照る日曇る日 第1180回
「日本文盛衰史」の傍流から派生した、タカハシ源ちゃん、はじめての童話ずら。
良い子の皆さんに読んでもらう小説だから、これまでになく時間をかけて慎重にプロットを練ったそうですよ。
舞台は鎌倉で、ミレイちゃんが夏休みに訪れる先祖代々の旧家には、上空で芳香を放つサルスベリの赤い花や、ぬいぐるみのテディペアや、主著の「日本文盛衰史」ゆかりの文芸ネタやさきの戦争の生々しい体験や記憶、おまけにチャーミングなオバケまで登場するのです。
が、それがあまりにも盛沢山で、物語としては複雑かつ重層的な構造なので、頭の良い中学生はともかく、昔のぼくみたいなボケっとした小学生なんか、大丈夫だろうか?ついていけるだろうかという、いささかの懸念はありまする。
またしても「我良し」の世になりたれば思わぬ戦も起こるであろう 蝶人