答弁が行われた。「科学に絶対はない。慎重な対応を心がける。」「安全性に関わるその時々の情報を注視していく。」「搬入対象物の事前濃度測定を行う。本市でも埋立前に二重チェックする。これまでも方針だった100ベクレルを超えるものが発見されたら受け入れない。50ベクレルを超えるものが見つかったら、濃度測定を拡充して安全度を慎重に測る。」「埋立場の崩落等は想定できないが、安全と安心の確保は重要だ。安定化に努める。環境モニタリングとその公表を含め、一連の作業マニュアルの改定に、周辺住民や市民の声を反映させたい。」「金腐川の水質検査に放射性物質検査も加える。」これらが、課題の明確化であり、対策に一部付加されて答弁された事項だ。住民に責任を持つ市長との間に信義則が発生し、これらの履行を求めて、私は議場退席を決断した。議案に賛成はしなかったが反対もしなかったということになる。私にとっても苦渋の判断だった。これらの履行は最低限の行政の住民市民との信義になっていく。その監視が始まる。

 賛成討論では複数の発言者が、「日本人として」という言葉が使われた。強い違和感がある。受け入れ反対の声は、日本人にあるまじき利己主義だとも言いたいのだろうか。非国民呼ばわりが戦時中何を招いたか、忘れたとは言わせない。いや、それすらも学ばれてはいないのか・・。日本人であろうとなかろうと、国境を越えて、大震災被災と原発事故に世界中から見舞いの声と支援の手が届いている。そして、がれき受け入れに反対する人々も、真剣に被災地を思い、出来る支援を行動に移してきた。委員会可決の際に傍聴者が流した涙はその思いを無言で表現しているように思う。その真剣度に議員として真摯に向き合うべきだ。
 一年間5000トンの搬入で総額2億円が費やされる見込みと答弁された。自前の処理施設建設には、用地確保や環境アセスに時間がかかる。それは事実だ。しかし、そのピッチを挙げる法整備は可能だ。政策選択の問題だ。これを怠り、無用の住民対立を招き、復興財源を分散化させる愚を犯してはいないか。
 輪島と富山では、焼却処理強行の気配が高まる。

以下 質疑全文を転載する。多少長文だが、お読み頂ければ幸いだ。

1.災害廃棄物処理費に係る諸問題について
 補正予算案として、東日本大震災からの復興を支援するため、岩手県宮古市の災害廃棄物(漁具・漁網)を受け入れ、廃棄物処理及び周辺地域における環境監視等にかかる経費
が、計上されました。山野市長が受け入れの意向を表明されて以来、その方針を巡って賛否を含め様々な疑問や意見が多くの市民から上げられてきました。数回に亘る市民説明会をはじめ、提起されてきた周辺住民並びに市民の訴えをどう受けとめ、搬入・処理を行おうとするのか、市当局と市民・住民との信頼関係にとって、極めて重要であることは言うまでもありません。今臨時議会にも、かつてない45本もの陳情書が議長宛に提出されています。議会として関連事業費を審議するに当たっては、これらの切実な声を十分に踏まえ、慎重な議決を行わなければならないとの立場から、以下の諸点について明らかにされるよう、市長にお伺いするものです。
(1)安全性に関わる認識について
 市長は、現地調査や試験搬入で、宮古市の漁具漁網の放射能濃度が、国のクリアランスレベルを遙かに下回わっているとし、全く心配はないと述べています。繰り返し表明してこられた安全宣言です。果たして、残された問題は安心の確保と風評被害対策と言い切って良いのでしょうか。安全性をどう認識するかは、受け入れ可否の判断並びに具体的な対処の前提となるものであり、深い懸念を表明してきた市民の問題意識の核心でもあります。
