Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

職業訓練なんて誰も求めちゃいない

2009-09-30 09:01:32 | 経済一般
補正予算で6000億以上拡充された「緊急人材育成・就職支援事業」だが、
民主党が来年度以降の分について見直しをかけるようだ。

以前も述べたとおり、この予算は前政権が「とりあえず、何かやらなきゃ」
というだけの理由から積み上げただけのハリボテだ。
実際の政策効果も、惨憺たるものである。

 この事業は、雇用保険を受給できない失業者に対し、
職業訓練期間中の生活費を月10万~12万円支給するもの。
7月中旬にスタートし、3年間で30万人の支給を見込む。
しかし、8月末現在で受給が決まったのは約980人。
このペースだと3年間の受給者数は3万人程度にとどまる。
同協会幹部も「30万人はとてつもない数字」と目標の達成が
困難なことを認めている。


週刊文春9.17号は、余った予算が国債で運用されている実態を報じている。
(まあ寝かしておくのはもったいないという理屈はわかるが)

同誌では、不人気の理由として、制度上の欠陥を指摘する。
事業主向けの給付金だけで34種類あり、ハローワークの職員ですら詳細は
把握できていない。申請手続きが非常に煩雑で、要件が厳しい。etc...

こういった弊害が起きるのは、間に「雇用・能力開発機構」等の複数の天下り団体が
介在し、業務を請け負っているからだ。
窓口の一本化や手続きの簡略化のような合理化は天下り先の減少につながるわけだから
厚労省自らはやるわけがない。
とりあえずは、新制度を立ち上げて合理化を進めるという民主党に期待したい。

が、それだけで問題が解決するわけではない。
というのも、最大の問題は、こんなザル政策でも文句の一つも
出ないほどに、そもそも職業訓練のニーズが日本社会に
少ないという現実だ。


理由は、日本企業は職務ベースではなく、「新卒・正社員・総合職」といった出自に
基づいた身分制なので、そもそも職務というものへのニーズが薄いためだ。
“博士”という最高の訓練を受けた人材でさえ敬遠される国。
悲しいけど、それが日本の実情である。

ついでに言えば、こういった失業者のスキルアップというものは、現役正社員との
自由競争状態において、はじめて一定の効果を持つ。
江戸時代の農民は勉強しても武士にはなれなかったし、そもそも勉強しようなどとは
思わなかったろう。身分制度が崩れる明治維新までは。

どうやって職業訓練に対するニーズを増やすか。
どうやって失業者と正社員との間に自由競争を促し、椅子の数を増やすか。
“維新”を起こすくらいの覚悟で臨まなければ、民主党の雇用対策は
せいぜい「窓口の一本化」程度で終わるだろう。

重要なのは、天下り廃止のその先だ

2009-09-28 10:48:19 | 人事
先日の番組。
雇用問題はまあオマケみたいなものだったけど、その他で
いくつか興味深いコメントが見られた。
特に天下りに関する議論では、各党の価値観が明確に現れていたと思う。

天下りの禁止については、あそこまで言い切る以上、抜本的な見直しを
進めるのだろう。
ただし、世耕氏が言うように、重要なのはその先のプランだ。
文字通りに天下りを禁止するのであれば、「30代で局長に抜擢」
するような完全実力型の人事制度に切り替え、組織内の流動性
を大幅に高めないと話にならない。

つまり、能力のない人間はバンバン降格するという欧米ホワイトカラー並みの
実力主義が必要となる。

言っちゃあなんだけど、「小泉改革で格差が拡大した」とか「全員正社員にすべき」
なんて今どき真顔で言っているような人たちに、そういうセンスがあるとはとうてい
思えない。
「官僚や政治家はお金のためだけにやる仕事ではない」
という松原仁氏の意見は一つの理想だが、古今東西問わず、集まる人材の質は報酬額に
比例して決まるものだ。

かつて、多くの人間が大企業を目指したのは、生涯賃金で見ればそれが魅力的だった
からだ。近年、外資や医学部の人気が高まったのは、若者の気質が変わったわけでは
なく、単に年功序列の期待値が低下した結果にすぎない。
「最近の若い者は辛抱が足らん、目先の利益しか考えていない」なんてトップの意見は
制度改革をさぼる言い訳でしかないし、少なくともエリートは、そんな精神論を
聞く耳もたないだろう。

