不平等社会日本―さよなら総中流 (中公新書) | |
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先週、ドイツに出張してきたのだが、ハンブルグ商工会議所の課長さんから面白い話をうかがった。
企業フェアのようなイベントを企画して、貿易実績のあるアジア諸国の企業に参加を打診した
ところ、マレーシアや中国、韓国といった国からは待ってましたとばかりに、それぞれ50社以上
のエントリーがあった。
ところが、日本からは〆切間近になって、ようやく10社ほどがエントリーしただけだったそうだ。
もちろんこれは震災前の平時の話。企業が営業を自粛する理由など何もない。
「いったい、日本で何が起こっているのか」と、親日家の多いドイツ人は本気で心配していた。
ついでにいうと、この手の話はけして珍しいものではなく、
「100億規模のコンペのオファーが来たのに、部署間でたらい回しにした挙句に不参加」
なんて話は大手企業ではたまに聞く。
よく「最近の若者は内ごもりだ」という論調があるが、少なくとも海外から見れば、日本全体、
上から下まで内ごもってるように見えるらしい。
佐藤優風に言うなら、戦後日本というシステム全体が空洞化し、自壊しつつあるのだろう。
この構造について、分かりやすい形で触れているのが本書である。
本書で言うところの「ホワイトカラーの上位層」(以後“W雇上”)は、日本型雇用が保証される
二階部分と考えて問題ない。そして、そのW雇上の多くが、団塊以降の世代では親も同じW雇上であり
一種の身分制度として世襲されていると喝破する。
もっとも、それ自体はどこの国でも普通に見られる現象だ。
誰だって自分の子供の教育には金をかけるものであり、遺伝子で振り分けでもしない限り、
経済格差の影響を成績から完全排除するのは不可能だ。
問題は、曖昧な選抜基準や硬直した雇用慣行によって、その身分制度化が強化されている点にある。
W雇上の家庭に生まれ、W雇上になるのが当たり前という雰囲気の中で育つことで、
何をやりたいのかという目的意識を欠いたまま、曖昧な形で選抜競争を勝ち抜き実績を作る。(中略)
その結果、“実績”は何かが出来るはずだという責任をともなう資格という意味を失い、たんなる
既得権へと変質していく。いわばW雇上の家庭に生まれたという既得権によって“実績”をつみ、
そうすることで、その“実績”自体もまた既得権化してしまうのだ。
さらに言えば、困ったことに、この疑似貴族階級は、ノブレス・オブリージュ的な階級への責任感
も持っていない。
西ヨーロッパのような明らかな階級社会であれば、たとえ競争という形をとっても、
それ自体の不平等さが目に見える。(中略)自分がその地位にふさわしい人間であることを
目に見える形で積極的に示さなければならない。
階級社会特有の「高貴な義務」という概念がそこに生まれる。
これが、社会の上位にどっかりと居座る、無責任で無反応で空虚な暗黒物質の正体だ。
普段はこれといって努力しないけれども、いざ自分の取り分が削られそうになると、
マルクスから内田樹まで総動員して屁理屈こねまくる人って、誰でも一人くらい心当たりあるだろう。
自身の生産性はまるっきり棚に上げつつ
「我々には雇われる権利がある」と息巻くJALのリストラ社員が典型だ。
よく「若者の内ごもりについてどう思いますか?」という質問をされるのだが、個人的には
内ごもりなのは社会全体であり、彼ら若者は空気を読んでいるにすぎないと考えている。
日本全体が海外に目を向けていたバブル期、その流れで猫も杓子も「海外勤務希望です」と言って
いた先輩たちと、本質的にはまったく変わっていない。
変わったのは日本を取り巻く環境であり、55年体制に引きこもって見て見ぬふりをし続ける日本が
停滞するのは、ある意味で当然の結果だろう。
僕は15年前に学校を卒業して就職した人間ですが、当時も既得権というものを強く意識させられましたし、
今では年を食って若者から見れば既得権を持ったずるい人間に見えるのでしょうけどね。
>マレーシアや中国、韓国といった国からは待ってましたとばかりに、それぞれ50社以上
のエントリーがあった。
その3つは形振り構わずを挙げて英語教育を促進してきた国々ですね。
日本では(英語のできない)英語教師という巨大な既得権者が居座っていますが。
冗談じゃなくて、日本人が英語ができないのは英語教師がいるからだと思います。
震災後、お元気でいらっしゃいますか?
