独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

ライバルは、自店!

2007-01-30 | きもの

半年振りにお会いしたF社長。相変わらず意気軒昂でしたが、少し空気が違っていたように感じた。いま十数店の子供向けのトータルスタジオを経営している会社から、身売りの話が持ち込まれ、資料を精査している最中という。その内容を見せて頂き驚いた。ありえない、という数字。F社長曰く。「中途半端な規模の会社のサラリーマンが担当するとこんなもの。仕事しないもの。仕事が分かっていないもの」。家業店ではこんなこと絶対ない。大体その前につぶれてしまう。夢もなく、「儲かるからと進出した会社だし…」とにべもない。トータルフォトスタジオというのは、この数年急激に伸びてきた新業態の写真館で《衣裳、ヘアーメイク、着付け、写真》が1ヶ所ですべて済んでしまう便利なもの。その先鞭をつけたのは、子供写真館で有名なタジオアリス。全国に360店舗、年間売上250億円と、業界ダントツ。いまトータルフォトスタジオは、全国約1,200軒。そのうち家業店型のものが約700軒、チェーン店が500軒。650~700億円の市場規模だそうです。このうち呉服店が経営しているトータルフォトスタジオが約200軒、売上は120~150億円だそうです。呉服店が経営するトータルフォトスタジオが好調なのは、衣裳がよく、接客が上手なのと経営者自らが目配りし、叱咤激励しながら経営しているから。儲かるからと参入し、マニュアルで経営しようとしても、そうは上手くゆかないものらしい。

スタジオアリスの本村社長は「やはりお店は、同じやり方、同じ商品を同じように売っていると、飽きられると思う。そういう意味でスタジオアリスは、お客様の目で見て、毎年変化してゆかねばならないと考えている。これから3年後のスタジオアリスは、おそらくいまスタジオアリスのお店とは違っている。変わると思う。その準備を始めている。皆さんもいままでの既成概念は捨てるべきではないか。革新という言葉がある。改革、革新、これは現状否定と、もっとつらい自己否定が伴う。でも、この二つをしない限り、革新はない。スタジオアリスは絶えず現状を捨てて、現状改革をして、自己否定をして、もっと良い方法があるのではにかと改革を続けていきたいと思っている」と発言している。子供写真館のノウハウを生かし、成人式やブライダルなど本格的に大人写真館にも進出すると噂されているスタジオアリス、なかなかの強敵。劇薬になるか、刺激剤、活性剤になるかは、受け取り方次第か。


うれしいイベント効果

2007-01-28 | 月刊アレコレ

表参道のイベントから、あっという間に1週間。ご協力いただいた方々への商品のご返送やご挨拶もようやく終わり、いまアンケートの整理をしている最中です。イベント直後から、参加いただいた方々がイベントの様子や感想をブログで紹介して頂いていますが、どの内容を見てもまずは好評で、ホッとしております。またそのお陰だと思いますが、日曜日から毎日のようにアレコレの定期購読の申込みが続いており、嬉しい限りです。アレコレは年間購読誌なので、購読の切り替え時期の12月から2月まで、創刊時の購読者約500人の方々に継続して頂けるかどうか、1年間の通信簿をもらう心境で胃の痛い日々の連続です。VOL.25「きものブログリレー」「映像の向こう側」、「きものの基・お仕立て編」と誌面のリニュアールも一段落。月刊誌として生き残れるかどうか、アレコレにとって正念場の3年目です。これからも倍旧のご支援、よろしくお願いします。購読申込は、こちらから

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A5判 24頁 オールカラー

月刊アレコレは月300円/年間購読3,600円(送料無料)


身内の優先の論理

2007-01-26 | きもの

久し振りに私宛に「御社の社員は弁解ばかりして、間違いを認めない…云々」とのクレームのハガキを頂いた。本来20日に発行すべき請求書を20日が土曜日だったため前倒しして19日に発行。そのため19日時点での未払い金額を記載したまま発行したので、19日に振り込まれたU社は「わざわざ忙しい最中に振り込んだのに」と週明けにクレームのお電話。しかし担当者の電話が弁解ばかりと怒り心頭で、私へのハガキとなった次第。最大の原因は、当社の都合で前倒しして請求書を発行したことにある。しかし、このクレームが担当者、営業を経て私に来たのが週末の26日。いつもきちんと対応するのに、なぜハガキがくるまで、クレームがあったことを言わないのか?

