Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

人事部のジレンマ

2011-03-04 18:33:02 | 採用
プレジデントの人事・座談会がなかなか面白い。
学生の質低下を喝破しつつ「でも、新卒一括採用で本当に良い人材なんて採れるの?」
という人事部のジレンマがにじみ出る良記事だ。

ところで、大学生の質の低下についてちょっとだけ考えてみたい。
座談会でもスルーされていることからもわかるように、シラバスがネットで話題に
なるような大学は、最初から大学とは見なされていないのでここでは省く。
あくまで中堅以上の大学生の質の低下についてだ。

学生の質が低下したように見える最大の理由は、少子化である。
ピークの団塊ジュニアと比べれば、3割以上数の減っている今の学生は、それだけ
同じクラスの大学にも入りやすいバーゲンセール状態だったと言える。
しかも、各大学が仲良く定員割れするわけではなく、みな上に詰めるから、中堅以下の
大学ほど値引き幅が大きくなってしまうわけだ。

大学の入学枠を、大学進学希望者の数に応じて調整したり、絶対的な合格基準のような
ものを作らせれば、大学生の質は維持できるだろう。
でも、そもそも大学の意義って何だろうか。
たとえば東大とか京大とか早稲田とか慶応といったブランド名を維持することなのか。
個人的には、大学の意義とは「(学生の伸びた長さ×人数)をなるべく増やすこと」
だと思っているので、席が空いていて希望者がいるのなら、どんどん入れるべきだと思う。
質を担保したいなら卒業検定のようなものを作れば済む話だ。

というか、本当に必要なら企業が自分たちでやったはず。
そういうことをまったくしてこなかったということは、やはり大学教育の中身に全然期待して
いなかったということだろう。

というわけで、問題なのは大学教育というよりも、「ピチピチの若い日本人の男の子」
にしか目がいかず、そのニッチなターゲット層に対してさえ“大学名”しか判断基準を持てずに
「最近の大東亜帝国は~」としか言えない企業自身だ。

上場企業の総合職内定者の女性割合は景気のいい06年で10%強だから、今だと一ケタだろう。
女性を同じ選考の土俵に上げるだけで、彼らの「人材の質の低下問題」はあらかた解決するはず。
そして、女性と男性の処遇の格差を是正するために何が必要かは、あらためて言うまでも無い。

ただ、記事にもあるように、多くの人事担当が新卒採用に限界を感じているのも事実なので、
早晩流れは変わるだろう。3年内既卒対応は一つのきっかけになるかもしれない。




雑感@内定率および既卒採用について

2011-01-25 09:43:36 | 採用
就職内定率についてよく聞かれるので、ポイントだけまとめておく。
内定率がやや上向いているが、これは留年や留学等の断念組が増えたのが主な理由だ。
先日のニコ生でも話題となったように、私立大学は母数を減らす努力を全力でするから、
これからほっといても内定率は上がり続け、最後は「9割の就職希望者が無事就職」
という結果になるだろう。
けして「学生さんも大変だな、よしもっと枠増やすか」という社長さんが増えたわけでも
まして民主党が頑張ったわけでもない。
氷河期世代が35歳オーバーになり、統計上のフリーターが減ったようなもんである。

ちなみに、東大は良くも悪くもそういう営業努力を全くしない大学で、大学院進学者まで
母数に入れているので、就職内定率はたしか60%くらい、MARCHの足元にも及ばない。
というわけで、やっぱり10.1時点の数字がもっとも世間の就職率のイメージに近いと思われる。

一方で、既卒者を新卒扱いとする大手企業が相次いでいる。
まあ選考の土俵に上げるというだけで内定を保証するものではないし、言うだけならタダ
だから空気読んだだけだろうと思って、何人か知り合いの人事に聞いてみたところ、
意外に反応が良かったので驚いた(「良い人がいれば全然アリ」という企業ばかりだった)。