なんか、今の日本の社会問題を暗示するような記事でしたね。ぼくも、その原因を自分なりに考えてみました。
1)中途半端なジェネラリストおよび専門家の育成、それに伴う人材の適所適材ができていないこと。
よく指摘されてきましたように、日本の学校・大学教育は、省庁・企業内での仕事の融通が利く、ジェネラリスト養成が狙いだったと思います。だから、大学院教育や高い学位などが尊重される様な風潮はなかったと思います。「ジェネラリスト」といえば聞こえがいいかもしれませんが、言い換えれば、その人の能力や才能などにあまり特徴がないわけで、本来の役職に就いていないことになります。もちろん、幅広い教養や仕事内容全体を把握している人間も必要ですが、仕事が専門化・細分化される時代にあまり向かないのでは?
2)パワー・エリート&リーダー不在と、意思決定能力の欠如
省庁や企業に、部署やプロジェクトのリーダー、その組織の最高責任者はいるでしょうが、ちょっと存在感が薄いのではないでしょうか?また、そのリーダーは、組織の構成員たちに、大目標は何か、今、組織全体としてどのような状態になっているのか、などを伝達できているでしょうか?次の「具体的な」一手は?人、物、情報、金を使いこなせているでしょうか?
あと、おまけとして...、
3)必要以上に海外の組織や人間を恐れている。または、海外でのビジネスを知らなさすぎる。
今、海外にいる私から見て、ひいき目なしに、日本人はまだまだ勤勉で、能力のポテンシャルも高いと思います。日本語訛があっても、それなりに英語なり、中国語なり、他の外国語を話す人もいますし。ただ、まだまだ多くの人が、必要以上に海外に対して身構えているような気がします。東京に長く住んでいても、アジアが遠く感じてしまいますから。日本の優れた商品やサービスをどんどん海外でも売るべきでしょう。ただ同時に、商習慣や国際特許などのビジネスのルールをも徹底的に学んでおくべきですね。
そういう意味で、城さんがおっしゃるように、人材の選抜基準が曖昧で、そのように選抜された人たちが、与えられた役職で能力を発揮できていないのではないでしょうか?
つまり、明確な目的意識がないまま人選をし、働いているその人も何のためにその仕事をしているのか、わかっていないのだと思われます。
盛り上げるだけ盛り上げて、最後は「お前らこうなるからおぼえとけよ?」みたいな。(笑
札幌 税理士
頑張って下さい、応援しています^^
そういえば「OL殺人事件」の被害者も、東電社員子弟の慶応経済卒総合職で、勤務態度にかなり問題があり、明らかな摂食障害だったけど、そこそこ出世してましたし。
巨額広告費のせいか、大手マスコミは今のところ東電をたたいてませんが、WSJなどは容赦がないですね(トヨタのリコール報道の内外差を思い出します)。国内メディアも東洋経済など、核心を追及する動きも始まっています。来年度は東電広告費は激減するでしょうし...
城さんを含め、今後の報道を期待しています。
ゴン☆!!!
〇(ヽ∀。 )o
(。・ロく)
ゴン☆!!!
〇(ヽ∀。 )o
§;☆_◎§
ゴン☆!!!
〇(ヽ∀。 )o
(;☆ω◎)
ヽ(。☆ω◎)ノ
ヒィーーーッ!!
こいつらってテメーの生活さえ成り立てばそれ以降の若い連中を平気で食い物にできる神経の持ち主なんだよな。つかサギじゃネーカヨ全員。
あまりにもくだらねえ人間が多すぎんだよ。苛々スンだよ!!!
(。・ロ<)メ(>ロ・。)
ワーーーーーーーッ!!
戦え!ケンカの城繁幸
アメリカ経済を赤ん坊のように後追いする祖国日本・・・
これは自民党時代のいい加減さだけど、今度は(主に首脳陣が)親中・親韓の民主党政権。
政権交代が、ただ媚びる相手を変えただけなら目も当てられない。
これも国民の政治に対する無知さゆえなのか・・・
城さんは、日本が変わるために打つべき最初の一手(政策等)とは何だと考えてらっしゃいますか?