経緯を聞いて納得。怒っている相手を置き去りにして、自分たちの都合、解釈でしか対応、行動していない。クレームを素直に聴こうとしていない、というかクレームそのものが理解できていない。だから、相手にすれば「私は悪くないのに…」という風に聞こえてしまう。しかしそれは、身内の論理、いわば当社の都合であって、相手の立場に立ったら、前倒しして請求書を発行するに際してのお願い、留意いただくことがいくつかある。配慮すべきことがある。またクレームを放置しないで、いち早く対応することを怠ってしまっている。1つのクレームのお陰で、いくつかの改善点が見えたのだが、同時に高々の規模の会社なのに、不都合な身内の論理が出来てしまっていることに、驚かされてしまった。当社も顧客満足度を高める努力をしなければと猛反省した次第です。


製品は、人格の表現なり!

2007-01-25 | きもの
不二家の消費・賞味期限切れ材料の使用が発覚して以来、この際とばかりにスターバックスやローソンなど連日、多くの会社のお詫び広告が出ていて、こんなにも品質管理にルーズだったのかと、驚いてしまう。コスト削減を追求してきた結果、わからなければと思っていたのだろうか。いま様々な業種で品質が問われ、商品の氏素性もハッキリ表示するように言われている。北朝鮮のアサリがいつの間にか国内産になり、中国で作ったきものや帯が、最終工程を日本でやるだけで日本産になってしまうようなまやかしを業界内の人は不思議にも思わない。誰も知らない、上手くやったと思っても、天知る、地知る、そして我知る、ではないのか。だから、いつか事は露見する。

最近は、いままでの染織技法によらない、最新のテクノロジーを活用したインクジェツトのきものが出始めてきた。メーカーはインクジェツトで作ったことをはっきり表示をして出荷しているが、流通のどこかの段階で、それが意図的に消されて、通常の染のきものとして出されているケースがある。技術の進歩で、様々な染織技法があっていいのだが、誤魔化しはいけない。「製品は、人格の表現なり」という言葉がありますが、多少の儲けのために、偽って、消費者や呉服店を騙していい訳がない。まして振袖など一生の思い出のきもの、親の愛情の塊、親子の絆を象徴したきものを騙して売っていい訳がない。成人式に振袖を着て感動したお嬢さんが結婚して、自分の娘に着せようとしたとき、その嘘がわかったらどんなにか悲しいだろう、と想像すると胸が詰まる。真っ当なビジネス、真っ当なきものを売ってゆきたいものだ。それにこのままだとインクジェツトのきものは、偽者になってしまう。インスタントコーヒーが普及し、レギュラーコーヒーが復活したように、インクジェツトのきものも、業界に新たな活力を与えるかもしれない。汝偽るなかれ!正々堂々の商売をして欲しい!

正五九詣り

2007-01-24 | きもの

正月と五月、そして九月の年3回お参りすればご利益がある、という正五九詣りに昨年から銚子の14geさん、勝田台の6348さんと大杉神社にご一緒にさせて頂いている。運転できない私は勝田台から6348さんの車に同乗させていただいて、ラクチン。私の正五九詣りの楽しみ、というかご利益の1つは、往復の車中での6348さんとのお話。いつもいつも沢山の示唆やヒントを頂いている。2つ目が3人での四方山話とはいえ、やはり仕事の話をアレコレ。そして3つ目が宮司さんとの示唆に富んだお話の時間。今日は知り合いをお連れする予定で宮司さんの在宅?をわざわざ確認して頂いたのに、急用でこれずに残念。でも宮司さんがそのことを覚えていて、拝殿祈祷を終え、近所の喫茶店にいたところを呼び戻して頂き、小1時間、生き方の姿勢についての面白いし、怖い話も聴かせて頂いた。そして4つ目が、何も考えない、清々しい気分で参拝できる時間が持てること。もうこれだけでも、すごいご利益です。でも、真打のご利益も勿論期待しています。

 


切ない!

