老人保健施設で時々お会いするご老人は奥様を見舞われる為、今日も階段を一歩一歩上がって来られました。
以前、「エレベーターをお使いになったら如何ですか?」とお勧めしたら”一般の方は階段をご利用ください。”と書かれた貼紙を指差され「使用してはいけないらしいので・・・」と足を引きずりながら階段の方へ歩いていかれました。
私達の親の年代の方達は守るべき事はきちっと守る習慣がついています。
もし貼紙に”足のご不自由な方や健康に問題のある方はどうぞお使いください。”と書き足されていたならば、ご老人もきっとエレベーターを利用されていた事でしょう。
僅かな心遣いの足りなさや想像力の足りなさがご老人に大きな負担を強いているのです。
母を見舞った帰り道は遠回りして、海の向こうに見える九州の山並みを眺めながら海岸線の道を走ります。
今の時季は太陽の沈む時と重なります。