というような民間の経験を、与党にはしっかり踏まえていただきたい。
ダメ企業ならとっとと潰れてもらって構わないのだけど、国の屋台骨の話だからね。

そうそう、ついでに言っておくと、天下りという蛇口を閉めっぱなしで放置する
だけでも、人材は集まることは集まる。
志望動機を聞かれて、
「官僚達の夏が面白かったからです」とか
「安定してそうだから」とか言っちゃうような人でよければ、
心配しなくても毎年受けに来てくれるだろう。


なので、そういうのを数年で鍛え上げて戦力にするような研修システムと人事制度
を構築できるなら、このまま行くというのも手ではある。
流動化の方が簡単だと思うけど。


その他、メモ。

・「新制度の最低保証年金はいつから満額支給?」との問いに、全員てんでんばらばら
 で回答する連合軍(しかも皆違う)。まあマニフェストなんて、立案者以外は
 その程度の扱いなんだろう。
・浅尾慶一郎(みんなの党)は要注目かも。
・亀井亜紀子(国民新党)はお父さんそっくり。

ducare(デュケレ) vol.1

2009-09-26 12:13:48 | work
日本経済新聞出版社さんから新規創刊された『ducare(デュケレ)

創刊号にインタビューおよびコラムが掲載されているので紹介。
インタビューについては、現状の教育システムと社会とのギャップについて、
コラムではもう少し踏み込んで、ギャップを生じさせた社会の動きについて
フォローしている。

季刊ということで、コラムについては今後も連載していく予定だ。

社会の変化については、今の2、30代なら、身をもって実感しているはず。
ただ、教育の側は大きく立ち遅れてしまっている。
公立校の先生などは、いまだに「迷ったら銀行に行け」とか
「とりあえず大手に就職しろ」とか生徒に吹き込む人が少なくない。
(まあ「十年は泥のように働け」というIT企業トップもいるので仕方ないが)

ただ、家庭サイドでは、そういった価値観はとうに陳腐化しつつあって、それが
私学や医学部といった新潮流につながっていると思われる。
90年代、「少子化で21世紀には受験戦争というワードは死語になる」と言われて
いたが、“戦争”というよりは“局地戦”という形で、むしろ激化しているように
思う。

そういった世相に対して、何がしかのアクションを起こしていきたいと考えている。


※本日の日経新聞朝刊において、広告としてインタビュー部分が掲載されている。

週刊東洋経済

2009-09-25 17:35:12 | work
失念していた。

今週号の東洋経済・おすすめ経済書特集に回答しているのでご報告。

僕が回答したのは以下の三冊。

だまされないための年金・医療・介護入門―社会保障改革の正しい見方・考え方
なぜ世界は不況に陥ったのか 集中講義・金融危機と経済学
「失われた十五年」と金融政策―日銀は何を行い何を行わなかったか

「なぜ世界は~」は本誌にコメントが載っているのでそちらを。

「騙されないための~」については以前も少し紹介したが、世代間格差を正面から
取り上げた社会保障入門書だ。
年金や医療・介護といった賦課方式の社会保障システムに、一千兆円を超える隠れ債務が
潜む事実を冷徹に述べていく。
本書を一読すれば、賦課方式は既に限界であるということがよくわかる。
今手を打たねば、真の悲劇は30年後にやってくるだろう。

「失われた~」については、ちょっとフォローがある。
本書はとても良い本だ。第一線のバンカーとして、現場で90年代から金融行政を
経験してきた著者による総括であり、論点もクリアに提示してくれている。
一般読者にも幅広く読ませる内容である。

が、この本。
08年の11月末という微妙な時期に初版が出ており(08年アンケートの締め切りは12月頭)
見事に忘れられた悲劇の本でもある。
というわけで、個人的に推薦しておいた。
まあ、やっぱりランキングには入らなかったけど。

そういえば同じ著者が今年、こんな新書を出している。
金融危機にどう立ち向かうか―「失われた15年」の教訓 (ちくま新書)
ほぼ同じテーマなので、こちらを読むのもいいかもしれない。




