Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法 第6回のお知らせ

2011-02-24 19:35:32 | work
ビジスパ、メルマガ第6号は明日発行予定です。

・巻頭コラムは「良いジョブローテーション、悪いジョブローテーション」

「どうして会社って、数年置きに異動があるんだろう」
という疑問を持つ人は多いはず。
これは、より俯瞰的な視野を持たせ、社内スキルに精通した人材を育成するという目的で
行われている日本企業独自の人材育成手法だが、もちろん、裏の理由も存在する。

自分のキャリアをよく検討した上で、良いローテと悪いローテを見極める必要がある。
では、仮に悪いローテにぶち当たった場合、回避する方法はあるのか。

・Q&Aコーナーは「流動化ってこれから社会に出る若者にとってメリットはあるの?」

一時的に労働市場に出てくる人の数は多くなるかもしれないが、全体でみれば必ず
若者にメリットがあるのが労働市場の流動化だ。
正社員の既得権が守られたままでは、椅子の数が増えることは無いだろう。

そして、連合ユニオンズ第6回は「闘志無き者は去れ」



明日日中の発行予定です。登録はコチラから。

政治家の皆さんに『苦役列車』をオススメしたいわけ

2011-02-24 11:04:06 | その他
文藝春秋 2011年 03月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
文藝春秋



文藝春秋3月号に掲載中の第144回芥川賞受賞作「きことわ」「苦役列車」が、見事に
好対照の内容で興味深い。一言でいえば、繊細とお下劣。
どちらも面白いが、がさつな男としては苦役列車の方がすんなり頭に入った気がする。

内容について簡単に触れると、貫多という学も無く家庭にも恵まれない若者が、
日雇い仕事で食いつなぐ様子を淡々と描いた私小説だ。
一応、起承転結のようなものはあって、底辺の暮らしの中で、日雇い仲間の中に
やっと友人が一人出来るのだが、彼とも疎遠になり、結局はぐるりと一周まわって
スタートラインに戻ってしまうという流れ。

面白いなと思ったのは、主人公・貫多のびっくりするくらいのダメっぷりだ。
3畳半のボロアパートも、マイナス30度の倉庫作業も、彼にはいくらだって抜け出す
機会はある。
でも、彼は酒とタバコと風俗に入る金はすべて使ってしまい、ジャンプのための
ホップステップを作ることが出来ない。
仕事でも昇格や資格取得といったチャンスをすべて自分から断ってしまう。
理由はめんどくさいから。
そう、彼が日雇いしかやろうとしないのは、それが彼にとっては楽だからなのだ。

そして、彼には一片の政治性もない。
広い世界にただダメな自分一人がいて、ダメ度のより少ないマシな連中を底辺から
見上げて罵倒しているだけである。
「9割型、実際の話です」というくらいだから、作者はこの通りの人間なのだろう。
読んでて清々しくなるくらいのダメ人間だ。

と、同時に、読んでて作者の顔はもちろん、息遣いや体臭まで想像できそうな気が
したのは、きっと僕自身の中にも同じ部分があるからだろう。
普通の読者(特に男性)なら、「あるある」と共感する部分は少なくないのではないか。

選者の一人である石原慎太郎氏は「僕にとって小説の魅力とは作品の持つ身体性」
だそうで、もちろん、本作品を高く評価している。

ところで、先日、就活デモ実行委員会の参院での申し入れを見に行った際のこと。
一生懸命話す学生とは逆に、話からなんの熱も意思も感じられない政治家が多かった
のが気になった。
たとえば、

社民:福島氏「派遣法改正と若者の就労支援を頑張っていきたいと思います」
共産:宮本氏「大企業が採用数減らしたのが悪い。追加採用を申し入れたいと思います」

↑これほど、“身体性”の感じられない言葉の羅列も珍しい。
とりあえず見栄えがよく、波風を立てないような言葉の羅列だけでは、誰も何も動かせない。
小説に身体性が必要かどうかはともかく、政党がそれを持たない場合、食い詰めて泡まつ化
するのは事実のようだ。

有縁社会も楽じゃない 書評『津山三十人殺し 最後の真相』

2011-02-17 10:58:49 | 書評
津山三十人殺し 最後の真相
石川 清
ミリオン出版



昨年に引き続き、NHK特集の『無縁社会』が話題となっている。
“無縁”の先にあるものが何なのか知っておくべきだと思うので、個人的には見て
おいて損は無い番組だと思うのだが、メディアの一部に「皆で有縁を取り戻そう」
的な回帰色が出ているのが気になる。
基本的に無縁とは我々が選んだものであり、時計の針を戻すことは不可能だ。
それを再認識させてくれたのが本書である。

