補正予算で6000億以上拡充された「緊急人材育成・就職支援事業」だが、
民主党が来年度以降の分について見直しをかけるようだ。
以前も述べたとおり、この予算は前政権が「とりあえず、何かやらなきゃ」
というだけの理由から積み上げただけのハリボテだ。
実際の政策効果も、惨憺たるものである。
この事業は、雇用保険を受給できない失業者に対し、
職業訓練期間中の生活費を月10万~12万円支給するもの。
7月中旬にスタートし、3年間で30万人の支給を見込む。
しかし、8月末現在で受給が決まったのは約980人。
このペースだと3年間の受給者数は3万人程度にとどまる。
同協会幹部も「30万人はとてつもない数字」と目標の達成が
困難なことを認めている。
週刊文春9.17号は、余った予算が国債で運用されている実態を報じている。
(まあ寝かしておくのはもったいないという理屈はわかるが)
同誌では、不人気の理由として、制度上の欠陥を指摘する。
事業主向けの給付金だけで34種類あり、ハローワークの職員ですら詳細は
把握できていない。申請手続きが非常に煩雑で、要件が厳しい。etc...
こういった弊害が起きるのは、間に「雇用・能力開発機構」等の複数の天下り団体が
介在し、業務を請け負っているからだ。
窓口の一本化や手続きの簡略化のような合理化は天下り先の減少につながるわけだから
厚労省自らはやるわけがない。
とりあえずは、新制度を立ち上げて合理化を進めるという民主党に期待したい。
が、それだけで問題が解決するわけではない。
というのも、最大の問題は、こんなザル政策でも文句の一つも
出ないほどに、そもそも職業訓練のニーズが日本社会に
少ないという現実だ。
理由は、日本企業は職務ベースではなく、「新卒・正社員・総合職」といった出自に
基づいた身分制なので、そもそも職務というものへのニーズが薄いためだ。
“博士”という最高の訓練を受けた人材でさえ敬遠される国。
悲しいけど、それが日本の実情である。
ついでに言えば、こういった失業者のスキルアップというものは、現役正社員との
自由競争状態において、はじめて一定の効果を持つ。
江戸時代の農民は勉強しても武士にはなれなかったし、そもそも勉強しようなどとは
思わなかったろう。身分制度が崩れる明治維新までは。
どうやって職業訓練に対するニーズを増やすか。
どうやって失業者と正社員との間に自由競争を促し、椅子の数を増やすか。
“維新”を起こすくらいの覚悟で臨まなければ、民主党の雇用対策は
せいぜい「窓口の一本化」程度で終わるだろう。
民主党が来年度以降の分について見直しをかけるようだ。
以前も述べたとおり、この予算は前政権が「とりあえず、何かやらなきゃ」
というだけの理由から積み上げただけのハリボテだ。
実際の政策効果も、惨憺たるものである。
この事業は、雇用保険を受給できない失業者に対し、
職業訓練期間中の生活費を月10万~12万円支給するもの。
7月中旬にスタートし、3年間で30万人の支給を見込む。
しかし、8月末現在で受給が決まったのは約980人。
このペースだと3年間の受給者数は3万人程度にとどまる。
同協会幹部も「30万人はとてつもない数字」と目標の達成が
困難なことを認めている。
週刊文春9.17号は、余った予算が国債で運用されている実態を報じている。
(まあ寝かしておくのはもったいないという理屈はわかるが)
同誌では、不人気の理由として、制度上の欠陥を指摘する。
事業主向けの給付金だけで34種類あり、ハローワークの職員ですら詳細は
把握できていない。申請手続きが非常に煩雑で、要件が厳しい。etc...
こういった弊害が起きるのは、間に「雇用・能力開発機構」等の複数の天下り団体が
介在し、業務を請け負っているからだ。
窓口の一本化や手続きの簡略化のような合理化は天下り先の減少につながるわけだから
厚労省自らはやるわけがない。
とりあえずは、新制度を立ち上げて合理化を進めるという民主党に期待したい。
が、それだけで問題が解決するわけではない。
というのも、最大の問題は、こんなザル政策でも文句の一つも
出ないほどに、そもそも職業訓練のニーズが日本社会に
少ないという現実だ。
理由は、日本企業は職務ベースではなく、「新卒・正社員・総合職」といった出自に
基づいた身分制なので、そもそも職務というものへのニーズが薄いためだ。
“博士”という最高の訓練を受けた人材でさえ敬遠される国。
悲しいけど、それが日本の実情である。
ついでに言えば、こういった失業者のスキルアップというものは、現役正社員との
自由競争状態において、はじめて一定の効果を持つ。
江戸時代の農民は勉強しても武士にはなれなかったし、そもそも勉強しようなどとは
思わなかったろう。身分制度が崩れる明治維新までは。
どうやって職業訓練に対するニーズを増やすか。
どうやって失業者と正社員との間に自由競争を促し、椅子の数を増やすか。
“維新”を起こすくらいの覚悟で臨まなければ、民主党の雇用対策は
せいぜい「窓口の一本化」程度で終わるだろう。