あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

ジョン・カサヴェテス特集ずら

2018-12-13 11:15:31 | Weblog


闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1898~1907



1)ジョン・カサヴェテス監督の「オープニング・ナイト」
老いをテーマにした芝居の役作りに腐心するジーナ・ローランズの孤独と煩悶、そして奇跡的な成功を劇的に描いたカサヴェテスの傑作。ラストはちょっとあざといけれど、それでも感動するのはそれまでの伏線が波乱万丈すぎるから。ローランズはもちろんだが、カサヴェテスの演技も凄い。

2)ジョン・カサヴェテス監督の「フェイシズ」
これが映画だ! 夫婦、男と女、人間と人間の関係の実相をこれでもかこれでもかとぎりぎりあぶり出す怖いほど面白い戦慄的な映画。こういう映画に触れさせないためにテレビ局は死に物狂いで阿呆莫迦バラエテイやドラマを大量生産しているのだ。
出演はお馴染みのジーナ・ローランズやジョン・マーレイ、リン・カーリンなど。

3)ジョン・カサヴェテス監督の「チャイニーズ・ブキーを殺せ」
「クレージホース」で女たちとの楽園を作り上げていた主人公がふと魔がさしてバクチで23000ドルをすったところから、殺し殺されの悲劇が始まる。しかし人世ってなかなかうまくいかないもんだな。

4)ジョン・カサヴェテス監督の「アメリカの影」
カサヴェテスの監督第一作。全編を即興的演出でドキュメンタリータッチで撮影されたというがその不穏なライヴ感が好ましい。主として白人と見分けがつかない黒人女性と寝た白人男性の内面の問題を取り扱っている。

5)ジョン・カサヴェテス監督の「グロリア」
ふとしたことからプエルトリコの少年の保護者になってしまったジーナ・ローランズが、女だてらに組織全体を敵に回して大活躍。しかしあの窮地をどうやって逃げのびたかは永久の謎ずら。

6)ジョン・カサヴェテス監督の「壊れゆく女」
家族から愛されていた主婦の頭がだんだんおかしくなっていくありさまをジーナ・ローランズが完膚なきまでに表現しつくす。
「普通の」家に一人の障害者が出現すると、その家はもう「普通ではなくなって」大なり小なりの悲劇と騒動が巻き起こるが、それは誰のせいでもないから、ありのままを受け入れるしかないのだ。愛の精神で。

7))野村芳太郎監督の「張り込み」
佐賀までの長い長い蒸気機関車での旅が「序」、懐かしい面影を伝える佐賀の1週間の張り込みが「破」、高峰秀子と田村正和の切ない出会いが「急」。
それにしてもあの後哀れなヒロインはどうなったのか。こういう悠揚迫らぬ美しい白黒映画はいまでは貴重な文化遺産だ。

8)ロバート・アルドリッチ監督の「何がジェーンに起ったか?」
姉にコンプレックスを持つ妹役のベティ・デイヴィスが姉役のジョーン・クロフォードを苛めまくる恐怖とスリルとサスペンスドラマ。
屋敷から出たまぶしい海岸で明かされる秘密に愕然とするうちに幕。恐ろしきは人間なり。

9)シュレンドルフ監督の「スワンの恋」
スワンのジェレミー・アイアインズ、ドロンのシャルリュス男爵もどうかと思うが、オルネラ・ムーティのオデットは完全なミスキャスト。原作のプルーストのイメージと香気のかけらもない映画なり。

10)大島渚監督の「白昼の通り魔」
異常性欲の持主?である佐藤慶が川口小枝や小山明子などの首を絞めて次々に犯す。
けれども犯された2人は、そのためもあって狂暴男をあくまでも愛し続けて、私などの理解を絶する意外なるラストになるのであるんである。

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