Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

消費税は30%引き上げが望ましい

2010-04-29 09:22:01 | 経済一般
今週号のアエラ合併号、消費税特集に回答しているのでご報告。

スペースの関係で僕個人の名前しか出ていないが、回答は若者マニフェスト策定委員会のメンバーと
行っている。我々が提案している消費税の引き上げ幅は、30%だ。

内訳はこうだ。
2010年度予算の財政赤字44兆円。新幹線や東名高速のように、将来にわたって有益なモノを作る投資
ならともかく、ただ赤字垂れ流してるだけなので、ツケは我々みんなが払うべきだ。
(そもそも、既に郵貯限度額を引き上げねばならないほど発行余力は限定的)
というわけで、消費税1%で2.5兆円として、約18%。

次に、これから確実に増える社会保障分についても、今から手をうっておかなくてはならない。
(年金や医療といった)社会保険料だけでは賄いきれない公費負担は、現在約40兆円。
これは高齢化のピークに近い2055年度にはおよそ70兆円にまで増加すると予想される。
増加分をとりあえず消費税でまかなうとすれば、当面6%、最大12%ということになる。
財政赤字分と合わせて30%の引き上げが必要というわけだ。

ただし、手を打つのが早ければ早いほど数字は低くなる。
社会保障分については、最初から9%程度に引き上げておけば、運用益とあわせて増加分をまかなえる。

また、社会保障制度の確実性が高まれば、それは負担ではなく貯蓄の性質が強まるので、実質的負担増と
言えるのは18%ほど。
(今は「どうせ自分らの時には貰えないだろう」と多くの現役世代が信用していないため、
負担感だけが異常に強い)

さらに言えば、現在の社会保障の公費負担の3割強は財政赤字で賄われているとされる。
つまり、この分も負担増というよりは貯蓄とみなすと、さらに12兆円約5%を増加分から差し引けば、
実質的な負担増と言えるのは13%程度ということになる。

まとめると、以下になる。

持続可能な社会を作るために必要な消費税引き上げ幅30%のうち、

・将来への貯蓄として17%(それも、すぐにでも引き上げ可能なら14%程度)
・財政赤字として若年層にツケ回ししている分を消費税としてみんなで負担13%

ということになる。全世代で公平に負担するわけだから、なんて素晴らしい案だろう。

「景気が悪くなったらどうなるんだ」という声もあるかとは思うが、
財政の持続可能性という重大問題を前に、そんなみみっちいことを
気にする必要はない。

ちなみに、回答者21人中、「10~15年内での破綻」を予想しているのは8人。これだけ見れば
まだ余力はありそうに見えるが(といっても3割超が破綻予想だが)、非破綻サイドが必ずしも
安泰だとみなしているわけではない。
「優秀な人材を海外から入れる戦略を実現できれば回避可能」(加藤出)
「15年以上の長期では確実に破綻状態だが、当面の数年間は大丈夫」(小林慶一郎)
「ギリギリ一歩手前で国民が増税に賛成するはず」(永野良佑)
という留保つき非破綻派(破綻自体はありえる)とする論者が少なくとも3名はおり、これを
カウントすれば破綻派が逆転する。

もちろん「増税だけに頼らず、経済を成長させる方法」はしっかり考えるべきだが、とりあえず
ダダ漏れしている予算はきっちり閉じるべきだろう。合わせて成長戦略を実行すればいいだけの話である。
だって、まずは成長を!と言っている人は、もちろん頭の中に明確なプランがあって、すぐに
実行可能なんだろう?だったら一緒にやればいい。
財政はペイ・アズ・ユー・ゴーが基本であり、次世代のツケで飲み食いするのはマナー違反である。

恐らく、頭では理解できても、単純に「そんな数字は非現実的だ」と感じる人は多いだろう。
それは正しい。ただし、非現実的なのは、バブル崩壊後、抜本的な手術も努力もしないまま、
以前と同じ生活水準だけを要求し続けてきた日本人の頭の中である。
国家が破産寸前にもかかわらずゼネストやっているギリシャ人を、日本人は笑えない。

というわけで、道は二つしかない。これだけの負担をするか。
それとも、医療、年金といった 社会保障自体にも大きくメスを入れるか。
まずはこの現実を直視することが議論の第一歩となるだろう。