日本型雇用の生の味

2009-09-24 18:56:43 | 人事
天下りという闇に、いよいよメスが入ることになりそうだ。

厚生労働省所管の独立行政法人「高齢・障害者雇用支援機構」が
同省天下りOBらの年収を委託費で保証していた問題で、政府の
行政改革推進本部事務局が18日までに、同機構の調査を始めた
ことがわかった。


年収保証までしていたというから、闇はずいぶんと深いだろう。
それにしても、雇用改革にまったく手をつけず格差や貧困を放置したまま、
「高齢・障害者雇用支援機構」の名の下、税金を垂れ流してこういうことを
やっていた厚労省というのは、救いようが無い組織だ。

もっとも、同様のことは各省庁にも存在する。
組織の成長拡大しない官庁にとって、天下りは年功序列制度を維持する大動脈だ。
それがストップすれば、数年で回転していたポストに、下手をすれば定年まで
居座ってしまうハメになり、以前から指摘してきたように、若手~中堅にとっては
絶望的な状況になる。
彼らもようやく、そのリスクを危惧しはじめたようだ。

もっとも、それ自体は別に珍しいことでもない。
飼い殺しも空手形も、民間では10年以上前から起きている話である。
そういう日本型雇用の矛盾を、天下りというトリックでごまかし続けてきたわけだ。

ただ、官庁では以下の二点で、民間より悲惨な地獄絵図になると思われる。

・大手のように天下り先が無い

民間大手には“グループ企業”という名の天下り先がある。
商社のように特にグループ企業の多い業種であれば、組織がゼロ成長でも結果的に
年功序列は維持出来るケースもある。
これが完全になくなるわけだから、「課長以上昇格者は26%」という大手の数値
を下回る可能性が高い。

・組織体制や業務プロセスが昭和的で、長時間残業が恒常的

中央省庁は平均的に忙しい。特に質問主意書などでつるし上げられている部署など
月100時間超の残業はザラである。
僕の経験上、人というのは“希望”を失った途端、業務量やプレッシャーに対する
免疫が激減する。つまり、報酬システムが崩壊し、ただの3K職場に成り下がる
ことで、回っていた業務も回らなくなるはずだ。
具体的に言うと、メンタルトラブル等でバタバタ倒れる官僚が続出するんじゃないかな。
大変ですね、霞が関も。

まあ、そういう警告を何年も前から色々な論者にされているのに、
「日本は従来どおりの長期雇用で行くべきだ」と言い続けてきたわけだから、
少なくとも厚労省については自業自得だろう。どうにでもなるがいい。

長妻&仙石コンビに、わけのわからない独立行政法人を全部潰されて、
人事がガタガタになって、職員がバタバタ倒れても、仕方ないよね。
だって、自分たちがそれを良しとしてきたんだから。

そういえば「城さんの主張は財界よりだ」と言っていた木っ端役人もいたけど、
今回は財界も新自由主義も関係ない。
“天下り”というインチキを取り上げられただけだ。

「日本型雇用は素晴らしい!これからもこれで行きましょう!」
と天下に向けて公言してきたお役人には、
がっぷり四つで、日本型雇用の生の味を味わっていただきたい。
きっと悲鳴を上げるくらい気に入ると思うよ。


規制による再分配と規制緩和による再分配

2009-09-22 11:35:43 | 経済一般
最低賃金を千円に引き上げることで、正社員の賃金が2.3%減少という試算試算が出たようだ。

いや、別に下がるのならいい。
数%で最賃千円にできるなら、どんどんやるべきだ。
(サラリーマンは嫌がるかもしれないが)
お上が「もっと下に回せ」と強制できるのなら、それはそれで上からの「一種の流動化」
と言えなくもない。

問題なのは、雇用が海外流出するリスクだ。
日本の場合、正社員の賃金の下方硬直性が極めて高いので、企業がその選択肢を選ぶ
リスクは高い。
規制による流動化よりは、規制緩和による流動化の方が国益になるはずなのだが…。
だから、以前も書いたとおり、もし本気で最賃引き上げをやるので
あれば、最低限流動化もセットであるべきだ。


もう一つ、この試算から見えてくることがある。
それは「人件費の原資は法律では動かせない」という現実だ。
誰かの給料を無理やり増やそうとすれば、別の誰かの取り分が減ることになる。

