今週号のアエラ合併号、消費税特集に回答しているのでご報告。
スペースの関係で僕個人の名前しか出ていないが、回答は若者マニフェスト策定委員会のメンバーと
行っている。我々が提案している消費税の引き上げ幅は、30%だ。
内訳はこうだ。
2010年度予算の財政赤字44兆円。新幹線や東名高速のように、将来にわたって有益なモノを作る投資
ならともかく、ただ赤字垂れ流してるだけなので、ツケは我々みんなが払うべきだ。
(そもそも、既に郵貯限度額を引き上げねばならないほど発行余力は限定的)
というわけで、消費税1%で2.5兆円として、約18%。
次に、これから確実に増える社会保障分についても、今から手をうっておかなくてはならない。
(年金や医療といった)社会保険料だけでは賄いきれない公費負担は、現在約40兆円。
これは高齢化のピークに近い2055年度にはおよそ70兆円にまで増加すると予想される。
増加分をとりあえず消費税でまかなうとすれば、当面6%、最大12%ということになる。
財政赤字分と合わせて30%の引き上げが必要というわけだ。
ただし、手を打つのが早ければ早いほど数字は低くなる。
社会保障分については、最初から9%程度に引き上げておけば、運用益とあわせて増加分をまかなえる。
また、社会保障制度の確実性が高まれば、それは負担ではなく貯蓄の性質が強まるので、実質的負担増と
言えるのは18%ほど。
(今は「どうせ自分らの時には貰えないだろう」と多くの現役世代が信用していないため、
負担感だけが異常に強い)
さらに言えば、現在の社会保障の公費負担の3割強は財政赤字で賄われているとされる。
つまり、この分も負担増というよりは貯蓄とみなすと、さらに12兆円約5%を増加分から差し引けば、
実質的な負担増と言えるのは13%程度ということになる。
まとめると、以下になる。
持続可能な社会を作るために必要な消費税引き上げ幅30%のうち、
・将来への貯蓄として17%(それも、すぐにでも引き上げ可能なら14%程度)
・財政赤字として若年層にツケ回ししている分を消費税としてみんなで負担13%
ということになる。全世代で公平に負担するわけだから、なんて素晴らしい案だろう。
「景気が悪くなったらどうなるんだ」という声もあるかとは思うが、
財政の持続可能性という重大問題を前に、そんなみみっちいことを
気にする必要はない。
ちなみに、回答者21人中、「10~15年内での破綻」を予想しているのは8人。これだけ見れば
まだ余力はありそうに見えるが(といっても3割超が破綻予想だが)、非破綻サイドが必ずしも
安泰だとみなしているわけではない。
「優秀な人材を海外から入れる戦略を実現できれば回避可能」(加藤出)
「15年以上の長期では確実に破綻状態だが、当面の数年間は大丈夫」(小林慶一郎)
「ギリギリ一歩手前で国民が増税に賛成するはず」(永野良佑)
という留保つき非破綻派(破綻自体はありえる)とする論者が少なくとも3名はおり、これを
カウントすれば破綻派が逆転する。
もちろん「増税だけに頼らず、経済を成長させる方法」はしっかり考えるべきだが、とりあえず
ダダ漏れしている予算はきっちり閉じるべきだろう。合わせて成長戦略を実行すればいいだけの話である。
だって、まずは成長を!と言っている人は、もちろん頭の中に明確なプランがあって、すぐに
実行可能なんだろう?だったら一緒にやればいい。
財政はペイ・アズ・ユー・ゴーが基本であり、次世代のツケで飲み食いするのはマナー違反である。
恐らく、頭では理解できても、単純に「そんな数字は非現実的だ」と感じる人は多いだろう。
それは正しい。ただし、非現実的なのは、バブル崩壊後、抜本的な手術も努力もしないまま、
以前と同じ生活水準だけを要求し続けてきた日本人の頭の中である。
国家が破産寸前にもかかわらずゼネストやっているギリシャ人を、日本人は笑えない。
というわけで、道は二つしかない。これだけの負担をするか。
それとも、医療、年金といった 社会保障自体にも大きくメスを入れるか。
まずはこの現実を直視することが議論の第一歩となるだろう。
スペースの関係で僕個人の名前しか出ていないが、回答は若者マニフェスト策定委員会のメンバーと
行っている。我々が提案している消費税の引き上げ幅は、30%だ。
内訳はこうだ。
2010年度予算の財政赤字44兆円。新幹線や東名高速のように、将来にわたって有益なモノを作る投資
ならともかく、ただ赤字垂れ流してるだけなので、ツケは我々みんなが払うべきだ。
(そもそも、既に郵貯限度額を引き上げねばならないほど発行余力は限定的)
というわけで、消費税1%で2.5兆円として、約18%。
次に、これから確実に増える社会保障分についても、今から手をうっておかなくてはならない。
(年金や医療といった)社会保険料だけでは賄いきれない公費負担は、現在約40兆円。
これは高齢化のピークに近い2055年度にはおよそ70兆円にまで増加すると予想される。
増加分をとりあえず消費税でまかなうとすれば、当面6%、最大12%ということになる。
財政赤字分と合わせて30%の引き上げが必要というわけだ。
ただし、手を打つのが早ければ早いほど数字は低くなる。
社会保障分については、最初から9%程度に引き上げておけば、運用益とあわせて増加分をまかなえる。
また、社会保障制度の確実性が高まれば、それは負担ではなく貯蓄の性質が強まるので、実質的負担増と
言えるのは18%ほど。
(今は「どうせ自分らの時には貰えないだろう」と多くの現役世代が信用していないため、