有給取得率の引き上げという政策自体がおかしい

2010-04-26 13:11:27 | その他

いろいろな数値が低迷する日本だが、有給休暇取得率もその一つだ。他国が90%以上が当たり前の中、
ずっと5割近辺をうろうろしているから、もはや日本名物といっていいだろう。

さて、このたび政府が新成長戦略の一環として、この有給取得率の引き上げを目指すらしい。
既得権とぶつからず、労組にとってマイナスにならない政策に対する民主党のフットワークの軽さには
驚くほかない。

ただ、残念ながら、目標の達成は困難だろう。
問題の本質ははっきりしていて、業務の切り分けが曖昧な職能給制度が原因だ。
このシステムだと、個人レベルで「効率的にちゃっちゃっと終わらせよう」というインセンティブが
絶望的に弱い。
下手をすると「バカ野郎、やる気あるのか!」と言われてしまう(実際、僕は言われたことがある)。
いつまでたっても「周囲が忙しそうだから」と皆でけん制し合うカルチャーは残るだろう。
こうなると、逆に仕事を作る傾向を促進するから、これもホワイトカラーの生産性の低さの一因だ。

対策は言うまでもない。「業務の仕分け」を行い、担当業務を明確化して裁量も与えればよい。
当然、賃金は横並びや時給ではなく、それぞれの結果に対して賃金を支払うのがのぞましい。
日本以外の国では普通にやっている話だ。
そして、民主党には絶対に実行できない改革でもある。
むしろ、生産性の低さを労働時間でカバーする方向にずるずる進んでいるので、今後さらに有給は
取りにくくなるかもしれない。

とはいえ、とりあえず的な対症療法もあるにはある。
上場企業については、何らかの形での取得率の公表を義務付けたらいい。
こういう横並びデータでの落第を人事部は何より嫌うので、相当本気になって取得率を引き上げにかかる
と思われる。何より、「全社平均の取得率5日!」なんて公表されたらメチャクチャかっこ悪いし、
学生もこなくなるはず。大手が率先して休ませるようになれば、中小にも多少の影響はあるだろう。
まあ、お上にあれこれ指図されないと休暇一つろくに取れない
という状況は、すごくカッコ悪いと思うけど。

そもそも、本来は権利であるはずの有給の取得率が政策目標になること自体がおかしいのだ。

それにしても、「2020年に7割」というのも悠長な話である。
自民も民主もそのころには存在してないんじゃないか。

人生にもクライマックスシリーズは必要

2010-04-22 12:32:26 | 人事
ビジネスマンの精神科 (講談社現代新書)
岩波 明
講談社

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先日、某紙の編集委員と話していて、ふと会社内のメンタル・トラブルの話題となった。
なんでも地方支局に顔を出すと、4人も休職者がいて驚いたそうだ。記者20人だから実に2割。
それも、全員2,30代の若手らしい。
「いったいどういうことなんでしょうか……」と困惑していたが、無理もない。

その新聞は過去、何度も、“うつ”などのメンタルトラブルの増加は、「IT社会のストレス」だの
「ノルマや過重労働」だのが原因だという論調を張ってきた。
だがこれらは誤りだ。週休二日制の浸透やITの普及で、むしろ日本人の年間総実労働時間は
(長期的には)減少傾向にある。そもそも、東京の政治部ならともかく、地方支局で過労というのは
あまり聞かない。
そしてとても重要なことだが、新聞崩壊とかなんとか言われているが、新聞社の平均賃金は
腐ってもメーカーよりは高く、それくらいの若手でも800万くらいは貰っている。

つまり、「全然恵まれた労働環境なのに、なぜわが社の社員はこうもバタバタ壊れるのか」
という点に困惑しているわけだ。

とはいえ、理由自体ははっきりしている。
30代前半までに、「本社出世コース」と「地方ドサ回り兵隊コース」に分けて
後は30年間放置プレイなんて硬直的な人事制度こそが原因だ。


30過ぎの若手に「おまえあと30年間消化試合だから。あ、でも仕事は手抜くなよ」というのは
やっぱり無理があるのだ。消化試合を無くすには、社内にクライマックスシリーズを導入しないとね。

この点について、精神科医の岩波明氏が興味深い指摘をしている(狂気という隣人)。
氏の同僚である医師が、数年の間に5人も自殺したこと、そして、よく指摘される「医師の過労」
といった問題が、この場合はあてはまらないことを述べた上で、一つの“仮説”を示す。

