Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

週刊東洋経済 最新号

2009-06-23 10:45:21 | work
特集『「古典」が今おもしろい!』に回答しているので紹介。

僕が推薦したのは、スマイルズの自助論。
現代語訳も出ているので、未読の人はこちらの方がいいだろう。

たぶん、「成功のパターン」的なものを期待すると、肩透かしにあうかもしれない。
そういうものを期待する人は、勝間さんの本でも買うといい。

僕が本書を気に入っているのは、もっと地味で本質的な部分である。
全編、よくもこれだけ集めたなと驚くくらいの、成功者のエピソード集だ。
学問、社会貢献、ビジネス、発明。多岐にわたる登場人物たちが成功した理由は、
頑張って努力したから。
これ。これだけなのだ。これが全編、延々と続けられる。

拙著でも書いたとおり、本書の初邦訳は明治維新直後に出され、大ベストセラー
となった。江戸時代と言う退屈だが安定した枠組みが崩壊し、価値観がゼロリセット
される中で、本書の果たした役割はとても大きいと思われる。
「もう藩も幕府もおしまいだ!どうすればいいんだ!」
という人々に、黙って唯一の方向性を示したわけだ。

そう考えると、今の時代にも本書は同じく意味を持つのではないか。
260年続いた江戸時代に比べれば、戦後の昭和的価値観などたかだか50年だ。
乗り越えようとして乗り越えられないものではないだろう。


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5 コメント

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Unknown (epi)
2009-06-23 18:23:35
>頑張って努力したから。

前の会社の社長が「自助論」大好きでしたわ。
何かにつけて「自助の精神だぞ!」と(爆)。

でもまさにそのとおりですよね。さらに個人的に付け加えさせていただくならば、
「努力すれば成功するかどうかはわからない。でも、成功した人は皆努力している」
と言うことでしょうか。悲観的になって投げ出すことは、叶うかもしれない夢を放棄すること。城さんがたまに引き合いに出すプロ野球の世界がそうですね。
(ちなみに私は義務教育中に「頑張れば”絶対に”夢はかなうんだ!」という先生の言葉を真に受け過ぎて、思春期以降に現実とのギャップに苦しむわけですが)

高校3年間のすべてを野球に捧げても、野球でメシが食えるようになる人はほんのわずか。プロになっても成績が悪ければ首を切られ、大成功する選手はほんのわずか。選手としてはおおよそ40歳までに引退を向かえ、評論家や指導者になるため就職活動。(企業でも凡そ40歳位までにはプレイヤー→マネージャーへの転身が要求されますね)一部は球団職員になったりしますが、終身雇用とは縁遠い。会社勤めを始めたり、お店を始める選手もいます。
さらに他のプロスポーツ選手に至っては、自分でスポンサー探しをしたり、自分でチケットを売ったり、プロと言いながら他に働き口を得ながら活動したり。
会社勤めで毎月一定の給料をもらう生活に比べ、なんと不安定なことか。

それでも皆プロを目指すのは、「夢」があるからなんでしょう。そうやって頑張っている人がたくさんいます。
一方で、会社でくたびれたオジサン連中を見た若者たちは、「俺もこんな風になるのかぁ」と思いつつ、段々と(自分でも気づかないうちに)やさぐれていく。でも毎月の給料が断たれるのは厳しい。転職も、今は状況が厳しい。結果、消去法的に会社に残る。これって「社畜化」の第一歩でしょうか。


乱文失礼しました。
youはshockのtitleです。 (BYB)
2009-06-24 12:47:03
「頑張って努力したから」はもっともで、努力して結果がついてこないのは努力の仕方が間違ってるってのも理解できます。
でもワーキングプアに関しては、頑張って努力しても無理な状況っていっぱいあるんですよね。
まず職業選択の時点でいろんな振るいにかけられちゃうし、特に最低賃金が日本は安すぎるんす。単純作業のブルーカラーなんかは外注の安い国と比較するからなおさら上げらんない。
モリタクさんの年収300万て、贅沢しなきゃ家庭が持てる最低ラインだと思います。
それを一日8時間労働、年間休日100日、ボーナスなしで時給換算すると約1400円っす。
今大体実質700円くらいでしょ、最低賃金。
これあまりにも足元見すぎというか・・・
頑張ってるワープアがもちっと余裕ある生活を送るには最低賃金の底上げが必須です。
彼らは時給にして100円上がるだけでも全然生活が変わるんすから。そんなに難しいことじゃないと思いますよ。
でも出来ない・・・
愛がない、世知辛いです、日本は。
時給の底上げ (城)
2009-06-24 21:21:39
時給の底上げというのはそう難しい話ではない。
ただ、人件費の総額自体を増やすことは無理なので、緩めるところは緩められるようにしないと、失業率が上がってしまう。現在の問題は、正規と非正規の間で競争が行なわれず、実質身分制になってしまっていること。江戸期の封建制度があっさり崩れたように、こっちもすんなり流動化してくれるといいのだけど。
俗流昭和的価値観を嘲笑う斎藤秀三郎 (alan_smithee)
2009-06-25 22:07:08
斎藤秀三郎という、有名な英語学者が明治から大正時代にかけて活躍していましたが、
彼の生き方こそ、まさに研究に没頭して努力し続けるというものでしょう。
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%8E%E8%97%A4%E7%A7%80%E4%B8%89%E9%83%8E

家族についてのエピソードにしても、子供は7人いたが、
冠婚葬祭以外は家族の為に時間をinvestすることもなく、
只管研究に没頭し、家訓も「私の勉強を邪魔しないこと」というものでした。
現代の昭和的価値観でいえば、授業参観にも行かなければ休日に家族サービスもしない父親など
とんでもないことだとされていますが、逆説的にも斎藤氏の息子の一人が
著名な指揮者の斎藤秀雄だそうです。

正月の過ごし方についても、現代の昭和的価値観では家族でおせちをつついてゆっくり過ごさない
だけでもとやかく言われがちですが、
ttp://news.livedoor.com/article/detail/3960390/
斎藤秀三郎の和英辞典の前書きには、そんな「おせちゲンセッツ」を恰も嘲笑うかのように、
「昭和3年1月1日」と日付が大書してありました。

さて、こうして仕事で純粋に一流を目指す生き方と、「残業バカ一代」はある意味紙一重な気がしますが、そこはどうなのでしょうか?
残業バカと一流の違い (城)
2009-06-26 09:28:02
一流の努力家は自分で主体的に取り組んでいるということでしょう。そういう人の視線の先には、何らかの理想なり目標なりがあるんでしょう。
でも残業バカは何百時間やらされたって、体育会の玉拾いやうさぎ跳びと同じで大したものは生まれそうに無い。