独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

普段きもの考(14)普段は大事!

2010-11-26 | きもの

お茶屋さんに友人が面接に出向いたら、店主らしい人が人を値踏みするように見て、いきなり「イラストレイターできる」と聞いたそうです。募集要項には「接客」とありましたが、どうやらネットも担当させようという目論見らしい。それにしても、この面接というか、立ち話での人を見下したような態度からは、勤めようなんて気分もすっ飛んでしまったそうです。話を聞きながらまったく「無礼千万」という古風な言葉を思い浮かべましたが、人を雇う、それだけで自分が偉くなったような、雇う前から上司面、態度に豹変?するのは、まったく理解できない。さらにこの店主の大きな間違いは、応募した人は地元の主婦、ということ。無礼な態度にかなり立腹していましたから、本人はもちろんそのお店からお茶を買うことはないだろうし、もしかしたら友人にこの話をして「あそこはやめろ」くらいのことは言うのではないだろうか。人と接するときは、たとえ仕入れ先や眼下の人であってもプライドや気分を損なわないように、できれば友人に接するようにすべきと思います。昔、ファッションショーの素人モデルを募集したところ、30人のところ500人も来たことがあります。面接だけでも大変でしたが、その時演出家に言われた「落とす時に、言葉も態度も丁寧にしなさい。落選しても、この企画を応援しよう!応援者になってもらえるように努めなさい」といわれた言葉今でも覚えていて、それ以来いつも心がけています。お店には買い物客だけでなく、買わずに帰る方はもちろん、道を聞く方や営業、売り込み、宅配など様々な人が来ます。その時は買わない人でも、いつかはあなたのお店のお客様になる、そう確信して接してください。


自学自習塾(4)嬉しい、志ある参加者11名

2010-11-25 | 自学自習塾

本日が自学自習塾の1期生の募集締め切りでしたが、嬉しいコトに二桁の11人の参加を頂きました。大胆不敵にも密かに目標にしていた数字で、ビックリでした。また多くの方から日程が合わなくて、残念ですが…と丁寧にご返事も頂き、とても励みになりました。こんなにもきものに真っ正面から向き合う熱い人たちがいた! と大感激です。兵庫県から参加される方もいらっしゃるので、1分1秒も活きた時間となるように楽しみながら、人数から云えばわずか11人ですが、世の中を変えてゆくぞ、くらいの勢いで、いま準備を進めています。いままでご協力、応援下さったみなさんありがとうございます。

 


自学自習塾(3)同時に

2010-11-23 | 自学自習塾

「啐啄同時」という言葉が好きです。禅の言葉だそうですが「雛が孵ろうとするとき、雛が内からつっつくのを「啐」、母鳥が外からつっつくのを「啄」といい、転じて「得難い良い時期」「禅において師と弟子の呼吸がぴったり合うこと」を云うそうです。いままで色々な企画をしてきましたが、今回の自学自習塾ほど「啐啄同時」という言葉にぴったりな企画はなかったと思います。まじめすぎる企画ですから、5人も集まっていただければと考えていましたが、予想を遙かに上回る反響、参加を頂き、正直驚きました。さらにサポーターの希望者も出現するなど、今回お寄せいただいた多くのご意見を参考に、次を考えてゆきたいと思います。しかし清水の舞台から飛び降りるような気持ちで、行動して良かったとつくづく思います。ありきたりの言葉ですが、やってみなければ、わかりません。いい企画というのは、多くの人に愛され、応援いただき、1人歩きして行くんですね。とにかく第一期目を「参加して良かった!」と喜んでいただけるよう「丁寧にがんばり」ます。

この20~30年、バブル崩壊後は特に呉服業界は対処療法に終始し、抜本的に真っ正面から取り組んでこなかったツケは非常に大きなモノがあります。しかし、厳しい時代でも、確実に次の世代は育っている。芽吹いている。自学自習塾のご縁でお会いした方々から実感しました。自学自習塾は、アレコレにも、参加する方にも、そして講師を務めて頂く方にも、さらに多くのきもの人にも素晴らしい一石二鳥ならぬ、一石四鳥の企画になりそうです。残念ながら今回スケジュールなど合わなかった方々も、次回は是非参加下さい。


自学自習塾(2)塾の志とカリキュラム

2010-11-20 | 自学自習塾

木曜日「カンブリア宮殿」を見ていたら、セシルマクビーの木村会長が出ていた。成功の秘訣を「お客様の声を聞き、素早く対応してゆく時代だ」とコメントしていた。昔と違い、いまはお客様がファッションをリードしている時代。だからこそお客様の声を聞くことが大事と。実際商品担当は、渋谷の街をウオッチングしていた。残念ながら、着物業界で街ウオッチングをしている人を私は知らない。大体が着物姿の人、街ウオッチングするほどいるの?という声が聞こえそうだ。しかし、業界の人が思うよりはるか多くの人が着物姿を楽しんでいる。この着る人の声を聞かずしては、どうにもならないだろうと思う。お客様の声を聞く。同じきもの体験をする。プロとして生きた知識や伝えられてきた知恵や文化を理解し、活かす。プロとして必要なことアレコレ学べるように、一緒に様々にトライしてゆく自学自習塾。コンサルティングたちと同じにならないよう、机上の議論にならないために、そのために自学自習塾では、自分の好みではなく、お客様の声やファッションの動き、ライフスタイルの動きなど様々に考え、生地を選び、デザイン、価格を決め、情報発信やPR、コーディネイト、接客など、自分たちで実際に商品を作ることを通して学ぶびます。

