行雲流水の如く 日本語教師の独り言

30数年前、北京で中国語を学んだのが縁なのか、今度は自分が中国の若者に日本語を教える立場に。

【日中独創メディア】森の火事を消そうとしたハチドリのひとしずく

2016-03-21 14:42:42 | 日記
先日、ある中国研究をしている女性から「ハチドリのひとしずく」に関する話を聞いた。

森が燃えていました。
森の生きものたちは われ先にと逃げていきました。
でもクリキンディという名の ハチドリだけは、いったりきたり
くちばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは
火の上に落としていきます。
動物たちがそれを見て
「そんなことをして いったい何になるんだ」 といって笑います。
クリキンディは こう答えました。
「私は、私にできることをしているだけ」


南米エクアドルの先住民族の言い伝えだ。出典は光文社『ハチドリのひとしずく いま、私にできること』(辻信一監修)。
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334974916



彼女がこの話を持ち出したのにはわけがある。以前、ある中国の著名民主派知識人の講演会で、彼女が「圧力がありながらも、発言を続ける原動力は何か」と聞いたとき、相手は「自分は中国という故郷の山火事を消そうとしている鳥と同じだ」と答えた。同時通訳者が感極まって泣き出したという。

中国では孫文や毛沢東など秀でた政治家の存在が突出しているが、革命に至る道のりには多数の人々の努力があった。それぞれはハチドリのひとしずくでしかないが、一滴がなければ大河も大海も生まれない。気の遠くなるような巨大な対象を前にして、沈黙するか、逃げるか、あるいは勇気ある人を中傷するか。だが傍観者に甘んじることをせず、困難な一歩を踏み出した貴き人を、だれも笑う資格はない。

北京の友人からハクモクレンの便りが届いた。風雪に耐え、枝葉が落ちてもなお、花を結ぶのは、しっかりと根を生やしているからだ。そのもとをたどれば一粒の種子にたどりつく。ハチドリの運んだひとしずくである。


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