理由は、それだけ今の新卒採用の内定者に物足りなさを感じているからだという。
一応言っておくと、これはゆとり世代云々とか「最近の若いもんは」というありがちなお話では
なくて、それだけ採用のターゲットが変わったから。
面接してる側だって、別に大した勉強はしてなかったし、4年間バイトやサークルに精を出して
就職活動時に慌ててエントリーシートを書き上げた世代である。
でも、もうそういう人材をしょうがないなと受け入れゼロから教育する時代ではなくなったのだ。

というわけで、厳しいことは厳しいが、完全に既卒がアウトというわけでもなく、企業が望む
ような経験を1、2年の間に積むことができれば、門戸は開かれるだろう。
もちろん、それはセミナー掛け持ちとか会社回りといったことではなくて、個人的にはとにかく
どんな会社でもいいので就職して第二新卒で、というのが最善だとは思うけれども。

とても小さな小さな突破口ではあるが、卒年度から実力にシフトする流れが出てきたことは
良いことだ。意外にこういう小穴から、日本型雇用という石垣は崩れ始めるかもしれない。

「どうにかしろ」を一歩とし、「こうしよう」にまで高めていってほしい

2010-11-20 10:26:36 | 採用
23日に、こういうデモが予定されているらしい。
就活どうにかしろデモ
http://syukatudemo.blog77.fc2.com/

個人的には賛同できる部分もそうでない部分もあるのだけど、とりあえず何かアクション
を起こすのは良いことだと思うので、とりあえず紹介しておこう。

さて、以下は雑感。

やはり、就職活動の早期化&長期化により、それが学生生活に占めるウェイトがここまで
高まった現状は、僕も何とかすべきだとは思う。
ただ、それを否定する以上は、何が学生の本分なのかをしっかり認識しないといけないとも思う。
「就職活動が短くなったから、遊びに行こう」じゃ意味ないわけでね。

そしてもっとも重要な点は、そろそろ構造的な課題への解決策もパッケージで主張しないと
いけない時期なんじゃないか、ということ。


90年代~2000年前後の元祖氷河期の経験から言うと、学生が大変らしいという話は結構
伝えられていたのだけど、結局は「へーそうなんだ」的に社会的スルーをされて今にいたる。
そりゃそうだろう。この問題は、突き詰めれば連合という大手正社員の既得権に行き着くわけで
そういう利害対立する人達がメディアから政治、行政まで、あらゆる組織の意思決定を握っている
わけだ。

そういう鉄の壁を前にして「なんとかしろ」と言っても、高みの見物をされるだけである。
というか、高みの見物をされてしまったわけですよ氷河期世代というのは。

はっきり言って、君たちは氷河期世代より悲惨だ。不況というマクロショックの影響にくわえ
グローバル化による産業構造の転換という大波もモロにかぶることになったから。
もう日本人の新卒というだけで正社員の椅子はもらえない。

「数年耐えれば求人は回復するのではないか」と思っている人がいるかもしれないけど、
それはない。確かに氷河期世代には、2003年前後の数年間に敗者復活ステージがあったのだけど
今起きていることは氷河期ではなく、新卒バブルの崩壊だから、もうそんなボーナスはありえない。

今年正社員の椅子に座れなかった人間のほとんどは、非正規雇用や下請けの中小企業で、
長く苦しい下積み人生を送ることになるだろう。
だから、こうなった以上は壁を壊すしかない。自分達自身の手でね。

そうそう、君達が恵まれている点も一つある。
10年前と違って、今はいろんな先輩達が問題の本質を指摘してくれているから、やる気さえあれば
形にするのはそう難しい話ではない。
どうせデモやるなら、連合あたりにでもデモしかけてみてはどうか。
いつまでもリップサービスでお茶を濁せるわけではないと、彼らに教えてやれるはずだ。



