とうとうレースデイ
午前3時に起床して、パン、バナナ、栄養補助食品などをがんばって食べました。エネルギー切れだけはごめんです。もちろん、水分もしっかり補給。そして、スイムギアとバイクにセットする補給食などの持ち物をチェックして、出かける準備はOK
…でも、当日のチェックインは午前4時45分からで、しばらく時間があったので、ソファに座って集中力を高めていました。
午前4時半過ぎに出発
ボディナンバリングはKKKBHのテニスコートです。レースナンバーごとにたくさんの列に分けられているので、とてもスムーズにナンバリング終了。そのままトランジッションエリアに行って、タイヤの空気圧を9気圧まで上げて、シューズ&補給食をセットしました。ちなみに補給食は、固形物は①パワーバー3本をくっつけたもの(チョコ味2枚の間にバナナ味1枚を挟んでチョコバナナ・笑)を細かく切ってひと口サイズにしたものと②フィルムケース入りの梅干2個。液体は③カーボショッツ13本をバイクボトルに入れて、ちょっと水で薄めたものです。予備として④パワージェルをトップチューブにテープで貼り付けました。
すべての準備が整いました。時間はだいぶあるので、トランジッションエリア内で座り込んでました。緊張感はもちろんあるのですが、アイアンマンハワイのスタートエリアの独特の雰囲気に浸り、ワクワク感の方が勝っていた感じです。今年はホイット親子も参加。彼らが一足先に海に入ったときは拍手と歓声が起こりました。
さて、僕も早めに海に入りました。多少波がある感じです。振り返るとアリイドライブ沿いにはものすごい群集がいます。いつもそうですが、鳥肌がゾゾー
6時45分のプロのスタートを見送って、15分後にエージがキャノン砲とともにスタートしました。少し左よりからスタートしたので最初はあまりバトルはありませんでした。自分ではスムーズに泳げているつもりでした。でも、結果的にはペースは上がっていなかったようです。沖のヨットを折り返すと、少し窮屈な感じになりました。そしてピアに近づくともうグチャグチャ。それに水泳の遅い女子のプロ(すいません。もろ乗っかってしまいました)が入り込んで大混乱
あ~すごいタイムロスしてる~と思ったら、やはりひどいタイムでした。1時間4分。あり得ない。スイム自体の調子はよかったので、かなり凹みました
…でも、そんなこと言ってられない。気持ちを切り替えてバイクをバリバリ踏んじゃうぞ~
今年のアイアンマンハワイで最もありふれたバイク・サーベロP3カーボンに飛び乗り、180km(実はもう少し長いです)の長い旅が始まりました。まずはカイルア・コナの町の周囲を走ります。これがアップダウンがあって結構つらいんですよね。目が回りそうです
コナシーサイドホテル前を右折してパラニロードを上るところは観客が鈴なり。ヨーロッパのサイクルレースを髣髴とさせる雰囲気です。上りきって左折。あとはハワイ島の北端の町・ハウィまで延々とクイーンKハイウェイで北上します(折り返しは95kmを過ぎたあたり)。
クイーンKハイウェイの風景は概ね黒々とした溶岩が固まった平原です。そのなかを一直線の道が続いています。ローカルな例をあげれば、尾根幹線道路を2~3倍にスケールを大きくしたようなアップダウンが続きます。抜いたり抜かれたりしながら走っていましたが、よくみるとほとんど同じ顔ぶれで上がったり下がったりしているだけであることが分かりました(笑)。もちろんなかにはビューンと抜いていくバカ速い人もいますが、そんなのは無視。自分のペースを守ります。
カワイハエのT字路(応援ポイントです
)を過ぎた70km手前で事件発生。サドルの後ろのケージに入れていたカーボショッツボトルが段差で飛んでしまいました。多少迷いましたが、取りに戻るロスは大きいのでそのまま走りました。まだ半分も飲んでなかったので少なからずショックでしたが、結果としては、エイドでバナナやパワージェルを受け取ったりしたので、さしたる影響はありませんでした。
ということで、自分としてはそれなりのペースで進んでいるつもりだったのですが、ハウィの手前のダラダラ上りのところで、後ろから
「湯尻さん!」 という聞き覚えがある声。振り向くと緑のユニフォーム。なんと
この人 でした。う~ここで抜かれたらずっと色々言われそうだ
