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あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

島田雅彦著「人類最年長」を読んで 

2019-05-25 11:36:10 | Weblog



照る日曇る日第1259回

文久2(1861)年に横浜で生まれ、ご一新を経て明治、大正、昭和、平成を生き抜いて159歳になった男の最長不倒年代記なり。

精霊が息を吹き込んだ人類最年長の人物を標本にしながら、この国の紆余曲折、どこまで続く泥濘ぞ、の忸怩たる歩みを振り返るが、まあ作者も書きながら、前途亡羊どころかお先真っ暗だね、という気持ちになってきたのではなかろうか。

「この国は長い冬の時代に入ったが、決して滅びることはない。神楽(この小説の主人公)が生き、その恥ずべき過去の記憶を保持し続ける限り、この国は滅びない」と、作者が力めば力むほど、その逆への道がググッと開けてくるようだ。


    スマホなど右手に持ちて運転す命知らずの無法者たち 蝶人