負担感だけが異常に強い)
さらに言えば、現在の社会保障の公費負担の3割強は財政赤字で賄われているとされる。
つまり、この分も負担増というよりは貯蓄とみなすと、さらに12兆円約5%を増加分から差し引けば、
実質的な負担増と言えるのは13%程度ということになる。
まとめると、以下になる。
持続可能な社会を作るために必要な消費税引き上げ幅30%のうち、
・将来への貯蓄として17%(それも、すぐにでも引き上げ可能なら14%程度)
・財政赤字として若年層にツケ回ししている分を消費税としてみんなで負担13%
ということになる。全世代で公平に負担するわけだから、なんて素晴らしい案だろう。
「景気が悪くなったらどうなるんだ」という声もあるかとは思うが、
財政の持続可能性という重大問題を前に、そんなみみっちいことを
気にする必要はない。
ちなみに、回答者21人中、「10~15年内での破綻」を予想しているのは8人。これだけ見れば
まだ余力はありそうに見えるが(といっても3割超が破綻予想だが)、非破綻サイドが必ずしも
安泰だとみなしているわけではない。
「優秀な人材を海外から入れる戦略を実現できれば回避可能」(加藤出)
「15年以上の長期では確実に破綻状態だが、当面の数年間は大丈夫」(小林慶一郎)
「ギリギリ一歩手前で国民が増税に賛成するはず」(永野良佑)
という留保つき非破綻派(破綻自体はありえる)とする論者が少なくとも3名はおり、これを
カウントすれば破綻派が逆転する。
もちろん「増税だけに頼らず、経済を成長させる方法」はしっかり考えるべきだが、とりあえず
ダダ漏れしている予算はきっちり閉じるべきだろう。合わせて成長戦略を実行すればいいだけの話である。
だって、まずは成長を!と言っている人は、もちろん頭の中に明確なプランがあって、すぐに
実行可能なんだろう?だったら一緒にやればいい。
財政はペイ・アズ・ユー・ゴーが基本であり、次世代のツケで飲み食いするのはマナー違反である。
恐らく、頭では理解できても、単純に「そんな数字は非現実的だ」と感じる人は多いだろう。
それは正しい。ただし、非現実的なのは、バブル崩壊後、抜本的な手術も努力もしないまま、
以前と同じ生活水準だけを要求し続けてきた日本人の頭の中である。
国家が破産寸前にもかかわらずゼネストやっているギリシャ人を、日本人は笑えない。
というわけで、道は二つしかない。これだけの負担をするか。
それとも、医療、年金といった 社会保障自体にも大きくメスを入れるか。
まずはこの現実を直視することが議論の第一歩となるだろう。
私の読み方が
間違っていたらすいません。
城先生は生活必需品等一部のものにに消費税をかける
適用除外しない方がよいというお考えなのでしょうか。
生活必需品等では一部適用除外はやっぱり無理でしょうか。
違う雑誌ですが週刊ダイヤモンドの野口ゆきお先生は
インボイスを導入すればもしかしたら消費税一部適用
除外できるかもしれないと書いてあるようによめました。私の解釈が間違っていたら本当にすいません。
30%案ですが、あくまで対症療法としては賛成です。
ただ、個人的には、日本の財政は解決不可能であり、長い目で見るならばむしろ一度財政破綻したほうがいいと考えています。
大日本帝国から日本国に移ったとき、国債は実質的にデフォルトしました。しかし、日本はその後立派に立ち直りました。
これと同じように、一度デフォルトさせて新しい政府を作った方が、日本を立ち直らせるためには、一見遠回りに見えるものの、長い目でみたら日本のためになるように私は思います。
そういえば、この前NHKでギリシャの財政問題が取り上げられた時、日本は大丈夫か?という疑問に対して「日本の国債はギリシャより格付けが高いから大丈夫」とか、「財政規模が違うから比較にならない」なんてこと言って日本は問題ないとしていましたが、どう考えても他人事じゃないだろうと思いました。
私も財政とかあまり分かりませんが、どう考えても今の日本は危ないとしか思えません。まあ、日本を信じていないから外国に脱出してしまったんですが。
このまま日本が沈没するかどうか見させていただきます。なんせ、何も我々にできることはないんですので。
適用除外しない方がよい
無理というより、社会保障でその分低所得者層に手厚くすればいいだけの話なので、どっちでも変わらない。複数税率を作ると事務コストがバカにならないし。
>ただ、個人的には、日本の財政は解決不可能であり、長い目で見るならばむしろ一度財政破綻したほうがいいと考えています。
実は、この意見は少なくない。今回も藤巻氏などは「消費税40%でも無理」と断言している。
ただ、破綻と言ってもパーになるわけではなくて、インフレと大増税と緊縮財政がセットでくるだろうから、ゼロリセットされるとは限らないと思われる。今のうちから出来ることはやっておくべき。
ちなみに、消費税20%以上への引き上げを提言しているのは藤巻氏を入れて8名なので、我々の数字は突飛というわけでもない。
城さんの綿密な計算に基づいて30%という数字を提示してるのでしょうから納得はできますが、私は社会保障を徹底的に潰す方を望むのでやはり10%くらいがいいです。極論を言えば「歳よりはとっとと死ね」って話です。以前たかじん委員会で勝谷氏が「高齢者は死ねばいい」的なことをずばり言っていておそらくかなり非難されたと思いますが若者世代のホンネだと思います。
景気縮小を「みみっちいこと」とおっしゃっていますが、この不景気で何人の人が首をくくっているのかご存知ですか?