 私も9月議会において関連質問で言及しましたが、そもそも国際原子力機関、国際放射線防護委員会が、放射線による健康影響に閾値があるとしてきたのか、また、クリアランスレベルとされるキログラム当たり100ベクレルは、原子力産業の都合上設定された我慢値で高く、その実際上の運用も厳密さを欠いていると、欧州リスク委員会などが警告してきたことをどのように認識しておられるのか、放射性物質を持ち込むのではないと、かねがねおっしゃってきた市長の真意とも併せて、安全基準に対する認識をお答え下さい。
 放射能には、DNAの損傷ばかりでなく、酸化作用により細胞膜を溶かし、免疫力低下や全身性障害を低線量ほど招くというペトカウ効果の発見、スターングラス博士による低線量被曝の健康影響に関する体系的な研究、パンダチェフスキー博士によるチェルノブイリ被災者たちの全身に表れた様々な健康被害の報告、さらには、体内に取り込むと、微量でもセシウム等のγ線核種の数万倍から一億倍ものダメージを与えるプルトニウム等α線核種、ストロンチウム等のβ線核種の危険性など、警鐘を鳴らす調査研究は枚挙にいとまはありません。こうした研究動向を重視し、放射能防護プロジェクトの医師グループが、少なくとも食べ物では10ベクレル以下にすべく対策を講じるよう意見書を大阪府に提出していることも注目されます。災害廃棄物の受け入れに当たって、放射性物質の危険性に関して、改めて市長の認識を伺います。
(2)搬入前の安全確保対策
 さて、私も同行した宮古地区への現地調査の結果、藤原埠頭に仮置きされている漁具漁網の一部サンプルから、誤差を勘案すれば40ベクレル弱とも見られるセシウムが含まれていることがわかりました。これは市が報告してきたサンプル調査の平均値の3倍の値です。やはり、サンプリングの手法と箇所によって、放射能濃度にばらつきがあることがわかります。また、宮古市内には、土壌から200ベクレルや400ベクレルものセシウムが検出された場所があることもわかっています。本格搬入に当たって、搬入前の安全確保対策の要である濃度測定には、厳密を期すべきだと思いますが、本市としてどのように臨まれるおつもりなのか、お答え下さい。
 ところで、市長は、100ベクレルを超える廃棄物は持ち込まないとの方針を市民説明会などで表明してこられました。そうしたケースが発見された際の対応は、どのように対応するお考えですか。本市の食肉検査所では、食品クリアランスレベル100ベクレルの半分以上の値を検出した場合は、精密測定を行う手順が確認されていますが、予防的に事前サンプリングで50ベクレル以上が検出された場合には、濃度測定を拡充するなど、予防的な方法は検討されていないのか、お尋ねします。
(3)搬入中の安全対策
 災害廃棄物を広域処理するには、輸送時の安全管理が不可欠です。宮古現地から陸路、鉄路、そして再度陸路を戸室新保埋立場まで長い行路を移動します。この間の事故防止や安全確保の対策はどのように実施されるのか、お答え下さい。また、これら全体の行程は、誰が責任をもって進められるのかもお聞かせ下さい。
 さて、廃棄物総合対策審議会でも触れられたのが、搬入から埋立作業に当たる従事者の体調管理の課題です。試験搬入時の職員の無防備な軽装には驚きましたが、従事者の被曝防護と体調管理については、方策を講じる考えはありませんか。
(4)搬入後の安全対策
 戸室新保埋立場には、セシウムだけで平均10ベクレルとしても、搬入量5000トンでは、5000万ベクレルの放射性物質が運び込まれ、埋立区域に囲い込む計算になります。これらが万が一でも環境中に漏出しないように、厳密な対策が必要です。市民説明会で、フレコンパックや遮蔽シートの破損について問われました。覆土によって、漏出は防ぐことが出来ると答弁されていますが、それで、果たして最低でも300年間の封じ込めが出来るのか、やはり懸念は消えません。本格搬入を前に、放射能漏出防止対策を強化する考えはありませんか。
