独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

検定ブーム

2006-11-30 | きもの

世の中検定ブーム。ついには「落語検定」なるものまで出来たそうで、知識欲と好奇心旺盛な団塊世代のリタイアなどもあり、まだまだ盛り上がりそうな検定ブームです。30年ほど前にトフラーが「第三の波」という未来予測本の中で情報化社会の到来予測しましたが、コレは見事に的中したように思います。情報化社会を推進したのは、パソコンの発達で、誰でもが様々な情報を容易に手に入れることが出来るようになり、さらにこのブログのように様々な発信が誰でも出来るようになってきた。玉石混交とはいえ、知識欲や好奇心を満たすことができれば、当然のように人は、人に見せたり、伝えたりしたくなり、評価や賞賛も欲しくなるのが常。その1つが検定ブームかな、と思っているのですがいかがでしょう。

検定ものの中で注目されるのが江戸文化歴史検定。2003年の江戸幕府開闢400周年以来、巷はちょっとした江戸ブームで、本屋を覗けば江戸本といわれる江戸っ子や当時の日本人の暮らしぶりや人生観などさまざまなジャンルの本が並んでいる。本格的な高齢化社会を迎え、どのように老い、どのように暮らしてゆくのか、そのお手本をどうやら江戸時代に求めているに思える。当然この流れの中にもきものはある。

検定ブーム、学校のように学ぶことを強制されているわけではなく、学ぶことが楽しくやっている人が多い。きものは日本の文化、歴史、しきたりや習慣と密接に絡んでいるだけに、学び始めるとその巾もひろく、奥行きも深く、面白い。しかもこのタイプは、知識を学ぶだけでなく、積極的に暮らしの中に取り入れ、実践してゆくから、自己表現としてのおしゃれも、暮らしのレベルもどんどん高まり、深まってゆく。このような流れの中に、すでにきくちいまさん始め有名無名の「ユーザー出身」の先生やファッションリーダーがたくさん生まれてきている。ネットを検索すれば、その数の多さに驚くと思うが、案外呉服業界の方は知らない。きもの実体験に基づく様々な知恵や工夫、きものを”着る”楽しさをどんどん増幅し、ファンや信奉者を増やし、結果的に市場を活性化し、いままでとは違う流れが着々とでき始め、それはやがては大河になるように思う。素人?が、ナンテ決してその力はあなどれない。となれば、きものの買い方も変ってゆく。 呉服店に求めるものも違ってくる。単に商品しか提供できない呉服店は、当然このようなお客には太刀打ちできない。一緒に学び、教え、楽しむ力がなければ、相手にされないし、きもの客を育ててゆける力がなければ、生き残れない厳しい時代になってきたと思います。

トフラーは、情報化社会の次に、さらに創造社会、知恵社会が出現すると予測していますが、この予測は、現実化しつつあるように思います。


不思議?!

2006-11-29 | 広告

調子の悪かった携帯、昨日で完全バッテリーダウン。原因は分かっているが、在庫がないので仕方ないかと諦め、機種変更にドコモへ。しかし万一と思い、「バッテリーありますか」と尋ねると「中旬まで入荷予定ありませんが、支店に聞いてみます」と電話してくれ、ナント銀座に1個あるとのこと。感謝のビーム光線を送り、いそいそと銀座に。感謝しつつ、念のため「もう1つ欲しい(アラレ分)のですが…」というと、「最後の1個があります」との返事。ありがとうございました、と感謝しつつ、店を出てからムクムク、不思議の念。あれだけ何軒も聞き、「ない!」とキッパリいわれていたのが、「あるじゃないか」。

