独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

人を喜ばせる「アホ」になる!

2009-05-26 | きもの

暮れにご紹介した江戸川区篠崎にある変わった店名の本屋さん「読書のすすめ」の主人、清水克衛さんの本「繁盛したければ一等地を借りるな!」の中で首尾一貫して、人を喜ばせる「アホ」になれば、人生も仕事も上手くゆくと説く。中々迫力がある本です。一読をお勧めしますが以下の文章は、本文にあった一節です。

小利口で小ざかしい知識や知恵、速度や効率、駆け引きや攻略、私利私欲や傲慢さ、おごりや増長、攻撃性や支配性などには距離を置いて、目に見えないものを信じ、先を急がず、ゆったりと構え、学問や知識は多くなくても、自分の信じる道を正直に地道に歩み、手間を惜しまず、回り道をいとわない。時代遅れで融通もきかず、利にも疎いが、焦らず、いばらず、くさらず、わずかなことで満足を覚え、不平不満よりは感謝の言葉が多く、批判的であるより親和的で、悲観的より楽観的で、いつもニコニコ笑みを絶やさず、人を裁くより許してあげる人間になろう!(村上和雄ー愚かさを守る心より)


美しい言葉

2009-05-24 | きもの

小学校か中学の頃、国語の教科書に「鮎の友釣り」という作品があった記憶がある。それは縄張り意識が強い鮎の釣り方で、針で仕掛けられた鮎を縄張りに放つと、縄張りを持つ鮎は、追い出そうとして攻撃しているうちに、もう1本の針に掛かって釣られてしまう、そんな様子を描いた作品でした。しかし人も同じようなもので、自分の縄張りを極端に主張し、もし踏み込もうものなら、罵詈雑言、猛烈な勢いで排除しようと攻撃してくる人がいる。それぞれの立場や考え方があり、その違いを認めた上で、互いに何が共同で出来るか、緩やかに、しなやかに対応すればいいのにと思うが、本人は正義を犯されたように聞く耳を持たない。基本は不易で変わらないが、ハウツウは所詮は状況により対応し、変わり続けてゆかねばならないもの。昨日の天声人語に「往く言葉が美しければ、来る言葉も美しい」という韓国の諺が紹介されていたが、本当にそう思う。昨日から今日にかけ、予想していたこととはいえ、嫌な言葉を聞くのは中々耐えられない。時に言葉は毒のように、ナイフのように人の心を深く傷つける。


四つ葉のクローバー

2009-05-17 | きもの

子供の頃、家の周りの野原や空き地にはたくさんクローバーが生えていた。で結構中学生くらいまでも、なにかの折に友達と真面目に四つ葉のクローバーを探して遊んだ記憶があるのですが、不思議に見つけたという記憶がない。だから「タクシー運転手さんが四つ葉のクローバーを7,000本配った」という番組を見たとき、7,000本も見つける人がいるんだと単純に驚いてしまった。最初は客待ち時間に運転手仲間と探し、偶然この運転手さんだけが見つけ、数日後失恋した女性が乗車した時に、元気付けようと手帖に挿んであった四つ葉のクローバーをあげたところ、とても喜ばれたことがきっかけで、それほど喜んでくれるなら、と思い立ったそうです。しかしこの運転手さんの半端じゃないところは、探すだけでなく、自宅で自己流で栽培し、3,4本に1本の確率で四つ葉のクローバーが出来るようにしてしまったこと。これが7,000本も配れる秘密なのですが、2004年から始め、いまや倍の14,000本、14,000人に「幸せの四つ葉のクローバー」を上げた計算になるそうですから、驚き。様々な人が乗るタクシー、「相手に笑顔になってもらいたい」その人を思う気持ちだけで、1日4時間も押し花作るために時間をかける人生、すごい。ダイヤモンド社から「幸せを運ぶタクシだけでー・それぞれの人生に配られた1万本の“四つ葉のクローバー”」という1冊の本として書店にあります。


所変われば

2009-05-13 | きもの

最近冠婚葬祭のお祝いの仕方に興味を持って本を読み始めていたこともあって、先週京都の呉服屋さんと冠婚葬祭や贈答のしきたりに話が及び、所変わればで、随分としきたりが違うのには驚かされました。例えば京都。「おため」「うつり」「道づれ」という習慣があるそうです。これはご祝儀をお渡しした時に、お祝いをもらった側はお祝い金の約1割の金額を、封筒に入れてお返しするのだそうです。喜びごとが「移るように」という、喜びを分かちあうことから「うつり」という名前になったようですが、他にも良縁が続きますようにという意味合いがあるそうです。また結婚の場合、お祝い金は式場ではなく自宅にお持ちするのが普通なので、大安の日は午前中お伺いするそうです。当然花嫁花婿の実家も大安の日は待機していることになります。一緒にいた問屋さんが、東京の取引先の新築祝いにお祝いを持参した時、「おため」がなかったので、そういうしきたりはないのですかと聞いて、初めて京都独特のしきたりと知ったと懐かしそうに語っていましたが、私も初めて聞いたしきたりでした。