麻生政権とまったく代わらない菅政権の新卒対策

2010-09-05 14:05:03 | 採用
先日、菅政権の雇用対策特命チームの“緊急政策”が発表された。
大方の予想通り、採用奨励金という形に落ち着いた模様。

たしか麻生政権の時、緊急雇用対策プランがやっぱり「採用奨励金」で、
「昔からやってるトライアル雇用と何が違うんだ?」という話をどこかで書いた気がする
のでもう改めては書かないけれど、2年近く経ってまったく同じことやってる民主党政権の
方がよりアホである。そんなもん緊急でも何でもないだろう。

ちなみに、カウンセラーや窓口の追加で色をつける点も、麻生政権とまったく同じ。
要するに、本質に切り込む胆のない人間だと、誰がトップをやっても行きつく先は同じと
いうことだ。僕はニヒリストではないけれども、最近の政治は「政治なんて誰がやっても同じ」
を地でいっている。

まあ効果ゼロではないからやるなとは言わないけれども、もともと人手の足りない
(それもおそらく地方の)中小企業に多少入りやすくなるかもしれない、という程度だろう。
3年前の売り手市場に世に出て、運よく大手企業の正社員に滑り込めた人と比べると、
下手すりゃ生涯賃金2億くらいは違うんじゃないかな。

一部に「新卒雇用問題はマッチングの問題であり、本人達が贅沢言わなきゃ働き口はある」
という論者もいるが、それは本質的には封建制度における身分制と同じ考えだ。
確かに身分に甘んじれば飯は食えるが、そういう社会は必ず活力を失う。
今日の日本企業の停滞ぶりを見れば明らかだろう。
日本に残された最大の成長戦略は、環境や介護ではなく、労働市場改革だ。

ところで、民主党は代表戦の真っ最中である。
もし、自分が面接官だとして、自己PRでこんなことを言う人が応募してきたらどうだろう。
「友愛です」
「第三の道を実現したいです」
「ぶっ壊すことです」
僕なら全員不採用間違い無しである。

内定率と基礎学力を同時に向上させる方法

2010-05-17 09:04:03 | 採用
国が学生と企業のマッチングサイトを立ち上げるらしい。
民間企業にやらせればいいじゃないかという意見もあるとは思うが、国の看板の下、低コストで利用できる
全国一律の仕組みを作ることには大きな意義があると思う(実態としてはリクルートに丸投げと思われるが)。

少しフォローしておくと、いわゆる「採用におけるミスマッチ」というものの最大の原因は、
大手と中小の“格差”にある。
たとえば就職媒体に広告出すにしても、安いモノで数十万円、高ければ百万以上の広告料が発生する。
100人以上採用する大手ならペイするが、一人や二人しか採らない中小ならどう考えても割に合わない。
「自社でサイト作ればいい」という人もいるが、ネームバリューの無い企業の求人なんて誰も見にこない。
(そういう意味では、twitterで母集団形成から採用までやってしまうベンチャーは凄いと思う)
学生の側にしても、みんながみんな「絶対に大手限定」なんて考えているわけではなくて、草の根を
かき分けて探すよりも、どーんと高く伸びている木に群がる方が楽だからそうしているにすぎない。

こうして、「この~木何の木気になる木~」なんてゴールデンでCM流してる巨艦企業にはますます人が
集まり、隠れてはいても優良な中小には誰も人が来ないなんてことになる。
実際には後者の方が高待遇なんてことは結構あるのだけど。

「求人出しても誰もこないじゃないか。若いもんはなっとらん」というのは、たいていこういった中小企業の
おっちゃん達だ。まあ自分で探し出して応募する力が無いという点はおっしゃる通りだが、そもそも
草の根に求人が埋もれているという事実すら知らないのではないか。