自殺を考える以前に、あるいはうつ病の状態になる以前に、すでに彼らは
生きていくこと自体に希望を失っていたのではないか?そしてまたこのことが、
最近増加している自殺者たち、あるいは自殺しようと考えている多くの人々に
あてはまるのではないでしょうか。


僕の感覚からすると、この指摘がもっとも現場に当てはまる気がする。

ちなみに、冒頭の編集委員さんには「もうちょっと簡単な対策はないですかね?」と聞かれたので
もっと簡単な対策も提案しておいた。
それは、最初から「正社員でありさえすれば満足だ」という人材を採用することだ。
高い収入はもちろん、やりがいや社会の公器たらんというような情熱も持っていない層だけ採れば、
そこまでの惨状にはならないだろう。
要は、最初から仕事を消化試合だと思っているタイプを採るわけだ。

「そんなのじゃ仕事は回らないよ」というのであれば、システム自体にメスを入れるしかない。
飲めば一発で直る処方箋なんて存在しないのだ。


※精神科医の著作にはいい加減なものも多いが、氏は数少ない「信頼できる書き手」だ。
 「ビジネスマンの精神科」は、メンタルトラブル対策の重要性を理解する上でも有用なハンドブックだろう。

事業仕分けを毎年やるのは時間の無駄

2010-04-20 10:20:21 | その他
今週末から事業仕分けの第二弾がスタートする。事情はよく知らないが、厚労省の独自仕分けも
先行実施中だ。論文一本6千万で話題となった労働政策研究・研修機構も含まれている。
「なぜこんな高コストなのか」と仕分け人が突っ込んでいたが、理由は簡単。
やっている仕事ではなく、働く人の都合100%でコストが決められているからだ。
現状では厚労省で不要となった官僚の養豚場なので、えさ台が高くつくのも仕方ない。

さっさと民間委託しておっちゃんは役所に引き取らせ、捨扶持で資料整理でもやらせておくとよい。
そんなの送り返されても若手も迷惑だろうが、民間はどこだってそうなのだから我慢するべきだ。
何より、そういう状況が厚労省内部でも出現することで、労働市場全体をパッケージで認識できるように
なるのではないか。というわけで民主党はがんがん攻めるといい。選挙を前に貴重なポイント稼ぎになるだろう。

ところで、一連の仕分けを見ていて思うのは、攻め手も守り手も大変なエネルギーをともなう作業である
ということだ。
向こうだって食い扶持がかかっているわけだから全力で抵抗するのは当然で、あらゆる手段を使って
天下りを維持しようとしてきたし、これからもそうするはずだ。

一度、溜まり切った膿は出さなければならないとしても、毎年こんなことを繰り返すのは実に無駄である。
天下りをばれないように偽装したり、それを掘り返す作業のために、役所や政治家に給料を払っている
わけではないのだ。彼らにはもっと他にエネルギーを使うべきことがあるだろう。

つまり、仕分け自体、対症療法の一つなのだ。
本丸は「天下りしたくていてもたってもいられない」というインセンティブを無くすことで、
それには組織内で流動化を進める以外にはない。

実は、公務員制度改革では、今でも民主党に割と期待している。
自治労は公務員制度改革に乗り気でないそうだが、キャリアとノンキャリの格差廃止等、メリットも
少なくない。ちゃんと説得さえすれば、説得できない話ではないだろう。
そして、官僚の人事制度が望ましい方向に進めば、大手の民間に少なからず影響するはずだ。
はっきりいって何一ついいことをしていない鳩山政権だが、宝物は足元に転がっている。

今どき「残業、全国転勤あり」の環境で働きたがる方がおかしい

2010-04-16 15:30:48 | 世代間問題
男女の別によるコース別採用というのは禁じられているものの、それは今も変わることなく存在し続けて
いる。「男は総合職、女は一般職」というのは、日本型雇用の伝統的住み分けだ。

年功序列と言ってもみんなにポストをプレゼントするわけにはいかないので、年功だけ積んで序列を貰わずに
“名誉除隊”してくれる費用対効果の高い兵士は必要。
同時に、終身雇用の掟である全国転勤というのは、どちらかが家庭に専念しないとなかなか維持できない。

