里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

小正月行事「鳥追い」と「団子刺し」

2024年01月15日 | 暮らし

当地方では1月14日から15日がいわゆる小正月です。
そして、14日夕方に行う正月行事が「鳥追い」。
1月14日までがいわゆる松の内でしめ縄や松飾りを下ろします。
一般的には、それを神社の境内や広場で行われる「どんと祭」で燃やすのが普通です。
一方、「鳥追い」とはその名の通り鳥を追い払う行事のこと。
農村では農作物が害鳥に荒らされないよう「鳥追い」をすることで豊作祈願をするのです。
もともと、我が家では下ろした松飾りを御神木と定めた杉の木にしめ縄で括り付け納めます。
その納めに行く時に、「ヤー、ホイ、ホイ、ホイ」と大声で繰り返し叫び、鳥を追い払うのです。
これがその御神木、実は2代目ですが括り付けるのが甚だ困難となりました。


脇のケヤキと大木同士がピタリとくっつきしめ縄が通せなくなってしまいました。まだ痕跡が残っています。
そこで昨年から山の神様に納めることにしました。
我が家では昔から前年の古いお札や飾りものは、大晦日に山の神様に納めるのが習わしです。
ですから、新年の松飾りを納めても何の問題もないと考えました。
これが下ろした松飾り。大した量でもなく納めるのは全て朽ち果て自然に帰るものだけです。


この山の神様に納めるのは今年2年目となります。


本当は納めに行く途中に「ヤー、ホイ、ホイ、ホイ」と大声で叫ばなければならないのですが。
さすがにこれは恥ずかしい。小声で唱え豊作祈願、家内安全、世の平穏を念じました。
そして、小正月のもう一つの習わしが「団子刺し」です。
小正月は女の正月とも言われます。「団子刺し」は、小正月らしい華やかさを感じさせる行事です。
「団子刺し」は、通称団子の木に団子を刺して飾り付けます。
これが団子の木。中央にすっと立っている木です。正式名はミズキ(水木)。

ミズキはこけしを作る材料として知られる重要な樹種です。
当県には弥治郎系、遠刈田系、作並系、鳴子系など著名なこけしの産地があります。
その重要な樹種も当地ではごく普通に団子の木と呼ばれます。
それほどに小正月の「団子刺し」は重要な行事だったと言えるでしょう。
ミズキは枝がなめらかでするっと伸びます。赤みを帯びた美しい肌をしており、枝先は団子が刺しやすい。


「団子刺し」は、昔から続く豊作や家内安全・家内繁栄を祈願する習わしです。
これは助っ人が作ってくれたもの。


ミズキの枝先に紅白や緑の団子を刺し、縁起物の飾りをぶら下げ、神棚や部屋に飾り付けます。


今はほんの形ばかりですが、昔々は大きなミズキに部屋中一杯団子の花になるほど飾ったものです。
幼少の頃、15日の夜明け前に囲炉裏に大きな鍋を掛け「暁(あかつき)団子」を食べたことを思い出します。
様々な正月行事も次第に姿を消し、昔の風習を知る人間も少なくなりました。