2007-01-22 | きもの
1通のFAX。倒産のお知らせ。永年お付き合いしていた呉服屋さんで、お母さんが類まれな女傑。ご子息は団塊世代で、マザコンポイ、少し変な人。すこぶる人がよく、面倒見もいいのだけれど、自分のこととなると遠慮して、1歩引いてしまう。自分と似ているようなところがないでもない人。私も少なからず倒産の影響を受けたのですが、そんなこと仕事をしているから、当たり前のリスク。(仕事の引き際の難しさをまたまた痛感…)いままで頑張ってきて、精も根も尽きたのかも。でも倒産して、楽になったのだろうか。楽になったらいいのだが…。お母さんのことを思うと切ない!もっともっと恥かいても、何しても粘り強く続けて欲しかったと思うのだが…誰かと、飲みたいそんな切ない1日。

3th キモノトーク アレコレ イン 表参道③

2007-01-21 | 月刊アレコレ

今回素晴らしかったのは、参加された方々のきもの姿。大久保先生も、いまさんも感心しきり。アレコレのイベントがトークを聴く場としてだけでなく、おしゃれを楽しむ場にもなってきたことが、すごく嬉しい。本当はおひとりお一人にきものの物語をお聞きしたいところだったのですが、いつものように目いっぱいのスケジュールで時間が足りない。でもお互い同士、気軽に情報交換していて、「きもの」が人をつなぎあっているサマが見え、これもまた嬉しいことでした。イベントを開催する前のブルーな気持ちなんかすっ飛ばされてしまった、すごい参加者のエネルギーでした。

きくちさんと大久保さんの組合せでのトークは3回目ですが、きくちさんからはきものを着る、楽しむ心を少し後押ししてもらい、大久保さんからは同じカタチのきものを、着る人の体型や個性、工夫と知恵で着こなしてゆくものだという具体的な知恵を教わり、お二人の話を聴いて本当に「目からウロコ」という方が多かった。「ぎっしり詰まったイベント」と参加者のおひとりがコメントくださいましたが、遠く宮崎や長野、静岡、新潟からも参加くださっていることを考えると満足いただけるものをしなければとプレッシャーがかかります。始める前は今回が最後、直前はもうヤダ、と思うのですが、参加された皆さんのお顔やブログのコメントを拝見すると、もう次は…と懲りもせず考えています。千兵衛さん、ひつじさん、桔梗さん、藤井さん、awaiさん、晏さん、大善さん、ほんとうに沢山のアレコレを応援してくださった皆様ありがとうございました。


3th キモノトーク アレコレ イン 表参道②

2007-01-20 | 月刊アレコレ

アレコレのイベントは通算4回目。最初は無謀にも創刊数ヶ月で200人を超えるイベントを池袋・自由学園で開催。その反省からぐっと小規模に30人前後のトークイベントを神楽坂、銀座で開催し、1年ぶりに今回は表参道で50人の規模で開催。毎回きものが似合う場所で開催したいと、会場選びに苦心していますが、今回は友人の新潟の呉服屋・廣島さんのお陰でネスパスをキープ。表参道にあるのに思いのほか相場より安いのですが、アレコレ的にはもっともっとお安すく…


今回は規模もさることながら、2つの新しい企画を試みました。1つは開催テーマを設定したこと。1回目は、大久保さんの連載でアレコレ的には大反響を呼んだ「木綿」をテーマにしたこと。もう1つは、木綿をネット以外で目にふれ、手にする機会がないので、との読者の要望から「木綿の販売会」を併催したことです。しかし実際に木綿を集め始めて、木綿の種類を集めるのが、こんなに難しいとは思わなかった。今回は川越唐桟、銚子縮、伊勢木綿、片貝木綿、会津木綿、阿波しじら、綿唐桟紬(浜松)、館林木綿、作州絣、保多織、久留米絣、広瀬絣、弓浜絣、綿薩摩、沖縄ちゅら絣の15種類を集めるのに、実に呉服屋さん、メーカー、問屋さんなど9社に協力頂きました。本当に貴重な商品を売れるかどうか分からない、というかほとんど売れないと思う場所に、しかもお店で売れる可能性が大きい土日に貸していただき、嬉しい限りです。この場を借りて、またまた御礼申し上げます。貸して頂いたのに1点も売れない木綿もあり、心苦しい限りです。しかしお陰さまで参加された方には、とても喜んで頂けました。また予想外に売れました。川越唐桟はじめ反物が12点、帯八寸1点、半巾8点。53人の参加ですごいですよね。アレコレが開催したということで、安心、信用して買って頂いたようです。