という事情で、日本型雇用の中には男女の身分差というものが根強く残されている。
日本の男女間の賃金格差が、イランやフィリピンより大きいのはこれが理由だ。

ただし、日本型雇用は崩壊のプロセスにある。
こうなると昭和型の住み分けが崩れて多様化が始まるのは当然だろう。
本来、長時間残業や全国転勤といった滅私奉公は、まあ全否定はしないけれども、それを良しとするのは
ごく一部の人間だけであるはずで、男子全員にそれを求めるカルチャーの方がよっぽどおかしい。
そういった昭和の歪みが消えて、ようやく他の先進国並みに社会が健全化しつつあるわけだから、
これはポジティブに受け止めるべきニュースである。

報酬システムから言えば、「明らかに割に合わなそうな会社」で滅私奉公するよりも、適当に
ワークライフバランス重視で働く方が合理的ということだ。
そういう組織にあって「俺の若いころは月100時間残業が基本だ」と言ってる奴も
「マジですか、俺も頑張ります」と信じちゃってる人も、あんまり頭は良くないと思われる。

なんてことをお話しすると「それでは誰が日本を引っ張っていくんだ!?」という質問も良く受けるが
そういう肉食系の人材はちゃんとリターンが望める職に移っているので心配ない。
むしろ、国内市場頭打ち、縮小確実の大手生保で「理由を一生懸命分析中」という人事の方が心配だ。
その手の人材の応募が増えたということは、きみんとこの会社にはそれくらいのリターンしかないと
思われてるわけだ。
大手生保については、その予想はたぶん正しいだろう。

4月15日(木)のつぶやき

2010-04-16 00:50:08 | その他
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やっぱ新興国は違うな… RT @consultantnavi :インドもアクセンチュアも強気ですねー アクセンチュア8000人を採用する予定 http://ff.im/-bD933
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昨日取材のあった某誌、電話で「やっぱり今回はコメント使いません」だって。オヤジ視点じゃなかったからだろうな(笑) 来週号の記事が楽しみだ。
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4月14日(水)のつぶやき

2010-04-15 00:46:57 | その他
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フライデー4.9号「たちあがれ日本は石原新党」ギリギリまで発表伸ばして土壇場で石原氏合流表明、参院選出馬。インパクトで無党派層及び自民残党取り込み。この戦法は99年都知事選と同じ。
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黒幕はナベツネで最終目標は民主との連立。くしくも同じ号の渡辺喜美インタビューでも「“たちあがれ”は自・民大連立の焼き直し」と指摘しているから、正しいのだろう。社民と国民新党を叩きだしてくれるならこっちの方がいいな。
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今週号のSPA!は「自民党の自分探し」 やりたいことが見つからずに悩むのは若者だけではない。「俺は平成の龍馬になる」といって何をやるのか分からない邦夫君(61歳)など、自民党は今でも青春真っ盛り。
14:14 from web
最近、ゆとり新人に関する取材が多い。今日も「メールで済ませる新人についてどう思いますか?」と聞かれたので「ワードを一々打ち出してFAXするお宅のベテラン編集者の方が問題だ」と言ったら若手が爆笑してた。
18:28 from twitterfeed
インタビュー「新卒の保守化が物語る労働市場の溶解」: ダイヤモンドonlineにインタビュー掲載中。 http://bit.ly/9FcjSF
18:32 from web
よくこんなこと書けるなあ、と思ったらなんだ、WSJか。:トヨタ:深まる内部対立: http://bit.ly/dAcxSl
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4月13日(火)のつぶやき

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宇都宮日弁連会長と西尾幹二氏の奇妙なロジック: VOICEは論壇誌の中で「漸進する保守」というキャラが立ってきた気がするが、それでもまだまだ
後退する保守も顔を出す。
西尾幹二の「愛国心なき経営者は職を去れ」を読めば、“後退”と... http://bit.ly/bJ8NIk
12:38 from web
昨夜のカンブリア人材特集。マック、王将と外食が続いてげんなりする中、柳井氏が「形から入るな、もうサラリーマンはいらない、社員は自営業者になれ」と前半部を全否定してたのは笑った。
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フォローすると、マックの「キャリアなんて考えるな、与えられた仕事を期待以上にこなせ」というのも、ああいう組織では正しいのだろう。でもそれってホワイトカラーではないから。
13:05 from web
仙谷さんはいいブレーンがついているんだろうな。消費税にも言及しているし。: 需給ギャップ解消による脱デフレはマイナス: http://bit.ly/93rn7V
19:51 from web
【J-CAST会社ウォッチ】就職人気第4位! 若者の希望の星、日本郵政 http://www.j-cast.com/kaisha/2010/04/13064421.html
by joshigeyuki on Twitter