Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法 第10回のお知らせ

2011-04-21 18:45:46 | work
ビジスパ、メルマガ第10号は明日発行予定です。

・巻頭コラムは「一次面接と最終面接の違い」

新卒採用にせよ中途採用にせよ、普通の企業では複数回の面接が行われる。
当然ながら、それぞれの面接には独立した意味があり、異なる点を判断
しているということになる。
どこで落ちてしまうかで、その人の抱える課題はだいたい見えてくるものだ。
というわけで、今回は「面接の各段階の傾向と対策」について考えてみたい。
こと就活においては、下手な鉄砲は数を打ってもなかなか当たらないものだ。

・Q&Aコーナーは
「子供連れの女性の転職活動は可能か?」

小さい子供のいる女性が、家事と仕事の両立を目指して転職活動をすることは
日本の労働市場的に許されるのか。
結論から言うと、大手に限らなければ問題は無い。
中途採用では遠慮せずに動機と就労条件について確認するべきだ。

そして、連合ユニオンズは「毒まんじゅう」。

Q&Aも受付中、明日日中の発行予定です。登録はコチラから。

内ごもり社会ニッポン

2011-04-18 17:23:32 | 経済一般
不平等社会日本―さよなら総中流 (中公新書)
クリエーター情報なし
中央公論新社



先週、ドイツに出張してきたのだが、ハンブルグ商工会議所の課長さんから面白い話をうかがった。

企業フェアのようなイベントを企画して、貿易実績のあるアジア諸国の企業に参加を打診した
ところ、マレーシアや中国、韓国といった国からは待ってましたとばかりに、それぞれ50社以上
のエントリーがあった。
ところが、日本からは〆切間近になって、ようやく10社ほどがエントリーしただけだったそうだ。
もちろんこれは震災前の平時の話。企業が営業を自粛する理由など何もない。
「いったい、日本で何が起こっているのか」と、親日家の多いドイツ人は本気で心配していた。

ついでにいうと、この手の話はけして珍しいものではなく、
「100億規模のコンペのオファーが来たのに、部署間でたらい回しにした挙句に不参加」
なんて話は大手企業ではたまに聞く。
よく「最近の若者は内ごもりだ」という論調があるが、少なくとも海外から見れば、日本全体、
上から下まで内ごもってるように見えるらしい。
佐藤優風に言うなら、戦後日本というシステム全体が空洞化し、自壊しつつあるのだろう。

この構造について、分かりやすい形で触れているのが本書である。
本書で言うところの「ホワイトカラーの上位層」(以後“W雇上”)は、日本型雇用が保証される
二階部分と考えて問題ない。そして、そのW雇上の多くが、団塊以降の世代では親も同じW雇上であり
一種の身分制度として世襲されていると喝破する。

もっとも、それ自体はどこの国でも普通に見られる現象だ。
誰だって自分の子供の教育には金をかけるものであり、遺伝子で振り分けでもしない限り、
経済格差の影響を成績から完全排除するのは不可能だ。
問題は、曖昧な選抜基準や硬直した雇用慣行によって、その身分制度化が強化されている点にある。

W雇上の家庭に生まれ、W雇上になるのが当たり前という雰囲気の中で育つことで、
何をやりたいのかという目的意識を欠いたまま、曖昧な形で選抜競争を勝ち抜き実績を作る。(中略)
その結果、“実績”は何かが出来るはずだという責任をともなう資格という意味を失い、たんなる
既得権へと変質していく。いわばW雇上の家庭に生まれたという既得権によって“実績”をつみ、
そうすることで、その“実績”自体もまた既得権化してしまうのだ。


さらに言えば、困ったことに、この疑似貴族階級は、ノブレス・オブリージュ的な階級への責任感
も持っていない。

西ヨーロッパのような明らかな階級社会であれば、たとえ競争という形をとっても、
それ自体の不平等さが目に見える。(中略)自分がその地位にふさわしい人間であることを
目に見える形で積極的に示さなければならない。
階級社会特有の「高貴な義務」という概念がそこに生まれる。