そこで、公共マッチングサイトの登場だ。国の看板で大々的にやり、全国の大学に積極的に利用させれば
それなりに強力な“出会い系サイト”になると思われる。
ついでにいうと、ハロワレベルの求人情報照会だけではなく、一次選考機能までやらせればいい。
たとえば筆記試験+SPIくらいまでを受けて登録し、
「あなたの希望職種で合格可能性90%以上の企業は、北海道3社、広島2社~」
なんて具合にマッチングできるようにすれば、より効率的な市場になる。
センター試験の就職版というわけだ。

実際、自分の高校時代を振り返ると、二年生の時に全国共通模試を受けて、その結果をもとに
「自分が進学できる大学」をみんなで探していたものだ。
「うーん、医学部なら広島、長崎、頑張って東北か」的なノリである。
全国共通テストという土台を通じて、全国大学マップとその中での自分の位置づけが把握できたからこそ
そういった選択が可能だったわけだ。
大学入試というのは、日本でもっとも効率的な市場だと思う。

余談だが、試験内容をある程度大学の専攻内容とリンクさせれば、一種の卒業検定試験的なものとなり
学生の基礎学力向上にも貢献するだろう。

これからは「大手で日本型雇用で定年までまったり」なんて出来るのはごく一部の日本人だけだろうから
こういった仕組みを上手く使ってキャリアをデザインしていく努力はとても重要だろう。

もちろん、この公共の労働市場の需要をさらに高めるには、“正規雇用”という商品の再販制度廃止が
有効なのは言うまでもない。

対症療法で問題は解決しない

2010-03-30 16:52:24 | 採用
ポスドク採用480万の大盤振る舞いが早くもこけているらしい。
さんざんあちこちで書いてきたことなので繰り返さないけれども、問題の本質は日本企業の年功序列体質にあり、
22歳のピチピチの男の子が大好きだという点にこそある。
そこにメスを入れずに金ばらまいたって意味が無い。というより、文科省は自分で採ればいいだろう。
そしたら予算使わずにすむじゃないか。「博士なんて採れないよ」というのであれば、採れない理由を
考えるといい。それが問題の本質だから。

とりあえずこの失敗により、若者には「博士過程なんて行ったら500万積んでも就職できないらしい」
というメッセージを、世界には「日本はドクターを採用しない変な国だ」というメッセージを送って
しまったわけだ。こんなんじゃ留学生も増えませんよ。

そしてもう一つがコレ
企業の新卒至上主義に対し「卒業後3年間は新卒扱いにしてね」という提言である。
こちらはまだ最終報告書として出されたわけではないので現段階で失敗例として取り上げるのは酷な気も
するが、どう考えても実のある政策は出てきそうにないのでピックアップした。
これも構造は上記とまったく同じ。構造上の課題にメスを入れずにスローガンを掲げたところで、
何も変わりはしない。現在だって、年齢や性別で採用の可否を決めることは禁じられているが、
それは厳然として存在するではないか。

とはいえ、先生方もいろいろしがらみがあって言えないこともあるのだろう。
「規制だけでは解決できない」という言葉からも、苦衷はなんとなく見えてくる。

仮に「3年間は新卒として公募を受け付けるべし」という規制をお上が作ったとしたら、何が起こるか。
リクナビの卒年度のフィルターで「来春卒予定者、本年卒業者、昨年卒業者」といった振り分けがされて、
“来春”以外が弾かれるだけである。

内定率の急激な低下を受け、留年者に便宜を図る大学が増えている。
それ自体は、現状の日本社会においては合理的な行動だ。
ただし、いい若いもんを1年間大学に飼い殺しにするということは、国際競争力という点から見れば
とても非効率な選択である。

新卒神話の終焉が意味するもの

2010-01-15 12:46:56 | 採用
12月時点の内定率が96年以降で過去最低を記録した。
73%といっても、この時期になると(進学や留年等で)戦線放棄した人が母数から抜けるため
就職できない学生の実数はもっと多いはず。

ただし、求人倍率的には“元祖氷河期”の方がよっぽど低い。
最低は00年卒業者に対する0.99。本年卒業予定者は1.62と、求人倍率だけを見れば氷河期とは
いえない数字だ。
つまり、求人は出しても内定は出さない企業が増えたということになる。

