先月末、夜、“ちょっと一杯”どうので、お店に入ろうとしたら、
立て続けに「満席です」と断られました。
去年3月11日の東日本大震災後は
一時期、どこにいつ入ってもガラガラ状態でしたから、
ようやく、景気も上向いてきたところなのかなと頼もしく感じました。
ところが、先日、大手酒類メーカーの社員に話を聞いたところ
「まだまだ、飲食店業界は厳しいです」といっていました。
開業するお店より、廃業するお店の方が多い。
冒頭の、満席で断られた話をすると、次のようにいっていました。
「給料日直後の金曜日とか、限られた日だけは、
ようやく、お客さんが戻ってくるようになったんです」と。
依然として、冷え込んだままだというのです。
私は2010年に、
『なぜ、ザ・プレミアム・モルツはこんなに売れるのか?』(小学館)
を上梓しました。「プレモル」がモンドセレクションの最高金賞を、
3年連続受賞し、さらに、全社をあげて売り込みに力を入れ、
大ヒットにつなげる、成功物語です。
開発や、ヒットに至る経緯は、そのなかで詳しく触れていますが、
ビール市場が縮小を続けるなかにあっても、
プレモルは販売数量を伸ばし続けてきました。
その「プレモル」を、3月13日、サントリーが刷新しました。
サントリー酒類社長の相場康則氏いわく、
「リニューアル」ではなく、「リバイタライズ」だといいます。
直訳すれば、「再活性化」でしょう。
3・11後の景気の冷え込みで、国内では、
ビールにおいても厳しい市場環境が続きました。
これまで、8年連続で伸びていた「プレモル」も、伸びが鈍化しました。
おそらく、それを受けての「リバイタライズ」だと思います。
ピンチを、チャンスに変えようという試みです。
相場氏は、商品が伸びなくなってから変えるのでは遅すぎ、
手遅れだといっていました。これは、おっしゃる通りでしょう。
今回のプレモルの「リバイタライズ」は、
リスクを賭け、攻めの姿勢をとった判断です。
「やってみなはれ」「おもろいやないか」の風土をもつサントリーらしく、
暗い話が多いなかで、勇気づけられる話です。
もっとお酒を飲みにいけ、とはいいませんが、
そろそろ日本も、本気で「リバイタライズ」
しなければいけない時期でしょう。