カルネ(CARNE)
1994
ギャスパー・ノエ(Gaspar Noe)
随分前から存在は知っていたのですが「アニエス・ベー絶賛!」という何狙いなのかよくわからないコピーのせいで鑑賞せずでした。
割とショッキングな映像で構成されているとのことで期待してみてみたんですが、映像としてはそれほどでもなく。この辺はもうマヒしているからですね。どんなにエグい映像を見せられても、そこに自分を投影できないとあまり感じることはないです。記号としての映像の刺激というのは意外性と価値観に因っているところがほとんどだと思うので、前後があるか、入り込むかのどちらかがないとスルーしてしまう。冒頭にあっても「この映画はこういうテイストですよ」というアナウンスにしかみえなかったり。
ただ、本作の場合は冒頭の馬を肉におろすシーンはただの記号として扱っている。「肉に勝手に感情移入すんな」というものだったのでは。
全編の描き方は、ある男の人生の一部を傍観する目線で構成されており、そこに画面に文字とナレーションで詩のような言葉がインサートされたりします。スライドショーを観ているような感覚。
ストーリーはこんな感じ。
ある夫婦がいた。望まれない子供を妊娠した嫁は女の子を出産すると家を出て行った。その後、男の興味は娘にのみ注がれることになる。口をきかない娘を寵愛し、いずれ少女は大人になり、言い寄ってくる男の存在も、ソレを知った男の行動とは・・・。
というロリコンの近親相姦で破局モノかと思いきや、意外と良い話だった気がします。なぜか鑑賞後はある種のカタルシスが。
中盤までの手触りはリンチ監督の「イレイザーヘッド」っぽいなぁ、なんて思ってたんですが、内容は全く違います。
男の行動は「すべては自分の娘のため」と一貫しています。序盤はそれがだたの偏愛の様にも見えるんですが、意外とそうでもない。
あんまり歪んでない。至極まっとうな愛情表現。
不思議な映画です。
尺が40分とかなりコンパクトでちょっともったいなかった。もう少し長くても全然観られます。
人生を極端に短く描くとこういう事になるでしょ?という方法のための映画だったのかもしれません。
面白い映画です。
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ハネケ監督のファニー・ゲームなんてもんじゃないのかしら。
そりゃ、楽しみにしときます。
っつうか「今の」って・・・。