あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

黒澤明7連発ずら

2018-12-19 14:34:07 | Weblog


闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1912~1919


1)黒澤明監督の「虎の尾を踏んだ男達」
頼朝に追われ安宅の関を越えんとする義経一行。狂言回しの榎本健一はちとうざったいが、弁慶役の大河内傅次郎が存在感を示す。

2)黒澤明の「生きものの記録」
原水爆と核汚染の恐怖に怯え一家移住を図る頑固爺を若い三船がふけ役で熱演。しかし今ではブラジルに移住したって地上に安住の地なんかないとことが判明してしまった。それでも我々が火山の噴火口の上で踊り狂っていることには変わりない。

3)黒澤明の「どん底」
三船敏郎、香川京子は別にして鴈治郎、五十鈴をはじめ豪華けんらん脇役陣がこれでもかこれでもかと芸を見せつけるが、なんというても左ト全が素晴らしい。

4)黒澤明監督の「静かなる決闘」
西部劇かと思ったらそうではなくて、戦地の外科手術で梅毒に冒された外科医の三船敏郎が帰国してからもスピロヘータのために婚約者を失うなど懊悩の極みに至る悲劇。生と性の絶対矛盾を吐露する三船の告白はいたく胸を打つ。

5)黒澤明監督の「醜聞(スキャンダル)」
被告人に買収された原告側弁護士志村喬が最後の最後で「星」になる。
理想主義者、黒澤の面目躍如たる一本。三船は初々しいが山口淑子はなんだか薄汚れた感じ。
6)黒澤明監督の「酔いどれ天使」
若き三船敏郎のなんと瑞々しい色男であることよ。唱徐少女役の久我美子のなんと初々しいことよ。現代の赤ひげ、正義の味方を演じる志村喬のなんとたらこ唇なことよ。
木暮実千代のなんと妖艶なことよ。笠置シヅ子のヴギのな~んとパンキッシュなことよ。冬なのに夏の設定なので白い息を吐きながら団扇をあおいでいる中北千枝子のいじらしさよ。

7)黒澤明監督の「天国と地獄」
初めて見た時は横浜の黄金町の麻薬中毒者や新幹線を使った身代金強奪などに瞠目させられたが、いま見るとそういう衝撃はない。最後の最後まで犯人はクールにワルを貫いて欲しかったずら。
共犯者が住んでいた江ノ電鎌倉高校前のあたりはこの映画では宅地開発が始められていたが、今ではマンションやホテルも建っている。しかし潮風が強くて洗濯物が乾かないのが難点である。

   平成も昭和も明治もなににせむ西暦のみで足りる世の中 蝶人


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