カリキュラムは、3つです。みんな凄いのですが、特に凄いのが『呉服屋力』の講義。実際の経営者が今の成功や失敗、これから先を忌憚なく話してくれます。成功を自分のモノとして囲い込まずに、若い人、特に同じ呉服屋の後継者に話すことによってお互いに良くなって行こう。きものを着る人に役に立つお店が1軒でも増えるように惜しみなく教えてくれる。滅多にないですよ。こんな素晴らしい人たちと出会える、それだけでも凄いと思うでしょ。

 

 

講座テーマ

主旨

第1講座

呉服屋力

現役の呉服店主が今に至った軌跡、目指す理想の店のあり方、そのための実践や手法など、現場で生きる術を学びます。

第2講座

きもの力

呉服店が見失っているきものの魅力や勘違い等、着る人が本当に求めている呉服屋、きものとは何かを学びます。

第3講座

呉服屋のたしなみ

着る人と共有すべき、きもの文化、歌舞伎や茶道、ITなど呉服屋のたしなみを学びます。

 


自学自習塾(1)いま、つなぐ力が必要!

2010-11-19 | 自学自習塾

9月から通い始めたWEBの学校、最初はまあまあでしたが、1ヶ月もすると習ったことを復習し、しかも自分のホームページ作りという課題に反映しなければならないので、あっという間に3,4時間が過ぎてしまい、バターンQ。最初の2,3日は書かなければと気になっていたのが、いつの間にかいいかで、1ヶ月も間が空いてしまった。そんな中、夢中になって取り組んでいるもう1つの大事なことが「自学自習塾」の立ち上げ。

「きもの生活者の視点で、きものの素晴らしさ、楽しさを伝える月刊誌」をめざし、月刊アレコレを2005年に創刊しました。6年の間、数百人のきもの人を毎月ていねいに取材し、いまどきコーデもきもの事情もきちんとわかりやすくビジュアル表現してきましたが、取材の都度聞かされるのは、「着たいきものがない」「着る人を受け止めてくれるお店がない」でした。読者と呉服屋さんを結びたいと考え、創刊したアレコレとしては忸怩たる思いでした。

「きものを着ない人が作り、きものを着ない人が売る」呉服業界、いまや、いまやではなくこの30~40年、業界より完全にきものを着る人のほうが先を行っていますから、「着物を着ない人ばかりの呉服業界」の低迷は無べなるかな、と思います。しかし、「1粒の麦」になればと、きもの生活者が映し出す日常のきもの姿や、発する声をとらえ、日頃から欠けている実際にきものを着る生活者の心理や現状、動向、「兆し」を情報提供してきましたが、それらが一向に反映されることがなく、改善が見えません。そこでアレコレだけではなく、「着る人の思いを伝え、着る人目線でこれからの着物の生産や販売を考え、共に行動してゆく」志ある方々と直接集い、議論し、煮詰め、行動する、特にきもの生活者と最も多く接する呉服屋同士が解決のための具体策を考え、行動する場が緊急に必要と考えていました。

 その思いを一層強めたのが、最近の呉服店の後継者の変化です。それは今までのように同じ呉服店や問屋、呉服商社に修行に行かず、大学を卒業後、サラリーマンとして呉服以外の会社に勤め、20代後半から30代半ばに家業を継ぐために実家に戻る、というケースが増えていることです。そのため、きもののプロとして必要な体系的な知識には欠けるものの、業界体質に染まらず、真摯に“自分たちの世代にふさわしい呉服店とはどんな呉服店なのか”の模索に日々悪戦苦闘しています。又プロとして必要な知識や体験、商品の調達力、伝える力を高め、同じ志を持つきもの人とのネットワーク作りなど、様々な課題に直面しています。「きものを着たい人」は多いのに、「役に立つ呉服店を目指している呉服店」は多いのに、なぜうまく出会えないのか。「きものを着る人、着たい人」と「きものを着る人に役立つ呉服店を目指す呉服店」とをつなげるため、きもの人に代わり、着る人の思いや要望をディレクションし、「着る人から求められる呉服店=次世代の呉服店」を若き経営者や、これから呉服店開業を目指す人と共に模索し、学び、実践、試行錯誤してゆく勉強会を開催することにしました。業界発想ではなく、「着る人」発想で「自ら学び、自ら習い、自店の理想を実現するための普遍を学ぶ勉強会」をめざします。きものを着る人がいてのお店です。「きものを着る人を知り、その要望に沿って自らを変えること」が現状を打破する最良の道と考えます。この塾が閉塞する現状を変える兆しの1つになると確信しています。スタートは12月8日です。なおこの自学自習塾は、きもの検定などのようにきものの知識や教養を高めるような勉強会ではないので、参加者は、呉服店の開業を目指す人、呉服店の経営に携わっている人、後継者など「呉服店のプロ」に限ります。詳細は編集長ブログ」にありますので、参照のうえ、興味ある方は、メールください。詳しいご案内をお送りします。