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池田亮司『concert pieces』『the radar [kyoto]』感想。@京都国際舞台芸術祭2016

2016年11月09日 23時15分00秒 | アート・文化
一日、池田亮司作品三昧。
いやぁ、すごかったですね。
池田さんの凄さを思い知りましたね。


早速ですが、「concert pieces」の4作品から観た順に。


「C⁴I」
軍事的オペレーションにおける指揮統制のための情報伝達・情報処理システムの名称をタイトルにしたこの作品(パンフレットより)。
言語がやはり英語で細かいところはよくわかりませんでしたが、「その時」は本当にやってくるかもしれない、という警告とも取れる訴求はもの凄い深刻感を持って迫ってきました。
これまで観賞した池田作品の中でいちばん直接的であり社会的訴求が強く感じた作品です。

「datamatics [ver.2.0]」
この作品は数年前に同じく京都国際舞台芸術祭で京都芸術劇場・春秋座で観賞した作品。→詳しくはこちら
微視的なDNAや分子から巨視的な宇宙まで、私たちの世界に浸透する不可視で多様な実体を持つ〈データ〉を知覚するための可能性を探る「datamatics」は、オーディオヴィジュアル・コンサート、インスタレーション、出版そしてCDへと展開してきたアートプロジェクト。その最終形(パンフレットより)。
なかなか無機質なデータを題材にしつつも、壮大な映像と音響を体感させてくれます。
少し気になったのは、前回春秋座で観賞した時よりも音響が尖っていたというか、硬かったというか。春秋座の時はもう少し柔らかく意外と非常に観賞しやすかった印象があったため、今回は少し耳につきました。どちらが作者的にはベストなんでしょう?

「formula [ver.2.3]」
音の周波数とスクリーン上の動きが完全に同期、観る者を二進法の幾何学で描かれる空間に配置し、その知覚を増幅させるための闇が探究される(パンフレットより)。
池田作品の中でオーディオヴィジュアルの部分でのいろいろな表現手法を見せてもらった気がします。他の作品にも言えることですが先進的な手法ですごく不思議な体験をさせてもらった感じがあります。そして他の芸術作品では見られないような「池田流」を感じました。

「matrix」
純粋なサインウェーブとホワイトノイズを彫刻的素材として用いたサウンド・インスタレーションのシリーズとして展開。
鑑賞者が音場を通過すると、その動きが音と干渉することで、微妙な振動パターンが耳の周りに発生し、極めて個人的な経験を生み出す作品となった。今回2016バージョンとして再構築、コンサート形式で日本初公開(パンフレットより)。
この作品は他の池田作品に比べると非常にシンプル。
始まると、真っ暗になる会場。しだいに聴こえてくる音。すべての意識が耳に集中する。
耳元で音によるパルス、音圧を感じながらその変化を楽しむ。15〜20分ぐらいつづく。
するといきなり目前が明るくなる。数十個の白熱灯のようなライトが観客席側に向いて一斉に点灯し眩しい。
シンプルでありながら考えられていて思っている以上の体験を観客に与えることができている作品。
池田さんがこの作品で、「世界の最先端を行くアーティストとしての称号を得た。」(パンフレットより)というのが納得できる。



そして、屋外で展示されていた、the radar [kyoto]


(展示の雰囲気を撮影した動画は→こちら。instagram。)

特設の巨大スクリーンに映し出されるのは、展示される地点の緯度・経度から観測できる宇宙を膨大なデータベースを元にマッピングしたイメージの集積となる。私たちの通常の知覚では計り知れない広大な宇宙の境界面を、研ぎ澄まされた映像と音によって体験する貴重な機会だ(パンフレットより)。
相変わらず奥の深い作品で、巨大なスクリーンと同様にこの作品のコンセプトの広大な視野、作品の壮大なる世界を感じざるをえない。
このようなアートが街中の公園にいきなりどーんと現れその場を非日常空間にしていることだけで十分にすごいことなんだが、それができている京都という街に憧れを持ってしまう。付け加えれば、すぐそばには蔦屋書店とスターバックスがあり、例えばコーヒーを飲みながらでもこの作品を楽しむこともできてしまう。
作品についてはできれば集積されたイメージの解説などを聞きたくなるのだが、そうでなくともこの研ぎ澄まされた映像と音響がそんなことをどうでもよくしてしまう研ぎ澄まされた時間を作り出している。観賞した観客に少し贅沢な至福を与えている。


ということで、
池田亮司作品の5連発でしたが、個人的なことを言えば、これまで僕は実はそれほど池田さんを重視していなかったのです。
それは社会的訴求がいまいち少し薄いと感じていたからですが、そうではなく特に、のっけから「C⁴I」を観てその認識が誤りであることを思い知らされました。
他のダムタイプのアーティスト同様、社会的訴求を持っているアーティストとして認識させられました。
その点で、今回の観賞は特に有意義なものだったと思いました。
(翌日、体調不良になってもその甲斐はあったわけです^^;;;→こちらの記事参照。)

TB。--------

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