逆にいえば、減るべき人間の取り分を無理やり守らせても、そのしわ寄せは
必ず誰かが払うことになる。
30代の人間なら、90年代を記憶しているだろう。
あの時、既存正社員の賃下げやリストラを最後の土壇場まで守り通した結果、
就職氷河期世代という不遇な集団が生まれてしまった。

単純にロスジェネ世代がツケを払わされたというだけではない。
企業の新陳代謝も進まず、中国に追い上げられるわ、金融危機ではアメリカ以上に
こけるわで、社会全体でいまだにツケを払い続けている。
同じ過ちを繰り返すのではなく、そろそろ緩めるところは緩めてはどうか。

そういえば、
「ただでさえ不景気なのに、流動化なんてやったら失業率が急上昇するでしょう!」
という人がたまにいる。
心配はいらない。上記の通り、法は人件費総額に対しては中立である。
企業は必要以上にリストラはしないし、そのリストラを禁じたところで、
それは友愛の勝利などではなく…ただの問題の先送りにすぎない。


教員免許は本当に必要ないのか?

2009-09-20 10:17:54 | その他
民主党が教員免許制度の廃止を進めるらしい。
やめるならやめるでいいのだけど、こういう制度が導入された経緯と、
そして廃止した後の展望について、彼らはどう考えているのだろうか。

経緯については僕は理解している。
自治体や労組と仕事をする機会は結構あり、そしてその中には教職員組合も含まれる。
一部ではあるが、彼らの中には、一般常識からすると考えられないような
主張をする人がいる。

「能力によって差がつくのはおかしい。そんな制度では、生徒に顔向けできない」
「新自由主義による労働者の搾取には反対」etc…

能力による格差が歴然と存在し続けてきたのが人間社会だ。事実を否定してどうする。
また、何でも“新自由主義”ってつければ許されるという甘えも捨てろと言いたい。
そもそも公務員と市場なんて関係ないだろ。
「少子高齢化と成長力低下で税収が減ってきたから、これまでやりたい放題やって
きた君たちの人件費にも一定の節制が必要ですね」という有権者の意志は、
明らかに新自由主義というよりは普通の民主主義だと思うのだが。

というようなことを指摘すると、伝家の宝刀はこれである。
「教育への国家介入を防げ!」
この場合の国家と言うのは、納税者である国民だ。
国民の金で養ってもらいながら「でも、指示されるのはイヤ」というのなら、
ボランティアで寺子屋でも開くといい。それなら誰も文句は言わないから。
ほれ、どうした、とっとと辞表書け。

なんてことまではさすがにお客様には言わないが、ロジックとしてはこうなる。

ともあれ、こうして査定や処遇見直しに抵抗し続けた結果、白黒つけるために
導入されたのが目標管理や免許制度といった評価ツールなのだ。
要するに、あまりにもパフォーマンスに問題のある職員対策に、その理由付けと
して導入されたに過ぎない。
サラリーマン社長が社内の抵抗勢力を黙らせるために、コンサル雇って
レポート書かせるようなものだ。

個人的には、公教育に目標管理は馴染まないし時間の無駄だと思っている。
同様に「国による免許制度は教育に馴染まない」というのであれば、上記の経緯を
踏まえ、一定の節制をもたらすカウンタープランを提示すべきだ。
具体的には「校長職のマネジメント機能を強化し、査定成績の低い教員は賃下げ降格、
一定期間続いても改善が見られない場合は解雇します」くらい言ってもらわないと
有権者は納得しないと思うのだが。

そういう展望が、民主党の教育政策からはまったく感じられない。
確かに日教組への気配りも必要なのかもしれないが、やりすぎると離れる票も
あるということは、理解しておくべきだろう。


雇用主負担 日経編

2009-09-18 09:53:50 | 経済一般
先日の東洋経済の年金に関する記事。
日経BPでも同じような話を見つけたので、公平を期すために紹介しておこう。
ついでに、以下にもう一度まとめておく。

年に一つ、高価なペンダントを作れる職人がいたとする。
A社は彼を年俸1000万円で雇っている。
単純化のため、常に厚生年金の雇用主負担は100万。本人負担も100万とする。
少なくともA社は、彼のペンダントに1100万以上の価値があると認めているわけだ。