これが、社会の上位にどっかりと居座る、無責任で無反応で空虚な暗黒物質の正体だ。
普段はこれといって努力しないけれども、いざ自分の取り分が削られそうになると、
マルクスから内田樹まで総動員して屁理屈こねまくる人って、誰でも一人くらい心当たりあるだろう。
自身の生産性はまるっきり棚に上げつつ
「我々には雇われる権利がある」と息巻くJALのリストラ社員が典型だ。


よく「若者の内ごもりについてどう思いますか?」という質問をされるのだが、個人的には
内ごもりなのは社会全体であり、彼ら若者は空気を読んでいるにすぎないと考えている。
日本全体が海外に目を向けていたバブル期、その流れで猫も杓子も「海外勤務希望です」と言って
いた先輩たちと、本質的にはまったく変わっていない。
変わったのは日本を取り巻く環境であり、55年体制に引きこもって見て見ぬふりをし続ける日本が
停滞するのは、ある意味で当然の結果だろう。

『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法 第9回のお知らせ

2011-04-07 20:21:20 | work
ビジスパ、メルマガ第9号は明日発行予定です。

・巻頭コラムは「資格は実務経験を伴ってこそ輝く」

キャリアに関する誤解の一つに、“資格”に関するものがある。
よくあるIT系のものから弁護士、会計士といった士業系が代表だが、TOEICの点数、
修士、博士といった学歴も広い意味では一種の資格である。
資格について考えておくのは非常に意義深い。
それは、キャリアの本質につながるテーマでもあるからだ。

資格を活かせない人とはどういう人か。
資格取得がリスクになるケース。
そして、資格を活かすためのテクニックについて。

・Q&Aコーナーは2本。
「震災の採用活動に対する影響はどの程度か?」

残念ながら、企業の採用戦略の過渡期と重なって、特に新卒で
大きな影響があるだろう。

「企業に出世コースはあるのか?」

採用時の評価によって、配属先が色分けされる企業は珍しくない。
確かに、それをもって出世コースと言えなくもないが、実際には
それほど心配する必要はないだろう。

そして、連合ユニオンズは「開幕」。

明日日中の発行予定です。登録はコチラから。

居酒屋で酒飲んで、非常時には防災服着て皆でサラダ食ってる人は良い人だろうけど、良いリーダーなのか

2011-04-01 17:37:48 | その他
秋田県の上小阿仁村で、正月に休むなと中傷された医者が辞職するという。
後任になるような奇特な暇人なんていないだろうから、無医村になるのはほぼ確定だ。
正月に休むような医者はいらないということらしいから、村人もさぞ満足だろう。

ところで、こういった構図は何も過疎地だけの話ではない。リアルタイムの政治でも
色々と見ることが出来る。
たとえば。閣僚の皆さんが着ている作業服に違和感を感じている人は少なくないはず。
個人的にも国会で作業服着る意味がよくわからない。
でも、スーツ姿でカメラの前に出てきたら出てきたで、バッシングされるだろうな
ということは想像がつく。

ちょっと前に、麻生さんか誰かが、たかがホテルのバーで飲んだくらいで叩かれたこと
があったが、以来、政治家の居酒屋アピールが流行るようになった。
これも麻生さんか、あるいは他の誰かか忘れたが、漢字の読み間違いで叩かれて以降、
政治家がうつむいて原稿を読む場面が増えた気がする。
菅さんにいたっては、総理就任以来、ぶら下がり取材を減らすことで、極力メディアへの
露出を抑えるという戦略をとっていた。あげ足取りの報道を恐れて先手を打ったというわけだ。

こういうのは「休日に休むな」式のクレームに対して、彼ら政治家が進化して身に付けた姿勢である。
問題なのは、それが本当に進化なのかということだ。
揃いの作業着でぞろぞろ出てきて伏し目がちに原稿読んだり、並んでサラダ食ったり
している姿を見ると、品行方正ではあるけどつまんない優等生を見ているような気分になる。

ふと思ったのだが、実は減っているのは過疎地の医者だけではなく、リーダーシップのある
政治家もそうなのかもしれない。とすると、我々はあまり上小阿仁村を笑えない。

というわけで、個人的には、政治の金の話と下の話はなるべく聞き流すようにしている。
視聴者が反応しなければ、そのうちメディアも瑣末なことは取り上げなくなるだろう。
時間のかかる話かもしれないが、鏡にうつる姿を変えるには自分を正す以外にない。