ドコモショップは、結構アチラコチラにあり、店頭にはスタッフも多く、接客にはかなり研修もし、気配りをしているのが分かるのだが、心地よい接客と同時に、もう1つの肝心の商品サービスが不足しているように思う。肝心のケイタイの在庫切れも多いし、パーツになるとかなり機種も多いからなのか在庫切れが多く、かつ在庫情報が共有されていないようだ。パーツよりも、本体を売るほうが優先しているのか、理由は分からないが、ドコモだったら、在庫一覧など簡単にできそうに思うが、おそらくないのだろう。日進月歩する最先端のビジネス、旧式など使い捨てで、最先端に切り替えないお客なんていないだろう、というかのような発想。旧式といっても2年も経っていないが、使えるだけ使おう、馴染んだものを大切に使いたい、そういうお客様の思いや利便を考える発想がないように思う。しかし在庫はあろのだから、キチンと情報共有すれば互いに、売るチャンス、買うチャンスが失われないですむ。どんなにハイテクが進もうが、結局は人。ドコモの女の子の気配り、気遣いが私の問題を解決してくれた。マニュアルや会社情報にはない、接客する人の想像力、気遣い。やはり人なのですね。


家族写真

2006-11-28 | 広告

昨夜は、私が大学のクラブのOBOG会開催の下働きをしましたので、その慰労会。ま、そういう口実の飲み会。私の先輩ばかりですから、もう60代。いずれも現役の広告会社の社長さん達で、毎回会場が楽しみなのですが今回は、銀座の「そば所よし田」。文人画家が大勢出入りした老舗で、昔から憧れの店。ここに2階があると知らなかった。いずれもヤング&ルミカム、DDBなどアメリカの広告会社に憧れて入った人達なので、文人たちに愛されたよし田は格別の場所。久し振りに蕎麦屋のつまみで、蕎麦焼酎、仕上げは天セイロで、よし田を堪能。

その折ある先輩が「最近親が亡くなって、今まで送っていた孫や家族の写真がドッと戻されてきて、いま整理している」との話。そういえば親父が亡くなったとき、写真を整理して、お袋にあげたような。あの写真、どうなったんだろう。我が家も2人目はそうでもない、というより長女の100分の1も撮っていない。1人目のときは、あんなにせっせと写真を撮って両親に送っていたのに。特に親父が入院してからは、ほぼ毎日はがきを書き、孫の写真を送っていた。カレコレ2年くらい、だから600枚近くは、送っていたように思うが、親父が亡くなり、その写真やはがきはどこにいったんだろう。

12月号のミセスが「家族をつづる1枚の写真」大賞を発表しているが、「思い出の写真部門」はいずれも若き日の両親と子供のスナップ写真。愛おしさを押さえきれない撮る側と無邪気な、輝きに溢れた写真ばかりで、イメージが次から次へと膨らみ、見ていて飽きないどころか、感動してしまう。どんな思いでシャッターを切ったのだろうか。我が家にもおそらく何千枚という家族写真、ほとんどが子供の写真ですが、整理もせずに放り込んでありますが、いずれは整理するときが来るのだろうが、それは一体どんなときなのだろうか。


驚いた!

2006-11-27 | きもの

紅虎餃子など飲食店や、最近では京都に柚子屋旅館など「和」を取り入れた分野にも経営に乗り出している際コーポレーションが表参道に「きもの和処・東三季」という呉服店を経営しているとは知らなかった。今日、「旅と、着物と、和のしつらいー大人の和生活」を10月に企画・出版した主婦と生活社の方と昼食をご一緒したとき、お聞きして驚いた。このムック本は、「大人のきもの、青山スタイルで街に出よう!」というテーマで、この数年人気の青山・八木、スタイリストの森田空美さんなど、編集者に人気のモノトーンの洋服感覚のきものスタイルを特集した本で、いままでありそうでなかったコンセプトは、50代に人気で、来年4月には2号目を出す、手ごたえのよさだそうです。それにしても着物の人気は、すごく、新しい本を出しても、十分マーケットがあるとは、この編集役員のお話。

11月19日におこなわれた初めての「きもの文化検定」。東京は雨にもかかわらず2,609人、全国で7,236人(女性が89.1%、50代が27.5%、30代が23.6%、40代が21.4%)が受験したそうです。30代から50代の主婦や社会人が自分の着物の知識の腕試しに受けたという感じで、90分100問をマークシート方式で、4択で回答する方式に挑戦。アシェット婦人画報社で発行した検定教本は、この本から90%出題されるとあって、2,100円と比較的高額ながら初版から6版重ね、当初の予想、1万部を越える29,000部のヒットに。