この事実は、新卒採用のトレンドが、過去10年の間に大きく変わったことを示している。
90年代半ばまで、「まっさらで従順でポテンシャルがありそうな子」であれば、どこかに
引っかかることは可能だった。現在はそういった資質に加えて、各社がそれぞれに必要な素養の
有無を判定しているわけだ。
企業によって全然違うので一概には言えないが、代表的なものはコミュニケーション能力、
表現力といったもので、「マニュアル型」の対極のイメージと言っていい。

このトレンドは今後さらに進化するはずなので、内定率は今後も大きくは回復せず、企業に
必要とされる人材とされない人材の二極化は続く。
「良い大学=大きな企業=幸せな人生」という昭和的価値観は、少なくとも入り口においては
既に崩壊したと言っていいだろう。

キヤノンマーケの採用担当者はそこそこ文才がある

2010-01-09 16:23:50 | 採用
キヤノンマーケティングが11年度卒の新卒採用をストップするという話が話題となって
いる。ちなみに日系大手の新卒採用は、だいたい以下のような流れだ。

1.秋ごろからセミナーやイベントで囲い込み、母集団形成
2.春先から段階的に選考開始
3.GWまでに終了

他所が追い込みに入った段階から母集団を作り直すというのは不可能だから、この段階
で休止というのは事実上の新卒採用見送りだろう(もし採るとしてもごく少数のはず)。
ものすごくオブラートでくるんでいるけど、要するに先行きが不透明なので採りません
ということだ。

キヤノンだけ特別苦しいとも思えないので、これは単純に日本経済の見通し自体が
相当ヤバいということだろう。
キヤノン同様、ほとんどの大手企業は終身雇用死守を標榜しているから、同様に入り口を
絞り上げてくるはず。これから2階の椅子はどんどん減っていくだろう。
「どうしても大手に入りたい!」という学生さんには、現状では可哀そうだけど諦めてね
としか言いようがない。日本型雇用というのはそういうものだから。

そうそう、たまに
「不況の後は第二新卒市場が盛んになるから、その時にリベンジすればいい」
なんてことを言う素人もいる。

なるほど、確かに「企業が後から若手を補充したがるような状況こそ、若者にとって
理想的である」というのは間違いない。
ただ「徹底した労働市場の流動化無くして、そんな恵まれた時代は二度と来ない」
ということも、間違いない。

「良い就職先」とはどこだろう

2009-12-28 14:58:44 | 採用
良い就職先について、ちょっとだけ考えてみた。

7,8年前、僕がまだサラリーマンをやっていた頃、後輩にそういった質問をされて、
(国際競争が無いから)その時は「新聞社」と答えたが、いまや斜陽産業の代表に
なってしまった。

5年ほど前、何かのインタビューで同じ質問をされた際は「テレビ局」と答えたが
TBSは数年前から新卒は別会社採用だし、日テレなんて新しい賃金規則に切り替えた。
(もちろん、賃下げが目的だ)

結局のところ、今後数十年間、この日本において安定的に成長するという会社は
ないのだろう。メディアのような規制産業なら潰れはしないだろうが、日本経済
自体がほとんどゼロ成長な以上、(どんなに弄ってもベースは年功序列なので)今から
入っても良い目は見られないはず。

ただし、こういう悲観的な視点は、「新人として日本型雇用の世界に入る」という
積み上げ式で考えたものだ。1年か2年ごとの短いスパンでの出来高払い式なら、
いくらでも割に合う働き方は可能である。
逆に言えば、これから社会で(やりがいにせよ報酬にせよ)そこそこのものを得ようと
思ったら、そういう出来高払い式で行かないとダメだろう。