備前焼(8)

2009-05-05 | きもの

備前焼(8) 大甕②

大甕の重さは約300キロ、容積は五石(約900リットル)で、ドラム缶1本が200リットルですから、その容量の大きさが想像できると思います。昔はこの大甕に貴重品の菜種油を収納していたようで、正確な量を長期に保存する実用的な大甕として使われ、今で言う一大コンビナートの機能を有し、安土桃山時代には秀吉が保護し、備前しか作る許可を与えず、さらに江戸時代には池田藩の庇護の元、将軍家はじめ各大名家などへの献上品として門外不出の藩の名品として独占されていたそうです。

写真はその大甕の秘密の部分「継ぎ目」。下からわずか10センチのこの部分で全体、300キロにも及ぶ大甕自体の重さを受け、重さを逃がす役割をしている重要な部分なのですが、過去の作品、古備前の大甕を見たり、実際に作ってみてこの継ぎ目の役割がようやく解明されたといいます。

また写真の大甕は、このために作成したベアリングを使った台の上で轆轤と同じように回して作る工夫をしましたが、昔は人が粘土を持って大甕の周りを回って作ったそうです。作品作りは、森陶岳先生のこのような道具の開発や工夫があって、様々な試行錯誤を重ね、5年後の火入れをめざして進められています。


備前焼(7)

2009-05-04 | きもの

備前焼(7) 大甕①

2メートルはあろうかという大甕。隣りにいらっしゃる森陶岳先生と比較するとその大きさが実感できると思います。寒風新大窯では、この大甕を96個作り、焼き上げるそうですが、写真の大甕はそのための試作品。この試作の段階で納得できる出来上がりが得られないと、乾燥途中や窯の中で崩壊する危険もあるそうです。登り窯では一つでも崩壊するとドミノ倒しで最悪全部割れてしまうかもしれないので、念には念を入れて試作を重ねてきたそうで、大甕のカタチは和算を使って寸法を計算して作り、和紙を外側と内側に貼って乾燥を調整し、どれくらい縮むのかや土の過重に耐えられるのかなど、原寸のものからさまざまなデータを取った試作品は、このあと壊されて土に戻すそうです。陶岳先生もこのような大甕をつくるのは初めてのこと。昔どのようにして備前焼の大甕が作られたか、資料がないので残されたものを見ながら色々推測して、実際に作ってみてなければわからないこと、実に多くあったそうです。


笑顔と笑声

2009-05-03 | きもの
4月後半から連休にかけ、京都むらさきのというオリジナル振袖を創っている呉服専門店グループのメンバー店と緊急な打合せがあり、東へ西へと出張。10年振りで日帰り予定が宿泊ということになり、閉店ギリギリに名古屋駅の高島屋に飛び込み、Yシャツ、下着一式を購入。その時のデパートの店員さんの笑顔がとても素晴らしかった。笑顔と共に売り場を回って品揃えをしながら、「明日はお天気ですよ」など、現地を知らないビジネスマンにアドバイス。閉店を感じさせない、テキパキした対応で、帰りには売り場ですれ違うスタッフが、笑顔と共にありがとうございましたと、久し振りに気持ちのいい買い物をしました。笑顔というのは不思議なもので、お金がかかるわけではありませんが、すごく人を元気付けてくれ、気持ち良くさせてくれます。様々なサービスや特典、顧客第一など標榜しているお店や会社も多くありますが、意外なことに笑顔がないお店、結構多いですね。また先日「笑声」という言葉を初めて聞きましたが、確かに「笑声」ありますね。取引先のmさんやiさんは、電話の声さえ笑みがこぼれ、電話の向こうの笑顔まで見えてきます。厳しい時代、笑顔のない陰気で不機嫌な人からは買い物もしたくないし、仕事もしたくないと思いうのは当然ですね。電話をかける前から、陰気な顔が見え、こちらの元気まで吸い取られてしまいそうな人もいますが、笑顔に笑声、だれでも、どこでも出来る最高のサービスではないでしょうか。