東京都中小企業診断士協会中央支部認定!「稼げる ! プロコン育成塾」ブログ

東京都中小企業診断士協会中央支部認定マスターコース「稼げる!プロコン育成塾」のブログ。経営・ビジネスに役立つ情報を発信

”老後2000万円問題”は何を残したか

2022-09-29 12:00:00 | 22期生のブログリレー

22期生の塩谷です。

今から3年前の2019年6月、金融庁のワーキング・グループが1本のレポートを公表しました。金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」、これが”老後2000万円問題”とメディアで大きく取り上げられることになりました。

報告書の中で、高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると「収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、30年で約2,000万円の取崩しが必要になる」という試算が記されていたことがきっかけです。詳細は触れませんが、総務省の「家計調査年報」というデータがベースになっています。

この話題自体はすっかり聞かれなくなりましたが、一部の人たちに一定の影響を与えたと思われます。それを裏付けるデータにNISAの口座開設数推移があります。

[NISA(一般・つみたて)総口座数推移](グラフ①)

出典元:金融庁公表 データNISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査から作成

上のグラフを見ていただくと2020年3月以降、現役世代(20〜50歳代)が総じて伸びていますが、特に20歳代、30歳代の伸びが顕著であることが分かります。これは若年層・中堅層にほど影響を与えた可能性が高いということだと思います。どんな影響か、一つ目は老後に向けて自己防衛が必要だという意識、二つ目は資産運用への理解ではないかと思います。では、もう少し年齢の高い人たちに与えた影響は何か。実は年齢の高い人たちには、ほとんど影響を与えていないというのが実際ではないでしょうか。

 

[収入のある仕事をしている人の割合](表②)

出典:内閣府 令和2年版高齢社会白書から作成

それは、元気に働き続ければ”老後2000万円問題”は問題にならないということです。当たり前ですね。そして、それは、表②の通り、60歳以降に働いている人の割合が増えていることをみても、このレポートが公表される以前に既に多くの人が気づいていたということだと思います。

 

同レポートの最後に次のようなことが書かれています。

標準的なモデルが空洞化しつつある以上、唯一の正解は存在せず、各人の置かれた状況やライフプランによって、取るべき行動は変わってくる。今後のライフプラン・マネープランを、遠い未来の話ではなく今現在において必要なこと、「自分ごと」として捉え、考えられるかが重要であり、これは早ければ早いほど望ましい。

 

これをちゃんと読めば、あれほど話題になっていなかったのかもしれませんね。

本日もお読みいただきありがとうございました。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新鮮な体験 | トップ | 近況(相続) »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (杵渕竜也)
2022-09-29 12:31:15
私は診断士の資格をとってから、働き方や老後について真剣に考えるようになりました。世間の関心も日に日に増す中、よいタイミングだったと思います。
男女60代前半の伸び率に驚きはしませんでしたが、女性の70代の伸び率がずいぶん大きいですね。
返信する
Unknown (佐々木桃太郎)
2022-10-01 10:46:09
私も私に合ったライフプラン・マネープランをを考えさせていただきますね。ザックリしたプランしかできていなかったので、考える良い機会になりました。有難うございます。
返信する

コメントを投稿

22期生のブログリレー」カテゴリの最新記事