行雲流水の如く 日本語教師の独り言

30数年前、北京で中国語を学んだのが縁なのか、今度は自分が中国の若者に日本語を教える立場に。

【2019古都取材ツアー⑮】色彩から見た京都とは

2019-06-09 23:09:44 | 日記
5月25日、汕頭大学図書館講演ホールで行われた2019年日本取材団の報告会で、最初のプログラムはテレビ・ラジオ専攻3年、羅桂紅による「京都の色彩」だった。最初に3分ほどの映像を流し、PPTを用いて話をした。





京都には自然、歴史、建物、提案から服装、食に至るまで、文化と深いつながりを持った色彩がある。四季による移ろいもあるので、特定の色を持っているわけではない。「京都は何色か」と問うのは浅薄な見方であり、むしろ取材テーマの意義は、色彩を通じてま町をみるという視点にあった。

伏見稲荷の朱色の鳥居から大徳寺の枯山水、鴨川の流れから三方の山並み。御所の瑞々しい新緑から、先斗町の提灯が照らす薄明りまで、じっくり歩いてみれば京都には様々な色がある。マクドナルドもスターバックスも、京都でしかお目にかかれない景観を保っている。新しくペンキで塗り替えるのではなく、歴史をありのまま伝える古さを尊ぶ風景が目の前に開けていた。

和服の文様には、自然との調和を重んじる心配りとして季節が描かれていた。床の間の生け花にもまた、もてなしの色が映し出されていた。懐石料理の色どりは、会食に欠かすことのできない話題だった。わずか11日であはあったが、彼女は四六時中カメラを手に、色彩を探して町を歩いた。疲れを忘れるほどの刺激を受けた、貴重な体験だった。







取材を受けていただいた京都デザイン協会理事長の奈良磐雄さんからは、自身がかかわってきた「街の色研究会・京都」の活動について詳しく話を聞いた。住んでいて温かみのある、目立たない、そして落ち着く色。京都の町を探索しながら、そんな京都にふさわしい113種類の色を作り、行政に働きかけをしてきた。派手な看板を排除するため、当時としてはコストの高いCGを用いて看板のない景観を作り出し、視覚で世論に訴えた。経験に裏打ちされた一言一言に、学生たちは心を動かされた。







彼女の作品はさらに精度を高め、近くメディを通じて発表する予定だ。報告会では一部のみを放映したが、参加者からは「ぜひ、記録フィルムのコンクールに出展してほしい」とのリクエストがあった。

(続)