(笑) 気合入れなおしてがんばりました
後ろを振り向くことは極力しませんでしたが、どうも某女子選手は離れた様子(笑)。あとから分かりましたが、彼女、5時間8分のバイクラップをたたき出してたんですよね。風のないコンディションを前提にしても、これはかなりすごいと思います。
クイーンKを南下していると、途中でスコールがありました。それまで暑かったので、ちょうどよくカラダが冷やされた感じです。帰りはだいたいが追い風気味。コナに近づくにつれ僕の調子も上がってきて、重いギアをバリバリ踏んでいきました。一番重いギアは53-12だったんですが、ちょっと足りない感じ。今度はアウターにもっとビッグギアをつけよう。FSAのカーボンチェーンリングなんかいいなー。
空港を過ぎたあたりで15分前にスタートした今泉選手、スイムで先行した白戸太朗さんなどを抜き去りました。気持ちよくスピードに乗ってコナの町に帰還しました。バイクラップは5時間4分ちょうどくらい。風が弱いとはいえ、メーター読みでアベレージが36km以上出ていたので、自分としてはいい走りができたと思っています。
ランニングの最初は脚が重い感じ。バイクで結構踏んだしな~。いずれ調子が出るだろうと思って走っていたのですが、今度は腹の調子がおかしくなってきました。ガマンしていましたが、折り返して大橋康治さんと並走しているときに限界に近くなりスローダウン。エイドステーションにあるトイレを借りました。得意の正露丸作戦も効かないときがあるようです。こりゃ最悪じゃ~
コナに戻って、クイーンKに出てもおさまりません。ほとんどエイドごとにトイレに立ち寄る最悪の状況。さすがにめげそうになりました。でも、とにかく歩くことだけはせずにヨロヨロと走り続けました。ナチュラルエナジーラボに入って折り返し、スペシャルニーズを受け取ったあたりで松下篤史くんに抜かれました。あ~。ほんとつらい。などと思いながら走っていると、並走している外国人が時刻を聞いてきました。3時40分過ぎだったと思いますが、教えてあげると、その人は
「10時間以内、いけるぞ!」ってことをつぶやくように言いました。
僕は、はっと我に帰りました。
「そうか。今から歩くとサブ10は絶対無理。それどころか10時間台の後半になっちゃうだろう。でも、ここから頑張ればまだまだ余裕でサブ10じゃないか。もう1回ここからスタートと思って頑張ろう」 と心を入れ替えました。不思議と腹痛もおさまってきました。ここからは走る走る
(笑) 今まで抜いていった選手をどんどん抜き返していきました。
クイーンKも終わりに近づくころ、向こうからやって来る日本人選手がやたら挨拶してる人がいました。どうも日本人っぽい。徐々に近づいてきます。「よし、抜くぞ
」と気合いを入れて抜いてみると、堀さん(ダンナ)でした(笑)。もうクイーンKの最後の坂、バイクワークスの前あたりだったと思います。向こうも僕に気づいているだろうから、必死に走って引き離しにかかりました。
パラニロードでは、山倉紀子さん、山本光宏さん…いろんな人が声をかけてくれ、「あ~帰ってきたぞ
」という感激と安堵感がカラダ中を駆け巡りました。でも、スピードは落とさず、フィニッシュロードへの迂回路でも外国人の2人組に追いつきました。アリイドライブに出てからはダッシュ~
ここまで来たらもういいじゃん、という感じもしますが、大人気なく頑張っちゃいました。
で、その2人の少し前に出て、感動の
フィニッシュ!! ランラップは腹痛でかなりヨロヨロしましたが、後半の頑張りで3時間33分まで挽回できました。トータルは9時間47分37秒でした。
以上で2006年アイアンマンハワイのレースレポートは終了です。今回のレースを振り返ると、腹痛のトラブルなど、悔しい面ももちろんあったのですが、苦しいところでも大崩れせず、終盤に盛り返して終われたので、リザルト以上の達成感、満足感がありました。でも、目指していたのはもっともっと上。現状に満足せず、来年こそはしっかりと自分の力を出し切りたいと思います。
でも、まずはゆっくりとさせてもらいます。それに、シーズン中は家族にも迷惑かけどおしだったから、ちょっとは罪滅ぼしもしなきゃね。
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