前述の編集担当役員も「洋服では、着ているものを語るとどうしてもブランドのことが中心になってしまうが、きものは、着ているものの薀蓄から、コーディネートの物語など、ブランドではなく、自分のセンスや知性、着てゆく場や相手に対する思いやりや敬意などさえも伝え、語ることができる」。とその魅力の一端を語る。「大人の生活」1号で紹介した東三季のきものはすべて完売で「コーディネイトして、着て見せる、強さ。そして見るだけでなく、自分の目で確かめに行動して行く読者の多さに改めて驚いた!」と、青山スタイルをさらに進化させたいと次のテーマは「無地」だそうです。

アレコレでも今「無地」にスポットを当てようとしていますが、編集担当役員も同じで「縞、格子、無地」がいま注目され、反応がとてもいいそうです。

 


毎日が記念日

2006-11-25 | 月刊アレコレ

「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日

とは俵万智の有名な短歌ですが、なんとなんと本当にこの歌のお陰で、ドレッシングメーカーやスーパーなどが販促に利用し、7月6日が本当に「サラダ記念日」になってしまった。今年もキューピーは「短歌くらべ、サラダ記念日」と短歌を募集していた。

で今日25日は、OLの日だそうです。知っていましたか。理由は、女性週刊誌「女性自身」が行った「働く女性の総称は?」のアンケートの結果、オフィス・レディー(OL)が第1位となった。この記事をきっかけにOLという言葉が世間に浸透したことから、記事の掲載された1963年11月25日号にちなんだこの日を「OLの日」にしたそうで、制定したのは、さまざまな業種のOLの集まり「OLネットワークシステム」だそうです。制定された由来を聞いていると、ゴロ合わせやな、あ~んだ、と噴き出したくなるようなものも多い。

しかし調べてゆくと毎日必ずなにかの記念日で、366日への旅とか、日本記念日協会のホームページを見ていると、見飽きない。ここでは記念日文化?を普及させるために活動しているようで、新たな記念日も登録料は1件5万円だそうですが、申請すると審査認定してくれ、協会のホームページにも掲載してくれるそうです。ちなみにきもの関係では、5月29日の「呉服の日」、11月15日の「きものの日」、7月4日の「和服お直しの日」がありました。みんなで「振袖記念日」なんて作ったら面白いかも。


こだわった、甲斐があった!

2006-11-24 | きもの

人形町から茅場町まで、徒歩10分ほどのOさんの事務所に行くとき、最近は歩き。今日その途中にある茅場橋を渡ると、ついこの間まであった「京王プレッソ イン 茅場町」というホテルが跡形もなくなっていた。昨年の今頃大騒ぎした耐震強度偽造問題の姉歯物件の1つ。さすが京王で、すぐに休業し、建て直しを決め、いまようやく取り壊しが終わった模様。建築会社は竹中工務店。さすがに最初に懲り、今回は信用のある会社に依頼したようです。それにしても、1年前の狂騒が嘘のような時の流れの速さに改めてビックリします。誰に強要されたわけでもなく、貧乏には程遠い生活をしていたのに、ナゼ、姉歯氏がこんな偽装をしたのか、いまだにその原因、納得するような原因は分かりませんが、人生が狂うような苦しみを人に与えた被害の大きさに比べ、姉歯氏にその自覚や確信がない不思議な事件です。

先週の週刊ダイヤモンドが「品質の復讐」と題し、日本のモノつくりの品質の低下を特集していました。最近ではソニーのリチウム電池の事故、日立製作所の原子力発電所のタービン事故、松下電器の石油温風機事故、パロマの湯沸し器、さらに今も続く三菱自動車の事故等、日本を代表する一流企業が品質の問題で事故を起こしている。週刊ダイヤモンドはその原因を「複合品質汚染」とし、①インターネットの普及による情報の公開や批判、②商品寿命の短命化による矢継ぎ早の新製品開発、③製品の高機能化による複雑化、④消費者の厳しい目、⑤短期の利益追求、⑥現場力の低下、⑦水平分業の加速(外注化、情報の分断化)、⑧生産のグローバル化、⑨ITカ、コンピュター依存…などなどあげていたが、ようは経営者が目先の利益を優先し、金儲けに走り、正社員の削減、利益に直結しない部門の削減など人財教育を怠ってきたツケがいま露呈してきている、と分析しています。つまりは金儲けに走った経営者の質の問題と断じているが、組織に所属する1人1人のモラルの低下、無責任さも問題で、言ってみれば日本人の人間力そのものが「低下」しているともいえるのではないだろうか。