中国地方の山間部の閉鎖的な村落で、つい近年まで(短時間での)殺人被害者数の
世界記録となっていた事件は起きた。事件のことは知らなくても、八つ墓村で電灯
を頭に巻いて猟銃と日本刀振り回すおじさんを覚えている人は多いはず。
あれのモデルとなったのが本件だ。

本書が優れているのは、従来の被害者側からの視点にくわえ、家族内の緊張関係や
ムラ社会との軋轢にも踏み込んでいる点だろう。
それにより、昔からある「本人異常説」や「痴情のもつれ説」といった表層的な事情の
背景に光を当てることに成功している。背後にあったものとは、ムラ社会との軋轢である。

農村のような有縁社会では、メンバーは共同体の一員として守られるが、失点を犯した
者は法とは別の論理で追及される。そういう情報は共同体内で共有されるから、
場合によっては“村八分”となってしまう。
犯罪者の家庭が事件後に夜逃げと言うのは、今でも田舎では珍しい話ではない。

その失点というのは、不祥事だけにはとどまらない。精神疾患のある家系はきつねつき、
肺病患者の出る家はろうがいすじと呼ばれ、家ごと差別されるケースも戦前まではあった。
ちなみに本件の犯人は両親が肺病で無くなり、自身も肺病により徴兵検査を不合格と
なった経緯がある。当時、兵役不適格とされた男子がムラ社会でどういう扱いを受けたか
は想像に難くない。
本当の疎外というのは、もともと縁なんて無い無縁社会ではなく、縁で形成された
有縁社会にこそ存在するのだ。

確かに縁は無いかもしれないが、その気になったら好き勝手に縁を作れる現代社会の
方が、出口の無いムラ社会よりかはなんぼかマシであるというのが、同じ中国山地の
山間で育った僕の感想だ。


※本書には(短いながら)最後の生存被害者のインタビューも収録されており、
 その意味でも貴重な一冊だ。

『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法 第5回のお知らせ

2011-02-09 16:30:48 | work
ビジスパ、メルマガ第5号は明日発行予定です。

・巻頭コラムは「社会人の大学院入学って意味あるの?」

「社会人になってからの院入学を、企業はどこまで評価してくれるのか」
というような質問をする人は、大きな勘違いをしていると思われる。
肩書で評価されるのは学生まで。その後の人材評価の軸は、まったくの別物だ。

社会人入学で成功したケースと失敗したケースをそれぞれ紹介。
両者の明暗を分けたものとは何だろう。

・Q&Aコーナーは「 地方学生の就職および転職のテクニックは?」

個別に選考プロセスを設定してもらえる旧帝大はともかくとして、
その他の地方大生はセミナー参加で上京するだけでも費用がかかってしまう。
その大学にとってもっとも成功確率の高い場所で成功確率の高い企業をターゲットに
活動をおこなう必要がある。

そして、連合ユニオンズ第5回「オープン戦」



明日日中の発行予定です。登録はコチラから。

独裁者のいない日本

2011-02-05 20:39:56 | 世代間問題
ニューヨークタイムズが「日本の世代間格差」を取り上げたので紹介。
僕も少しコメントしている。
内容は、雇用における新卒一括採用の弊害から、社会保障における一億円にも上る世代間格差
の存在まで。一通りの論点について取り上げてくれている。

さて、僕はこの手の問題で何社か海外メディアとコンタクトをもったことがあるが、
年功序列や世代間格差について、彼ら外国人に説明するのは実に骨が折れる。
で、理解してもらうと、決まってこんな質問が来るのだ。
「そんな無茶苦茶なシステムがなぜいまだに続いているんですか?」

いや、なんででしょうね……
雇用制度はもちろん、実質的に破綻状態の年金制度まで、政権交代してからまったく争点にすら
なってないんですけど。

ただ、最近のアフリカ、中東の民主化デモを見ていて気付いた。
何かを変えようとするエネルギーが集約されるためには、わかりやすい敵が必要だということだ。
チュニジアにせよエジプトにせよ、独裁者という分かりやすすぎるヒールがいて、社会の不満を
集める受け皿となっている。

別にムバラクさんが引退したって、物価が落ち着いたり失業率が下がったりはしないと思われるが、
とりあえずイスラム主義者から都市部インテリ層まで、大衆は彼に向って拳を振り上げているわけだ。

一方、我が日本国の場合、「賦課方式のせいで世代間格差がどうのうこうの」とか
「硬直した労働市場がうんたらこうたら」とか、とてもワンセンテンスでは説明できないので、
なかなかみんなの問題意識は集約されづらい。
国民全体がシステム自体の議論を始めるまでには、もうちょっと痛みが必要なのかもしれない。