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食品表示からみた機能性表示食品のブランド力

2024-08-02 12:00:00 | 24期のブログリレー

こんにちは、24期生の金子政弘です。

今回は食品表示と機能性表示食品のブランド価値について書きます。私は前職で業務用食品メーカーに36年間勤務していた為、食品表示に関心があり勉強しています。

【食品メーカーが一番やってはいけない事は食品表示ミス】

食品表示ラベルはスーパーで購入する惣菜に添付される紙表示ラベルをイメージしてください。総菜工場の重要な仕事の中に表示ラベルのチェックがあります。製造時に表示の順番や記載内容に間違いがあると商品回収になるので、毎日印字する表示ラベルの記載内容に間違いがないか工場の従業員何人かで表示内容をチェックしていきます。私の勤務していた会社では毎日5重チェックをしていました。

【機能性表示食品と特定保健用食品の違いについて】

食品表示検定中級の試験が7月にあり、受験しました。その中で「紅麹サプリ」で注目の「機能性表示食品」「特定保健用食品」に関する知識も問われましたので少し説明します。

機能性表示食品と特定保健用食品(通称トクホ)の違いを説明すると、機能性表示食品は科学的な根拠に基づいた機能性が事業者の責任において表示されたもので、食品としての安全性と機能性に関する情報や表示内容を消費者庁に販売60日前までに届け出て受理されると表示できます。こちらは消費者庁長官の個別審査や許可が不要で様々なメーカーが表示しています。市場で出ているサプリメントはほとんどここに入ります。対象は健康な人(妊婦、未成年、授乳婦を除く)の健康の維持・増進に関する表現はできますが疾病の治療や予防、疾病リスク低減表示はできません。

商品の例)「ひざサポートコラーゲン(メーカー:キューサイ)」は、ひざ関節の曲げ伸ばしを助けると謳っています。

DHA、EPAなどのn3系脂肪酸、アミノ酸等たんぱく質、糖質、糖類、食物繊維、ビタミンA等が使われます。

審査費用はトクホに比べて小さい為中小の事業者でも申請しやすいです。

一方、特定保健用食品は消費者庁長官の許可または承認が必要で、特定の保健の目的が期待できる旨を表示することができます。トクホは4つに区分され、このうち疾病リスク低減表示をできる区分があります。疾病リスク低減表示をするには長年蓄積したデータと効果をしっかりと検証した食品で、消費者庁や国の専門機関で審査を受けて許可や承認されたものしか表示できません。安心・安全なものは消費者庁が承認または許可するトクホになりますが、トクホ取得に時間とお金がかかるので比較的大きなメーカーの商品に付いていることが多いです。

【機能性表示食品を作る大手食品メーカーの取り組み】

機能性表示食品でも大手食品メーカーが作っている製品はかなり時間と労力をかけてデータを集めており、相当な効果を実証できている製品が発売されていると思います。食品の品質事故は会社存亡の危機になる為、発売は慎重に行います。

原料の基礎研究から効能が見つかって商品化したものもあれば、特定の身体の部位に効く効能を入れたサプリメントを開発するケース等商品開発の背景は様々あるようです。

一例ですが、アミノ酸を使った機能性表示食品を製造している食品メーカーは、何年もかけて毎日同じアスリートに商品を使用してもらって、疲労を早く和らげる効果を立証するデータを集めていました。飲むことで試合に活かしている話を聞いたことがありますが、データは公表されていません。そのおかげかわかりませんが、そのアスリートがオリンピックで金メダルを取った時にこのサプリンメントを使用していることをマスコミにメーカーが公表して大きな売上を作ったことが過去にありました。素人でもゴルフ等運動した後に筋肉痛や疲労蓄積しないように飲む製品です。

一方、流通大手が販売するサプリメントの中には中小規模の業者が商品を販売している場合も多いです。

紅麹を使ったサプリメントの健康被害をきっかけに機能性表示食品の国の審査が今後厳しくなると予想され、中小企業の販売者にとって販売しにくいことになると思われます。

最後は地道に研究して効能を検証している信頼されるブランドを持つメーカーが生き延びるのかなと思う次第です。

機能性表示食品は必要な栄養素の摂取や健康維持に役立つ場合もありますが、数年先に健康被害が出ることもあるので、製品は巧妙なパッケージの表示に惑わされないよう慎重に選びたいですね。

コメント (7)
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