この「品質の復讐」は何も製品だけでなく、農業や漁業、さらにはサービス業にも、小売業にも顕在化してきていて、呉服業界もその例外ではない。原因は同じ「複合汚染」。先日振袖のセミナーに参加した社員さんとお店でお会いしたが、とても嬉しそうに「この間はありがとうございました。すごく仕事が見えてきました。つい先日までは、数字が頭の中をグルグル回っていて、今月も数字を作らなければと追われていましたが、セミナーで振袖選びもご両親やお嬢様にとって二十歳の楽しい思い出で、成人式はここから始まっているんだと思ったら、自分は呉服店の社員として、人として何をすればいいのかが、見えてきました。」とお礼を言われた。正直嬉しかったですね。うつむき気味だった社員さんの目が輝いていましたから。すぐに売れるように社員を教育して欲しい!と言う経営者の思いもよく分かりますが、売れる社員にすぐ変身させるような魔法はありません。劇薬か、カンフル剤か分かりませんが見せ掛けのパワーアップや促成栽培は、所詮それまで。真っ当に教え、学び、お客様に鍛えられ、「信頼に応えられるプロになろう!」と気付いてさえくれれば、幾らでも人は力を発揮するものです。

この社員さんの笑顔、言葉はとても嬉しかった。初めてのセミナーでの出会いでしたが、今までいったどのような社員研修を受けてきたのか。即戦力化を求める会社の”きもの”という商品のもつ「モノと文化」「過去の歴史と現代、未来」についての洞察や信念のなさ、経営者の質も改めて見え、考えさせられてしまった。そういえばこの会社は、たくさん素晴らしいことを手がけてきているのに、結果がすぐに出ない、或は現場の数字につながらないの声に、続ける我慢ができない。確かに現場の理解や協力がなければできないのですが…数字と同じように大事なものがあることが見えない。わからすことができない、難しい現実がそこにある。

それにしても2000年のグループ結成以来、わずか30社ほどの呉服店のグループですが、京都むらさきのは、テクニックによらず、1人1人の「人間力を伸ばす」その1点をかたくなに守って、こだわってやってきました。いまその正しさが証明されたようで、すごく嬉しい。いよいよ時代の表舞台に出てきたんだから、力を発揮して、今年こそ結果も出してね、ホントにお願い!


休日

2006-11-23 | 広告
久し振りに約束がない休日。ゆっくりと昼頃まで寝ていたい!と思っているのですが、野球小僧は6時起床だし、娘は泊り込んだ友人たちと大学祭の準備にと早くからバタバタとお出かけ。とても昼まで寝ているどころではなく、起こされて7時頃から雑用を整理し、ようやく一段落。さて折角お便りいただきながら、ご無沙汰している返事を書こうと思ったら、気の利いたはがきや便箋がない。外も晴れてきたし、最近は丸の内・オアゾにある丸善を覗いて、地下の神戸屋キッチンでのんびり食事してがお気に入りなのですが、今日はさらに銀座まで歩いて鳩居堂まで行き、はがき・便箋を選んでこよう。2から日前銀座に行ったら、もうすっかりクリスマスに模様替えしていて、師走もすぐ。さて、慌しさの前の静けさの1日、これから楽しみに街へ出かけます。では―

早くも1年、12月号!

