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バーバー
2001
Joel Coen (ジョエル・コーエン)


久々にコーエン兄弟の作品を観ました。
近年珍しいくらいの映画作品としての良心が詰まった作品です。
映画を映画として撮っています。
オリジナルのモノクロで観るのがオススメ。
どうしてカラーのバージョンが出ているのでしょうか。謎です。

ある小さな床屋の無口な冴えない理髪師の奇妙な運命を映画板作品。
サスペンス風味。
実直すぎる男のちょっとした冒険が招く一時の波瀾万丈。その結果の破滅をモチーフとした作品です。


BRUTUS 2007年 12/1号での映画特集ではブラックユーモア作品として紹介されていたのですが、その「ユーモア」を日本語で言う「滑稽」という言葉に置き換えたんですね。「笑い」ではなく。
多分、日本で言うユーモアというのは笑いに直結してしまっていて、そこに欧米とはズレがある様です。
ユーモアというのはセンスに因るところが大きく、何をしてユーモアと捉えるかに人の質が見える気がします。
行き過ぎたユーモアはグロテスクな見せ物小屋に帰結してしまうのかもしれません。
テレビ芸人の様な中途半端な揚げ足取りで笑える方が幸せなのかも。
本作はそこまで行っていませんが、その境地に行ってみたい気もします。

本作では随所に主人公の滑稽さが現れていますが、それをして笑いにはなりませんでした。私には。考える(理解する)ことが先に立ってしまい、それを一瞬でユーモアと捉えることができませんでした。


中盤で急に面白かったのが、極端に無口な男の話であるのに、全編がその男のモノローグで構成されていること。「超饒舌じゃん!」ということに気付いた瞬間でしょうか。
もしかしたら、それだけを狙った作品なのかもしれません。

けれども、その寡黙で不器用な男の描き方に、人を描くことに長けたコーエン兄弟の技量がゴリゴリに効いています。

17才のスカーレット・ヨハンソンのぎこちなさも絶品。その筋の方にも楽しめる作品です。


コレは好き。

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