 次に、モニタリングについては、6月議会で、1500㎞も離れたスウェーデンで、大気中のセシウム濃度が事故前の100万倍に達しても、空間線量率の変化はわずか2倍にすぎなかったことを引用して、空間線量率測定だけではほとんど意味をなさないことを指摘しました。埋立区域周辺土壌の放射能濃度測定と住民への情報公開が不可欠です。土壌モニタリング体制について、どのようにお考えかをお聞かせ下さい。
 さて、市長は、全員協議会での説明の中で、町会・地権者には基本的な理解を頂き、覚え書きを交わしたと説明されました。「基本的な理解」とは、どのような意味で使われたのか、お答え願います。
 これに関連して、金腐川流域住民には、埋立場から流れ出る浸出液の放射能汚染によって、金腐川へ汚染水が流出しないのかという不安を根強く抱いています。地元住民団体が要望する金腐川水質検査体制をどのように考えておられるのかもお聞かせ下さい。
 加えて、3.11以降の教訓として、想定外は許されないとの前提に立てば、埋立区域そのものの流出や大規模な崩落を防止する対策が必要ではないでしょうか。この点についてもどのようにお考えなのか、ご所見を伺っておきます。
 これらに関連して、埋立後の安全管理について、広域処理に係る事務の実施主体である石川県とは、どのような連携が想定されているのかもお答え下さい。
(5)受け入れに係る経費の見込み
 補正予算案には、歳入として、廃棄物処理手数料、災害廃棄物処理費負担金が併せて1040万円計上されています。まず、これらの金額についての考え方をお答え下さい。
 次に、今次補正予算によって搬入される「漁具・漁網」の搬入量はどれだけを見込んでいるのかお答え下さい。また、埋立場受け入れに係る経費に加えて、仮置き場での分別、裁断、フレコンパックへの詰め込みから、陸上輸送、鉄道輸送、再度の陸路輸送も含め、トータルな経費はどう見積もられているのか、お答え下さい。
 本市が向こう一年間に受け入れる「漁具・漁網」は、5000トンとされました。この搬入量はどのようにして割り出されたのか、その根拠をお聞かせ下さい。この場合のトータルコストはいくらと見込まれるのかについても、お聞かせ下さい。
 「原則的に国、岩手県」という経費負担に関連してもう一点伺います。本市が市民の要望に応え、私が先に述べてきたような独自の安全対策を講じるならば、その経費負担は、本市が持ち出すことになるのか、国、自治体間の経費負担原則がどうなっているのかお聞かせ願います。
 この項の終わりに、岩手県と結ぶことになる協定はどのような内容になるのか、伺っておきます。
(6)復興支援についての考え方について 
 市長は、被災地が困っている「漁具・漁網」を受け入れることで、他の自治体でも広域処理が進み、被災地の復旧・復興が大きく前進することを期待すると述べています。
 ところが、この環境省主導で策定された国策には、広域処理に対しては、放射能の拡散の恐れの他にも、広域処理による処理財源の分散化によって、被災地地元に要望がある自前処理施設の整備が却って遅れるという批判や、広域処理に介在する大手資本に、復興財源が流れ込む「がれき利権」の構造があるとの指摘もなされてきているところです。さらには、岩手県の場合、県内の埋立施設に、不燃混合物と「漁具・漁網」を併せた13万トンの10倍もの容量があるのに、なぜ広域処理が必要なのか理解できないとの疑問も出されています。
 宮古市も、沿岸部に水産関係の産廃施設が必要だと要望を行ってきていると聞きましたが、ここで、「漁具・漁網」の受け入れによって、被災地の復旧・復興がどのようにして前進すると言えるのか、市長の論拠について、改めて伺っておきます。
(7)災害廃棄物受け入れ対策連絡会議の機能について
 さて、質問の最後に、災害廃棄物の受け入れに当たって、庁内連絡組織である災害廃棄物受け入れ対策連絡会議が設置されました。連絡会議がどのような役割を果たそうとしているのか、その機能について、お答え下さい。

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