2006-11-22 | 広告
毎年、何か1冊雑誌を選んで1年間購読するようにしている。もう20年くらい続けているだろうか。今年は書店に並ぶ表紙を見比べて、久し振りに「ミセス」を選んだ。勢いのあった時のミセスは、1冊の半分くらいが広告で、ずっしりと重かった。毎月7日発売なのですが、今月号は買い遅れて今日やっと購入。早くも12月号、1年の終わり。ミセスは、デザイナーのOさんお気に入りの桐島かれん、そして特集・台所力(1月号に3回目の連載が…)など料理研究家の辰巳芳子さんの連載が面白い。「真と善がないと、美はないのです。真を生きることで、善があって、それが人をひきつける美しさになるのです。ですから、私は、この世で最高なものは、美だと思います。」という辰巳さんの丁寧な暮らしの美しさには、すっかりこの1年でファンになってしまった。青木玉さんの「祖母、幸田文の姿見の中に」も祖母から孫へ、きものだからこそのドキッとするようなきものの一面を見せてくれる好エッセイ。それにしてもミセスの料理の写真は、上手い。食いしん坊のセイもあるけれど、どれもおいしそう。12月号のミセス大賞「家族をつづる1枚の写真」は思わず涙モノ。さて12月になって、どんな雑誌と出逢うのだろうか。でも未だミセスも読み続けたい、魅力的な連載があるし、はてどうなることやら。

センスの磨き方

2006-11-21 | 広告

gooブログは、現在677,388あり、1日約500のブログが誕生しているそうです。しかし継続しているブログの数はとなると、半分もないのではないだろうか。昨年14geさんの勧めで始めた5人のうち、3人がすでに半年近くアップしていない。確かに1週間に一度でも、継続してゆくことは大変難しい。書くのが面倒なときも、ネタがないこと、思い浮かばない時もある。

先日の振袖研修会の時、「どうしたらセンスが磨けますか?」の問いに、鈴野先生が「アナウンサーは、自分の周りの風景や様子を実況中継する練習をするんだそうです。次から次へと、よどみなく言葉で表現する訓練をすることによって、見る力、表現する力を身に付けてゆくんだそうです」。またメモすることの大切さもおっしゃっていますが、要点をメモする力は、企画を考える力に比例するように思います。あるとき同じ研修会を受けている人のメモを覗き見て「エッ!これなに!」と驚いたことがあります。同じ話を聴いているのに。

まあ、ブログは仕事じゃないし、強制できるものではないけれど、続けることはとても勉強にはなる。呼吸と同じように情報発信することにより、沢山のものが吸い込める、入ってくるように思います。

*今発売中の隔週木曜日発売の「サライ」。「男の粋を誂える―着物入門《完全読本》」と39ページの男の着物を特集しています。なかなか面白い特集なので一読お勧めします。


傘傾げ

2006-11-19 | Weblog

最近では珍しく、雨が昨日から2日間も降り続いている。夕暮れも早いし、どうしても足早になりがちなのですが、昨日から実によく傘をぶつけられる。一度なんか、顔に当たり思わずヒャッとしたが、当てた当人は謝るでもなく、そっちが悪いのよ、って風情で通り過ぎてゆく。傘を当てられた3人が3人とも女性で、しかも20~30代というのが気になる。

江戸時代には「江戸しぐさ」というのがあって、混み合う場所ですれ違うときは、お互いに思いやり、人にぶつからないように、「肩引き」をしたり、雨の日は、傘でお互いが濡れないように、傘を人のいない外側にすっと傾けてすれ違う「傘傾げ」というのが雨の日の心得。共に気持ちよく、心地よく暮らしてゆくための暗黙のルールがあったそうで、それを総称して「江戸しぐさ」といいます。本当に子供でも分かる社会常識、人への思いやりなのですが、最近は「人を慮るやさしさ」にかけ、公共の場でも我ひとりという風情。しぐさは、仕草、思草で、思案、思慮、思想の「思」で、草は、行為、行動、実行の「行い」を意味するんだそうで、その人の心がそのまま形となって表に出ることなのだそうです。「人に傘をぶつけて、あなたが悪い!」という人の心のありようは、どんなものなのでしょうか。よく知識と教養といいますが、江戸しぐさは、それ以上に八っさん、熊さんも、人として身に着けていないといけない当たり前のことで、それを忘れかけている日本人、どこか不安…