Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

ソフトバンクの新卒採用基準

2009-03-30 10:52:26 | 採用
例のソフトバンクの採用と携帯販売のマッチングの件。
個人的には結構面白いことだと思っていたのに、中止だとか。
いろいろ壁はあったが、方向性自体は非常に先を見ていると思う。

まず、従来の年功序列型組織の採用基準と言うのは、きわめて保守的なものだった。
年功序列と言う前例踏襲型の組織を運営する以上は当然だろう。
学歴重視や、体育会重視という特徴はこのあらわれで、要するに真面目にコツコツ
言われたことはこなしてくれるだろうと期待されてのことだ。

ただ、いったん年功序列のレールが崩れると、従順型の人だけでは組織が回らない
のは明らかで、前例を踏み越えて進める人材が必要になってきた。
学歴不問選考、インターンシップといった流れは、これを目指すものだ。
少なくとも面接現場ではだいぶ評価基準が変わってきたかなと思う。
「何でもやります」と下駄を預ける型の人材を評価するという会社は、とんと聞か
なくなった。

それでも抜本的に評価方法にまで踏み込むような企業は、大手には出ていない。
実際の業務適性を見る最適な方法は、一部外資のやっているように、実際の現場に
放り込んで一日16時間くらい働かせることだろう。
そういう意味では、SBの携帯契約作戦というのは、そういう生々しさを感じさせて
くれる手法であり、さすがSBという印象だった。

まあ、問題がないわけではない。
たとえばインターンのように雇用契約を結ぶわけでもないから、販売にともなう
事故・事件の責任なんかはどうするのか、という疑問は残る。
確かに似たような話は探せばあるのだろうが、SBはもうベンチャーではなく、
れっきとした東証1部上場企業だ。隙がない上にも隙がないように固めておかないと
僅かの隙で叩かれる存在だ。そういう意味では管理部門がもっと大人になるべき
だったのだろう。

それと、そもそも携帯を売ることが、果たしてSBにとって必須な評価基準だった
のかという点も疑問だ。
正直に言えば、携帯の契約をたくさん取れる能力が、幹部候補に
必要なスキルとはあまり思えない。

そういう点でも若干雑さは感じられる。
まあ、そういうことも含めていろいろ動きを出せるのがSBらしさなのだろう。

月刊宝島 5月号

2009-03-29 14:09:24 | work
座談会「会社は誰のものか?」参加。
他には藤野英人氏(レオスキャピタルワークス)、篠塚悟氏(帝国データバンク)。

なぜこの時期に?と思ったが、意外に重要なことかもしれない。
「会社は従業員のもの、投資家は黙っていろ!」とつい最近まで言っていた人たちが
「派遣切りは全部経営者が悪いんです、だから私たちにはどうしようもないんです」
と言っている御時勢だから。
まあ開き直って「会社は正社員のものだ、派遣なんて知ったことか」
と言われてもアレだけど。


別冊宝島『日本経済ヤバい!教科書 大恐慌と変革のトレンド完全見取図!』

2009-03-26 10:12:47 | その他
上記ムック本にて、門倉貴史氏と雇用問題について対談。
対談前にはあんまりかみ合わないかなとも思っていたが、予想外にマッチしている。
まあ氏のように若いエコノミストで、雇用について僕と立ち位置の違う人は
まずいないだろう。

余談だが、生の門倉氏はメチャクチャ面白い。
活字で上手く表現できないのが残念。
ラジオとか動画とか、そっちに行けばもっと良い味が出ると思われる。

韓国のクリーンナップはなんであんなにごついのか

2009-03-25 09:20:52 | その他
朝青龍みたいなのが2,3人いたぞ(笑)

で、WBCである。きっとかなりの視聴率だろう。
周囲にも「会社休んでテレビ見てました」と言う不良社員が結構いた。
近所の定食屋のオヤジ曰く、ランチの客入りは2割くらい悪かったらしい。

野球人気の低迷が指摘されて久しいが、まだまだ根強いものがあるのかもしれない。

リストラされたけど、子供11人育てた男の物語

2009-03-24 14:30:54 | 
リストラや倒産というのは、転職がまだまだ一般的ではない日本社会にとって
人生の一大転機と言えるだろう。
本書は、ガチガチの終身雇用が崩壊し、人生ゼロリセットされた男の物語である。

時は幕末。主人公は一橋慶喜の近習。
影武者の役目も果たすため、羽織る羽織は主君とお揃い。
先祖伝来の終身雇用職である。
ちょんまげと二本ざしという違いはあるが、下級旗本なんてまるっきりサラリーマンだ。
直参という格は高いが給料は安い、(現体制の中では)安定性だけは抜群という点で
大企業のサラリーマンに似ているかもしれない。

だが、維新の嵐とともに体制自体が崩壊し、終身雇用(というか先祖代々雇用)も
終焉を迎える。
「武士の権利を守れ!」といって既得権を擁護してくれる労働組合や
左派政党はいないので、様々な特権はゼロリセットだ。

藩士たちはいくつかの選択肢を与えられる。
1.藩をやめ、新政府に就職する
2.民間で起業する
3.賃下げされても構わないので、やっぱりこれまでどおり殿のお側に置いてください

普通に考えれば1、血気盛んな若手なら2という感じだろうが、主人公や同僚たちの
多くはしっかり3を選んでしまうのだ。このあたり、なんとも日本的な発想だと
思うが、当然、数年後の廃藩置県で彼らはみな路上に放り出されることになる。

ところが、主人公の凄いところはここからだ。
彼はそこからめげることなく、民間や役所へ就職し、50歳を超えて起業も経験している。
それも、11人の子供を抱えながらだ!
幕府の小役人のどこにこういうバイタリティが残っていたのか不思議な気もするが、
社会全体がゼロリセットされる中で、国の隅々にまで新たな活力が湧き上がった
ということだろう。維新とは、価値観も含めた一つの革命だったのだ。

考えてみれば、幕府260年の身分制度の中から、近代日本は再生したわけだ。
たかだか戦後60年の昭和的価値観から覚醒できないはずは無い。
それにはもうちょっとの刺激が必要だとは思うが。

援護射撃その2

2009-03-20 09:33:34 | 経済一般
朝日のWebで、大竹先生が再び雇用問題について語っている。
僕からは何も付け加えることは無い。労働再規制の無意味、正社員の流動化。
そして、文中のどこにも資本階級なんてでてきやしない。
当たり前だ、そんなものはもう存在しないのだから。

朝日新聞もこと雇用についてはきわめてまっとうな感覚を持ち合わせている。
毎日が暴走しているのとは実に対照的。

規制バカの厚労省や、詭弁を弄するしか能の無い御用学者は
刮目して一読すべきだろう。

経営刷新で還暦越え

2009-03-19 09:38:24 | その他
16日、日立の新社長が発表されたが、なんと69歳である。
外資の人がびっくりしていたが、僕も驚いた。
普通、大赤字の後はトヨタみたいに若返りを図るものだが、余裕で還暦越えてますね。
まあ日立らしいといえばそうか。

副社長⇒子会社トップ⇒本体復帰 と言う流れはあまりないので、恐らく
①何かとてつもない特殊能力があり、それが必要とされた
②汚れ役をやるためのショートリリーフ

といった理由のはず。タイミング的には②、理由はリストラだろう。
リストラ(大手の場合は事業売却や早期退職)は経営者にとって経歴の傷であり、
自分の任期中は避けようとする人が多い。
良く言えば「雇用死守」なのだろうが、はっきりいえば「爆弾リレー」である。
いずれにせよ“最後のご奉公”といったところか。