さて、彼が一人で独立起業したとしよう。
独立後は市場から1100万の収入を得られる。
そこから200万持っていかれても、所得は以前と同じ水準になる。
結局、雇用主負担も本人負担だということが、これで明らかになる。

さて、ここでフリーに飽きた彼が、B社の面接を受けたとする。
希望年収は、1100万。
「俺のペンダントは最低その値段で売れていたのだから、それくらいは貰う権利がある」
ところが面接官は、そうは見ない。
1100万だと、雇用主負担を含めれば、最低でも1200万以上の稼ぎがないと
ペイしないのは明らかだからだ。
ところが、彼のペンダントには、今も昔も変わらず1100万の価値しかない。
というわけで、彼への提示額は1000万となる。

「そんなのおかしいですよ!だって、100万円は企業の負担だって
厚労省もうちの大学の先生も言ってましたよ!」
と泣いて抗議したって、実社会がそう動いているのだから仕方ない。

結論としては、雇用主負担は必ず本人負担に転嫁されるということだ。

もっとも、タイムラグはある。
仮に雇用主負担をゼロにしたとする。
日本は横並び職能給だし、一度賃上げしてしまうとちょっとやそっとでは
下げられないので、賃金に反映されるまでにはある程度の時間がかかるだろう。
だが、それをもって「やっぱり企業が負担している」という意見には、申し訳ない
けど現実を見てよとしか言いようがない。

逆に、雇用主負担を引き上げつつ、「一円の賃下げも絶対に認めない!」って
雇用規制を強化したら、確かに45歳以降正社員は事実上、本人負担にはならない
だろう(若手正社員については、昇給抑制という形で結局本人負担させられる)。
でもその歪みは必ず新卒採用抑制や非正規雇用拡大といった形で噴出するわけで、
企業負担にもならないだろう。

というわけで、雇用主負担を本人負担と考えると、60年以降に生まれたサラリーマン
は、現状の年金制度は完全な払い損となる。
いつも言っている未納者の問題も考慮すると、
「破綻なんてしませんよ」と言われても、はいそうですかとは言えないだろう。
税方式にして、最終的には積立方式に移行するのがベストだと思う。
まあ、厚労省は嫌がるだろうけど。
それにしても、慶應の商学部って厚労省と仲がいいの?(笑)

未知との遭遇

2009-09-17 10:05:38 | 人事
さて、新内閣の誕生である。
みずほちゃんを食品担当とか消費者担当に配流するあたりは人事的センスを
感じるのだけど、やはり最大の問題は亀井さんだろう。

今回の総選挙で、国民新党は勝った訳ではない。
代表と幹事長が揃って落選している点からも明らかなように、彼らの主張が
支持されたわけではないのだ。
ちなみに、若者マニフェスト策定委員会での政党マニフェスト採点で、
僕は国民新党の財政・社会保障政策にほとんどゼロ点をつけている。

その国民新党が与党となり、あろうことか、彼らの最大の主張である郵政問題担当
のポストを手にしたのだから、本当に政治というのは不思議なものだ。
そもそも、民営化に反対しているエコノミストなんて一人もいないはず。※
時代に逆行する金融・郵政改革担当の誕生だ。

もっとも、意外な収穫もあった。
総理による国策捜査発言の撤回だ。

それから、西松建設に対して、「国策捜査」という言葉を1度使った
次第でございますが、私は2度は使わなかったつもりでございます。
すなわち、一度使ったことに対する、ある種の反省の思いを含めて、
その言葉を遠慮している所でございますので、そのような立場を
ご理解頂きたい。


要するに「あれは選挙用のパフォーマンスでした」と認めたわけだ。
いや、全然いいんですけどね。だって、もともとそんなヨタ話を本気で信じてたのは
ミラーマンとかモリタクとか、そっち系の人だけなので。
できればこの調子で
「郵政民営化見直しも派遣禁止も、全部パフォーマンスでした」
と言っていただきたい。

良い方向にマニフェストを見直す分なら、いくらでもぶれて構わないですよ、鳩山さん。


※森永卓郎は僕の中では芸人枠なので未カウント。
 芸風でいうと“左の鳥肌実”みたいなものだ。