結果からいえば、「販売会」は大成功で、アンケートでも「物販」の継続を90%以上が希望されていて、ひと安心でした。しかし今後の物販には、解決しなければならない、いくつかの問題がありますので、関係者一同がウイン・ウインとなるように企画して行きたいと思います。アンケートといえば、47通も回収。しかも一端会場を後にして30分後にアンケートを忘れたのでと戻って提出してくれた方や、後日郵送で頂いた方など、細々とした面倒なことにていねに答えて頂き、アレコレの読者の優しさに感謝です。アンケートは集計し、ネットで発表すると共に、今後の企画にも生かしてゆきたいと考えています。

 


3th キモノトーク アレコレ イン 表参道①

2007-01-18 | 月刊アレコレ

仕事で多くのイベントを企画も実施もしてきたが、マレッジブルーではないが、直前に不安や憂鬱な気分になったこともないのに、自社主催となると毎回、2週間くらい前になると逃げ出したい気分になる。当日の天気や会場のこと、進行やあれやこれやと参加する方に喜んでもらえるよう手配りを考えると、やることが多い。しかも自分では解決できないことも多々ある。今回も会場に給湯室があるのにお湯が出ない。というか使ったことがないので、お湯が出るかどうか分かりません、との回答。出来るだけ参加費を押さえたいので公共機関を使いたい。今回も新潟県の施設を使ったので、相場の半分以下で使えたのはありがたいが、スタッフはいまいち。貸し出してるくせに、お湯が出なくても平気?使って欲しいという意識が希薄、もしかして天下り?すくなくとも貸しホールを埋め、活用しながら利益を出そう、なんて気ないんだろうな。だから給湯室を使えないと、提供者としては使用者サービス満足度に欠け、ヤバイ!なんて感覚がない。で、冬場でもあり、温かいもの飲んでいただきたいと、アチラコチラに問い合わせ、金額や提供メニューなどが合わずに、もう最後「ごめん!しちゃおうか」など、たかがお茶、されどお茶でブルー。結局は、当日スタッフにコンビから70本、重い思いをして買ってきてもらった。埋め合わせにアラレが奇遇にも出会った話題の人・Yさんお勧めのお菓子「杏大福「胡麻大福」を茶うけに銀座まで買いに行くなど、貴重なスタッフをお茶&菓子担当で2時間外出。猫の手も借りたい会場は、大わらわ。給湯室があれば、何の問題もないのにとブツ、ブツ、ブツ!

イベントには、準備を幾らしても、こんな計算外?のことが沢山ある。なのに今週は大事なことが目白押しで、重ならなければいいなあ、が見事に重なり、明日の夜は大事な会食。きちんと展示用の木綿を期日どおり送って頂き、大助かり。何としても今晩中に当日のプログラム、アンケート、価格表、表示などの案内や会場レイアウト、全部やらなきゃ、追いつかない。


初春の賑わい

2007-01-17 | きもの

東京日本橋、堀留、人形町、富沢町は呉服問屋街。20年前は、夕方ともなると一斉に商品を全国各地の呉服屋さんに送るため運送会社の車が所狭しとひしめきあい、まともに歩けないくらい活気があった。しかしバブル崩壊後は、倒産や支店の閉鎖、移転などが続き、空き地にマンションが建ち並び、最近は問屋街の面影がなくなってきたが、今週は久し振りに街が賑わっている。竺仙、堀井、三勝、新装大橋などゆかたメーカーが一斉に今年のゆかたの新作を発表。近在の問屋やメーカーもそれぞれ新作を発表したため。「あそこの浴衣は、今年はいい!」「すごいよ、すぐ見においでよ!」など元気な声が飛び交い、街に活気があふれている。昨年は天候不順のため、ゆかたが伸び悩んだが、今年は飛ぶように売れて欲しい。売れれば、創る人も元気になり、いいゆかたや着物がどんどん出来てくる。

ちなみに今年の新作、この椿の柄をデザインしたSさんは、もともとは洋服のデザイナー。和が好きで、とうとうきもののデザイナーになってしまったという女性。今回はゆかたのルーツ、江戸時代の浮世絵の中にあるゆかたをモチーフにした新作を作りましたが、Sさんらしい現代感覚を上手く随所に表現してあり、心魅かれる。