そこで、これから社会に出る人には3つ選択肢がある。

1.出来高払い型
まず、一年目から年俸制のベンチャーや外資に行って勝負すること。
そこまで行かなくても、労組のないユニクロやリクルートなども悪くない。
個人的に労組がある会社は、中高年男性正社員に貢がされてポイされる可能性が高い
のでオススメはしない。

2.割り切り型
「正社員であるだけで幸せじゃないか」というようなモチベーションの人もいるだろう
が、日本企業の雇用環境は世界的に見て最悪なので、そんなところで一兵卒として
働くメリットなんてない。雇用保証だけが目的なら、田舎の市役所にでも行くといい。
自治労さまバンザイの民主党が国家破綻のその日まで、全力で守ってくれるはず。

3.有事即応型
渡邉氏の言うように、イニシアチブをとってキャリアを設計しておくこと。
要するに、転職しようがしまいが、何があっても対応できるように、市場価値を意識
して働くということだ。
もっとも、結局どこかの時点で(1)に転進しないと“終身雇用型サラリーマン”と
何も変わらないわけで、そう考えるとタイミングの違いにすぎないと言えるかも。

こう考えていくと、20代の分化はそれぞれのタイプで説明がつく。
戦コンや外銀に殺到するエリート学生は(1)に、“草食系”と呼ばれる若者は(2)に
該当するはずだ。(3)はもっと幅広く存在するが、極端なケースが“カツマー”だろう。

すべての人にとって先行き不透明な時代ではあるけど、少なくともどの道を行くか
選べる20代というのは恵まれているかもしれない。

ある意味、就職氷河期は永遠に続くだろう

2009-12-14 10:49:16 | 採用
田原さんがサンプロを降板するらしい。置換えのきかない人だと思うのでとても残念。
先に切るべきくだらないバラエティはいくらでもあるだろうと思うのだが、そうも
行かないところが民放の泣き所なんだろう。
作り手自身が「馬鹿が見るメディア」と割り切っちゃってるんだから仕方がない。

ところで、朝生の際に、田原氏がこんなことを言っていたのを思い出した。
「最近の学生は凄く勉強している」
田原氏は早大で講義を持っているそうなのだが、えらく熱心な学生が多いらしい。
まあそれだけなら40年くらい前はみんなそうだろうが、休講にした際にはクレーム
までくるそうだ。個人的な感覚からいっても、少なくとも90年代80年代よりは、
今の学生は勉強しているはずだ。

もちろん、学生のすべてがそんな調子というわけではない。
「大学入学こそがゴール!」という昔ながらの人間は相変わらず何にもしないし、
入試ハードル自体は下がっているわけだから、就職活動における差は二極化となって
あらわれる。
普通の私大生でいくつも内定を採れる人間がいる一方で、東大一橋クラスで内定ゼロ
のまま越年という人もいる。もはや学歴は決定的な要素ではなく、ある程度の水準
以上は、同じ土俵上でガチンコの勝負だと考えていい。

この流れは昨日今日のものではなくて、ここ10年くらいじわじわと進行しているものだ。
東大が05年に就職課を立ち上げたのは、就職活動で苦戦する下半分の学生の存在に、
遅まきながら気づいたからだろう。

彼ら上半分の学生をチェンジさせたものは、社会の変化だ。
企業が年功から能力に軸足を移しつつあること。そして、新興国の学生という強烈な
競争相手が存在していることに、気付くだけのアンテナを彼らは持っている。

“就職氷河期”と書くと、なんだかそのうち温かくなりそうな印象があるが、
これは好不況とは関係のないトレンドの変化なので、景気が持ち直せば以前のように
楽になるというものでもない。就職はまだまだ先だという学生も、他人事だとは
思わない方がいい。今、就職活動の場で起きている変化は、自分の足元までつながって
いるはずだ。

今日のような、「良い大学に入りさえすれば人生は上々だ」的な人材が就職で大手に
はじかれるという現象を就職氷河期とするなら。
それは永遠に終わらない。