行雲流水の如く 日本語教師の独り言

30数年前、北京で中国語を学んだのが縁なのか、今度は自分が中国の若者に日本語を教える立場に。

北京で見つけた鯉のぼり・・・竜の門をくぐり抜ける縁起

2015-07-31 09:04:13 | 日記
29日、天安門と王府井でそれぞれ赤と黒の鯉のぼりを見つけた。いずれも観光ガイドが目印として掲げていたものだ。ちょうど日本でマンションのベランダに飾ってあるサイズのものである。

旧暦5月5日の端午の節句はもともと中国から伝わった。その日、憂国の情を抱いて川に身を投げた屈原を忍ぶための祭日だったが、日本では江戸時代以降、男児の栄達を願う日になった。そこで持ち出されたのが、竜の滝登りに象徴される縁起のよい鯉だった。中国では官僚を登用する難関の科挙に合格することを「鯉が竜門をくぐる」と言い、やはり出世と関係がある。

日中両国は2000年に及ぶ交流の歴史の中で、文化が行ったり来たり、循環するような関係を築いてきた。漢字も循環している。今回の滞在中に覚えた和製中国語がある。コンプレックスを略した「控(コン)」。好きなものの後につけて、人の性向を示すのに使われる。「羅莉控」は「ロリコン」、「正太控」は「ショタコン」(実はショタコンを今まで知らなかったのだが・・・)、「大叔控」は「おじさん好み」ということになる。

日中の文化交流史には埋もれてしまっている歴史もある。それらを語り継ぐべき本の編集に着手した。日本僑報社の段躍中氏と発案した発信力シリーズの第三弾である。2013年にはメディア界の声をまとめた『日中対立を超える発信力 中国報道最前線総局長・特派員たちの声』、2014年は『日中関係は本当に最悪なのか 政治対立下の経済発信力』を編集したのに続く文化編である。

一昨日は北京で『経済発信力』の中国語版について中国の出版社と打ち合わせをし、10月発行で基本合意した。33人の執筆陣もボランティアながら、翻訳作業も十数人の中国の若者が手弁当で仕上げてくれた。みな日本留学の経験がある力強い日中交流の力である。8月15日、9月3日と日中関係が緊張する局面が続くが、現地の空気は至って楽観的だ。日中の政治家たちには、少なくとも民間交流に水を差すことはしないでほしい、というのが私を含め多くの人たちの願いである。

悪化させた原因は政治家にある以上、元に戻すのが最低限の責任である。ハードルを上げておいて、少し下げて手柄にしようとするのが政治家の常だが、庶民はそんな詐欺的手法にごまかされるほど愚かではない。もうすぐ搭乗時間だ。8月15日を日本で過ごすのも10年ぶりだ。

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