独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

基本に戻る!

2006-11-08 | 月刊アレコレ

ここ数年提案し続けきた、勉強会の開始にようやくこぎつけ、昨日開催。いつも本社サイドに企画提案し、実施はお任せ、ということでやってきましたが、本社の意思というか、企画主旨や目的、方法論が十分に伝達できていない。本社→運営部→地区→店長→スタッフという現場に行き着くまでの距離の長さに、企画が変質してしまい、十分に成果を出せてこれなかった苦い経験があったので、今回は「ぜひ現場と」!いう思いを担当部長が理解して頂けたので、初めて実現したもの。

それにして実際に研修会で1人1人にお会いすると本社からは見えないものが見えてくる。きものの消費行動の変化に、過去の成功体験や販売スキルが十分に活かせなくなってきた現実。顧客の高齢化で購買力が急速に落ち込み、店に待ちの体制の中でどうやって新規客を獲得してゆけばいいのか。さらにお客様の求めるものと本社商品部のMDとの微妙なズレなど、現場の悩みは多い。この悩みに組織が大きい割には、スピーディに対応されていないようで、社員研修も久し振り、という感じ。企業30年説というのがありますが、昔では考えられないような、社内のコミュニケーション不足と共にコミュニケーションスキル、能力が低下してきてしまっている。つまらないクレームが多すぎるて、と嘆いていたが、自分でもまさか?とは思っていましたが、あながち嘘ではないな、と思った。もちろん優秀な方もいますが、それ以上に基本ができていない方が多い。というか、教えられていない。数字が目標、目的になってしまい、お客様を忘れてしまっている。本来のプロ意識がないし、それが何かも余り理解されていない。研修会でも、本来のプロ意識の自覚、認識を中心に組み立てたのですが、組織が大きくなり、しかも個人売上が中心になると店内がライバル同士で、チームワークが上手く発揮できず、お客様が忘れ去られてしまっている。そのことを今回、出席された方が再認識してもらえたのは、最大の成果。皆さん熱心に勉強していた。アンケートからもその様子がヒシヒシと伝わってくるが、前途は厳しいものがある。

講師のS先生の評価は、研修での話を上手に聞けない、観察力がないと、厳しく60点。特に基本が出来ていないと。担当部長が「昔は毎日のように店で、ロープレも、挨拶の、五大接客用語の全員での復唱や着装など、みんなみんなやっていたのになぁ」とつぶやくようにおっしゃっていましたが、現場力の低下は明らか。しかしこれは個人個人のレベルの問題ではなく、むしろ企業のシステムの問題が大きいのではないでしょうか。収益にばかりに目がゆく、パートや派遣社員の多様など企業効率の利便性が優先し、人を育てる、ことを怠ってきたからでしょう。特に大企業での信じられないような初歩的なミス続発しているという新聞報道を見るにつけ、その思いは強くなります。人は促成栽培の野菜のように行かないので、顧客本位の、顧客の視点に立った人材教育を原点に戻り、日々のたゆまない努力と共に、基本をきっちりやり教え続ける企業文化を作れるか、ここに企業の命運の分かれ道があるように思いました。