あなたの論説はごもっともな部分が多いにありますが、日本と日本人を元気にする視点が欠けていると思います。まるでIMFによる財政再建のようですね。IMFはようするに借金取りですから切り取りえげつないですよ。日本人同士でそんなことする必要がはたしてあるのでしょうか?
私はまずある程度の規模の景気対策、それからプライマリバランスの黒字化の順だと思います。麻生総理が続けていれば今頃世界トップの景気を維持してたと思いますよ。その上であなたの言われる行政の効率化を行えばいいのです。
それ自体がない、改革をやればやるほど最貧層のセーフティネットは削られる、というイメージになり、それが改革に対する反対、というか「叩きのめされて考えるのも怖くなってうずくまる」状態を強めているような。
ネットなどでは「自己責任、弱者は餓死しろ」も強いですし。
まあできたら「全員に屋根」と「貧乏な親から生まれた天才児は無駄にしない」も加えてほしいです。
「誰もが尊厳を得られる職」は無理でしょう。
「無駄に複雑で何の生産性も無いルールの処理」で御飯食ってる人は一本化の流れに反対するでしょうけど。
スーパーで買ってくる鶏肉は生活必需品だから適応除外で、高級レストランで提供される鶏肉は嗜好品だから課税対象であるとか、スーパーの肉でも、和牛だけは課税対象・・・と言う風に、区分けが面倒なことになるのでは。
その時代背景による、恣意的なものも区分けに入ってきそうで、納得感が意外と得られないかもしれません。
それに、同じものでも各人の生活様式や生活地域で、生活必需品の範囲は変わるでしょう。
(例えば、自動車は田舎では生活必需品という意識の方も多いでしょうが、都会では贅沢品(嗜好品)と言う意識の方も少なからずいるはずです。)
各業界では課税対象から逃れる為(=実質値上げを防ぐ為)に大変な議論をし、不要な労力を使うことになるでしょうね。
企業にとっては明らかにマイナスでしょう。
また、課税対象の範囲を決めるのに学者を呼んで議論したり(1度の出席でウン万円×十数人とか払うんでしょうか)、果てには専門部署を設けたり、課税について研究する法人(=天下り機関?)を作ったり・・・実際の費用や時間など、かかるコストが膨らむかもしれません。
それが税率に跳ね返らないとも限らない。
徴税の仕組みはなるべくシンプルなほうがいいと思います。
社会的弱者には手当てでその分を戻す。
(そう思って、マニフェストで子供手当てを打ち出した(ちなみに私は子供はいません)民主党にちょびっと希望を持った私でしたが、うーん・・・)
個人的には消費税増額、それに対して所得税・住民税・法人税を若干下げるのが良いと勝手に思っています。
プラマイゼロにしたら財政再建の役に立たないから、全体では増税方向でしょう。
昨年度の法人税還付もすごい額でしたし、お金持ちは節税にいそしんで何とか税金を納めないように必死だし。
それだったら消費税で一律に取っちゃったほうがすっきりキレイに取れるんじゃないかしら。
(でも、増税って言ったら選挙に落ちちゃうから誰も言わないのよね。だから足りない分を国債で補って、ここまで債務が膨らんだとも言えるけど)
>これと同じように、一度デフォルトさせて新しい政府を作った方が、日本を立ち直らせるためには、一見遠回りに見えるものの、長い目でみたら日本のためになるように私は思います。
確かに今までのものを残しながらとか、今まで築かれた制約の範囲内で新しいことを始めるのはものすごいエネルギーが要ります。
ならば基の構造から変えちゃったほうが早いと考えるのは当然かも。
(ちなみに私もかつてとある企業で、会社の「ど中枢」に放り込まれて「小間使い」をした経験がありますが、色んな力に挟まれて揉まれて翻弄されて、当時は疲弊しまくっていました(笑)。)
江戸幕府の崩壊後と太平洋戦争の敗戦後に社会が劇的に変わったのは、必然だったのかもしれませんね。